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3章
21話 王都にて。セルナフィア視点続き
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「…悪魔さん。あなたってもしかして食事が必要だったりするのかしら?」
だとすれば、食品が嵩んでかかる金額も増えて少し困るのだけれど。
『我は人の感情やその魂を好む。美味なる魂さえ喰らう事ができれば腹は膨れよう』
「なら、わたしの感情だけで大丈夫そうですか?」
『あぁ。しばしの間はお前の感情だけでも十分さな』
良かった。食糧はわたしの分だけ調達すれば済むようだ。
何を買うかだけど…やっぱり長期保存のきく食糧の方が良いかな。
これはきっと長旅になるだろうから。
『ならば生物は避けねばなるまいな。ふむ…何が良かろうか……そういえば、我はあまり人間の文化に詳しくないのだった。人間は肉と酒と果実以外に何を摂取するんだ?』
何とも驚いたことに、悪魔さんはかなり常識知らずだった。
悪魔に常識を求めることがそもそもとして間違っている気もするけれど。
『む、それは聞き捨てならんな。我とて天界にいた頃は少しばかりは人間に興味を持っていたのだぞ、これでも。だが人間とはその魂以外に価値が無いものでな…途中から人間というものを記憶に留めるのが億劫になった』
何を言っているのだろうか、この悪魔は。
「大通りに何かいいお店があるといいのですけれど……」
とにかく構わない方がいいと判断した。
そのため、いったんその声を無視して来た道を戻り大通りへと足を運ぶ。
『おい何故無視する!聞こえているのだろう、何故無視するのだ!』
うるさいなこの悪魔。ちょっとしばらく静かにしていて欲しいです。
『この我に向かってうるさいだと?何故だ…何故天界でも人間界でも、どいつもこいつも我をうるさいと評するのだ……?!』
それだけ独り言を喋り続ければ誰だってうるさいと認識すると思う。
ていうか、頭に声が響いて少し痛いから本当に静かにして欲しいです。
そうやって悪魔さんの声を無視しながら大通りを進む。
すると、向かいの店からとても香ばしい匂いが溢れてきていて。
あれは…パン屋でしょうか?パンは割と日持ちがしますし、中々応用のきく食材だとよく聞きます。
バターなども併せて購入しておけば、魔法で熱して食べる事が可能になる。
「これはパンをたくさん買い込むのが良しとみまっ…きゃあっ?!」
大通りという人の往来の激しい所で立ち止まってぼーっとしていたからなのだろうが、後ろを通った人達の波にドンッと背中を押されて、わたしの体は無理やり前方へと倒れ込む。
「おっと…大丈夫か、お嬢さん。こんな人の足の早い場所でのんびりしてたら駄目だろ?」
しかし地面に到達するよりも早く。わたしの体は何者かの腕に支えられた。
上方から、若い青年らしき声が聞こえてくる。
右腕1本でわたしの体を受け止めた彼の体は、何と見覚えのある服装に包まれていたのだ。
「……危ない所を助けて頂き、ありがとうございます。騎士様」
体勢を立て直し、大人しく感謝を述べる。
その白いマントと制服は、社交界などの警護をしている所を見たことがあるから知っている。
世の女性にきゃあきゃあ言われそうな、そんな整った顔に笑みを浮かべながら、彼はわたしに向き直った。
「どういたしまして、っと…あぁ。助けたついでに聞いとくか。なあお嬢さん──あんた、セレスティア・アルセリアって知ってるか?」
だとすれば、食品が嵩んでかかる金額も増えて少し困るのだけれど。
『我は人の感情やその魂を好む。美味なる魂さえ喰らう事ができれば腹は膨れよう』
「なら、わたしの感情だけで大丈夫そうですか?」
『あぁ。しばしの間はお前の感情だけでも十分さな』
良かった。食糧はわたしの分だけ調達すれば済むようだ。
何を買うかだけど…やっぱり長期保存のきく食糧の方が良いかな。
これはきっと長旅になるだろうから。
『ならば生物は避けねばなるまいな。ふむ…何が良かろうか……そういえば、我はあまり人間の文化に詳しくないのだった。人間は肉と酒と果実以外に何を摂取するんだ?』
何とも驚いたことに、悪魔さんはかなり常識知らずだった。
悪魔に常識を求めることがそもそもとして間違っている気もするけれど。
『む、それは聞き捨てならんな。我とて天界にいた頃は少しばかりは人間に興味を持っていたのだぞ、これでも。だが人間とはその魂以外に価値が無いものでな…途中から人間というものを記憶に留めるのが億劫になった』
何を言っているのだろうか、この悪魔は。
「大通りに何かいいお店があるといいのですけれど……」
とにかく構わない方がいいと判断した。
そのため、いったんその声を無視して来た道を戻り大通りへと足を運ぶ。
『おい何故無視する!聞こえているのだろう、何故無視するのだ!』
うるさいなこの悪魔。ちょっとしばらく静かにしていて欲しいです。
『この我に向かってうるさいだと?何故だ…何故天界でも人間界でも、どいつもこいつも我をうるさいと評するのだ……?!』
それだけ独り言を喋り続ければ誰だってうるさいと認識すると思う。
ていうか、頭に声が響いて少し痛いから本当に静かにして欲しいです。
そうやって悪魔さんの声を無視しながら大通りを進む。
すると、向かいの店からとても香ばしい匂いが溢れてきていて。
あれは…パン屋でしょうか?パンは割と日持ちがしますし、中々応用のきく食材だとよく聞きます。
バターなども併せて購入しておけば、魔法で熱して食べる事が可能になる。
「これはパンをたくさん買い込むのが良しとみまっ…きゃあっ?!」
大通りという人の往来の激しい所で立ち止まってぼーっとしていたからなのだろうが、後ろを通った人達の波にドンッと背中を押されて、わたしの体は無理やり前方へと倒れ込む。
「おっと…大丈夫か、お嬢さん。こんな人の足の早い場所でのんびりしてたら駄目だろ?」
しかし地面に到達するよりも早く。わたしの体は何者かの腕に支えられた。
上方から、若い青年らしき声が聞こえてくる。
右腕1本でわたしの体を受け止めた彼の体は、何と見覚えのある服装に包まれていたのだ。
「……危ない所を助けて頂き、ありがとうございます。騎士様」
体勢を立て直し、大人しく感謝を述べる。
その白いマントと制服は、社交界などの警護をしている所を見たことがあるから知っている。
世の女性にきゃあきゃあ言われそうな、そんな整った顔に笑みを浮かべながら、彼はわたしに向き直った。
「どういたしまして、っと…あぁ。助けたついでに聞いとくか。なあお嬢さん──あんた、セレスティア・アルセリアって知ってるか?」
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