115 / 159
護るための戦い
しおりを挟む
「それで…あの~国王様、私はいったい何をすればいいんですか?」
王宮より召喚命令を受けたスズネたち。
謁見の間にて行われた国王レオンハルトとの会話の中でヒト族と獣人族の双方を戦争の中で護りたいという想いで一致したレオンハルトとスズネ。
それによってレオンハルトより協力を頼まれたスズネはこれを承諾したのであった ──────── 。
しかし、勢いよく協力することを承諾したはいいものの、いったい何をすればいいのか分からず困惑するスズネは改めてレオンハルトに質問するのだった。
「ああ、だがその前にまずは此度の協力を受けてくれたことに感謝する」
「あっ…いえ、私も国王様と同じ気持ちだったので」
「そうか。そう言ってもらえると助かる。そして、今回私の考えに協力してもらうことに際してそなたに尋ねたいことがある」
「はい…何でしょうか?」
ここで国王レオンハルトの表情に変化が起こる。
それまでの優しく穏やかなものから少し緊張したような硬いものとなっていた。
その意味が分からないスズネたちが不思議をそうにしていると、意を決したようにレオンハルトが重く閉ざされた口を開く。
「スズネ・・・そなたに新たな力が目覚めたというのは本当か?」
「えっ…えっと…。召喚師の力のことでしょうか?それでしたら、はい。新たな力を授かりました」
「「 ・・・・・ 」」
スズネの言葉を聞いたレオンハルトとアーサーは無言のまま顔を見合わせ、数秒の後に静かに頷いたレオンハルトが再びスズネへと視線を送る。
そして、今回わざわざスズネを王城にまで呼んだ理由を話し始めたのだった。
「今回そなたを呼んだ理由はまさにそれなのだ。魔王であるクロノ殿に次いで契約したという龍族。それはこの戦争において大きな抑止力になると考えている」
今回自身が呼ばれた理由を聞かされ、驚きと納得が入り混じった感情になるスズネ。
他のメンバーたちはスズネ個人が呼ばれたと聞かされた時点で薄々と気づいていたようであり、レオンハルトの言葉を聞き終えたミリアは静かにマクスウェルを睨みつけた。
そして、その視線を感じ取ったマクスウェルはどこかバツが悪そうな表情を見せるのであった。
「国王様、一つ宜しいでしょうか?」
「ああ、なんだ?」
「契約した龍族ラフネリアスは力を貸してくれると思いますが、クロノは今回の戦争に一切関わるつもりはありません。ヒト族側、獣人族側のどちらにもつくつもりはありませんので、予めご承知おきください」
「・・・そうか。相分かった」
先程のレオンハルトの発言からクロノと緑龍ラフネリアスの力をもって抑止力となって欲しいという意思を感じ取ったスズネは、クロノの思いを汲み取り予めその意思を明確にしたのだった。
その発言を受け静かに了承したレオンハルトがクロノへと視線を向けたのだが、クロノは当然だと言わんばかりの表情を変えることはしなかった。
─────────────────────────
「まぁ~しかし、まさかそなたが契約した龍族が四天龍の一角であったとは ────── 。して、噂によると緑龍は強力な癒しの力を有していると聞いたことがあるのだが、それは真か?」
「はい。ラフネリアスは強力な回復魔法を持っていて、以前魔族を戦った際にも助けてもらいました」
「なるほど・・・それは大いに助かる。スズネ、先程も話した通り今回は侵略のための戦争ではない。そこで、そなたには前線の軍に同行してもらい我が軍と獣王国の戦士たちの救護に回ってもらいたい。もちろん十分な護衛は付けさせてもらう。どうか引き受けてはもらえないだろうか?」
戦争の最前線。
これまでにも数々のクエストを受けてきたとはいえ、これほどまでの大規模な戦いは当然初めての経験である。
護衛を付けてもらえるとはいえ、正直に言ってその身に何が起こるかは分からない。
それこそ命を落とす危険性すらあるのだ。
しかし、鈴音の意思はすでに決まっている ──────── 。
「分かりました。出来る限りのことをさせていただきます!」
その力強い言葉と眼差しにスズネの強い覚悟を受け取るレオンハルトとアーサーなのであった。
「みんなごめんね。後方支援って話だったのに私は前線に出ることに ────── 」
「アタシも行くわよ!」
「えっ!?」
「スズネが最前線に出るなら当然アタシも最前線よ!一人で行くなんて絶対に許さないから」
「ウチも行くっすよ」
「わ…私も行きます」
「わっちもついて行くのじゃ」
「もちろん僕もです」
「みんな・・・」
スズネが戦場の最前線に出ると覚悟を決めた瞬間に宿り木のメンバーたちも同じく覚悟を決めたのだった。
それはこれまで幾度の困難を共に乗り越えてきた仲間だからこそ、どんな時でも最後まで一緒にいるという彼女たちなりの覚悟なのであった。
「はぁ~。おい、俺も行ってやるよ」
