初対面即エッチからいろいろあって1時間(弱)で婿入りした話をしようと思う

晦リリ

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 今日も朝から仕事だった。

 駅から十五分くらいなら歩いてりゃすぐだろと思って決めたアパート。今となっては毎日往復の三十分もきつい。家賃の予算のプラス五千円を妥協するんじゃなかった。どうせ五千円払っても全然余裕なくらい、金を使う暇もない。

 朝起きた瞬間からすでにHPは七割程度で、昨日の帰りにコンビニで買ったおにぎりと滋養強壮剤を飲んだところでたちどころにリカバリするわけでもない。すでに重い体を引きずって乗り込む電車はいつでも満員御礼だ。そこから貨物よろしくガタゴト揺られて二十分、駅から更に五分歩いて出社。もうこの時点で俺の体力は六割くらいに減ってる。

 そこから八時間と残業三時間。目減りしていく体力を引き出しに突っ込んでる飴やらチョコバーやらでごまかしながら仕事を片付けて帰宅。その頃には体力なんて二割もない。

 明日も同じルーティンワークだ。さっさと風呂に入ってビールでも飲んでそのまま寝るに限る。そうでないと、明日の朝は起きた時からHP半分なんてありえる。

 それなのに。

「ひうっ、んっ、あっあっあっ、ここ、ここすきぃっ」

 それなのに俺はいまセックスをしている。

 仰向けに寝転がった俺の視界は、とんでもなく絢爛豪華だ。

 つややかな褐色の肌をした華奢な体がしなり、奔放に上下している。折れそうに細い首にはこれまた小さな顔があって、面積が狭い中に綺麗な造形の瞳やら鼻やらがバランスよく収まっている。そして、金にも薄い赤にも見える(あとで知ったことだが、ストロベリーブロンドというらしい)長い髪がふわふわと癖をまとって揺れていた。ちょうどその頭の後ろに天井のシーリングライトがあるせいで、後光みたいになってて妙に神々しい。

 神さまみてえ、と思ったが、神さまとはセックスしない。そう、俺はセックスをしている。






 ついさっきまで、俺は確かにひとりだった。帰宅して鞄もネクタイも放り、せめてとクーラーを起動させてぐったりとソファに座り込んだ。と思ったら思いがけず浅く座ってしまっていて、そのままずるずると落ちて床に寝転んだ。

 軽く打った頭は痛かったけど、もう起き上がる気にもなれない。クーラーが効いて、少し涼しくなるまでちょっとこのままで……とうっかりそのまま朝までモードに入ろうとしていた時だった。

「あっ、やった! いけた!」

「………えっ」

 なにやら声がした。テレビつけたっけ、と視線だけそちらへ向けた俺は、思わずぎゅーっと目をつぶって、それからぱっと目を開けた。

 テレビ台の上、床から一メートルくらいのところに穴があいている。壁にじゃない。空間に、ぽっかりと穴があいている。そこから、ふわふわの金っぽい赤髪をポニーテールにした美少……じょ? ねん? どっちかよくわからない、とにかくとんでもない美人が顔を出していた。

「やった、人もいる! いいねいいねっ、おじゃましまぁす」

 えっなになに、と心では早くもパニックが始まっているが、体が動かない。なんで動かない、っていうかおい美人、なんであんたそんな布が少ないんだ。確かにまだ夏で、なんで人類は布をまとうという理性があるんだろうな、なければ裸出社で涼しいのにな、と思うこともあるくらいの暑さだけど、それにしたって薄着すぎる。というかほぼただの布だ。

 動けない俺が仰向けになっているせいもあるけど、よく見える。ティッシュか?ってくらい薄い真っ赤な布が、なんかよくわからない巻き方をされて褐色の細い体に巻きついている。服の代わりのようだけど隙間だらけで、下から見上げているせいでちらちらと乳首やら股間が見えてる。胸がぺったりと平らなのでまさかとは思ったが、どうやら美少年の方だったらしい。先端がほんのり赤みを帯びたぷるんとした無毛の性器まで見えてしまって、目の毒どころか眼福が過ぎる。思わずじっと見てしまった俺に、美人はにっこりと笑った。

「お兄さん、難しい話はあとでしたげるから、子種ちょうだい」

 子種って。

 なんてこと言うんだとんでもなくエッチじゃないかなんて考えてるうちに、動けない俺のスラックスがずるずると脱がされる。やめて、皴になったら明日の朝面倒だから、せめてソファにふぁさりとやわらかくかけといて。

 替えがそんなにないスラックスの心配をしていると、美人はふんふんと鼻歌まで歌いながら、俺のボクサーパンツをずるりと引き下げた。

 ヤバイ。正直今日も一日暑かった。汗はかいているわけで、日中もわきや首に制汗スプレーをかけたりボディシートで体を拭いたりはするものの、風呂に入ったわけではない。汗臭くないだろうかと思わず赤面すると、美人は両手で自分の口元をおおった。

「わあ、美味しそう」

 語尾にハートマークでもつきそうに言ってくれて、なんだかありがとうと思った。

 正直なところ、二年前に彼女にフラれてからご無沙汰だ。上司に連れられてキャバクラは何度も言ったが、本番のお店にはさすがに連れていかれたことはない。空白期間を埋めてくれる現在進行形の恋人は己の右手だった。

 どういう流れでこんなことになっているかなんて全然理解できないけど、久々に己の右手以外が触れると思うと期待やら焦りやらが生まれる。

 やっぱり風呂入ってればよかった、さすがに股間までボディシートでは拭いてない。美人に悪いことしたな、なんて考えてると、まだ萎えているちんこがやわらかくて濡れたものに包まれた。

「うえっ? ちょっ、まっ」

「んんふ……んっ、ぅんっ」

 ふっくら可愛い唇に、俺のちんこがぬるぬる飲み込まれていく。やわらかそうな頬が内側から押されてぽこりと形を変え、俺の先端をやわく温かな頬肉の感触が撫でた。

 驚いたことに、褐色肌の可愛い美人はなんのためらいもせずにフェラを始めてしまっていた。

 毎日疲れてへとへとで、彼女を作る気力もなくただただ電車で人に挟まれながら会社と自宅を往復するような日々を送っている俺でも、それでも一応20代の男だ。猫みたいな金色の瞳を細めながらうっとりとちんこを舐められれば、はい喜んでとばかりに勃起する。

 裏筋を強めに当てられた舌でざらりと舐められ、鈴口を舌先でくにゅくにゅといじられ、ちゅぷちゅぷと音をさせながら先端をしゃぶられながら次第にぎゅぎゅっとせりあがってくる袋まで細い指でやんわりと揉まれているうちに、あっという間に育った俺のブツは、テカテカのバキバキになって可愛い美人の口からぷはっと吐き出された。

「おっきくなったね」

「はあ、まあ……」

 営業職のやつならここでもいい言葉がサクサクと飛び出したかもしれないが、いかんせん俺は技術職の方で、日がな一日パソコンに向かい合ってる。しかも性格もそれほど社交的という方じゃない。

 気持ちよくしてもらったのに、当たりさわりのない愛想笑いなんかを浮かべてしまって申し訳ないと思ったが、当の可愛い美人はにっこりと笑った。

「それじゃあいただきますっ」

 今度こそやっぱり語尾にハートマークついていたと思う。

 美人は俺にまたがるなり、ほぐしもしていなければローションも使っていないというのに腰を落とし始めた。あわてたのは俺の方だ。

「ちょっ、ちょっちょっちょっと、ちょっと待って!」

「だめ、待てない。時間ないんだからぁんっ」

 くぷちゅんみたいな、エッロい音がしたと思ったら、俺の愚息は中に入ってった。

 口に頬張られた時も濡れた中にしっとりと包まれたと思ったが、今度はなんかちょっと違う。少しだけ締めつけるような感覚のあと、ふんわりとしたものが俺のちんこを包んでる。ふわふわしてて熱くて、動くたびにくぷくぷと音がするほどとろとろしてる。なにこれ。なんだこれ。えっ、俺どこにちんこ入れたの?

「あはっ、まだおっきくなる……お腹ひろがっちゃうよぅ」

 自慢じゃないがって言ったら謙遜になるのでアレだが、ここ少なくとも二年は右手だけを相方にしてきた俺の愚息は立派なもんだ。学生時代は「なんつーか、ボロンって音しそう」と俺のモノを見た友人はヒエェなんて失礼な悲鳴をあげたし、互いに初体験だった初めての彼女は「あの……ちょっと、無理かも」と結局致せずに終わった。長さも太さも人並み以上。そのくらいには立派だ。

 だからこそ心配したというのに、俺の腰にまたがった可愛い美人はほっそりとした腰をくねらせながらじわじわと飲み込んでいく。やがてこつんと奥に行きあたった。

「全部ほしいんだけど、なっ、ぁんっ」

 太さは手首ぐらい、長さはティッシュの箱の長辺より数センチほど小さいくらい。そんなのを薄い腹の中に収めて、可愛い褐色美人は上下に動き出した。

「あっあっあっ、んぁ、っふ、んんっ……、はぁっ」

「うあ、あ、……っくぅ…」

 忘れていたが、可愛い美人は一応男だ。身にまとったままのティッシュみたいな服から透けて見えるちんこが、ーーーいや、もうなんかちんことか言ったら失礼な気がする。俺のよりもだいぶほっそりとして、ふわんふわんと手招くように揺れる芯の先には、ぷっくりと蜜が浮いている。とろとろとそれをこぼしながら、ほぐしたり濡らしたりせずともずっぷりと俺のちんこを尻にくわえこんで、可愛い美人は腰を躍らせていた。

「あっン、ん、おく、おくぅっ、にっ、ねっ?」

「え、えっ?」

 ずぷずぷぬちゅぬちゅと水音は激しいし、互いの呼吸が荒い。耳の奥で心臓がばくばく言ってるみたいでよく聞き取れなかったが、褐色美人はにんまりと口角をあげると、腰をゆったりとひきあげ、細い指を俺の根元にそっと添えた。あ、ちょっと今だいぶ敏感なので、あんまり触らないでほしい。出ちゃう。

「んん……まだ、出しちゃだめ。奥に…ぼくのいちばん奥に来るまで我慢して……?」

「ぃひンっぐ」

 シメられかけた鶏みたいな声が出た。

 正直もう出そうだ。経験なんてぶっちゃけそれほどないので比較対象数が明らかに少ないけども、それでも俺のものをもぐもぐと食べるみたいにずくずくと飲み込んで蠢いては締めつけ、ぬるーっと引いては奥の突き当りにトンとあたるほど深くまで犯させてくれるのが気持ちよすぎる。

 中出しさせろなんて初対面の相手に不誠実かつ失礼なことは言わないから(たとえ俺が襲われてる側だとしても)、もう出させてほしいと思っていたのに、根元をきゅっと絞められては出したいものも出せない。おもわず脚が軽くあがって体がくの字になる。

 あっ、動いた。

「えっあっ? …ひぅんっ」

 動いたひょうしに、腿のあたりで尻を押してしまったらしい。とんと押された褐色の可愛い子が驚いたように体をそらす。くにゅっとやわらかいようなしこりのようなものに先端が当たって、そのまま内壁をこそぐようにして奥に入り込む。

「んひい、あぉっ、ぉ、おぐぅっ」

 それまで腰をしならせ、ぴんと張っていた体がぐにゃりと弛緩する。同時に膝立ちも糸が切れた人形みたいにぺたりとたたまれてしまった。

 ずりゅっ、ごっ、ぐぐっ……ぐっーーーぐぽっ

「おっ」

 思わず声が出たのは俺のほうだった。

 ぎりぎりまで抜けかけていたちんこが一気に体内にすべるようにして入り、奥に突き当たる。そこに褐色美人の自重がくわわったので折れると思ったが、奥だと思っていたそこにはまだ先があった。当たり前だ。腸なんだから。

 一度すぼまりに先端がぐぽりと埋まった感覚のあと、驚いたようにびくんびくんと震えるそこが体重の重みも相まって先端に押し付けられ、数瞬の後に、明らかになにかを突破した音がした。気付けば俺の股間と可愛い子の股はぴったりとくっついていて、薄い腹はうっすらと盛り上がっていた。

「ほ、ぉ……あァ…」

「だ……大丈夫?」

 明らかに大丈夫じゃないのに大丈夫と聞いてしまったとは思ったが、一応声をかける。奥を貫かれ、おそらくは結腸を抜かれた可愛い美人は、褐色肌でもわかるほどに真っ赤になってぶるぶると震えていた。

 腹の深いところを一気に貫かれたのだ。しかも、たしかくいっと曲がったところだ。そこをぐりっとこじ開けて形を変えたのだから、痛かったかもしれない。怪我などしてないといいがと思いつつ、腰を引くべきかと俺がわずかに動いた瞬間だった。

「あああっ、あっ、ひ、おっ、おくぅ、おっきいのずるずるすゆぅ……っ」

 ぶるぶるっと震え、ティッシュみたいな薄い布の向こうにやわく隠されていたかわいらしい陰茎からぷしゃっと水がはじけた。匂いがしないということはおしっこじゃない。色もない。ーーーこれ、潮だ。

 驚いたことに潮を噴いた可愛い褐色の子は、ずるずると倒れこむと俺の胸元にぺたりと張りつく。それでも内壁は痙攣するようにびくびくと不規則にうごめいて、体内でがちがちに張り詰めた俺のモノをしゃぶっていた。

「うご、いて……おくに、いっぱい…いっぱいだして」

 とろんとした金色の瞳がまるで蜜みたいだ。舐めたら甘そう。

 蕩けるような声音に促され、自由に動くようになった手で小さな尻をつかむ。ふわふわなのに張りがあるお尻。それをつかんで、寝そべったまま腰を突き上げた。

「あぁあ、あーっ、あー、おく、おなかっ、ごりゅごりゅしてうーっ!」

 むちゅむちゅと肉壁が俺の勃起を締めつける。その中を割り裂き、あますところなく先走りを塗り付けるように先端をごしごしと押し付ける。ふわふわのしこりをつけば甘い声をあげ、すっかり口を開けて侵入者を健気に待っている結腸を貫くと、意味をなさない声が迸った。

 もう限界だ。ゴムしてないけど、中に出してって本人が言うんなら許されるはずだ。

 怒られやしないか、怖がられやしないか、泣かれやしないかといつもおっかなびっくり腰を動かしていたのに、俺にしがみついてあーあーと恥じらう様子もなく声をあげる美人は嬉しそうにしてくれる。それがたまらなくて、俺はラストスパートに向けて腰を振りたくった。

「っも、もう、出る……っ」

「出るのっ? ね、おく、おくにびゅってしてっ、こぼしちゃやらぁ……っ」

 ぎゅうっと中の締めつけが強くなる。出した分を全部搾り取ってやるとばかりに中がうごめいて、俺はあっけなく我慢を放棄した。だってあまりにもよすぎる。

「うっ、くうっ……」

「あっ、あっ、出てる、どぷどぷって、あひ、ひ、うぅーっ」

 薄い腹の奥の奥、きゅきゅっと絞めつけられながらも先端をぐりぐりと押し付けるようにして精液をこれでもかと吐き出す。漏らしたんじゃないかと思うほど出て驚いたが、なにせセックス自体が久しぶりだ。ぐっぐっと腰を突き出し、最後の一滴まで出してようやく、浮き上がった尻を床につけた。

 腰回りがじんじんするほど疲れた。けど解放感がすごい。俺、放たれてる。実際出したんだけど。

 はーっと感慨深く爽快な息を吐いていると、俺にしがみついたままの褐色の肌がぴくんぴくんと震えた。そうだ、この子もイったみたいだった。俺が出してすぐくらいにびくびくっと震えて、俺の腹のあたりがじわっと濡れた。おそらくそこで出したんだろう。跡がつくほどつかんでしまった腰から手を離して腹のあたりに触れると、さらさらとしたもので濡れていた。どうやらまた潮をふいたらしかった。

 なんだかわからないが、本当に気持ちよかった。これがツツモタセってやつで、まだ開いたまんまの穴から厳ついスキンヘッドなんかが出てきて「一発20万」て言われても出せちゃうくらいよかった。

 よかったんだけど、終わりは突然だった。

 ぽっかりあいたままの穴のまん丸だった輪郭が、ちょっとずつ、本当にちょっとずつ歪みはじめたのだ。閉じちゃうのかな、これまた開くのかなと考えてると、はあはあと荒い呼吸の合間につばを飲んで、「んくっ」と可愛い声を出していた美人ががばっと起きた。

「時間!」

「えっ」

「んうーっ、ふ、うっく、うん……っ」

 さっきまで指先も動かせそうにないほどぐったりしていたのに、つつもたせ疑惑のあがっている可愛い褐色美人は呼吸を荒くしたまま腰を引きはじめた。

 ぐっぽりはまって張りだした雁がひっかかったのか、ぐいーっと腰が引かれるとぐぱんととんでもない音を立てて先端が抜ける。そのままずるずると引き抜かれていくが、隙間なんてないのではというほど太く育った俺のちんこが内壁を擦るのだろう。鼻から抜けるような高い声をあげながらもどうにか俺のが抜ける。見えないのが惜しかったが、空気が抜けたようなぶぽっという音のあとに、ぬちゅ、くぱっと濡れそぼった音が響いた。

 膝を震わせながら立ち上がる。俺をまたいだまま立ち上がったものだから、仁王立ちになった脚の間から、つーっとひとすじ白いものが垂れたが、それ以上出てこない。かなり奥まで貫いてそこで出したからか、たっぷり出してしまった精液は出てこないようだった。

 いつの間にかよだれまで垂れていたのか、口元を手の甲で拭いながら下腹をさすった。

「はあ、おなかいっぱい……。精液ありがとね、それじゃ!」

「えっ」

 ひらひらと手を振って、くるりと踵を返すと可愛い褐色美人はふわふわと輪郭が崩れかけている穴の枠に手をかけた。やっぱりそこから帰るらしい。けれど、

「ううーっ、あっ、うう……腰ぶるぶるしちゃう……」

 勢いをつけて枠にのぼろうにも、膝が笑っているせいなのか、ぴょんぴょんと飛び上がるばかりで枠に入れない。俺に向いている尻が飛ぶたびにぷるんと震えて、はずみで太ももに白い筋が伝った。とんでもなくエロい。

「えっと……あの、俺が抱っこするから、中にはいって」

「えっ、ありがとう!」

 うしろから腿のあたりに抱きつくようにしてよいしょっと持ち上げる。かけ声をあげるほどもなく軽く、そして目の前にまだべっとり濡れそぼった尻。俺が出しまくったせいで青臭くはあったが、肌自体の匂いなのか、スパイシーで甘い匂いもふんわりと漂った。

「なにからなにまでありがとう」

 枠のなかに入って振り返った褐色美人は、まるで窓越しに話をしているみたいに普通ににっこりと笑った。すごい今更だけど、どうなってんだこれ。某猫型ロボットが出す道具みたいだぞ。

 時限性なのか、枠のゆがみがひどくなってきた。ぶよぶよと動いて、もはや丸くもない。そしてどんどん小さくなっていた。

 そんなに時間が経っているのかと思ったけど、テレビの上にかけてある時計を見ると、帰ってきてから10分経つか経たないかくらいだった。嘘だろ、10分で初対面の相手とセックスし終えて、もう別れようとしてんのか。このまま消えてしまうのか。もう会えないのか。名前も聞いてないのに。

「あの、名前っ」

「名前?」

「名前、教えてほしい。俺は戸田尚也」

 巾着の口でも占めるように、急速に穴が小さくなっていく。一瞬きょとんとして、それからうーんと唸った褐色の可愛い子は、まあいっか、と言った。

「もう会えないと思うけど……メルだよ。ありがとね、トダナオヤ」

 ばいばい、と手のひらが揺れる。そうして穴はしゅっと縮み、メルは消えた。

 まるで夢だ。けれど、跡形もないというわけでもない。俺のちんこは半勃ちのままだし、さっきまでメルの中に入っていたせいもあってぬらぬらと濡れている。

 でも、なにもない。俺に残ったのはすっきりとした爽快感と、メルという可愛い褐色美少年とのセックスの記憶だけ。難しい話はあとで、なんて言ってたけど、結局なにも聞かされなかった。

「…もう会えないのかなー……」

 あんなに可愛くてエッチな子、忘れられっこない。でも、いきなり空間に穴をあけて現れるような子と街で偶然、なんて会える気もしない。

 仕事が終わらない残業の夜でさえ吐かないような深いため息をついて、俺は半勃ちのちんこを慰めるべく、トイレに向かった。

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