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番外編(初夜編)
1.見栄(4)
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先に現実へ戻ったルディは、窓の外の月の高さから、まだ夜がそこまで深くないと確認したうえで、ジークを叩き起こした。
ジークはすぐに覚醒して、夢より狭いベッドの上で体を起こす。頭ははっきりしていて、夢の続きの会話ができた。
「とにかく俺は君にこれ以上がっかりされたくないんだ」
「今更何言ってるの?」
色々とがっかりなものは曝け出されていて、それでもルディは彼が好きだと伝えたし、求婚も受けた。もう少し開き直ってもらいたい。
「そこまで言うならわかった。じゃあ、ちょっとだけ見せるから……」
それで残念な大きさではないか判断してほしいということなのだろうが、夢の中で伝えたとおりルディには比較ができない。
しかし最初よりは状況が好転していると考え、ルディは大人しく彼が下穿きを寛げるのを待った。
「どうだろうか……」
気恥ずかしそうに見せられたそれは、いつぞやかの夢のとおり、しぼんで寝ている状態だった。この様子には夢との差異はあまり感じられない。
「うーん。多分夢と変わらないけど」
「そうか……!」
現状判別できる範囲では小さくないとの評価を受けたジークは、安堵に表情をやわらげた。
「でも膨らんだ時じゃないと判断できないかも」
「わかった」
何せ勃起時に受け入れるのだから、ルディにとって夢と現実で変わりないと評価するにはその状態を確認しなくてはならない。
対してジークは第一関門を突破したからか、先ほどよりはてきぱきと動き出す。
そうして自身をゆっくり扱きはじめた。
目を閉じて、徐々に素早く手を動かすようになっていくが、夢で見た大きさにはなかなか膨らまない。
「上手くいかないな……」
しばらくして困ったように呟いたジークは瞼を開く。
その目がルディとかち合って、彼は何かひらめいたように目を輝かせた。
「ルディ、手伝ってくれるか?」
「えっ、私がするの?」
以前、夢の中では、しぼんだ彼の陰茎を扱くのに文字通り手を貸した。
しかしあれに抵抗感がなかったわけではない。それでも緊急事態だったし、そもそも夢の中の体は夢の主である彼のものであり、借り物にルディの魂が入っているだけである。そういう心理的な防護壁があったので可能だったという側面があった。
だが今は現実だ。夢ではない。
それを改めて自覚すると、ルディは途端に恥ずかしくなってきた。
「現実ではちょっと、恥ずかしいかも……」
難色を示すルディに対し、ジークは複数の案を持っている。
「いや、触らなくていい。代わりに見せてくれないか」
「何を?」
そう問われて彼がじっと視線を注ぐのは、ルディの胸元だった。
以前、ただの夢だと思っていたジークは、胸の大きい女性が好きだと明かしている。
その時のルディは彼の想像によって作られた体だった。だからルディが普段胸を布で押さえていたために、あまり大きくないという想像の通りになっていた。
しかし、実際はもっと大きい。
それを知ったジークには多大な期待があるらしい。旅の最中のような激しい動きを必要としなくなったルディが布で押さえなくなると、服の上からでも大きさが推測できるのか、度々何とも言えない視線を向けてくるようになった。
「わ、わかった……」
これからもっと大変なことをしていかなくてはならないのに、この段階で恥ずかしがっている場合ではないと、ルディは意を決してシャツのボタンへ手をかけた。
ジークはすぐに覚醒して、夢より狭いベッドの上で体を起こす。頭ははっきりしていて、夢の続きの会話ができた。
「とにかく俺は君にこれ以上がっかりされたくないんだ」
「今更何言ってるの?」
色々とがっかりなものは曝け出されていて、それでもルディは彼が好きだと伝えたし、求婚も受けた。もう少し開き直ってもらいたい。
「そこまで言うならわかった。じゃあ、ちょっとだけ見せるから……」
それで残念な大きさではないか判断してほしいということなのだろうが、夢の中で伝えたとおりルディには比較ができない。
しかし最初よりは状況が好転していると考え、ルディは大人しく彼が下穿きを寛げるのを待った。
「どうだろうか……」
気恥ずかしそうに見せられたそれは、いつぞやかの夢のとおり、しぼんで寝ている状態だった。この様子には夢との差異はあまり感じられない。
「うーん。多分夢と変わらないけど」
「そうか……!」
現状判別できる範囲では小さくないとの評価を受けたジークは、安堵に表情をやわらげた。
「でも膨らんだ時じゃないと判断できないかも」
「わかった」
何せ勃起時に受け入れるのだから、ルディにとって夢と現実で変わりないと評価するにはその状態を確認しなくてはならない。
対してジークは第一関門を突破したからか、先ほどよりはてきぱきと動き出す。
そうして自身をゆっくり扱きはじめた。
目を閉じて、徐々に素早く手を動かすようになっていくが、夢で見た大きさにはなかなか膨らまない。
「上手くいかないな……」
しばらくして困ったように呟いたジークは瞼を開く。
その目がルディとかち合って、彼は何かひらめいたように目を輝かせた。
「ルディ、手伝ってくれるか?」
「えっ、私がするの?」
以前、夢の中では、しぼんだ彼の陰茎を扱くのに文字通り手を貸した。
しかしあれに抵抗感がなかったわけではない。それでも緊急事態だったし、そもそも夢の中の体は夢の主である彼のものであり、借り物にルディの魂が入っているだけである。そういう心理的な防護壁があったので可能だったという側面があった。
だが今は現実だ。夢ではない。
それを改めて自覚すると、ルディは途端に恥ずかしくなってきた。
「現実ではちょっと、恥ずかしいかも……」
難色を示すルディに対し、ジークは複数の案を持っている。
「いや、触らなくていい。代わりに見せてくれないか」
「何を?」
そう問われて彼がじっと視線を注ぐのは、ルディの胸元だった。
以前、ただの夢だと思っていたジークは、胸の大きい女性が好きだと明かしている。
その時のルディは彼の想像によって作られた体だった。だからルディが普段胸を布で押さえていたために、あまり大きくないという想像の通りになっていた。
しかし、実際はもっと大きい。
それを知ったジークには多大な期待があるらしい。旅の最中のような激しい動きを必要としなくなったルディが布で押さえなくなると、服の上からでも大きさが推測できるのか、度々何とも言えない視線を向けてくるようになった。
「わ、わかった……」
これからもっと大変なことをしていかなくてはならないのに、この段階で恥ずかしがっている場合ではないと、ルディは意を決してシャツのボタンへ手をかけた。
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