【R-18】【完結】勇者はドラゴンに食い殺された

雲走もそそ

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番外編(初夜編)

3.夢の続き作戦(1)

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 二人の初夜が失敗した翌日、ジークは何事もなかったかのように、いつも通り明るく振舞った。一つ変わったのは、控えていた口づけを気軽にするようになった事だ。起床時、外出時、帰宅時、就寝時、何かにつけてする。
 ルディもジークが平然としているので、合わせて気にしていないふりをしたが、何をしていてもあの夜のことを思い出してしまう。完全に嫌な思い出になっている。
 あれからジークは、ルディが現実での行為に抵抗感がなくなるよう、挿入なしで毎晩訓練をしてくれている。
 しかし、いずれあの痛みと恐怖に向き合わなくてはならないと考えると、他の個所への愛撫は問題ないはずなのに、ルディの体は固く強張り、性交全般を受け付けないようになっていた。ほんの少し感じた肉芽からの快感すら、緊張で拾えないようになってしまった。



「今日は床板の資材を買ってくるよ」
「いってらっしゃい」

 ルディはいつも通りジークを見送ると、寝室へ戻って全裸になった。

 このままではいけない。
 彼は求婚してくれた時に子供はいてもいなくてもどちらでもいいと言っていたが、ルディは欲しい。

「まずは落ち着いて……」

 毎晩の訓練で、ジークがよく口にする言葉だ。
 落ち着かなくては快感を拾えない。快感を得なければ準備ができず、挿入に際し強い痛みが出る。ただし、濡れて準備ができたからといって痛くなくなるとは限らない。

 若干余計なことまで考えつつ、ルディは深呼吸しながら自分の体に触れる。
 ジークがしてくれているように、胸や秘所に刺激を与えていく。

 ルディが彼の不在を見計らって自主練習を行うのはこの日が初めてだ。
 ジークと二人での夜の訓練が一向に進まないので、一人の方が逆に緊張せずできるのではないかと思い至ったのだ。

「うーん……」

 しかし意気込みすぎているのか、やはり快感を得られない。
 自分の指は二本入る。ジークの指はルディより太いので、二本入ると痛い。
 せめて中をもう少し拡張したい。

 目を閉じて集中しつつ、自分の指をもう一本足そうと試みる。
 横並びでは難しそうなので、束ねる形にしてみるが、そうすると指がつりそうで入れられない。

「やっぱり横かな……。いたた」

 体勢も影響するのではないかと、姿勢を変えて試してみる。両ひざを立てて座ってみたり、床に立って片足をベッドへかけてみたり。
 最終的に四つん這いから上体を振り向けるような姿勢で、臀部側から手をまわして秘所に触れる体勢になった。ただしこれも検証中で別に楽とは感じない。

 ルディの失敗は、集中するあまり生き物の気配を察知する半魔としての鋭い感覚がおろそかになっていたことと、テーブルの上に置き忘れられたジークの財布を見落としていたことだ。

「ただいま。忘れものを――」

 ガチャリと扉が開き、顔を覗かせたジークは、瞠目して硬直した。
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