【R-18】【完結】皇帝と犬

雲走もそそ

文字の大きさ
上 下
74 / 79

21.所有者-4 *

しおりを挟む
「来い」

 シュルークを抱えて寝台を下りたファルハードは、彼女をキアーの前に跪かせ、半ば突き飛ばすように押しつけた。それを受けとめたことで、前傾で座っていたキアーは後ろに倒れ込む。

「奉仕を」

 何かと混乱するキアーよりも先に、シュルークが主君の意図を汲んだ。

「シュルーク……!」

 彼女に服の上から触れられてようやく、キアーは自分の体の熱の正体に気づいた。キアーは、愛する人が犯されているこの地獄の中で、劣情を催していたのだ。

「犬ならば口を使え」
「はぁ……っ、はい……」

 ファルハードに強い語調で指示されて、シュルークはキアーの脚衣を寛げて、兆しているそれに舌を這わした。柔らかく、熱い、濡れた感触。見るだけで緩く立ち上がっていた自身が、直接的な刺激ですぐに膨張していく。
 はあはあと息を荒げてキアーの男根を舐めるシュルークの背後から、ファルハードが覆いかぶさる。

「ああぁっ!」

 まだ満足しきっていない穴を埋められて、シュルークは歓喜の声を上げた。彼女の奉仕の手が止まらないよう、先ほどより律動は緩やかだが、シュルークが集中できていないのは明らかだ。

「休むな。身を入れて奉仕しろ。求婚を受けた、愛する男ではないのか?」
「は、ひ……、違い、ます……」

 シュルークの舌が、キアーの陰茎の裏筋を必死に舐めあげる。これまで、何度も口淫はしてもらってきた。だが、今回ほど拙いのは初めてだ。それなのに、キアーは我慢をしなくてはならないほど、既に限界が近かった。

「何が違う。言え」
「シュルーク……!」

 シュルークを止めようと名前を呼ぶが、亀頭をちゅぱちゅぱと吸っていた彼女は、呼びかけられたと思ってしまったようだ。理性を欠いた目が、キアーを見る。

「あなたが……、若くて、体力があって、あっ……、私の必要とするだけ、この身を慰めてくださると、思ったから……!」

 ファルハードに後ろから犯されながら、キアーの竿を唇で食みながら、その合間に返された答え。これが、シュルークが求婚を承諾してくれた理由。
 彼女は、キアーを愛してなどいなかった。愛だと盛り上がっていたのはキアーひとり。二人の関係が、体から始まったように、最初から理由は肉欲だったのだ。

 シュルークの中を圧し捏ねるファルハードは、この残酷な、もしかすると彼はとっくに悟っていた答えに、唇を歪めて笑った。

「浅ましい雌犬が。どちらが欲しいか、言ってみせろ」
「陛下です……! 陛下に抱いてほしいです……!」
「見下げ果てた女だ。真剣に婚姻まで考えた男を前に」
「キアー様、申し訳ありません……っ」

 彼女の泣き叫んでいる理由が罪悪感ではないことは、キアーはもう思い知っている。打ち砕かれた矜持と恋心に、胸の中は冷えていく。一方で体の熱は、シュルークの口内で包まれ、爆発した。

「うぐ……」

 シュルークは弾ける飛沫を全て受け止め、最後まで吸い取ってから、飲み下した。
 その奉仕の丁寧な終わり方が惨めで、キアーは解放された自身をすぐにしまい込んで後退った。

 追い打ちをかけるように、ファルハードの冷たい視線がキアーを追い払う。

「下がれ。お前たちもだ」

 壁際に立っていたオーランとサドリと共に、キアーは逃げるようにファルハードの寝室を出ていく。
 あれを見せられて、シュルークへの思いは完膚なきまでに打ち砕かれていた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

密室に二人閉じ込められたら?

水瀬かずか
恋愛
気がつけば会社の倉庫に閉じ込められていました。明日会社に人 が来るまで凍える倉庫で一晩過ごすしかない。一緒にいるのは営業 のエースといわれている強面の先輩。怯える私に「こっちへ来い」 と先輩が声をかけてきて……?

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される

奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。 けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。 そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。 2人の出会いを描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630 2人の誓約の儀を描いた作品はこちら 「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041

巨乳令嬢は男装して騎士団に入隊するけど、何故か騎士団長に目をつけられた

狭山雪菜
恋愛
ラクマ王国は昔から貴族以上の18歳から20歳までの子息に騎士団に短期入団する事を義務付けている いつしか時の流れが次第に短期入団を終わらせれば、成人とみなされる事に変わっていった そんなことで、我がサハラ男爵家も例外ではなく長男のマルキ・サハラも騎士団に入団する日が近づきみんな浮き立っていた しかし、入団前日になり置き手紙ひとつ残し姿を消した長男に男爵家当主は苦悩の末、苦肉の策を家族に伝え他言無用で使用人にも箝口令を敷いた 当日入団したのは、男装した年子の妹、ハルキ・サハラだった この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

元彼にハメ婚させられちゃいました

鳴宮鶉子
恋愛
元彼にハメ婚させられちゃいました

処理中です...