19 / 67
第二章 第一次〈ムーン〉制圧作戦編
第8話 魔法錬成
しおりを挟む
テントの前にいる黒フードの男達。奴らは、〈ムーン〉の構成員だ。僕がいる方角はアジトとは真反対のはずなのに…
僕の存在がばれると、色々と厄介なことになる。だから、結界防御魔法を張り、その上に隠匿魔法をかけることにした。
隠匿魔法は、その根元を隠すことができる秘術で、それを扱える者は少ない。マージもその1人だ。僕のギフトは、そんな秘術でさえコピーできてしまうコピー魔法。本当に便利だとまた噛み締めて思う。
おっと、なにやら話し声が聞こえるな。折角だから盗聴してやろう。
僕は、魔方陣を描いてマイクロフォンを取り出し、2人のもとへと投げた。
マイクロフォンは、2人の頭上で留まった。よし、気づいていないようだ。
今度は、マイクロフォンとスピーカーを、架空線でつないだ。
男の声が聞こえてきた。
『なんだこのテントは?……誰がこんなところで宿営しているんだ?』
◇
男2人は、森を巡回警備する当番だった。彼らが神聖視する指導者が、あのズール亜空間牢を突破し、戻ってきたという話を聞いたのは、つい2日前のことだった。幹部の老人達は皆喜び、明日“復活の宴”が開かれるということで、厳戒態勢に入っていた。そして、2人は森を警備することになり、頑張ろうと意気込んだ初日。いかにも怪しいテントを見つけた。
「なんだこのテントは?……誰がこんなところで宿営しているんだ?」
男の片割れ………分かりにくいから構成員Aとでも名付けておこう……が、訝しげにテントを眺める。
「さあな。あそこの村人か命知らずのバカってとこじゃねぇか?」
これまた片割れ……こっちは構成員Bとでもしておこう……が、嘲笑って言う。
ほう。どうやら僕は命知らずのバカらしいね。
「まあ、誰が来ようと怖くないさ。この国は屈強な魔法使いが指導者を除きいないからな!」
「そうだな。はっはっはっ!!」
2人とも楽しそうに笑ってるなあ。
「へぇ……屈強な魔法使いは1人もいない…か。」
「なっ…!誰だお前!?いつの間に……!」
テントに気をとられている間に、僕は2人のそばへと接近できた。
構成員Aが僕の方に杖を向ける。今時杖を使う時代遅れの魔法使いなんているんだなぁ。まあ、僕の能力が先に進みすぎてるだけかもしれないけどね。
「そう言われて答えると思う?まずは君たちから僕の質問に答えなきゃ。」
「何様のつもりだっ!?」
今度は構成員Bが声を荒げる。こわいなぁ。
「うーん、名乗るほどの者ではないとだけ言っておくよ。でも、目的ぐらいは答えてあげてもいいかな。」
「聞いてねえぞ、おい!」
構成員Aの方がノリがいいようだ。
「なんでもいいよ。単刀直入に聞こう。………お前らのアジトはどこだ?」
僕は、炎魔法を手に持つ剣先へと宿し、構成員達に向けた。
「フッ……聞かれて簡単に………答えるものかっ!! “ダークアロー”っ!!」
構成員は手に影から作り出した弓を持ち、僕の方に向かって放ってきた。
これは、闇属性魔法。この国では禁止されている魔法だ。
「禁忌を犯してまで僕の質問に答えたくないみたいだね。…なら、これならどうかな?」
剣をしまい、僕は魔方陣を描く。
それをみた構成員Bは、後ずさりをする。
「そ、それは…拷問魔法っ!?」
僕が今使役しているのは、“呪縛”という拷問魔法。大分前に図書館の危険な本棚で見つけた物を僕なりにアレンジしたものだ。相手の根元を縛り付け、命令意外を聞かなくさせる恐ろしい魔法だ。
「きっ貴様…それは闇魔法じゃないのか?」
そう。本来ならば、職業適性:拷問官のみしか扱えない特殊な闇魔法で、父が闇魔法を忌み嫌っていたために、この国では使役しようとしただけで死罪になる。一族もろとも、だ。でも、それは純粋な拷問魔法が対象だ。純粋な、ね。言ったでしょ、アレンジしたって。
「残念。これは光魔法。つまり、聖なる魔法の1つで、君たちに使っても何ら問題はないのさ☆」
「最高のスマイルで何とんでもないことぬかしてやがんだこいつはっ!!」
誰がなんと言おうと、これは紛れもない光属性魔法。魔法ステータスを少しいじるだけでこんなにも大幅な改造ができてしまうのだ。これは、ギフトとして授けられた能力の1つ、“魔法錬成だ”。1から魔法を作り出すのは難しいが、元よりある魔法から力を借り、新たな魔法を作り出すことができるのだ。
「さあ、答えてもらおうか。」
僕はジリジリと2人と距離を詰めていった。
僕の存在がばれると、色々と厄介なことになる。だから、結界防御魔法を張り、その上に隠匿魔法をかけることにした。
隠匿魔法は、その根元を隠すことができる秘術で、それを扱える者は少ない。マージもその1人だ。僕のギフトは、そんな秘術でさえコピーできてしまうコピー魔法。本当に便利だとまた噛み締めて思う。
おっと、なにやら話し声が聞こえるな。折角だから盗聴してやろう。
僕は、魔方陣を描いてマイクロフォンを取り出し、2人のもとへと投げた。
マイクロフォンは、2人の頭上で留まった。よし、気づいていないようだ。
今度は、マイクロフォンとスピーカーを、架空線でつないだ。
男の声が聞こえてきた。
『なんだこのテントは?……誰がこんなところで宿営しているんだ?』
◇
男2人は、森を巡回警備する当番だった。彼らが神聖視する指導者が、あのズール亜空間牢を突破し、戻ってきたという話を聞いたのは、つい2日前のことだった。幹部の老人達は皆喜び、明日“復活の宴”が開かれるということで、厳戒態勢に入っていた。そして、2人は森を警備することになり、頑張ろうと意気込んだ初日。いかにも怪しいテントを見つけた。
「なんだこのテントは?……誰がこんなところで宿営しているんだ?」
男の片割れ………分かりにくいから構成員Aとでも名付けておこう……が、訝しげにテントを眺める。
「さあな。あそこの村人か命知らずのバカってとこじゃねぇか?」
これまた片割れ……こっちは構成員Bとでもしておこう……が、嘲笑って言う。
ほう。どうやら僕は命知らずのバカらしいね。
「まあ、誰が来ようと怖くないさ。この国は屈強な魔法使いが指導者を除きいないからな!」
「そうだな。はっはっはっ!!」
2人とも楽しそうに笑ってるなあ。
「へぇ……屈強な魔法使いは1人もいない…か。」
「なっ…!誰だお前!?いつの間に……!」
テントに気をとられている間に、僕は2人のそばへと接近できた。
構成員Aが僕の方に杖を向ける。今時杖を使う時代遅れの魔法使いなんているんだなぁ。まあ、僕の能力が先に進みすぎてるだけかもしれないけどね。
「そう言われて答えると思う?まずは君たちから僕の質問に答えなきゃ。」
「何様のつもりだっ!?」
今度は構成員Bが声を荒げる。こわいなぁ。
「うーん、名乗るほどの者ではないとだけ言っておくよ。でも、目的ぐらいは答えてあげてもいいかな。」
「聞いてねえぞ、おい!」
構成員Aの方がノリがいいようだ。
「なんでもいいよ。単刀直入に聞こう。………お前らのアジトはどこだ?」
僕は、炎魔法を手に持つ剣先へと宿し、構成員達に向けた。
「フッ……聞かれて簡単に………答えるものかっ!! “ダークアロー”っ!!」
構成員は手に影から作り出した弓を持ち、僕の方に向かって放ってきた。
これは、闇属性魔法。この国では禁止されている魔法だ。
「禁忌を犯してまで僕の質問に答えたくないみたいだね。…なら、これならどうかな?」
剣をしまい、僕は魔方陣を描く。
それをみた構成員Bは、後ずさりをする。
「そ、それは…拷問魔法っ!?」
僕が今使役しているのは、“呪縛”という拷問魔法。大分前に図書館の危険な本棚で見つけた物を僕なりにアレンジしたものだ。相手の根元を縛り付け、命令意外を聞かなくさせる恐ろしい魔法だ。
「きっ貴様…それは闇魔法じゃないのか?」
そう。本来ならば、職業適性:拷問官のみしか扱えない特殊な闇魔法で、父が闇魔法を忌み嫌っていたために、この国では使役しようとしただけで死罪になる。一族もろとも、だ。でも、それは純粋な拷問魔法が対象だ。純粋な、ね。言ったでしょ、アレンジしたって。
「残念。これは光魔法。つまり、聖なる魔法の1つで、君たちに使っても何ら問題はないのさ☆」
「最高のスマイルで何とんでもないことぬかしてやがんだこいつはっ!!」
誰がなんと言おうと、これは紛れもない光属性魔法。魔法ステータスを少しいじるだけでこんなにも大幅な改造ができてしまうのだ。これは、ギフトとして授けられた能力の1つ、“魔法錬成だ”。1から魔法を作り出すのは難しいが、元よりある魔法から力を借り、新たな魔法を作り出すことができるのだ。
「さあ、答えてもらおうか。」
僕はジリジリと2人と距離を詰めていった。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
挙式後すぐに離婚届を手渡された私は、この結婚は予め捨てられることが確定していた事実を知らされました
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【結婚した日に、「君にこれを預けておく」と離婚届を手渡されました】
今日、私は子供の頃からずっと大好きだった人と結婚した。しかし、式の後に絶望的な事を彼に言われた。
「ごめん、本当は君とは結婚したくなかったんだ。これを預けておくから、その気になったら提出してくれ」
そう言って手渡されたのは何と離婚届けだった。
そしてどこまでも冷たい態度の夫の行動に傷つけられていく私。
けれどその裏には私の知らない、ある深い事情が隠されていた。
その真意を知った時、私は―。
※暫く鬱展開が続きます
※他サイトでも投稿中
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
猛獣・災害なんのその! 平和な離島出の田舎娘は、危険な王都で土いじり&スローライフ! 新品種のジャガイモ(父・作)拡散します!
花邑 肴
ファンタジー
自分の意志とは関係なく、遠く、海の向こうの王都に強制移住させられることになってしまったミリア。
失意のまま王都行きの船に乗るも、新しくできた友だちから慰め励まされ、決意も新たに王都での新生活に思いを馳せる。
しかし、王都での生活は、なれ親しんだ故郷とはかなり勝手が違っていて――。
馴れない生活様式と田舎者への偏見、猛獣騒動や自然災害の脅威etc…。
時に怒りや不安に押しつぶされそうになりながらも、田舎仲間や王都の心優しい人たちの思いやりと親切に救われる日々。
そんな彼らとゆっくり心を通わせていくことで、引っ込み思案なミリアの人生は大きく変わっていく。
これは、何の取柄もない離島の田舎娘が、出会った田舎仲間や都人(みやこびと)たちと織りなす、穏やかであっても危険と隣り合わせの、スローライフ物語(恋愛あり)
ただの期間限定魔王なので、ケモ耳イケオジ護衛は必須です
佐崎咲
ファンタジー
『魔王』の求人が街中に貼り出されているとは誰が思うだろうか。
高校を卒業したばかりで短期バイトを探していた珠美は、不思議な求人に足を止めた。
ただそれだけなのに、あれよあれよと異世界に落とされてしまう。
期間限定の、代理魔王として。
気付いたら幼児化しているし、目の前にはワイルドなイケオジ。ただしケモ耳。
最強だという魔法は使ってみたら取り扱い注意な代物なうえに、歴代魔王の日記からその代償を知ってしまった。
珠美は長年魔王の強力な魔法に頼りきっていたこの国を、変えることを決意する。
とは言っても、チートな魔法は封印せざるをえないし、
お城にお金がないと言っても、元の世界の知識を活かして商品開発とかもできないし(便利で欲しいものはあっても作り方わからん)、
国のトップの魔王だからスローライフなんてしてられない。
珠美はこの世界で自分ができることを試行錯誤しながら模索していく。
=============================
長くなりましたので、以下、各章のみどころ?です。
第一章 ケモ耳イケオジ護衛
第二章 魔王の正体
第三章 国の改革試行錯誤の末に
第四章 珠美の復活と恋愛ターン始まります
第五章 最終章
エピローグ ニートな珠美の就活
おまけ
※無断転載・複写はお断りいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる