736 / 765
第五章・帝国の王女
655.Episode Angel:Quiero enamorarme de ella.
しおりを挟む
『さて。アミレスが勇気を出したのだから、俺も頑張らないとな』
『なっ……何してるの、カイル?』
『大丈夫だよ、アミレス。理論上はね』
変人王子がそのこめかみに魔導兵器を突きつけると、彼女は酷く焦った様子で狼狽えた。
その姿を見てまた胸がチクリと痛んだ、その時。
『彼はなんと言っていたか──……そうだ、『諸君、狂いたまえ』だったか』
変人王子が、自分の頭を撃った。糸の切れた人形のように倒れたあいつに駆け寄り、『カイル! カイルッ!!』と彼女は何度も叫ぶ。
だがこの時ばかりは。俺は彼女の狼狽っぷりよりも、変人王子が使った魔導兵器に意識を持っていかれていた。
頭の中で次々と理論を組み立てる。あれこれと試行を繰り返し、やがて『主目的は、精神干渉。その銃は、高確率で精神崩壊を誘発する大博打の魔導具だ』と結論を弾き出すと、
『精神崩壊……? なんでそんなものを、カイルが…………』
彼女は信じられないとばかりに呟いた。
その目と目が合い、勝手に胸が高鳴る。前代未聞の魔導具を目にした喜びと、思い出せない誰かと言葉を交わした喜び。それらにより、我ながらびっくりする程声が弾む。
どうしてあそこまであの魔導具に興味惹かれたのか、今なら分かる。俺はきっと──あの魔導具があれば、忘却に囚われた俺でも記憶を全て取り戻せると、本能でそう悟ったのだろう。
改めて、変人王子の口から予想通りの効果を聞き、口角が自然と上がったと思えば、
『あのね、カイル。私──……■■っていうの』
『…………え?』
『フェアじゃないかなーと思って言っただけだから。気にしないでね』
『いや、ちょっ……何そのCO?! 俺の緊張感返して!?』
名も思い出せぬ彼女と、変人王子が、まるで睦言のように唇を寄せ合いひそひそと話す。それを見て、誰が笑っていられようか。
果てしなく怒りが湧き、胸が燃えるように苦しい。
『──なんだ、この胸焼けみたいな痛みは……?』
嫉妬か? それとも憤怒か? 火種の分からない焼けたような痛みが、この胸を焦がし苛立ちを募らせるのだ。
そうしてボーッとしてる間に、俺とフリードル・ヘル・フォーロイトは変人王子の魔法で隔離され、奴と戦う羽目になった──。
♢
『っ!?』
『手が悴んだか。この寒さの中では、人間は最良の状態を維持出来ない。──氷と戦闘に気を取られ、冷気に気づかなかったようだな、間抜け』
『ふっ……んなモン、こわくともなんともねぇよ! そもそも俺はなぁ──火の魔力も持ってんだわ!!』
『チッ…………しぶとい奴め……!』
変人王子とフリードル・ヘル・フォーロイトが戦っている。
何故俺はこんな状況に置かれているのか、と考えているうちに。あの二人の戦いは苛烈の一途を辿る。
『徒花よ、生命を吸い上げ咲き誇れ──氷華繚乱!』
『汝は魔女。汝は罪人。汝は架刑に処されし者。故に、汝はこの場にて死に至るだろう! 魂焦がす裁きの炎!!』
──あ、まずい。これ、二人共死ぬ。
俺は、直感でそう悟った。
どうする、どうすればいい? もしここでこいつ等が二人揃って死んだ日には──……、
『アンヘルも来てくれたんだ。朝弱いのに、ありがとう』
あいつは──俺の心を何度も奪った、身内にクソ甘い無責任なあの女は。もう、笑わなくなるんじゃないのか?
途端に得体の知れない恐怖が全身を包み、その影響か己の内にある願いに気づいてしまった。
……──何度も見惚れてしまうあの眩しすぎるものを、もっと見ていたい。そんな馬鹿げた願い。
それが、未来永劫叶わなくなるというのか?
『……──!』
馬鹿だ。俺はとんだ愚者だ。記憶に無く、身に覚えも無い懸想の為にこの身を賭すなど、無意味でしかないのに。……──記憶にない無数の感情が、愚かになれとこの体を突き動かす。
身に覚えのない懸想で嫉妬して、憤怒して。……まるで、道化のようじゃないか。
──あぁ、いいとも。彼女の笑顔を守れるのなら、道化で結構! いくらでも恋に溺れた馬鹿に成り下がってやる!!
『アンヘル……!?』
『あぁクソ、血がごっそりなくなった。後で補充しないと…………無事か、変人。無事じゃなかったらぶん殴るぞ』
『なんで?!』
俺が変人王子助けた一方で、フリードル・ヘル・フォーロイトも、災害野郎と青髪の騎士が助けたようだ。
……──これで、彼女は悲しまないだろうか。これで、彼女の笑顔を見られるだろうか。
『いい所に来てくれたな、イリオーデ! ちょっと、フリードルの相手を頼んでもいいか?』
『……何故私が?』
『ソイツ、アミレスの邪魔してるんだよ! あと──ぶっちゃけ、俺は相性が悪い!!』
……──アミレス。喪われた記憶の中の誰かも、そんな名前だった気がする。
そうだ。彼女は確か、そんな名前だった。『アミレス』…………その言葉が、不思議なぐらい心にすっぽりと収まる。
全然呼んだことがなくて後悔した名前。心で復唱するだけで胸が高鳴る名前。きっと、これが彼女の名前だ。
……思い出したい。あんたのこと、あんたと過ごした時間、あんたと交わした言葉……その全部をちゃんと思い出したい。
俺も他の連中みたいに──……あんたとの思い出が欲しくてたまらないんだ。
『なあ、変人。つい先程、おまえは『精神を狂わせることで人格改変を帳消しにする』と言っていたな?』
『え。この魔導具のことなら、まぁそうだけど……それがどうしたんだよ』
問うと、変人王子は訝しげにこちらを見遣る。
『ふぅん。いい事聞いたぜ』
『……?』
死ぬ気で掴み取った救済を自ら手放す恐怖だって、勿論ある。記録でしか知らないあの地獄をまた味わうなど、我ながら馬鹿だと思う。
だが、それでも。
『……──忘却機構、停止』
『忘却って……おいアンヘル! お前がそんな事したら────!!』
俺は。
あんたと過ごした時間の全てを。きっと何度も抱いたのであろう名前の無い感情を。一つたりとも取りこぼさず、全て取り戻したいんだ──……。
『なっ……何してるの、カイル?』
『大丈夫だよ、アミレス。理論上はね』
変人王子がそのこめかみに魔導兵器を突きつけると、彼女は酷く焦った様子で狼狽えた。
その姿を見てまた胸がチクリと痛んだ、その時。
『彼はなんと言っていたか──……そうだ、『諸君、狂いたまえ』だったか』
変人王子が、自分の頭を撃った。糸の切れた人形のように倒れたあいつに駆け寄り、『カイル! カイルッ!!』と彼女は何度も叫ぶ。
だがこの時ばかりは。俺は彼女の狼狽っぷりよりも、変人王子が使った魔導兵器に意識を持っていかれていた。
頭の中で次々と理論を組み立てる。あれこれと試行を繰り返し、やがて『主目的は、精神干渉。その銃は、高確率で精神崩壊を誘発する大博打の魔導具だ』と結論を弾き出すと、
『精神崩壊……? なんでそんなものを、カイルが…………』
彼女は信じられないとばかりに呟いた。
その目と目が合い、勝手に胸が高鳴る。前代未聞の魔導具を目にした喜びと、思い出せない誰かと言葉を交わした喜び。それらにより、我ながらびっくりする程声が弾む。
どうしてあそこまであの魔導具に興味惹かれたのか、今なら分かる。俺はきっと──あの魔導具があれば、忘却に囚われた俺でも記憶を全て取り戻せると、本能でそう悟ったのだろう。
改めて、変人王子の口から予想通りの効果を聞き、口角が自然と上がったと思えば、
『あのね、カイル。私──……■■っていうの』
『…………え?』
『フェアじゃないかなーと思って言っただけだから。気にしないでね』
『いや、ちょっ……何そのCO?! 俺の緊張感返して!?』
名も思い出せぬ彼女と、変人王子が、まるで睦言のように唇を寄せ合いひそひそと話す。それを見て、誰が笑っていられようか。
果てしなく怒りが湧き、胸が燃えるように苦しい。
『──なんだ、この胸焼けみたいな痛みは……?』
嫉妬か? それとも憤怒か? 火種の分からない焼けたような痛みが、この胸を焦がし苛立ちを募らせるのだ。
そうしてボーッとしてる間に、俺とフリードル・ヘル・フォーロイトは変人王子の魔法で隔離され、奴と戦う羽目になった──。
♢
『っ!?』
『手が悴んだか。この寒さの中では、人間は最良の状態を維持出来ない。──氷と戦闘に気を取られ、冷気に気づかなかったようだな、間抜け』
『ふっ……んなモン、こわくともなんともねぇよ! そもそも俺はなぁ──火の魔力も持ってんだわ!!』
『チッ…………しぶとい奴め……!』
変人王子とフリードル・ヘル・フォーロイトが戦っている。
何故俺はこんな状況に置かれているのか、と考えているうちに。あの二人の戦いは苛烈の一途を辿る。
『徒花よ、生命を吸い上げ咲き誇れ──氷華繚乱!』
『汝は魔女。汝は罪人。汝は架刑に処されし者。故に、汝はこの場にて死に至るだろう! 魂焦がす裁きの炎!!』
──あ、まずい。これ、二人共死ぬ。
俺は、直感でそう悟った。
どうする、どうすればいい? もしここでこいつ等が二人揃って死んだ日には──……、
『アンヘルも来てくれたんだ。朝弱いのに、ありがとう』
あいつは──俺の心を何度も奪った、身内にクソ甘い無責任なあの女は。もう、笑わなくなるんじゃないのか?
途端に得体の知れない恐怖が全身を包み、その影響か己の内にある願いに気づいてしまった。
……──何度も見惚れてしまうあの眩しすぎるものを、もっと見ていたい。そんな馬鹿げた願い。
それが、未来永劫叶わなくなるというのか?
『……──!』
馬鹿だ。俺はとんだ愚者だ。記憶に無く、身に覚えも無い懸想の為にこの身を賭すなど、無意味でしかないのに。……──記憶にない無数の感情が、愚かになれとこの体を突き動かす。
身に覚えのない懸想で嫉妬して、憤怒して。……まるで、道化のようじゃないか。
──あぁ、いいとも。彼女の笑顔を守れるのなら、道化で結構! いくらでも恋に溺れた馬鹿に成り下がってやる!!
『アンヘル……!?』
『あぁクソ、血がごっそりなくなった。後で補充しないと…………無事か、変人。無事じゃなかったらぶん殴るぞ』
『なんで?!』
俺が変人王子助けた一方で、フリードル・ヘル・フォーロイトも、災害野郎と青髪の騎士が助けたようだ。
……──これで、彼女は悲しまないだろうか。これで、彼女の笑顔を見られるだろうか。
『いい所に来てくれたな、イリオーデ! ちょっと、フリードルの相手を頼んでもいいか?』
『……何故私が?』
『ソイツ、アミレスの邪魔してるんだよ! あと──ぶっちゃけ、俺は相性が悪い!!』
……──アミレス。喪われた記憶の中の誰かも、そんな名前だった気がする。
そうだ。彼女は確か、そんな名前だった。『アミレス』…………その言葉が、不思議なぐらい心にすっぽりと収まる。
全然呼んだことがなくて後悔した名前。心で復唱するだけで胸が高鳴る名前。きっと、これが彼女の名前だ。
……思い出したい。あんたのこと、あんたと過ごした時間、あんたと交わした言葉……その全部をちゃんと思い出したい。
俺も他の連中みたいに──……あんたとの思い出が欲しくてたまらないんだ。
『なあ、変人。つい先程、おまえは『精神を狂わせることで人格改変を帳消しにする』と言っていたな?』
『え。この魔導具のことなら、まぁそうだけど……それがどうしたんだよ』
問うと、変人王子は訝しげにこちらを見遣る。
『ふぅん。いい事聞いたぜ』
『……?』
死ぬ気で掴み取った救済を自ら手放す恐怖だって、勿論ある。記録でしか知らないあの地獄をまた味わうなど、我ながら馬鹿だと思う。
だが、それでも。
『……──忘却機構、停止』
『忘却って……おいアンヘル! お前がそんな事したら────!!』
俺は。
あんたと過ごした時間の全てを。きっと何度も抱いたのであろう名前の無い感情を。一つたりとも取りこぼさず、全て取り戻したいんだ──……。
10
お気に入りに追加
622
あなたにおすすめの小説
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
【R18】騎士たちの監視対象になりました
ぴぃ
恋愛
異世界トリップしたヒロインが騎士や執事や貴族に愛されるお話。
*R18は告知無しです。
*複数プレイ有り。
*逆ハー
*倫理感緩めです。
*作者の都合の良いように作っています。
【※R-18】私のイケメン夫たちが、毎晩寝かせてくれません。
aika
恋愛
人類のほとんどが死滅し、女が数人しか生き残っていない世界。
生き残った繭(まゆ)は政府が運営する特別施設に迎えられ、たくさんの男性たちとひとつ屋根の下で暮らすことになる。
優秀な男性たちを集めて集団生活をさせているその施設では、一妻多夫制が取られ子孫を残すための営みが日々繰り広げられていた。
男性と比較して女性の数が圧倒的に少ないこの世界では、男性が妊娠できるように特殊な研究がなされ、彼らとの交わりで繭は多くの子を成すことになるらしい。
自分が担当する屋敷に案内された繭は、遺伝子的に優秀だと選ばれたイケメンたち数十人と共同生活を送ることになる。
【閲覧注意】※男性妊娠、悪阻などによる体調不良、治療シーン、出産シーン、複数プレイ、などマニアックな(あまりグロくはないと思いますが)描写が出てくる可能性があります。
たくさんのイケメン夫に囲まれて、逆ハーレムな生活を送りたいという女性の願望を描いています。
最愛の番~300年後の未来は一妻多夫の逆ハーレム!!? イケメン旦那様たちに溺愛されまくる~
ちえり
恋愛
幼い頃から可愛い幼馴染と比較されてきて、自分に自信がない高坂 栞(コウサカシオリ)17歳。
ある日、学校帰りに事故に巻き込まれ目が覚めると300年後の時が経ち、女性だけ死に至る病の流行や、年々女子の出生率の低下で女は2割ほどしか存在しない世界になっていた。
一妻多夫が認められ、女性はフェロモンだして男性を虜にするのだが、栞のフェロモンは世の男性を虜にできるほどの力を持つ『α+』(アルファプラス)に認定されてイケメン達が栞に番を結んでもらおうと近寄ってくる。
目が覚めたばかりなのに、旦那候補が5人もいて初めて会うのに溺愛されまくる。さらに、自分と番になりたい男性がまだまだいっぱいいるの!!?
「恋愛経験0の私にはイケメンに愛されるなんてハードすぎるよ~」
6年間姿を消していたら、ヤンデレ幼馴染達からの愛情が限界突破していたようです~聖女は監禁・心中ルートを回避したい~
皇 翼
恋愛
グレシュタット王国の第一王女にして、この世界の聖女に選定されたロザリア=テンペラスト。昔から魔法とも魔術とも異なる不思議な力を持っていた彼女は初潮を迎えた12歳のある日、とある未来を視る。
それは、彼女の18歳の誕生日を祝う夜会にて。襲撃を受け、そのまま死亡する。そしてその『死』が原因でグレシュタットとガリレアン、コルレア3国間で争いの火種が生まれ、戦争に発展する――という恐ろしいものだった。
それらを視たロザリアは幼い身で決意することになる。自分の未来の死を回避するため、そしてついでに3国で勃発する戦争を阻止するため、行動することを。
「お父様、私は明日死にます!」
「ロザリア!!?」
しかしその選択は別の意味で地獄を産み出していた。ヤンデレ地獄を作り出していたのだ。後々後悔するとも知らず、彼女は自分の道を歩み続ける。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
気づいたら異世界で、第二の人生始まりそうです
おいも
恋愛
私、橋本凛花は、昼は大学生。夜はキャバ嬢をし、母親の借金の返済をすべく、仕事一筋、恋愛もしないで、一生懸命働いていた。
帰り道、事故に遭い、目を覚ますと、まるで中世の屋敷のような場所にいて、漫画で見たような異世界へと飛ばされてしまったようだ。
加えて、突然現れた見知らぬイケメンは私の父親だという。
父親はある有名な公爵貴族であり、私はずっと前にいなくなった娘に瓜二つのようで、人違いだと言っても全く信じてもらえない、、、!
そこからは、なんだかんだ丸め込まれ公爵令嬢リリーとして過ごすこととなった。
不思議なことに、私は10歳の時に一度行方不明になったことがあり、加えて、公爵令嬢であったリリーも10歳の誕生日を迎えた朝、屋敷から忽然といなくなったという。
しかも異世界に来てから、度々何かの記憶が頭の中に流れる。それは、まるでリリーの記憶のようで、私とリリーにはどのようなの関係があるのか。
そして、信じられないことに父によると私には婚約者がいるそうで、大混乱。仕事として男性と喋ることはあっても、恋愛をしたことのない私に突然婚約者だなんて絶対無理!
でも、父は婚約者に合わせる気がなく、理由も、「あいつはリリーに会ったら絶対に暴走する。危険だから絶対に会わせない。」と言っていて、意味はわからないが、会わないならそれはそれでラッキー!
しかも、この世界は一妻多夫制であり、リリーはその容貌から多くの人に求婚されていたそう!というか、一妻多夫なんて、前の世界でも聞いたことないですが?!
そこから多くのハプニングに巻き込まれ、その都度魅力的なイケメン達に出会い、この世界で第二の人生を送ることとなる。
私の第二の人生、どうなるの????
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる