56 / 67
第四章 波乱の内政・外交編
第12話 戦場の風
しおりを挟む
タールランド城、会議室。U字型のテーブルの凸部分に僕が、その周りにジーク兄さんとマクドル兄さんが、残りの大臣たちは僕の隣に立つホスロを除き、一直線上に座っている。会議室は、いつもに増してピリピリしていた。
議事進行は、議長であるマクドル兄さんが務める。
「……とりあえず、各部署における現状の報告をお願いします。まずは、王国軍のジーク兄さんから。」
「迫る開戦に備え、王国軍南駐在部隊の第一小隊から第五小隊、計五千名を、国境であるスムジア登山道南東に配備。また、チャールート金山奪取対策要員として、その中の三千名を鉱山内の警備に当たらせている。内訳は、本兵が二千、農民兵が千。その中でも、南東部の地理に詳しいものは農民兵の四分の一くらいだ。ちなみに、実践訓練は実施済みだ。」
「ありがとう。だけれども、やっぱり不安が残るね。地理に詳しいのが本兵に一人もいなくて、農民のしかも二百くらいになると。」
「だがタイト、たかがそのくらいで負ける俺たちじゃないぜ。」
僕に力こぶを見せつけてくる。
「頼もしいよ。」
「じゃあ、次。現在のタールランドとスムジア王国の兵力と関係について、外務省のウルップから報告をお願いします。」
「はい。最新の調査によりますと、兵力を数で表し、大陸最強と謳われるズール帝国軍を100とすると、我がタールランド軍は50。スムジア王国軍は40。多少は勝っていますが、今回の戦争場所はスムジア山脈。平地暮らしの我々に比べて、彼らスムジア軍の半数が鉱夫。足腰の強さは、ズール帝国にも勝てると言われているくらいなので、もしかしたら圧されるかもしれません。また、現在我々はスムジア王国と領土不可侵条約を結んでいます。互いに領土へと攻めこんだら、条約破棄と見なし、破棄した国へと大義名分で攻めこむことが可能になります。」
「この条約があるからこそ、スムジア王国は簡単に僕らの国に攻めこむことができないんだ。ジーク兄さん、兵士たちに、いかなる挑発をされようと、絶対に攻撃をしたり、相手方の領土に踏み込んではならないと伝えといて。」
「ああ、心得た。」
「さてと、じゃあ次は大蔵大臣のマージに、我々が保有している兵糧、武器、そして軍資金について、報告してもらいます。」
「はっ。我がタールランドでは、昨今の干ばつや《大災厄》による利用可能土地の激減から、城に税金として納められる穀物、野菜などが非常に少なく、兵糧に関しては、上手く使わなければ、戦争中に底をつきることになるも思われます。また、今年度の国家予算額が干ばつの影響により大幅に下がっているため、軍資金もスムジア王国の三分の二程度しかありません。」
「懸念すべきは、お金の問題だね。これに関しては、節約したりだとか、極限まで切り詰めないと、大変なことになりそうだね。」
「タイト、こんなにたくさんの抱えて、果たしてうまくいくのかな?」
兄さんたち以下、ホスロ以外はみな首を傾けて唸る。そう、ホスロだけは余裕な雰囲気を醸し出していた。
「ん? どしたのホスロ。どうでもよくなっちゃった?」
「違いますぞ、タイト様。このピンチを切り抜けることは我々にも可能だと分かって、思わず笑ってしまったのです。」
ピンチを切り抜けることが可能? 何を言っているんだ。今僕らが置かれている状況は、全くの正反対だ。
そんな僕の顔とは対照的に、ホスロはニコニコしながら言う。
「タイト様、それにジーク様やマクドル様、それ以外の大臣たちも。よく考えて見てくだされ。スムジアには無く、我々しか持っていない三つの切り札を。」
三本指を立て、そう告げる。会議室の面子は皆気づき、僕に羨望の眼差しを向ける。僕は、変な汗をかいていた。
「ああ、確かにあったね。切り札が。」
◇
一方、スムジア王国軍は、スムジア山脈中腹部に本拠地を設営していた。今回の戦争の将軍、ハーレインは、たくさんの兵士がいるなかで、一番豪華な席にふんぞり返っていた。彼は、彼が築き上げてきたブランドに自信を持ち、来る戦を軽い気持ちで待っていた。
小飼の諜報兵が、本拠地のテントに入って告げる。
「ハーレイン様、布陣終了しました。」
ハーレインは、鼻を大きくならして言う。
「はん、もっとゆっくりでもよかったのですよ。腰抜けどもは攻めてくる様子もありません。大方、条約を破棄してしまえば、簡単に負けてしまうとビビっているのでしょう。」
わっはっはっは! と兵士たちは高笑いする。ハーレインも笑っていた。地理に詳しい作戦錬成班の兵士が、ハーレインに問う。
「ハーレイン将軍、いかに我々が地の利でも兵力でも勝っていようと、攻められてしまうこともあります。一度作戦を立ててみては?」
「ふっ、ほざいてろ。たかが小国にビビりすぎだ。もっとドンと構えろ。」
「はっ。失礼しました。」
ハーレインが兵士たちを省みて告げる。
「かつては征服に手こずる位、有能な王と叡知のある宰相が共に国を治めていたが、ヤツが死んだ今、『弱輩者』と称されるガキが治めるのみだ。我々には充分な勝機がある。手こずるなよ。」
と彼なりの鼓舞をしていたその時、
「た、大変です、ハーレイン将軍!」
伝達役の兵士が駆け込んでくる。
「慌ただしいな、落ち着けよ。それで、どうした?」
「そ、それが、ズール帝国軍の兵士2万が、チャールート金山に布陣しています!!」
「……なんだと!?」
◇
「はぁ……。まさか、こんなことに帝国軍を援軍として呼ぶなんて…。」
ホスロも、大胆なことを考えるものだ。
議会にて。
『足りない兵力は、ズール帝国軍に協力してもらえば良いのです。』
『彼らが僕らの要請に応じてきてくれるかは分からないけどね。』
『何を言っておられるのですかな? 我々は彼らに“貸し”があるのですからな。彼らの皇帝に。』
『あっははは………。』
『それに、私にはアテもあるのですからな。』
『…………?』
「ほぅ………貴様、良い顔つきになったじゃないか。」
「あ……ジョンネル大臣。お久しぶりです。」
顎に手を当てこちらをみる彼は、帝国留学時代にお世話になった、ジョンネル・クレオス大臣だ。彼は警備局の局長も務めており、今回は彼の口利きで、兵士の1割である数を派遣してくれた。
「それにしても、どうして我々の要請に応じていただけたのでしょうか。」
「一つは、ホスロ殿からたくさんのことを学べたから。もう一つは……………」
僕の目の前に跪く。そして、僕のことを見つめ
「タイト王子、あなたに我が皇帝を救っていただいたお礼です。今回は、存分に恩返しをさせてください。」
僕は、なんだか歯がゆくなった。むずっとした、変な感覚に襲われた。
「そんなに改まらないでください。帝国においては、僕が生徒で大臣が先生だったのですから。」
「そうか………そこまで言うなら、この調子でいくぞ?」
「この方が気楽ですよ。」
なんて笑い会う。
「へぇー、案外ここからの眺めって壮大なんだねー。」
なんだか間延びした声が僕のとなりから聞こえる。
「やぁ、カイン。まさか君にも協力してもらえるなんてね。」
「当たり前じゃーん。僕は君の友達だし、大事な商売相手なんだよ? わざわざ失うなんてことになったらもったいないじゃーん♪」
「相変わらずだな、お前は……。」
帝国騎士学校の大陸地理学専攻の兵士が、僕の下に駆け寄ってくる。
「タイト殿下、この辺の地形は充分に把握しております故、我々にもお任せください。」
「うん。わざわざ遠くからありがとう。」
「いえ、帝国では魔の手から助けていただきましたからね。このぐらい当然です。」
帝国の騎士礼をし、僕の方を向く。
「タイト様、これで一気に問題が片付きましたな。」
「うん。そうだね。」
地図を片手に持ち、兵士と何かを話し終わったジーク兄さんの隣に立つ。ジーク兄さんの後ろには、マクドル兄さんが本を読んで座っていた。
「ジーク兄さん、調子はどう?」
「もちろん、大丈夫に決まってるだろ。兵士たちも皆、勝てると信じて士気が高まっている。それに、帝国軍もいるんだ。ただ、最強なのは俺たちタールランド軍だけどな。」
「うん。それならいいよ。」
「そういうタイトこそ、緊張してるんじゃない?」
マクドル兄さんが、こっちをみてクスッと笑う。
「む、そんなことないさ。」
「上着、前後ろ逆だよ。」
「ま、まじか……!?」
慌てて着なおす。ふぅ、もう少しで、兵士に僕の間抜けなイメージを植え付けるところだった。
「…………ボソボソ………今さら手遅れな気がしますぞ………。」
「ん? ホスロ、なんか言った?」
「空耳ですな。」
