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19.誘惑-4 *
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シュルークはキアーの男根に手を添えながら、ゆっくり、腰を下ろしていく。
「うっ……!」
「んぅ……」
キアーの悦楽の呻きと、シュルークの静かな溜息と共に、太い亀頭が隘路へ呑み込まれた。血管の走る楔が、続いて彼女の華奢な胎内へ入っていく。
「ふぅ……」
キアーの上にぴったりと座り込んだシュルークは、最後に息をついて、へその下を撫でた。この中に、キアーの全部が収まっているのだ。
食い入るように見つめるキアーの視線に気づいて、シュルークはまた微笑む。
「ご立派ですよ」
先ほども言われた。だが、目の前にして言われるのと、体の内側で感じながら言われるのとでは、趣きが違う。キアーは既に充血した中心に、一層血が集まるのを感じた。
「女官長、……早く、お願いします」
待ちきれない、動いて欲しい。急かすキアーの望みを、ここへ来てシュルークは無視した。
腰を動かすのではなく、なぜか結合部の傍へ自分の手を添えたのだ。
「よくご覧になってください」
繋がった場所を、という意味かと思ったが、そうではない。
シュルークは秘裂の頂点にある、陰核の包皮を引き上げて触れ始めた。性的興奮で男が勃起するように、同じく充血して主張する肉粒を、すぐ傍の粘液を塗りこめて指先で弄る。
「ぁ……」
これまでキアーを愛撫して昂らせることに重きを置いていた彼女が、ここへきて目を閉じて一人の世界へ浸り、一心不乱に自分を慰めている。
その勝手な振る舞いが、漏れ出る微かな喘ぎ声が、咥えこんだ場所の締めつけが、キアーの残る理性を一片ずつ剥がしていく。
「ん、っく……。んんッ――!」
最後に陰核を強く押しつぶして、シュルークは自慰をやり遂げた。
自分の欲求のことだけを考えながら、キアーを思いきり締めつけて、奥深くから涎を溢れさせて。彼女が終わっても、続く絶頂の余韻がひくんひくんと膣から伝わってくる。
「ふぅ……」
少しすっきりしたように息をついたシュルークは瞼を開け、やっとキアーを見た。
「私が触れるのは、ここまでです。次は、キアー様の番ですよ」
その無邪気さすら感じる言葉と、汗ばんだ白い肌の凄絶な色香に、限界まで高められた一方待たされたキアーの理性は弾け飛んだ。
「女官長……!」
「あっ!」
筋力にものを言わせて体を起こすと、キアーは繋がったままシュルークと上下を入れ替えて押し倒した。
抜けかけた逸物を、そのままの勢いでもう一度彼女の奥へ埋め直せば、艶のある叫び声が上がる。
キアーは雄になっていた。
お互い服をほとんど脱いでいない動きづらい姿なのも忘れて、一心不乱にシュルークに腰を打ちつける。
律動のたびに揺れる乳房を揉みしだき、柔らかさと吸いつく肌の感触を味わった。
きっと彼女も挿れたままで我慢していたのだ。熱く熟れた膣壁はキアーの陰茎へ絡みつき、悦びの涙を流す。
「あぁっ、んっ……、キアー様っ!」
「女官長、受け止めて、ください……、ぐ……っ!」
キアーは唸り声を喉から漏らしながら、彼女の中に若い精をぶちまけた。脊髄まで引きずり出され、頭が真っ白になるような感覚が湧き起こる。これほどのめり込む性交は初めてかもしれない。
普段の余裕も消え失せ、荒い息で胸を上下させるシュルークは、ひどく煽情的だった。まだまだこの女性を味わいたい。
キアーの男根は、シュルークの中に居座ったまま、再び硬さを取り戻していく。
それに気づいたシュルークは、キアーの頬を撫でた。
「いいですよ」
また許しを得たキアーは、繰り返し彼女の体を貪った。
半眼の力ない遠くを見る眼差しで、睫毛を震わせ静かに絶頂するシュルークの姿は、淫らで美しく、そして自分がその高みへ追いやったのだという達成感をキアーに与えた。
だがその達成感は、いくら抱いても完全に満たされない。最後はシュルークに、明日に響くからこれで終わりと言い渡されて、ようやく解放したほどだ。
先に出るよう言われ身仕舞をするキアーに、シュルークは寝台へ寝そべったまま、子供が秘密の約束をするように小気味よく言った。
「キアー様、これからも、こうして二人で密かに契る仲になりましょう」
これが本題の、彼女からの相談だったのだ。キアーはすっかり忘れていた。
事が終わって冷めるかと思えば、キアーはシュルークに心を奪われ始めていると自覚できた。もしかすると体を重ねることで、よく分からない遠い人間のようだった彼女が、謎めいているが手が届きそうな、その奥底を知りたくなるような人だとわかったからかもしれない。
「……わかりました」