「えっ!?でも、戦争には参加しないんじゃ・・・」
突然のクロノの発言に驚きを隠せないスズネ。
これまで頑なに戦争への参加を拒んでいたことを考えると当然と言えば当然の反応である。
「はぁ?くだらねぇ戦争になんか興味ねぇ~よ。こんな小競り合いのせいでテメェーに何かあったら俺にも影響が出るんだろうが。だから・・・仕方なくだ!勘違いすんなよ!!」
「あはははは。うん!ありがとね、クロノ」
こうしてスズネたち宿り木は救護班として激戦必須の最前線へと配置されることとなったのだった。
王宮より召喚命令を受けたスズネたち。
謁見の間にて行われた国王レオンハルトとの会話の中でヒト族と獣人族の双方を戦争の中で護りたいという想いで一致したレオンハルトとスズネ。
それによってレオンハルトより協力を頼まれたスズネはこれを承諾したのであった ──────── 。
しかし、勢いよく協力することを承諾したはいいものの、いったい何をすればいいのか分からず困惑するスズネは改めてレオンハルトに質問するのだった。
「ああ、だがその前にまずは此度の協力を受けてくれたことに感謝する」
「あっ…いえ、私も国王様と同じ気持ちだったので」
「そうか。そう言ってもらえると助かる。そして、今回私の考えに協力してもらうことに際してそなたに尋ねたいことがある」
「はい…何でしょうか?」
ここで国王レオンハルトの表情に変化が起こる。
それまでの優しく穏やかなものから少し緊張したような硬いものとなっていた。
その意味が分からないスズネたちが不思議をそうにしていると、意を決したようにレオンハルトが重く閉ざされた口を開く。
「スズネ・・・そなたに新たな力が目覚めたというのは本当か?」
「えっ…えっと…。召喚師の力のことでしょうか?それでしたら、はい。新たな力を授かりました」
「「 ・・・・・ 」」
スズネの言葉を聞いたレオンハルトとアーサーは無言のまま顔を見合わせ、数秒の後に静かに頷いたレオンハルトが再びスズネへと視線を送る。
そして、今回わざわざスズネを王城にまで呼んだ理由を話し始めたのだった。
「今回そなたを呼んだ理由はまさにそれなのだ。魔王であるクロノ殿に次いで契約したという龍族。それはこの戦争において大きな抑止力になると考えている」
今回自身が呼ばれた理由を聞かされ、驚きと納得が入り混じった感情になるスズネ。
他のメンバーたちはスズネ個人が呼ばれたと聞かされた時点で薄々と気づいていたようであり、レオンハルトの言葉を聞き終えたミリアは静かにマクスウェルを睨みつけた。
そして、その視線を感じ取ったマクスウェルはどこかバツが悪そうな表情を見せるのであった。
「国王様、一つ宜しいでしょうか?」
「ああ、なんだ?」
「契約した龍族ラフネリアスは力を貸してくれると思いますが、クロノは今回の戦争に一切関わるつもりはありません。ヒト族側、獣人族側のどちらにもつくつもりはありませんので、予めご承知おきください」
「・・・そうか。相分かった」
先程のレオンハルトの発言からクロノと緑龍ラフネリアスの力をもって抑止力となって欲しいという意思を感じ取ったスズネは、クロノの思いを汲み取り予めその意思を明確にしたのだった。
その発言を受け静かに了承したレオンハルトがクロノへと視線を向けたのだが、クロノは当然だと言わんばかりの表情を変えることはしなかった。
─────────────────────────
「まぁ~しかし、まさかそなたが契約した龍族が四天龍の一角であったとは ────── 。して、噂によると緑龍は強力な癒しの力を有していると聞いたことがあるのだが、それは真か?」
「はい。ラフネリアスは強力な回復魔法を持っていて、以前魔族を戦った際にも助けてもらいました」
「なるほど・・・それは大いに助かる。スズネ、先程も話した通り今回は侵略のための戦争ではない。そこで、そなたには前線の軍に同行してもらい我が軍と獣王国の戦士たちの救護に回ってもらいたい。もちろん十分な護衛は付けさせてもらう。どうか引き受けてはもらえないだろうか?」
戦争の最前線。
これまでにも数々のクエストを受けてきたとはいえ、これほどまでの大規模な戦いは当然初めての経験である。
護衛を付けてもらえるとはいえ、正直に言ってその身に何が起こるかは分からない。
それこそ命を落とす危険性すらあるのだ。
しかし、鈴音の意思はすでに決まっている ──────── 。
「分かりました。出来る限りのことをさせていただきます!」
その力強い言葉と眼差しにスズネの強い覚悟を受け取るレオンハルトとアーサーなのであった。
「みんなごめんね。後方支援って話だったのに私は前線に出ることに ────── 」
「アタシも行くわよ!」
「えっ!?」
「スズネが最前線に出るなら当然アタシも最前線よ!一人で行くなんて絶対に許さないから」