岩の上に立ち、下を見下ろす。暖かいが、乾いた風が、僕の体を通り抜けていく。その風が、戦場に吹いているものなのに、妙に心地よかった。
兄さんや、兵士たちがいる方を向いて声をかける。
「この戦いは、僕らのこれからをかけた大事な一戦となる。また、これはスムジアとの平和条約を破ることに等しい。それに、僕はずっと平和な解決方法を目指してきたから、まさかこんなことになるなんて思いもしなかった。だけど、僕は人々の思いを踏みにじる、スムジア征服をした〈ムーン〉の構成員を許せないんだ。もしかしたら、事情を知らない各国からしたら、非常に冷たい目を向けられるだろう。だが、これだけは覚えておいてほしい。今から我々が戦うのは、平和を願うスムジア王国の人々ではなく、征服した〈ムーン〉の構成員だ。奴らに、僕たちの力を見せつけよう。僕ら、一人一人の力を。戦場で散れとは言わない。皆、勝って、生きてここに戻ろう!!」
「「おおおお!!!!!!」」
雄叫びが、戦場を駆け抜けた。
議事進行は、議長であるマクドル兄さんが務める。
「……とりあえず、各部署における現状の報告をお願いします。まずは、王国軍のジーク兄さんから。」
「迫る開戦に備え、王国軍南駐在部隊の第一小隊から第五小隊、計五千名を、国境であるスムジア登山道南東に配備。また、チャールート金山奪取対策要員として、その中の三千名を鉱山内の警備に当たらせている。内訳は、本兵が二千、農民兵が千。その中でも、南東部の地理に詳しいものは農民兵の四分の一くらいだ。ちなみに、実践訓練は実施済みだ。」
「ありがとう。だけれども、やっぱり不安が残るね。地理に詳しいのが本兵に一人もいなくて、農民のしかも二百くらいになると。」
「だがタイト、たかがそのくらいで負ける俺たちじゃないぜ。」
僕に力こぶを見せつけてくる。
「頼もしいよ。」
「じゃあ、次。現在のタールランドとスムジア王国の兵力と関係について、外務省のウルップから報告をお願いします。」
「はい。最新の調査によりますと、兵力を数で表し、大陸最強と謳われるズール帝国軍を100とすると、我がタールランド軍は50。スムジア王国軍は40。多少は勝っていますが、今回の戦争場所はスムジア山脈。平地暮らしの我々に比べて、彼らスムジア軍の半数が鉱夫。足腰の強さは、ズール帝国にも勝てると言われているくらいなので、もしかしたら圧されるかもしれません。また、現在我々はスムジア王国と領土不可侵条約を結んでいます。互いに領土へと攻めこんだら、条約破棄と見なし、破棄した国へと大義名分で攻めこむことが可能になります。」
「この条約があるからこそ、スムジア王国は簡単に僕らの国に攻めこむことができないんだ。ジーク兄さん、兵士たちに、いかなる挑発をされようと、絶対に攻撃をしたり、相手方の領土に踏み込んではならないと伝えといて。」
「ああ、心得た。」
「さてと、じゃあ次は大蔵大臣のマージに、我々が保有している兵糧、武器、そして軍資金について、報告してもらいます。」
「はっ。我がタールランドでは、昨今の干ばつや《大災厄》による利用可能土地の激減から、城に税金として納められる穀物、野菜などが非常に少なく、兵糧に関しては、上手く使わなければ、戦争中に底をつきることになるも思われます。また、今年度の国家予算額が干ばつの影響により大幅に下がっているため、軍資金もスムジア王国の三分の二程度しかありません。」
「懸念すべきは、お金の問題だね。これに関しては、節約したりだとか、極限まで切り詰めないと、大変なことになりそうだね。」
「タイト、こんなにたくさんの抱えて、果たしてうまくいくのかな?」
兄さんたち以下、ホスロ以外はみな首を傾けて唸る。そう、ホスロだけは余裕な雰囲気を醸し出していた。
「ん? どしたのホスロ。どうでもよくなっちゃった?」
「違いますぞ、タイト様。このピンチを切り抜けることは我々にも可能だと分かって、思わず笑ってしまったのです。」
ピンチを切り抜けることが可能? 何を言っているんだ。今僕らが置かれている状況は、全くの正反対だ。
そんな僕の顔とは対照的に、ホスロはニコニコしながら言う。
「タイト様、それにジーク様やマクドル様、それ以外の大臣たちも。よく考えて見てくだされ。スムジアには無く、我々しか持っていない三つの切り札を。」