だから、突然始まった、理由もわからない不思議な関係であっても、キアーはシュルークを受け入れたのであった。
「うっ……!」
「んぅ……」
キアーの悦楽の呻きと、シュルークの静かな溜息と共に、太い亀頭が隘路へ呑み込まれた。血管の走る楔が、続いて彼女の華奢な胎内へ入っていく。
「ふぅ……」
キアーの上にぴったりと座り込んだシュルークは、最後に息をついて、へその下を撫でた。この中に、キアーの全部が収まっているのだ。
食い入るように見つめるキアーの視線に気づいて、シュルークはまた微笑む。
「ご立派ですよ」
先ほども言われた。だが、目の前にして言われるのと、体の内側で感じながら言われるのとでは、趣きが違う。キアーは既に充血した中心に、一層血が集まるのを感じた。
「女官長、……早く、お願いします」
待ちきれない、動いて欲しい。急かすキアーの望みを、ここへ来てシュルークは無視した。
腰を動かすのではなく、なぜか結合部の傍へ自分の手を添えたのだ。
「よくご覧になってください」
繋がった場所を、という意味かと思ったが、そうではない。
シュルークは秘裂の頂点にある、陰核の包皮を引き上げて触れ始めた。性的興奮で男が勃起するように、同じく充血して主張する肉粒を、すぐ傍の粘液を塗りこめて指先で弄る。
「ぁ……」
これまでキアーを愛撫して昂らせることに重きを置いていた彼女が、ここへきて目を閉じて一人の世界へ浸り、一心不乱に自分を慰めている。
その勝手な振る舞いが、漏れ出る微かな喘ぎ声が、咥えこんだ場所の締めつけが、キアーの残る理性を一片ずつ剥がしていく。
「ん、っく……。んんッ――!」
最後に陰核を強く押しつぶして、シュルークは自慰をやり遂げた。
自分の欲求のことだけを考えながら、キアーを思いきり締めつけて、奥深くから涎を溢れさせて。彼女が終わっても、続く絶頂の余韻がひくんひくんと膣から伝わってくる。
「ふぅ……」
少しすっきりしたように息をついたシュルークは瞼を開け、やっとキアーを見た。
「私が触れるのは、ここまでです。次は、キアー様の番ですよ」
その無邪気さすら感じる言葉と、汗ばんだ白い肌の凄絶な色香に、限界まで高められた一方待たされたキアーの理性は弾け飛んだ。
「女官長……!」
「あっ!」
筋力にものを言わせて体を起こすと、キアーは繋がったままシュルークと上下を入れ替えて押し倒した。
抜けかけた逸物を、そのままの勢いでもう一度彼女の奥へ埋め直せば、艶のある叫び声が上がる。
キアーは雄になっていた。
お互い服をほとんど脱いでいない動きづらい姿なのも忘れて、一心不乱にシュルークに腰を打ちつける。
律動のたびに揺れる乳房を揉みしだき、柔らかさと吸いつく肌の感触を味わった。
きっと彼女も挿れたままで我慢していたのだ。熱く熟れた膣壁はキアーの陰茎へ絡みつき、悦びの涙を流す。
「あぁっ、んっ……、キアー様っ!」
「女官長、受け止めて、ください……、ぐ……っ!」
キアーは唸り声を喉から漏らしながら、彼女の中に若い精をぶちまけた。脊髄まで引きずり出され、頭が真っ白になるような感覚が湧き起こる。これほどのめり込む性交は初めてかもしれない。
普段の余裕も消え失せ、荒い息で胸を上下させるシュルークは、ひどく煽情的だった。まだまだこの女性を味わいたい。
キアーの男根は、シュルークの中に居座ったまま、再び硬さを取り戻していく。
それに気づいたシュルークは、キアーの頬を撫でた。
「いいですよ」
また許しを得たキアーは、繰り返し彼女の体を貪った。
半眼の力ない遠くを見る眼差しで、睫毛を震わせ静かに絶頂するシュルークの姿は、淫らで美しく、そして自分がその高みへ追いやったのだという達成感をキアーに与えた。
だがその達成感は、いくら抱いても完全に満たされない。最後はシュルークに、明日に響くからこれで終わりと言い渡されて、ようやく解放したほどだ。
先に出るよう言われ身仕舞をするキアーに、シュルークは寝台へ寝そべったまま、子供が秘密の約束をするように小気味よく言った。
「キアー様、これからも、こうして二人で密かに契る仲になりましょう」
これが本題の、彼女からの相談だったのだ。キアーはすっかり忘れていた。
事が終わって冷めるかと思えば、キアーはシュルークに心を奪われ始めていると自覚できた。もしかすると体を重ねることで、よく分からない遠い人間のようだった彼女が、謎めいているが手が届きそうな、その奥底を知りたくなるような人だとわかったからかもしれない。
「……わかりました」
だから、突然始まった、理由もわからない不思議な関係であっても、キアーはシュルークを受け入れたのであった。
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