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2章

9話 冒険をするなら保護者同伴で

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 あからさまにしゅんとする私を見て気の毒に思ったのか、ライアーが長考していて。

「………絶対に僕の傍を離れないと約束してくださるのであれば、冒険者になる事を許可しましょう」

 なんと、譲歩してくれたという。
その思いもよらない言葉に、私は驚きのあまりガバッと勢いよく体を起こして聞き返した。

「本当にいいの?!」
「その代わり、僕も冒険者となってお嬢様のお傍を離れないようにします。お嬢様ご自身も、その辺りはご理解いただければ幸いです」

 ライアーの傍にずっといるなら、本当に冒険者になってもいいという事よね?
彼が優しいのをいいことに、それに漬け込んだ形となった私はさぞ性悪だろう。
自覚は一応あるつもりだ。

「ええ!わかったわ!!」

 食い気味で元気よく返事をする。
そんな私をライアーは微笑ましく見守っていた。

「…あ、冒険者ってどこに行けばなれるのかしら。そういえば全然知らないわ…」

 こんなことになるのであれば、もっとしっかり冒険者稼業というものを調べておけばよかった。
私が冒険者関連で知っていることと言えば、モンスターや魔獣を倒して日金を稼いでいるらしいということぐらいだ。

 全く役に立たない知識しかなかった。
自分から冒険者になりたいと言っておきながらこの体たらく。

 相変わらず、どうして私はこんなにも馬鹿なのだろうか。
どれだけ見た目が変わろうと中身は変わらないということか。

 恥ずかしいというか、申し訳ないというか。そんな気持ちに押しつぶされそうになる。
そんな私を救ったのはやはりライアーで。

「確か…僕が知る限りですけれど、普通は冒険者ギルドなどに赴き『冒険者ライセンス』なるものを発行していただくことにより、冒険者として認められるようになる……と以前耳にした覚えがあります」

 そういう仕組みなんだ…昔読んだ物語ではそこまで言及されてなかったなぁ。

 しかし……本当にライアーの博識っぷりには毎度驚かされる。
何でも知っててすごい。
流石は歩く大図書館ね!(数年前の私命名)

 これら全てが彼自身のたゆまぬ努力によるものだというのを知っているからこそ、その凄さもさながらというものだ。

「丁度、我々が今向かっている港町レーリャにはそこそこの大きさの冒険者ギルドがあったはずですので…そこで冒険者ライセンスを発行してもらいましょうか」

 うんうん!と鼻息を荒らしながら何度も頷く。
港町と言えば、海上交易のために様々な国家の様々な民族が集うと聞く。
だからこそ荒事なども多いらしく、そのために手の空いている冒険者が自警団のような事もやっているらしい。

 そんな港町レーリャの冒険者ギルドは中々の規模のもので、冒険者を目指す者の6割が最初に向かう街とまで言われているという。

 偶然にも私たちも、特に目的の無い旅をしながらその町を目指していたので、丁度いいということになったのだ。




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