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進軍開始
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冒険者の街リザリオ ───── 中央広場
「野郎ども!今回は紛れもなく本気の殺し合いだ!まぁ~多くの奴らは獣王国が攻めてきた時のための防衛と聖騎士団の後方支援が主な役割となるわけだが絶対に気抜くんじゃねーぞ!!」
ガルディア王国が獣王国ビステリアへと進軍を開始するその日、今回の戦争において王国軍として聖騎士団のサポートをする冒険者たちも早朝からリザリオの街に集結していた。
彼らに召集をかけたのはもちろんギルドマスターであるメリッサだ。
呼び出した彼らを中央広場へと集め脅しにも似た激励を行う。
その圧倒的な圧と存在感を前に冒険者たちは今一度気を引き締めるのであった。
「お…おい、今回はSランク冒険者は集まらなかったのか?」
「あ~確かに姿が見えないな」
「マジかよ…。大丈夫なのか?」
「まぁ~普通に考えてSランクなんて超高額の討伐依頼しか受けないだろ」
何処からともなく冒険者たちの中からそのような声が囁かれ始める。
それもそのはず。
広場に集められた冒険者たちはAランクとBランクばかり。
そこにはSランクの冒険者はおろかその代理人すら姿を見せていなかったのだ。
そして、その小さな囁きは瞬く間に広場中に広まり、ついにメリッサの耳にまで届く。
「ゴチャゴチャうるせーぞ!!今回参加するSランククラン『トライデント』と『ローズガーデン』は前線に出るため既に王都メルサにいる。テメェーらは自分の仕事にだけ集中してりゃいいんだよ。分かったか!!」
「「「「「「 ウオォォォォォ!! 」」」」」」
こうしてメリッサによって統率された?冒険者たちは士気も上々に各自の配置場所へと動き出したのであった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
王都メルサ ───── 王城敷地内広場
一方その頃王都メルサでも聖騎士たちが王城の敷地内にある広場へと集められていた。
各クランやパーティがバラバラに集まっていた冒険者たちとは違い、聖騎士たちは各団ごとにきっちりと整列されており、一切乱れの無いまとまりをみせている。
そして、各団の先頭にはもちろん十二の剣である団長たちが並び立つ。
さらに、その後方には冒険者ギルドより派遣されたSランククラン『トランデント』と『ローズガーデン』の姿があった。
そんな彼ら全員が揃うと高いエントランスより国王レオンハルトが姿を現す。
そして、集まった者たちからの視線を一身に浴びるレオンハルトより出陣前の激励がなされる。
「諸君、此度はガルディア王国が直面する脅威に対しよくぞ立ち上がってくれた。この戦いは決して負けることの許されない戦いである。これはガルディアに住まう全ての者を守るための戦い ───── そして、その中にはもちろん諸君も入っていることを忘れるな!それでは武運を祈る!!」
「「「「「 ハッ!! 」」」」」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ガルディア王国王城 ───── 国王執務室
コンコンコンッ ──────── 。
「入れ」
ギィーーーーッ ────────。
「「失礼致します」」
「おお、アーサーとギュスターヴか。どうかしたのか?」
「いえ。陛下、先程は騎士たちへの激励ありがとうございました」
「なに…私にはこれから命を懸けて国を守ろうとする者たちへ声をかけてやるくらいのことしか出来んからな」
「何を言いますか。陛下のその言葉によって我々騎士は戦えるのです」
「ハハハ。そうであるならば良いのだがな」
出陣前にレオンハルトの元を訪れたアーサー。
それは未だに拭い切れぬ親友の不安を少しでも和らげておきたいという彼の優しさであった。
「しっかり頼むぞ聖騎士長」
「ああ。お前の方こそ王都の守りは任せたぞギュスターヴ」
「当然だ。突撃一辺倒の獣人に我ら魔法師団の結界を破れはしない。対空の準備も整えてある。こちらの事は任せてお前は前線で成すべき事を成せ」
「筆頭魔法師殿には無用な心配だったようだな。それでは陛下、行って参ります」
「ああ。前線の指揮は任せたぞアーサー。二人とも武運を祈る!!」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
そして、出陣の時 ──────── 。
全軍を前にして今回の作戦の指揮を執る聖騎士長アーサーが出陣の挨拶をする。
「それではこれより獣王国ビステリアへ向けて出陣する。今回は私の団を含めた十の聖騎士団に二つの冒険者クランを加えた十二の団を三組ずつ計四つの軍に分けて進軍する。それは獣王国を囲う広大なパスカル大山脈を四方向から突破し一気に攻め込むためである。各軍の組み分けは事前に報せた通りだ。ランスロット、トリスタン、ケイ、各軍の指揮は任せたぞ」
「「「 ハッ!! 」」」
「それでは、これより進軍を開始する」
ザッザッザッザッザッ ──────── 。
こうして王国軍は獣王国ビステリアへ向けて進軍を開始する。
ここまでの流れ全てが獣王ゼリックの思い描いた通りに進んでいるとも知らずに ──────── 。
「野郎ども!今回は紛れもなく本気の殺し合いだ!まぁ~多くの奴らは獣王国が攻めてきた時のための防衛と聖騎士団の後方支援が主な役割となるわけだが絶対に気抜くんじゃねーぞ!!」
ガルディア王国が獣王国ビステリアへと進軍を開始するその日、今回の戦争において王国軍として聖騎士団のサポートをする冒険者たちも早朝からリザリオの街に集結していた。
彼らに召集をかけたのはもちろんギルドマスターであるメリッサだ。
呼び出した彼らを中央広場へと集め脅しにも似た激励を行う。
その圧倒的な圧と存在感を前に冒険者たちは今一度気を引き締めるのであった。
「お…おい、今回はSランク冒険者は集まらなかったのか?」
「あ~確かに姿が見えないな」
「マジかよ…。大丈夫なのか?」
「まぁ~普通に考えてSランクなんて超高額の討伐依頼しか受けないだろ」
何処からともなく冒険者たちの中からそのような声が囁かれ始める。
それもそのはず。
広場に集められた冒険者たちはAランクとBランクばかり。
そこにはSランクの冒険者はおろかその代理人すら姿を見せていなかったのだ。
そして、その小さな囁きは瞬く間に広場中に広まり、ついにメリッサの耳にまで届く。
「ゴチャゴチャうるせーぞ!!今回参加するSランククラン『トライデント』と『ローズガーデン』は前線に出るため既に王都メルサにいる。テメェーらは自分の仕事にだけ集中してりゃいいんだよ。分かったか!!」
「「「「「「 ウオォォォォォ!! 」」」」」」
こうしてメリッサによって統率された?冒険者たちは士気も上々に各自の配置場所へと動き出したのであった。
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
王都メルサ ───── 王城敷地内広場
一方その頃王都メルサでも聖騎士たちが王城の敷地内にある広場へと集められていた。
各クランやパーティがバラバラに集まっていた冒険者たちとは違い、聖騎士たちは各団ごとにきっちりと整列されており、一切乱れの無いまとまりをみせている。
そして、各団の先頭にはもちろん十二の剣である団長たちが並び立つ。
さらに、その後方には冒険者ギルドより派遣されたSランククラン『トランデント』と『ローズガーデン』の姿があった。
そんな彼ら全員が揃うと高いエントランスより国王レオンハルトが姿を現す。
そして、集まった者たちからの視線を一身に浴びるレオンハルトより出陣前の激励がなされる。
「諸君、此度はガルディア王国が直面する脅威に対しよくぞ立ち上がってくれた。この戦いは決して負けることの許されない戦いである。これはガルディアに住まう全ての者を守るための戦い ───── そして、その中にはもちろん諸君も入っていることを忘れるな!それでは武運を祈る!!」
「「「「「 ハッ!! 」」」」」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
ガルディア王国王城 ───── 国王執務室
コンコンコンッ ──────── 。
「入れ」
ギィーーーーッ ────────。
「「失礼致します」」
「おお、アーサーとギュスターヴか。どうかしたのか?」
「いえ。陛下、先程は騎士たちへの激励ありがとうございました」
「なに…私にはこれから命を懸けて国を守ろうとする者たちへ声をかけてやるくらいのことしか出来んからな」
「何を言いますか。陛下のその言葉によって我々騎士は戦えるのです」
「ハハハ。そうであるならば良いのだがな」
出陣前にレオンハルトの元を訪れたアーサー。
それは未だに拭い切れぬ親友の不安を少しでも和らげておきたいという彼の優しさであった。
「しっかり頼むぞ聖騎士長」
「ああ。お前の方こそ王都の守りは任せたぞギュスターヴ」
「当然だ。突撃一辺倒の獣人に我ら魔法師団の結界を破れはしない。対空の準備も整えてある。こちらの事は任せてお前は前線で成すべき事を成せ」
「筆頭魔法師殿には無用な心配だったようだな。それでは陛下、行って参ります」
「ああ。前線の指揮は任せたぞアーサー。二人とも武運を祈る!!」
◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇
そして、出陣の時 ──────── 。
全軍を前にして今回の作戦の指揮を執る聖騎士長アーサーが出陣の挨拶をする。
「それではこれより獣王国ビステリアへ向けて出陣する。今回は私の団を含めた十の聖騎士団に二つの冒険者クランを加えた十二の団を三組ずつ計四つの軍に分けて進軍する。それは獣王国を囲う広大なパスカル大山脈を四方向から突破し一気に攻め込むためである。各軍の組み分けは事前に報せた通りだ。ランスロット、トリスタン、ケイ、各軍の指揮は任せたぞ」
「「「 ハッ!! 」」」
「それでは、これより進軍を開始する」
ザッザッザッザッザッ ──────── 。
こうして王国軍は獣王国ビステリアへ向けて進軍を開始する。
ここまでの流れ全てが獣王ゼリックの思い描いた通りに進んでいるとも知らずに ──────── 。
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