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3章
45話 戦場に行こう
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「本当ですか?!凄い助かります!騎士団の方にも討伐隊に加わっていただけるなんて…!!ありがとうございますディルレッドさん!」
「いやいいんだ。俺もあの怪物は気になるからな」
受付の女性が感謝のあまり体を勢いよく前に倒す。
ギルドは今損得勘定無しに、純粋に戦力を欲していた。
異常に次ぐ異常。そして本来ならダンジョンの奥深くにしか現れないはずの怪物、巨人兵。
それらの解決には純然たる戦力が必要だと言うのだ。
だからこそ、国の中でも精鋭揃いと呼ばれる騎士団の人間だったディルレッドが力を貸してくれるのがとても嬉しかったのだ。
(怪物もだけど、ライアーとかいう奴も気になるしな。リリィがこんな事なってんのに一緒にいないとか……後でどんな奴かこの目で見定めてやろう)
何度も繰り返すようで悪いが、この男…絶対に自分がその原因の一端であるとは考えない。なんとふてぶてしい性格をしているのだろうか。
「しっかし……本当にそのライアーって奴は今どこにいるんだろうな」
「そうですね…リリィさんに聞けたらいいんですが………」
2人して何かに怯え震えるリリィの事を見下ろしては、残念そうにため息をつく。
どうしたものか。と目を合わせていると、突然リリィの口がゆっくりと開かれた。
「……ライアー、ライアーは…モンスターを、1人で止めるって……だから、早く…ライアーの所に行かないと…」
声を震わせながら、訴えかけるように言葉を紡ぎ出す。
それを聞いたディルレッドと女性は驚いたようにリリィを見る。
その瞳はまだ虚ろで光の失せたものだったが、確かに何か強い意志が宿っているようだった。
「それは本当なのか?リリィ!」
ディルレッドはリリィを片手で支えながら少しだけ膝をついて、下からリリィの顔を覗き込む。
「ライアー…早く……ライアーの…所に…行かなきゃ…」
しかしリリィが発した言葉は結局それだった。
「……あの怪物の所まで行けば、そのライアーってのもいるんだな?よし、じゃあ今すぐ行くぞ」
「えっ?!待ってください!独断先行は認められません!!いくら何でも危険です!」
覚悟を決めたようにそう言うと、ディルレッドは「ちょっとごめんな…」とリリィの事を横向きに抱き上げた。
そして、受付の女性の制止を軽くあしらった。
「危険でも何でも、どうせこの後行くんだから変わりないだろ?それに、そこにライアーって奴がいて…そいつに会えばリリィのこともなんとかなる気がするんだ」
「ライアーさんが本当にそこにいるかも分からないんですよ?1人で行くのは危険です!」
「ヤバそうだったらすぐ引き返して来るさ」
ディルレッドは口ではこう言っているものの、怪物の元へ行くことをやめるつもりなど毛頭無かった。
(…待ってろよ、ライアー。お前とは1度話してみたいんだよ。色々ムカつくからな)
ディルレッドの頭はそんなどうでもいい私情に染まっていた。
何なら巨人兵がついでと言わんばかりの勢いだった。
怪物の討伐に行くというよりかは、ライアーを探し出す事とリリィを何とかしてもらう事が目的だった。
「いやいいんだ。俺もあの怪物は気になるからな」
受付の女性が感謝のあまり体を勢いよく前に倒す。
ギルドは今損得勘定無しに、純粋に戦力を欲していた。
異常に次ぐ異常。そして本来ならダンジョンの奥深くにしか現れないはずの怪物、巨人兵。
それらの解決には純然たる戦力が必要だと言うのだ。
だからこそ、国の中でも精鋭揃いと呼ばれる騎士団の人間だったディルレッドが力を貸してくれるのがとても嬉しかったのだ。
(怪物もだけど、ライアーとかいう奴も気になるしな。リリィがこんな事なってんのに一緒にいないとか……後でどんな奴かこの目で見定めてやろう)
何度も繰り返すようで悪いが、この男…絶対に自分がその原因の一端であるとは考えない。なんとふてぶてしい性格をしているのだろうか。
「しっかし……本当にそのライアーって奴は今どこにいるんだろうな」
「そうですね…リリィさんに聞けたらいいんですが………」
2人して何かに怯え震えるリリィの事を見下ろしては、残念そうにため息をつく。
どうしたものか。と目を合わせていると、突然リリィの口がゆっくりと開かれた。
「……ライアー、ライアーは…モンスターを、1人で止めるって……だから、早く…ライアーの所に行かないと…」
声を震わせながら、訴えかけるように言葉を紡ぎ出す。
それを聞いたディルレッドと女性は驚いたようにリリィを見る。
その瞳はまだ虚ろで光の失せたものだったが、確かに何か強い意志が宿っているようだった。
「それは本当なのか?リリィ!」
ディルレッドはリリィを片手で支えながら少しだけ膝をついて、下からリリィの顔を覗き込む。
「ライアー…早く……ライアーの…所に…行かなきゃ…」
しかしリリィが発した言葉は結局それだった。
「……あの怪物の所まで行けば、そのライアーってのもいるんだな?よし、じゃあ今すぐ行くぞ」
「えっ?!待ってください!独断先行は認められません!!いくら何でも危険です!」
覚悟を決めたようにそう言うと、ディルレッドは「ちょっとごめんな…」とリリィの事を横向きに抱き上げた。
そして、受付の女性の制止を軽くあしらった。
「危険でも何でも、どうせこの後行くんだから変わりないだろ?それに、そこにライアーって奴がいて…そいつに会えばリリィのこともなんとかなる気がするんだ」
「ライアーさんが本当にそこにいるかも分からないんですよ?1人で行くのは危険です!」
「ヤバそうだったらすぐ引き返して来るさ」
ディルレッドは口ではこう言っているものの、怪物の元へ行くことをやめるつもりなど毛頭無かった。
(…待ってろよ、ライアー。お前とは1度話してみたいんだよ。色々ムカつくからな)
ディルレッドの頭はそんなどうでもいい私情に染まっていた。
何なら巨人兵がついでと言わんばかりの勢いだった。
怪物の討伐に行くというよりかは、ライアーを探し出す事とリリィを何とかしてもらう事が目的だった。
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