三本指を立て、そう告げる。会議室の面子は皆気づき、僕に羨望の眼差しを向ける。僕は、変な汗をかいていた。
「ああ、確かにあったね。切り札が。」
◇
一方、スムジア王国軍は、スムジア山脈中腹部に本拠地を設営していた。今回の戦争の将軍、ハーレインは、たくさんの兵士がいるなかで、一番豪華な席にふんぞり返っていた。彼は、彼が築き上げてきたブランドに自信を持ち、来る戦を軽い気持ちで待っていた。
小飼の諜報兵が、本拠地のテントに入って告げる。
「ハーレイン様、布陣終了しました。」
ハーレインは、鼻を大きくならして言う。
「はん、もっとゆっくりでもよかったのですよ。腰抜けどもは攻めてくる様子もありません。大方、条約を破棄してしまえば、簡単に負けてしまうとビビっているのでしょう。」
わっはっはっは! と兵士たちは高笑いする。ハーレインも笑っていた。地理に詳しい作戦錬成班の兵士が、ハーレインに問う。
「ハーレイン将軍、いかに我々が地の利でも兵力でも勝っていようと、攻められてしまうこともあります。一度作戦を立ててみては?」
「ふっ、ほざいてろ。たかが小国にビビりすぎだ。もっとドンと構えろ。」
「はっ。失礼しました。」
ハーレインが兵士たちを省みて告げる。
「かつては征服に手こずる位、有能な王と叡知のある宰相が共に国を治めていたが、ヤツが死んだ今、『弱輩者』と称されるガキが治めるのみだ。我々には充分な勝機がある。手こずるなよ。」
と彼なりの鼓舞をしていたその時、
「た、大変です、ハーレイン将軍!」
伝達役の兵士が駆け込んでくる。
「慌ただしいな、落ち着けよ。それで、どうした?」
「そ、それが、ズール帝国軍の兵士2万が、チャールート金山に布陣しています!!」
「……なんだと!?」
◇
「はぁ……。まさか、こんなことに帝国軍を援軍として呼ぶなんて…。」
ホスロも、大胆なことを考えるものだ。
議会にて。
『足りない兵力は、ズール帝国軍に協力してもらえば良いのです。』
『彼らが僕らの要請に応じてきてくれるかは分からないけどね。』
『何を言っておられるのですかな? 我々は彼らに“貸し”があるのですからな。彼らの皇帝に。』
『あっははは………。』
『それに、私にはアテもあるのですからな。』
『…………?』
「ほぅ………貴様、良い顔つきになったじゃないか。」
「あ……ジョンネル大臣。お久しぶりです。」
顎に手を当てこちらをみる彼は、帝国留学時代にお世話になった、ジョンネル・クレオス大臣だ。彼は警備局の局長も務めており、今回は彼の口利きで、兵士の1割である数を派遣してくれた。
「それにしても、どうして我々の要請に応じていただけたのでしょうか。」
「一つは、ホスロ殿からたくさんのことを学べたから。もう一つは……………」
僕の目の前に跪く。そして、僕のことを見つめ
「タイト王子、あなたに我が皇帝を救っていただいたお礼です。今回は、存分に恩返しをさせてください。」
僕は、なんだか歯がゆくなった。むずっとした、変な感覚に襲われた。
「そんなに改まらないでください。帝国においては、僕が生徒で大臣が先生だったのですから。」
「そうか………そこまで言うなら、この調子でいくぞ?」
「この方が気楽ですよ。」
なんて笑い会う。
「へぇー、案外ここからの眺めって壮大なんだねー。」
なんだか間延びした声が僕のとなりから聞こえる。
「やぁ、カイン。まさか君にも協力してもらえるなんてね。」
「当たり前じゃーん。僕は君の友達だし、大事な商売相手なんだよ? わざわざ失うなんてことになったらもったいないじゃーん♪」
「相変わらずだな、お前は……。」
帝国騎士学校の大陸地理学専攻の兵士が、僕の下に駆け寄ってくる。
「タイト殿下、この辺の地形は充分に把握しております故、我々にもお任せください。」
「うん。わざわざ遠くからありがとう。」
「いえ、帝国では魔の手から助けていただきましたからね。このぐらい当然です。」
帝国の騎士礼をし、僕の方を向く。
「タイト様、これで一気に問題が片付きましたな。」
「うん。そうだね。」
地図を片手に持ち、兵士と何かを話し終わったジーク兄さんの隣に立つ。ジーク兄さんの後ろには、マクドル兄さんが本を読んで座っていた。
「ジーク兄さん、調子はどう?」
「もちろん、大丈夫に決まってるだろ。兵士たちも皆、勝てると信じて士気が高まっている。それに、帝国軍もいるんだ。ただ、最強なのは俺たちタールランド軍だけどな。」
「うん。それならいいよ。」
「そういうタイトこそ、緊張してるんじゃない?」
マクドル兄さんが、こっちをみてクスッと笑う。
「む、そんなことないさ。」
「上着、前後ろ逆だよ。」
「ま、まじか……!?」
慌てて着なおす。ふぅ、もう少しで、兵士に僕の間抜けなイメージを植え付けるところだった。
「…………ボソボソ………今さら手遅れな気がしますぞ………。」
「ん? ホスロ、なんか言った?」
「空耳ですな。」
岩の上に立ち、下を見下ろす。暖かいが、乾いた風が、僕の体を通り抜けていく。その風が、戦場に吹いているものなのに、妙に心地よかった。
兄さんや、兵士たちがいる方を向いて声をかける。
「この戦いは、僕らのこれからをかけた大事な一戦となる。また、これはスムジアとの平和条約を破ることに等しい。それに、僕はずっと平和な解決方法を目指してきたから、まさかこんなことになるなんて思いもしなかった。だけど、僕は人々の思いを踏みにじる、スムジア征服をした〈ムーン〉の構成員を許せないんだ。もしかしたら、事情を知らない各国からしたら、非常に冷たい目を向けられるだろう。だが、これだけは覚えておいてほしい。今から我々が戦うのは、平和を願うスムジア王国の人々ではなく、征服した〈ムーン〉の構成員だ。奴らに、僕たちの力を見せつけよう。僕ら、一人一人の力を。戦場で散れとは言わない。皆、勝って、生きてここに戻ろう!!」
「「おおおお!!!!!!」」
雄叫びが、戦場を駆け抜けた。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
記憶がないので離縁します。今更謝られても困りますからね。
せいめ
恋愛
メイドにいじめられ、頭をぶつけた私は、前世の記憶を思い出す。前世では兄2人と取っ組み合いの喧嘩をするくらい気の強かった私が、メイドにいじめられているなんて…。どれ、やり返してやるか!まずは邸の使用人を教育しよう。その後は、顔も知らない旦那様と離婚して、平民として自由に生きていこう。
頭をぶつけて現世記憶を失ったけど、前世の記憶で逞しく生きて行く、侯爵夫人のお話。
ご都合主義です。誤字脱字お許しください。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
「婚約を破棄したい」と私に何度も言うのなら、皆にも知ってもらいましょう
天宮有
恋愛
「お前との婚約を破棄したい」それが伯爵令嬢ルナの婚約者モグルド王子の口癖だ。
侯爵令嬢ヒリスが好きなモグルドは、ルナを蔑み暴言を吐いていた。
その暴言によって、モグルドはルナとの婚約を破棄することとなる。
ヒリスを新しい婚約者にした後にモグルドはルナの力を知るも、全てが遅かった。
前世を思い出したのでクッキーを焼きました。〔ざまぁ〕
ラララキヲ
恋愛
侯爵令嬢ルイーゼ・ロッチは第一王子ジャスティン・パルキアディオの婚約者だった。
しかしそれは義妹カミラがジャスティンと親しくなるまでの事。
カミラとジャスティンの仲が深まった事によりルイーゼの婚約は無くなった。
ショックからルイーゼは高熱を出して寝込んだ。
高熱に浮かされたルイーゼは夢を見る。
前世の夢を……
そして前世を思い出したルイーゼは暇になった時間でお菓子作りを始めた。前世で大好きだった味を楽しむ為に。
しかしそのクッキーすら義妹カミラは盗っていく。
「これはわたくしが作った物よ!」
そう言ってカミラはルイーゼの作ったクッキーを自分が作った物としてジャスティンに出した…………──
そして、ルイーゼは幸せになる。
〈※死人が出るのでR15に〉
〈※深く考えずに上辺だけサラッと読んでいただきたい話です(;^∀^)w〉
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇なろうにも上げました。
※女性向けHOTランキング14位入り、ありがとうございます!!
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる