【R-18】【完結】皇帝と犬

雲走もそそ

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13.蹂躙-1 *

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「あ、あぁ……」

 腰の抜けたシュルークは、地下牢の前室の隅、ファルハードのいる方の牢の鉄格子に縋りつき、迫ってくる傭兵の男に怯えきった悲鳴を上げた。
 彼女は父親である将軍により後日処刑が言い渡された。そして処女を殺してはならないという伝承があるために、処刑の準備としてこの男に凌辱されることになったのだ。

 戦場帰りの男は自分の邪魔な装備を取り払って身軽になると、シュルークの前に屈んで彼女の右足を捕まえた。

「いや……!」
「大人しくしろ。処刑される前に血を流し過ぎて死ぬぜ」

 シュルークはさして暴れていなかった。恐怖のあまり、もうほとんど動けなくなっているのだ。
 仮に暴れられても不便はなさそうなほど屈強な太い腕で、男はシュルークの半長靴を右足から抜き取った。そして将軍に切りつけられた傷を、彼女の服の裾を裂いた布で縛る。

「大丈夫……、だいじょうぶ……」

 鉄格子を指が白くなるほど握りしめながら、シュルークは真っ青な顔でぼそぼそと自分を安心させる言葉を繰り返す。
 だが男は、彼女を淡々と手当てしたその流れのまま、凌辱者に変わった。

 足首を掴んで、縮こまったシュルークを仰向けに引きずり倒す。
 彼女の鉄格子に縋っていた指が離れていく。その手は、ファルハードに向けて伸ばされているように感じられた。

「ひっ……!」

 ぶつんと釦が飛び、服の前の帯より上がはだけられる。胸を覆う下着はずり上げられ、男の手の中で白い双球がぐにゃぐにゃと形を変えた。

「う……、うぅ……」

 シュルークは涙を流しながら、苦痛のうめき声を漏らす。
 すると男は、シュルークの乳房を握り締め、盛り上がらせた先端をべろりと舐めて口に含む。

 おぞましさに瞼を閉じるシュルークから、ファルハードは見たくもないのに目を逸らせなかった。実の兄弟を手にかけてきた、もっと残酷な光景も知っているファルハードでありながら、男の暴虐を心身が拒んでいる。この世で最も惨い行為のように感じている。それなのに視線を外す僅かな動きができない。

「うあッ!? い、いたい! 痛い……!」

 突然シュルークが鋭い悲鳴を上げた。反射的に身を捩り、それを男に押さえつけられる。
 やがて男が顔を離すと、その唇とシュルークの乳房の間に唾液の糸が引いて切れた。唾液にまみれた乳房の白い肌には、男の歯型がついていた。余程強く噛まれたらしく、噛み跡からの出血が男の唾液に乗って滲んでいく。

「そうだ、ちゃんと叫べ。せっかく良いところのお嬢さんを犯せるんだ。泣いて叫んでもらわなきゃ、無理矢理ヤッてる感じが出ないだろ」
「ひっ……、ひっ……。だ、だいじょうぶ……。だいじょうぶ……」

 しゃくり上げて涙をぼろぼろと零しながら、シュルークはまた自分を安心させようと意味のない言葉を繰り返す。
 ファルハードはそれがなぜか腹立たしかった。
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