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2章

13話 私は魔道士になります

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「先程ライアーさんがしていたように、魔水晶に手を乗せてください」

 そう言われ、私は魔水晶に手を乗せた。
ライアー程ではないが、私の時もそこまで間が空く事は無く魔水晶に光が宿った。

「あなたの魔力量も、普通の人に比べて多いようですので…魔道士などの職業がおすすめですよ」

 受付の女性は慣れた手つきで魔道具を操作し、魔力を編んではカードを作成していて。

 どの職業にすればいいかわからなくて、ライアーに相談を求める。

「私は何の職業にしたらいいと思う?」
「そうですね…お嬢様は魔力操作にとても長けているので、受付の方の言う通り魔道士などが向いているかと」
「わかったわ、ありがとう。それじゃあ私は魔道士でよろしくお願いします」

 そして私はライアーの進言に従って、職業は魔道士を選んだ。
たしかに今までライアー指導のもと、お父様達に隠れて魔法を扱う訓練などはしてきた。

 私の通っていた学園には一応魔法学の授業があったのだけれど、お父様達の言いつけで、基本的に魔法はほとんど使わないようにしていたのだ。

 妹よりも目立ってはいけない。妹よりも優秀であってはいけない。
全てのことにおいて私は妹を引き立てるために、妹よりも下であらねばならない。
それが私にとってのだったから。

 どれだけライアーの気遣いで魔法の扱いが上手くなろうとも、それを発揮する機会が無かった。
だから、ここで魔道士になって今までの分もたくさん魔法を使いたいと私も思ったのだ。

 少し気になったのだけれど、ライアーは何らかの方法でライセンスに登録される情報を変えていたようだけど…私にそんな高等な技はできないから、私の本名がバレてしまうのでは?

 本名がバレてしまうかもしれない。その事に対して体が不安を覚えて冷や汗をかく。
心臓をドキドキさせながら受付の女性を注視する。

「それでは、確認の方に移らせていただきます。名前は。種族は人族。職業は魔道士…で間違いないでしょうか?」

 本名がバレてしまうかもしれない、という事は私の杞憂で終わった。
どういう訳か、あのライセンスにはではなくと表示されたらしい。

 もちろん私にそんなことが出来るはずもなく、まさかと思ってライアーの方を見やる。
すると、ライアーが意味ありげに微笑んでいた。
 そこで直感的に悟る。きっと、またライアーが何かしらの方法で何とかしてしまったのだと。

 ライアーには本当に頭が上がらないわ。
足を向けて寝ることもできない。いつもお世話になりすぎているもの。

「…はい。間違いありません」
「わかりました。ではこちらの方で仮ライセンスを発行しますね。お2人とも、正式なライセンス取得の試験はいつ頃行いますか?」

 どうぞ、と丁寧に仮ライセンスを手渡される。
そこには確かにリリィという名前が表示されている。
本当にライアーはどうやって偽装したのだろうか。何となくだけど、知ったらいけない気もしてしまう。

 それはともかく。受付の女性曰く、これはその名の通り仮の冒険者ライセンスで、正式に冒険者になるためには『ライセンス取得試験』を受けて合格する必要があるという。


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