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3章

57話 俺も働きますか

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 一方その頃、ディルレッドは。
剣を右へ左へ目にも留まらぬ速さで動かしては周囲のモンスター達を次々と消滅させていた。

「うおお…なんだあの大規模な魔法初めて見た……あいつあんな凄いものまで作れるのかよ………」

 鉄鋼と氷で作られた城の形をした牢獄を目の当たりにし、ディルレッドは感心していた。
よそ見をしてしまっているのだが、その間もディルレッドの手や足は休まる事を知らず、モンスターを駆逐する為に動き続ける。

「あれだけ魔法が使えたら、普通は賢者とか囃し立てられて超有名になってそうなもんなんだけど…なッ!」

 ディルレッドは考えた。元執事(推定)という経歴を持つライアー程の魔道士の素質のある者が、魔道士として冒険者になろうとしている訳ではなく、何故か剣士として冒険者になろうとしている事が意味不明だった。
 ただでさえ、宮廷魔道士とかでは無く、冒険者になろうとしている事が訳が分からないのに、冒険者になろうとしていて…しかもそれは魔道士としてでは無く剣士としてというのがより一層不可解を極めていく。

 そんな風に余計なことに頭を使いながらも、ディルレッドは止まること無くモンスター達を殺し続ける。
このモンスター達も、一応ダンジョンの下層から出てきたかなり強いモンスターのはずなのだが……ディルレッドは難なくそれらを屠っていく。
どうやら、ただ元騎士だったというだけでは無さそうだが…それはまたいつかわかる時が来るだろう。

「はは、こりゃ…もしかしたら思ったよりも早く終わるかもなこの戦い……」

 周りいたモンスター達をある程度殺したディルレッドは、一旦足を止めて巨人兵マンアゴーレムと相対するライアーを見上げた。
その手に構えられている巨大な剣を遠目に眺めては、それに対する形容しがたき恐怖に乾いた笑いがこぼれる。

「まぁ俺の知ったこたぁねえな。俺は俺の仕事を全うするだけだし…よし、第二波もとっとと蹴散らすか」

 地上に這い上がってきたモンスター達は残りおよそ50体。
その中には、上級冒険者がパーティを組んで初めて倒せるような強力なモンスターもいた。
束になって襲いかかってくるそれを、ディルレッドはその剣1つで全て土に還そうとした。
何が恐ろしいって──ディルレッドには、それが出来るだけの力があった。
 この余裕は…このニヤリとした笑みは、その実力から来たものなのだろう。

「俺の後ろにはお姫様がいるんでね……ここは絶対に通さねえよ」

 そしてディルレッドは剣を構え直し、今一度モンスターの群れに突っ込んで行った。




 
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