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夢じゃなかった編

19.作戦(4)

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リオニ様の提案を聞いて、ノリノリだったのはダフィット様だけで、ユリウスお兄様は何も仰らなかった。いつもなら、絶対に却下されるのに、余程王女様に不満があるのか、今回限りということで、念は押されましたが、概ね了承されてしまいました。私の最後の砦としての役割を、任せておりましたのに、ユリウスお兄様、恨みますわ。

ユリウスお兄様は、ダフィット様を嫌いだと言うのは、少し残念ですが、兄として妹のことを大切に思っていて下さっているのはわかるので、不満などはないのです。私は、二人きりでも、ダフィット様と一緒にいるだけで、恥ずかしくなりますのに、次は公開ですの?観客がいるのでしょう。中々高いハードルですわね。エレナ様の時もそうでしたが、イチャイチャ を見せつける、と言うのは人によっては、凶器になりますのね。

ダフィット様が本来は冷たい方ではないことは、理解してくださるでしょう。ダフィット様の良さをどうせなら知っていただきたいですもの。

フランツお兄様は頭を抱えていらして、エリーザお姉様は、ニコニコされていましたが、くれぐれもやりすぎないように、と釘をさしてくださいました。ダフィット様も、それはおわかりになられていると…思いますわ。

今ダフィット様のお姿に、犬のような尻尾があるように見えましたが気のせいですわね。凄く嬉しそうに今にも飛びつきそうな犬のような姿が見えましたが。ブンブンと首をふって、もう一度、ダフィット様を見てみると、いつものお優しい笑みを浮かべていらっしゃいました。

時折みせるその優しい笑顔をみると、胸の奥が、きゅう、と締め付けられるのです。いつ見られてもいいように、とまた恥ずかしくなる日々が始まるのかしら、と身構えていますと、さすがにずっとは無理なようで、少しそれが残念に思います。

いえ、恥ずかしいのですよ?
けれど、恥ずかしい気持ちもダフィット様の前なら緩和するといいますか、ダフィット様に見られているなら自信が持てるといいますか、許されているような気になるのです。

ダフィット様は、私が残念そうにしたのを見て、笑っています。最近少し意地悪になりました。ダフィット様は優しく頭を撫でて下さいます。毛繕いされているような気になって、気持ちよくなってしまいます。私まで犬になってしまったようです。せっかく髪を綺麗にセットしてもらったのですが、ダフィット様の手に触れられる至福には変えられないのです。

早く王女は通らないかしら。それともどこかで見ているのかしら。

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