72 / 79
21.所有者-2 *
しおりを挟む
「陛下!?」
立ち上がったファルハードは、座り込んでいるシュルークの胸倉を掴み、腕の力だけで起き上がらせた。シュルークの手元に置かれていた杖が絨毯を転がる。
彼女を庇おうと腰を浮かせかけたキアーを、頭の片隅に残る冷静さが押しとどめた。視界の端では、腰に下げた剣の柄へ手をかけたオーランとサドリが目を光らせている。
「あっ」
短い悲鳴と共に、シュルークは寝台へ押し倒された。帽子が取れて、少し驚いた表情の素顔が露わになる。
「お前が今さら、まともな女の人生を、普通の幸福を掴めるとでも思ったのか!? 愛情すら理解できない狂人の分際で!」
寝台に膝で乗り上げたファルハードは、シュルークの胸倉を掴んだまま、覆いかぶさるように彼女を怒鳴りつけた。ファルハードがここまで声を荒げた姿を、キアーは見たことがない。おそらく、オーランとサドリも同じだろう。
ただ唯一、シュルークだけは彼の怒りに対し落ち着いていた。
「愛情……?」
この場においては能天気ですらある、シュルークの戸惑う様子。
続く言葉に、今度はキアーが困惑させられた。
「キアー様の求婚をお受けすることにしたのは、愛ではありません」
ファルハードでさえ、その返答には一瞬虚を突かれていた。
だが、すぐに酷薄な笑みで口元を歪める。
「そうか、お前はそんな女だったな……」
その昏い笑みは、彼の怒号以上にキアーをぞっとさせた。
一旦シュルークの胸元から手を離したファルハードは、今度は両手をそこにかけると、強引に彼女の服の帯から上をはだけさせた。
「何をなさるのです!」
キアーの制止の声は届かない。
中途半端にずり上げられた下着で形を歪めながらも、シュルークの白い乳房が零れ出る。
脚衣も、中の下着ごと剥ぎ取られて、この場の男たちに素足と下腹部が晒された。それでもシュルークは、悲鳴も上げない。ファルハードに任せている。
「キアー、お前が愛を誓った女の真の姿を、よく見ておけ」
シュルークはファルハードの膝に乗せられ、彼の脚をそれぞれ跨ぐように、寝台の足元にいるキアーに向けて股を開かされた。無毛の秘所が見せつけられる。先ほど交わったばかりのそこは、しっとりと潤んでいた。
ファルハードの人差し指と中指が、シュルークの膣口へずぬ、と押し入る。
「あ……」
湿り気を帯びた微かな声。
それを上回る音を立てるように、ぐちぐちと指は乱雑に出入りを始めた。
「んっ、う……、ふっ……」
シュルークは血の気の薄い頬を紅潮させ、遠くへ視線を移した。眼前の将来を約束した男を見ないためではない。視覚から意識を逸らし、他に受け取っている感覚へ集中するためだ。彼女はキアーだけでなく、オーランやサドリも見ているというのに、快感を得ている。
乱雑に感じたファルハードの指は、その実、的確にシュルークの弱点を突いていた。膣口からは透明な体液が溢れて、彼女を膝に乗せているファルハードの服を汚す。大きく開かれた腿が、閉じないよう押さえつけられているのに、びくびくと震えている。
シュルークの悦楽の呻き声や身悶え方は、程度を増していき、早々に絶頂の手前にまで来ていた。
「ん、くぅ……、んああっ――!」
堪えるような一瞬の前兆のあと、シュルークは甘い悲鳴を上げて絶頂を迎えた。あまりに呆気ない。
キアーは愕然として、胸を上下させ息をするシュルークを見つめていた。キアーでは、陰核を舐めてやりながらでなくては、手技で絶頂しないのだ。それが、ファルハード相手ではこうもいともたやすく。
嫉妬がキアーの身の内を焼いていく。だがそんなキアーに構わず、ファルハードは自身の服を寛げ、そそり立つ凶器を取り出した。
立ち上がったファルハードは、座り込んでいるシュルークの胸倉を掴み、腕の力だけで起き上がらせた。シュルークの手元に置かれていた杖が絨毯を転がる。
彼女を庇おうと腰を浮かせかけたキアーを、頭の片隅に残る冷静さが押しとどめた。視界の端では、腰に下げた剣の柄へ手をかけたオーランとサドリが目を光らせている。
「あっ」
短い悲鳴と共に、シュルークは寝台へ押し倒された。帽子が取れて、少し驚いた表情の素顔が露わになる。
「お前が今さら、まともな女の人生を、普通の幸福を掴めるとでも思ったのか!? 愛情すら理解できない狂人の分際で!」
寝台に膝で乗り上げたファルハードは、シュルークの胸倉を掴んだまま、覆いかぶさるように彼女を怒鳴りつけた。ファルハードがここまで声を荒げた姿を、キアーは見たことがない。おそらく、オーランとサドリも同じだろう。
ただ唯一、シュルークだけは彼の怒りに対し落ち着いていた。
「愛情……?」
この場においては能天気ですらある、シュルークの戸惑う様子。
続く言葉に、今度はキアーが困惑させられた。
「キアー様の求婚をお受けすることにしたのは、愛ではありません」
ファルハードでさえ、その返答には一瞬虚を突かれていた。
だが、すぐに酷薄な笑みで口元を歪める。
「そうか、お前はそんな女だったな……」
その昏い笑みは、彼の怒号以上にキアーをぞっとさせた。
一旦シュルークの胸元から手を離したファルハードは、今度は両手をそこにかけると、強引に彼女の服の帯から上をはだけさせた。
「何をなさるのです!」
キアーの制止の声は届かない。
中途半端にずり上げられた下着で形を歪めながらも、シュルークの白い乳房が零れ出る。
脚衣も、中の下着ごと剥ぎ取られて、この場の男たちに素足と下腹部が晒された。それでもシュルークは、悲鳴も上げない。ファルハードに任せている。
「キアー、お前が愛を誓った女の真の姿を、よく見ておけ」
シュルークはファルハードの膝に乗せられ、彼の脚をそれぞれ跨ぐように、寝台の足元にいるキアーに向けて股を開かされた。無毛の秘所が見せつけられる。先ほど交わったばかりのそこは、しっとりと潤んでいた。
ファルハードの人差し指と中指が、シュルークの膣口へずぬ、と押し入る。
「あ……」
湿り気を帯びた微かな声。
それを上回る音を立てるように、ぐちぐちと指は乱雑に出入りを始めた。
「んっ、う……、ふっ……」
シュルークは血の気の薄い頬を紅潮させ、遠くへ視線を移した。眼前の将来を約束した男を見ないためではない。視覚から意識を逸らし、他に受け取っている感覚へ集中するためだ。彼女はキアーだけでなく、オーランやサドリも見ているというのに、快感を得ている。
乱雑に感じたファルハードの指は、その実、的確にシュルークの弱点を突いていた。膣口からは透明な体液が溢れて、彼女を膝に乗せているファルハードの服を汚す。大きく開かれた腿が、閉じないよう押さえつけられているのに、びくびくと震えている。
シュルークの悦楽の呻き声や身悶え方は、程度を増していき、早々に絶頂の手前にまで来ていた。
「ん、くぅ……、んああっ――!」
堪えるような一瞬の前兆のあと、シュルークは甘い悲鳴を上げて絶頂を迎えた。あまりに呆気ない。
キアーは愕然として、胸を上下させ息をするシュルークを見つめていた。キアーでは、陰核を舐めてやりながらでなくては、手技で絶頂しないのだ。それが、ファルハード相手ではこうもいともたやすく。
嫉妬がキアーの身の内を焼いていく。だがそんなキアーに構わず、ファルハードは自身の服を寛げ、そそり立つ凶器を取り出した。
0
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。

密室に二人閉じ込められたら?
水瀬かずか
恋愛
気がつけば会社の倉庫に閉じ込められていました。明日会社に人 が来るまで凍える倉庫で一晩過ごすしかない。一緒にいるのは営業 のエースといわれている強面の先輩。怯える私に「こっちへ来い」 と先輩が声をかけてきて……?

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。

憐れな妻は龍の夫から逃れられない
向水白音
恋愛
龍の夫ヤトと人間の妻アズサ。夫婦は新年の儀を行うべく、二人きりで山の中の館にいた。新婚夫婦が寝室で二人きり、何も起きないわけなく……。独占欲つよつよヤンデレ気味な夫が妻を愛でる作品です。そこに愛はあります。ムーンライトノベルズにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる