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2話
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「いよいよ。今日で僕たちは結ばれるんだね」
「ええ。そうですね」
一見、幸せそうに会話をしている二人だが、そうではない。
妹は違う。アルマは違うのです。
とうとう、結婚式の当日となった。
結婚式……とはならないと思いますが、あくまで形式上はの話です。
私は不安な思考が収まることはなく、ドキドキしている。
私は元より振られることは何となく察していたし、彼に好意こそあるわけではないから、振られるショックよりも彼がどんな目に遭うのかが怖くてたまらないのです。
そりゃもちろん、婚約破棄だなんて法的に考えれば重罪だし罰が降るのも仕方のないこと。
私だって少しくらいは復讐してやりたい気持ちはあります。
けれど、妹はきっとその範疇を超えてしまうから……。
会場には、たくさんの貴族が集まっている。
そして、互いの両親を挟んでアルマとラクマは向き合っている。
そこに私の姿がないためか、会場は不穏な空気が漂っている。
無理のない話でしょう。
おそらく私の婚約者がラクマであるという噂はある程度の者は知っている。
そのラクマと結婚するのが私ではなく妹のアルマなのだから、会場の皆も違和感を抱いているのでしょうね。
それだけじゃありません。
向い合ってる互いの両親の間にも微妙な空気が漂っています。
なんとなくで察せるけれどおそらく、妹が手を回したのでしょう。
もしかすると、私たちの両親だけでなく、ラクマ側の両親にも何か……。
「静粛に!」
図体の大きい男が号令をかけると、会場が徐々に静かになっていく。
いよいよ、式が始まるのかしら。
するとそこで、一人の女性が手を上げた。
「その前に、一つ宜しいでしょうか??」
アルマだ。
彼女は席を立つと、会場の皆の方に顔を向け語り出す。
「私アルマとラクマ様のために、本日お集まり頂いた皆さん心から感謝申し上げます。しかしながら、誠に残念な報告がございます」
アルマは一度そこで口を閉じる。
会場の皆はなんだろうかと、緊張感で支配される。
「私とラクマ様は結婚いたしません!」
潔く言い放ったその言葉を耳にした瞬時、緊張感から一変し、会場は凍りついた。
「ええ。そうですね」
一見、幸せそうに会話をしている二人だが、そうではない。
妹は違う。アルマは違うのです。
とうとう、結婚式の当日となった。
結婚式……とはならないと思いますが、あくまで形式上はの話です。
私は不安な思考が収まることはなく、ドキドキしている。
私は元より振られることは何となく察していたし、彼に好意こそあるわけではないから、振られるショックよりも彼がどんな目に遭うのかが怖くてたまらないのです。
そりゃもちろん、婚約破棄だなんて法的に考えれば重罪だし罰が降るのも仕方のないこと。
私だって少しくらいは復讐してやりたい気持ちはあります。
けれど、妹はきっとその範疇を超えてしまうから……。
会場には、たくさんの貴族が集まっている。
そして、互いの両親を挟んでアルマとラクマは向き合っている。
そこに私の姿がないためか、会場は不穏な空気が漂っている。
無理のない話でしょう。
おそらく私の婚約者がラクマであるという噂はある程度の者は知っている。
そのラクマと結婚するのが私ではなく妹のアルマなのだから、会場の皆も違和感を抱いているのでしょうね。
それだけじゃありません。
向い合ってる互いの両親の間にも微妙な空気が漂っています。
なんとなくで察せるけれどおそらく、妹が手を回したのでしょう。
もしかすると、私たちの両親だけでなく、ラクマ側の両親にも何か……。
「静粛に!」
図体の大きい男が号令をかけると、会場が徐々に静かになっていく。
いよいよ、式が始まるのかしら。
するとそこで、一人の女性が手を上げた。
「その前に、一つ宜しいでしょうか??」
アルマだ。
彼女は席を立つと、会場の皆の方に顔を向け語り出す。
「私アルマとラクマ様のために、本日お集まり頂いた皆さん心から感謝申し上げます。しかしながら、誠に残念な報告がございます」
アルマは一度そこで口を閉じる。
会場の皆はなんだろうかと、緊張感で支配される。
「私とラクマ様は結婚いたしません!」
潔く言い放ったその言葉を耳にした瞬時、緊張感から一変し、会場は凍りついた。
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