「ウチも行くっすよ」
「わ…私も行きます」
「わっちもついて行くのじゃ」
「もちろん僕もです」
「みんな・・・」
スズネが戦場の最前線に出ると覚悟を決めた瞬間に宿り木のメンバーたちも同じく覚悟を決めたのだった。
それはこれまで幾度の困難を共に乗り越えてきた仲間だからこそ、どんな時でも最後まで一緒にいるという彼女たちなりの覚悟なのであった。
「はぁ~。おい、俺も行ってやるよ」
「えっ!?でも、戦争には参加しないんじゃ・・・」
突然のクロノの発言に驚きを隠せないスズネ。
これまで頑なに戦争への参加を拒んでいたことを考えると当然と言えば当然の反応である。
「はぁ?くだらねぇ戦争になんか興味ねぇ~よ。こんな小競り合いのせいでテメェーに何かあったら俺にも影響が出るんだろうが。だから・・・仕方なくだ!勘違いすんなよ!!」
「あはははは。うん!ありがとね、クロノ」
こうしてスズネたち宿り木は救護班として激戦必須の最前線へと配置されることとなったのだった。
0
お気に入りに追加
20
あなたにおすすめの小説
悠久の機甲歩兵
竹氏
ファンタジー
文明が崩壊してから800年。文化や技術がリセットされた世界に、その理由を知っている人間は居なくなっていた。 彼はその世界で目覚めた。綻びだらけの太古の文明の記憶と機甲歩兵マキナを操る技術を持って。 文明が崩壊し変わり果てた世界で彼は生きる。今は放浪者として。
※現在毎日更新中
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・
底辺おっさん異世界通販生活始めます!〜ついでに傾国を建て直す〜
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
学歴も、才能もない底辺人生を送ってきたアラフォーおっさん。
運悪く暴走車との事故に遭い、命を落とす。
憐れに思った神様から不思議な能力【通販】を授かり、異世界転生を果たす。
異世界で【通販】を用いて衰退した村を建て直す事に成功した僕は、国家の建て直しにも協力していく事になる。
巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。
錬金術師が不遇なのってお前らだけの常識じゃん。
いいたか
ファンタジー
小説家になろうにて130万PVを達成!
この世界『アレスディア』には天職と呼ばれる物がある。
戦闘に秀でていて他を寄せ付けない程の力を持つ剣士や戦士などの戦闘系の天職や、鑑定士や聖女など様々な助けを担ってくれる補助系の天職、様々な天職の中にはこの『アストレア王国』をはじめ、いくつもの国では不遇とされ虐げられてきた鍛冶師や錬金術師などと言った生産系天職がある。
これは、そんな『アストレア王国』で不遇な天職を賜ってしまった違う世界『地球』の前世の記憶を蘇らせてしまった一人の少年の物語である。
彼の行く先は天国か?それとも...?
誤字報告は訂正後削除させていただきます。ありがとうございます。
小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで連載中!
現在アルファポリス版は5話まで改稿中です。
豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜
自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで150万PV達成!
理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」
これが翔の望んだ力だった。
スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!?
ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。
2年ぶりに家を出たら異世界に飛ばされた件
後藤蓮
ファンタジー
生まれてから12年間、東京にすんでいた如月零は中学に上がってすぐに、親の転勤で北海道の中高一貫高に学校に転入した。
転入してから直ぐにその学校でいじめられていた一人の女の子を助けた零は、次のいじめのターゲットにされ、やがて引きこもってしまう。
それから2年が過ぎ、零はいじめっ子に復讐をするため学校に行くことを決断する。久しぶりに家を出る決断をして家を出たまでは良かったが、学校にたどり着く前に零は突如謎の光に包まれてしまい気づいた時には森の中に転移していた。
これから零はどうなってしまうのか........。
お気に入り・感想等よろしくお願いします!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる