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第一章 裏切りの王都編
第6話 追及①
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「みなさん、お待ち下さい!」
ホスロの声を聞き、周りの貴族たちが騒ぎ始める。
よし。つかみは上々。こっちにみんなが注目する。
「タールランド王国、第三王子にあらせられる、タイト・タール様からお話があります。」
うーん、やっぱりみんなの前で話すのは緊張するなぁ。気合いをいれよう。
「先ほどは、私の成人の儀式にご参加いただきまして、ありがとうございます。さて、昨日私の父である、タールランド国王、ルーク・タールが、何者かによって暗殺されるという事件がおきました。兄、ジークをはじめとする我々王族、大臣達は、大変ショックを受けています。」
ざわざわ…
「一体なんの話がしたいのだ!」
貴族が声を荒げる。
国の長が暗殺されるというのは、大変大きな政治の出来事だ。よって、理解が追いつかない人々がいるのも事実。いまだに、国民には『国王暗殺』の訃報が漏れないように情報統制をしているのだ。
「暗殺、ということは、誰かが秘密裏に殺したのは間違いありません。私は、犯人追及のため、どの王族、貴族よりもいち早く捜査をしてきました。そして、暗殺を依頼した犯人が分かりました。」
どよどよ……
先ほどよりも騒がしくなった。
「い、一体、何処の輩なんですっ!?」
また貴族が声を荒げる。
「みなさんは、建国当初から仕えてくださっているので周知の事実かとは思うのですが、我々のことをよく思わない国があるでしょう?」
「「ま、まさか……」」
そのまさか。
「北の猛虎、ズール帝国です。」
「「ええっ!?」」
みんな驚くのは無理がないだろう。なぜなら、ズール帝国と我々タールランド王国は、長年外交面において強い信頼関係を気づいていたからだ。
「他国の国王が、外交相手の国王を暗殺したとあったら、大きな穴が空く。それどころか、戦争にまで発展する可能性だってある。それを理解してまで、リスクをおかしてまで、暗殺をするのだから、成功するという根拠が絶対にある。バ・レ・ず・に・、ね。つまり、国内に内通者がいるということが、ここから分かると思います。」
内通者という言葉に、皆がみな顔を見合わせる。疑い始めている。お前がやったんだろう、という痛い目線がホール内を飛び交う。
「まあまあ、みなさん。お互いを疑ってもしょうがないですよ。先ほども申し上げた通り、僕は犯人を知っている。だからまずは、落ち着いてください。」
僕がそういうと、簡単にみな静まってしまった。兄さんが、でかしたっ!と口パクで僕に伝えてくれた。
僕の言葉1つで場が動くのも、僕の持つスキルのお陰だろう。職業適性:為政者。そのスキルは、格言。僕の放つ一言一言が、心に響くみたいだ。
「さて、先に犯人の名前を言っても、多分逃げられちゃうんでね、証拠を出しながら逃げられないようにしますよ。」
ふっふっふっ…僕の目は嫌な光を放っているのだろう。
「あの、どうしたんです?」
ホスロが急にどうしたのだ?と聞いてくる。
それに対しての僕の答えは…
「いやぁ、こんな感じで警察みたいなこと、やってみたかったんだよぉ✨」
「…………………………はぁ(?)」
「ゴホン…本題に移りましょう。」
僕は、魔法陣を使って〈映像投影〉をする。
魔法適性がなくても、僕は高等魔方陣学を学んでいるから、言葉で唱えるやつ以外の魔法ならある程度できるのだ。なんで魔法適性無って出ちゃったんだろ。
「ここに写っているのは、昨日の早朝。王宮の第4砦の映像です。」
王宮には、監視カメラが設置されている。
〈映像記録〉の魔法を、鉄の箱と魔鏡を組み合わせたものにかけて作った魔道具だ。開発者は、僕。元々は、王宮に入ってくるコソドロを記録するためのものだったのだけれど、まさかこんな形で役に立つことになるとは。
「この砦の下の部分。黒服を着た男が紛れ込んでいるのがお分かりですかね?みなさん。」
みんなが、画面に注目する。
おお、ホントだ。と、みんな納得している。
「時を進めましょう。」
空間魔法を応用した〈時間操作〉で、映像の時を進める。すると………
その男が、タールランド大臣の服を着た男と密会している様子が映し出される。
これをみた貴族たちが、みな口汚く大臣達を罵倒する。
「ふん、やっぱりお前たち王宮のハイエナが王様をはめたんだな!」
「お前らのせいだぞ!責任をとれ!」
わーわー好きなように言い合う。うるさいなぁ。
「静まれぇぇぇっ!!!」
ホスロが一喝すると、みなおとなしくなった。
おお、ホスロがキレてるのをみるのはすごい久しぶりだなぁ。
たしか、この前は冷蔵庫にあったプリンを食べたときにキレたんだっけ。
こわいこわい。
「じゃあ、映像を進めますよ。そこに顔、映りますから。」
また、時間を進める。
徐々に顔がカメラの方に向く。
そして……完全に顔が向k「ちょっと待った!」
「「!?」」
顔が出る前に邪魔が入った。
でも、想定内。
おいでなすったな…犯人!
ヤジを入れたのは、容疑者。
外交大臣マージ・アイザップだった。
ホスロの声を聞き、周りの貴族たちが騒ぎ始める。
よし。つかみは上々。こっちにみんなが注目する。
「タールランド王国、第三王子にあらせられる、タイト・タール様からお話があります。」
うーん、やっぱりみんなの前で話すのは緊張するなぁ。気合いをいれよう。
「先ほどは、私の成人の儀式にご参加いただきまして、ありがとうございます。さて、昨日私の父である、タールランド国王、ルーク・タールが、何者かによって暗殺されるという事件がおきました。兄、ジークをはじめとする我々王族、大臣達は、大変ショックを受けています。」
ざわざわ…
「一体なんの話がしたいのだ!」
貴族が声を荒げる。
国の長が暗殺されるというのは、大変大きな政治の出来事だ。よって、理解が追いつかない人々がいるのも事実。いまだに、国民には『国王暗殺』の訃報が漏れないように情報統制をしているのだ。
「暗殺、ということは、誰かが秘密裏に殺したのは間違いありません。私は、犯人追及のため、どの王族、貴族よりもいち早く捜査をしてきました。そして、暗殺を依頼した犯人が分かりました。」
どよどよ……
先ほどよりも騒がしくなった。
「い、一体、何処の輩なんですっ!?」
また貴族が声を荒げる。
「みなさんは、建国当初から仕えてくださっているので周知の事実かとは思うのですが、我々のことをよく思わない国があるでしょう?」
「「ま、まさか……」」
そのまさか。
「北の猛虎、ズール帝国です。」
「「ええっ!?」」
みんな驚くのは無理がないだろう。なぜなら、ズール帝国と我々タールランド王国は、長年外交面において強い信頼関係を気づいていたからだ。
「他国の国王が、外交相手の国王を暗殺したとあったら、大きな穴が空く。それどころか、戦争にまで発展する可能性だってある。それを理解してまで、リスクをおかしてまで、暗殺をするのだから、成功するという根拠が絶対にある。バ・レ・ず・に・、ね。つまり、国内に内通者がいるということが、ここから分かると思います。」
内通者という言葉に、皆がみな顔を見合わせる。疑い始めている。お前がやったんだろう、という痛い目線がホール内を飛び交う。
「まあまあ、みなさん。お互いを疑ってもしょうがないですよ。先ほども申し上げた通り、僕は犯人を知っている。だからまずは、落ち着いてください。」
僕がそういうと、簡単にみな静まってしまった。兄さんが、でかしたっ!と口パクで僕に伝えてくれた。
僕の言葉1つで場が動くのも、僕の持つスキルのお陰だろう。職業適性:為政者。そのスキルは、格言。僕の放つ一言一言が、心に響くみたいだ。
「さて、先に犯人の名前を言っても、多分逃げられちゃうんでね、証拠を出しながら逃げられないようにしますよ。」
ふっふっふっ…僕の目は嫌な光を放っているのだろう。
「あの、どうしたんです?」
ホスロが急にどうしたのだ?と聞いてくる。
それに対しての僕の答えは…
「いやぁ、こんな感じで警察みたいなこと、やってみたかったんだよぉ✨」
「…………………………はぁ(?)」
「ゴホン…本題に移りましょう。」
僕は、魔法陣を使って〈映像投影〉をする。
魔法適性がなくても、僕は高等魔方陣学を学んでいるから、言葉で唱えるやつ以外の魔法ならある程度できるのだ。なんで魔法適性無って出ちゃったんだろ。
「ここに写っているのは、昨日の早朝。王宮の第4砦の映像です。」
王宮には、監視カメラが設置されている。
〈映像記録〉の魔法を、鉄の箱と魔鏡を組み合わせたものにかけて作った魔道具だ。開発者は、僕。元々は、王宮に入ってくるコソドロを記録するためのものだったのだけれど、まさかこんな形で役に立つことになるとは。
「この砦の下の部分。黒服を着た男が紛れ込んでいるのがお分かりですかね?みなさん。」
みんなが、画面に注目する。
おお、ホントだ。と、みんな納得している。
「時を進めましょう。」
空間魔法を応用した〈時間操作〉で、映像の時を進める。すると………
その男が、タールランド大臣の服を着た男と密会している様子が映し出される。
これをみた貴族たちが、みな口汚く大臣達を罵倒する。
「ふん、やっぱりお前たち王宮のハイエナが王様をはめたんだな!」
「お前らのせいだぞ!責任をとれ!」
わーわー好きなように言い合う。うるさいなぁ。
「静まれぇぇぇっ!!!」
ホスロが一喝すると、みなおとなしくなった。
おお、ホスロがキレてるのをみるのはすごい久しぶりだなぁ。
たしか、この前は冷蔵庫にあったプリンを食べたときにキレたんだっけ。
こわいこわい。
「じゃあ、映像を進めますよ。そこに顔、映りますから。」
また、時間を進める。
徐々に顔がカメラの方に向く。
そして……完全に顔が向k「ちょっと待った!」
「「!?」」
顔が出る前に邪魔が入った。
でも、想定内。
おいでなすったな…犯人!
ヤジを入れたのは、容疑者。
外交大臣マージ・アイザップだった。
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