697 / 765
第五章・帝国の王女
621,5.Interlude Story:Valets
しおりを挟む
「何故お前がここにいるんだ。ルティ」
「……俺だって可能なら君の顔なんて見に来たくはなかったよ。でも主君の頼みだから」
イリオーデは眉を顰めた。
友達を自宅に招く程には快復しているものの、念の為にと療養を言い渡されたアミレスの代理として、妖精族侵略事件及び帝都復興計画に関する会議に出席した帰りのこと。
王城の大会議室を出て程なくして、私兵団制服を翻して歩く彼の前に見飽きた顔が現れたのだ。
清潔感のある燕尾服を着こなし、艶のある黒髪を少しばかり耳にかける彼の姿は、まさに完璧なる執事。
イリオーデの物言いに、仕方ないんだよ。と、顰めっ面でアルベルトはため息を吐く。その手に握られた紙には、アミレスの筆跡が。
「王女殿下はなんと?」
(俺のことはスルーかよ……)
「──はあ。おつかいしてこいってさ」
呆れ顔のアルベルトより渡された紙には、なんてことはない内容が書かれていた。
【ルティとイリオーデへ。どうか内密に、以下の品物を調達してきてちょうだい。
・紅茶の茶葉 何種類か多めに欲しいわ。
・砂糖 とりあえずいっぱい。
・卵 念の為に十個ぐらい欲しいかも。
・中力粉 とりあえずいっぱい。
・植物油 一本あればいいかな。
追伸:カモフラージュ用に貴方達の欲しいもの、なんでもいいから買ってきてね。お金はルティに渡してあるから! よろしくね。アミレス・ヘル・フォーロイトより】
まるで買い出しのメモのようなそれを二人で覗き込み、やがて彼等はほぼ同時に顔を上げる。ほんの瞬きの間互いの目をじっと見つめ、先に切り出したのはイリオーデだった。
「……本当におつかいではないか」
「だからそう言ったでしょ。俺達は今から二人でこれを買いに行くの。……買い出しなら俺一人でじゅうぶんなのに。なんで騎士君まで」
「何か言ったか? それと私はイリオーデだ」
「とにかく早く仕事を済ませよう。ほら、さっさと行くよ」
イリオーデの言葉を遮るように、アルベルトはズカズカと先を行かんとする。その背を見遣り、イリオーデは呆れの息を一つ。
(この男、いつまで経っても人の名前を覚えようともしない。もはや覚える覚えないの次元ではないだろう。何らかの病なのではなかろうか)
「──おい、そこの愚犬。馬鹿の一つ覚えに突っ走るな」
「何その言い方。騎士君にいびられたって主君に言いつけるよ」
「どこにその証拠が?」
「……君、本っ当に腹黒いよね」
(──それを主君には隠してるあたり、性質が悪い!)
やいのやいのと噛みつき合いつつ、執事と騎士は共に城を出て、街に下っていく。
周囲からの視線を集めながらも手紙に書かれた品物を着々と購入し、時に若い娘に時にご婦人方に声をかけられつつ、彼等は目的の品を買い揃えた。
しかし、まだ帰宅はしない。彼等にはまだ買わなければならないものがあるのである。
「食材は買えたから、あとはこの──『俺達が欲しいもの』を買わないといけないのか」
「そうだな。しかし……これはあくまでも王女殿下の財産。我々が使い込む訳にもいかないだろう」
「じゃあどこかで適当に安物でも買っていく?」
「それが最善だな」
今一度アミレスからの手紙を二人で覗き込みつつ、彼等は軽く話し合った。
燕尾服を着た美男子と、騎士服を着た美丈夫。彼等が並んで歩くと、そこはもはや花道と化す。
周囲ではもれなく黄色い声援が上がるのだが、彼等はこれを無視。眼中にも無いのか周囲をキョロキョロと見渡しては、何か良さげな店はないかと目を凝らした、その時。
「きゃああああああああっ! 泥棒ーーっ!!」
通りの先から女性の悲鳴が聞こえて来た。
「! ──騎士君!」
「行くぞ、ルティ」
二人は同時に駆け出した。もしもここにアミレスが居たのなら、迷わずこう動くだろう。──そんな確信を以て、彼等は王女の従僕として恥じぬ行動に出たのである。
「へへっ、建国祭間近ってこともあって、どこの露店も金を多めに置いてやがる。いいカモだぜ、こりゃあ!」
次々と露店を襲撃して金品を強奪していく男は、覆面の下で下卑た笑みを浮かべた。多くの人が行き交う通りを前傾姿勢で駆け抜ける男の前に、燕尾服を靡かせる男が立ち塞がる。
(手荒過ぎると、主君の評価に響くかもしれない)
「──執事らしくスマートにいこうか」
荷物片手にアルベルトはトンットンッ、と軽く跳ぶ。そこに、
(あの身なりの良さ……貴族の従者ってところか。もののついでだ、アイツから金目のモンをスってやれ!)
まんまと泥棒が突っ込んできた。悪質なタックルを繰り出す中肉中背の男の頭目掛け、アルベルトはラリアットの如く鮮やかな回し蹴りをお見舞いする。
「ぐぶぅッッッ!?」
長くしなやかな脚とスワローテイルが美しい円を描く。バランスを崩すことなく華麗に着地して、さらりと落ちてきた髪を耳にかけ直し、アルベルトは回し蹴りで吹っ飛んだ男へと視線を移した。
露店の前ではこうなる事を予測したイリオーデが先回りし、吹っ飛ばされた男の襟首を掴んで確保しているではないか。
「まったく……蹴り飛ばすならばせめて露店が無い方向にしろ。あのままでは市民に被害が出ていたやもしれないだろう」
「騎士君がいるから大丈夫だと思って。それより犯人はどう? 死んではいない筈だけど」
「見ての通り息はある。だが顔面が古びた雑巾のようだ」
「そう。生きてるならよかった。それじゃあさっさと警備隊に引き渡そう」
あまりの衝撃から意識を失っている男を抱え、彼等は巡回中の警備隊の元に向かった。警備隊の詰所は現在地から少し離れた場所にあるので、手っ取り早く付近の警備隊員へと泥棒を引き渡したのだ。
「──ただいま戻りました、主君。こちら、例の品になります」
「時間がかかってしまい申し訳ございません、王女殿下」
用事を済ませた彼等は真っ直ぐ帰路につき、東宮に戻ってきた。そしてアミレスの部屋を訪ね、戦果を報告する。「おかえり二人共」と笑顔で出迎えたのち、荷物の中身を確認して彼女は満足気に笑う。
「うん、バッチリ! ありがとう。ルティ、イリオーデ」
その無邪気な笑顔に彼等の心は満たされる。この笑顔の為ならば、気に食わない男との外出とて我慢出来るだろう──。そう、思えてしまう程に。
「主君。次からは俺一人に頼んでくださいね。おつかいぐらいならば俺一人でも出来ますので」
「それはこちらの台詞だ。王女殿下、この男よりも私の方がより優れた買い物をしてみせます」
「ま、まあまあ……落ち着いて二人共……」
(──こうやって喧嘩してばかりだから、二人で行ってきて! って頼んだんだけどなぁ)
我慢は出来るが……やはり、やらなくてもいいのならば、断然やらない方が望ましいようだ。
寧ろもう二度と、二人きりで外出などしたくなさそうなイリオーデとアルベルトを見て、アミレスは頭を悩ませるのであった……。
「……俺だって可能なら君の顔なんて見に来たくはなかったよ。でも主君の頼みだから」
イリオーデは眉を顰めた。
友達を自宅に招く程には快復しているものの、念の為にと療養を言い渡されたアミレスの代理として、妖精族侵略事件及び帝都復興計画に関する会議に出席した帰りのこと。
王城の大会議室を出て程なくして、私兵団制服を翻して歩く彼の前に見飽きた顔が現れたのだ。
清潔感のある燕尾服を着こなし、艶のある黒髪を少しばかり耳にかける彼の姿は、まさに完璧なる執事。
イリオーデの物言いに、仕方ないんだよ。と、顰めっ面でアルベルトはため息を吐く。その手に握られた紙には、アミレスの筆跡が。
「王女殿下はなんと?」
(俺のことはスルーかよ……)
「──はあ。おつかいしてこいってさ」
呆れ顔のアルベルトより渡された紙には、なんてことはない内容が書かれていた。
【ルティとイリオーデへ。どうか内密に、以下の品物を調達してきてちょうだい。
・紅茶の茶葉 何種類か多めに欲しいわ。
・砂糖 とりあえずいっぱい。
・卵 念の為に十個ぐらい欲しいかも。
・中力粉 とりあえずいっぱい。
・植物油 一本あればいいかな。
追伸:カモフラージュ用に貴方達の欲しいもの、なんでもいいから買ってきてね。お金はルティに渡してあるから! よろしくね。アミレス・ヘル・フォーロイトより】
まるで買い出しのメモのようなそれを二人で覗き込み、やがて彼等はほぼ同時に顔を上げる。ほんの瞬きの間互いの目をじっと見つめ、先に切り出したのはイリオーデだった。
「……本当におつかいではないか」
「だからそう言ったでしょ。俺達は今から二人でこれを買いに行くの。……買い出しなら俺一人でじゅうぶんなのに。なんで騎士君まで」
「何か言ったか? それと私はイリオーデだ」
「とにかく早く仕事を済ませよう。ほら、さっさと行くよ」
イリオーデの言葉を遮るように、アルベルトはズカズカと先を行かんとする。その背を見遣り、イリオーデは呆れの息を一つ。
(この男、いつまで経っても人の名前を覚えようともしない。もはや覚える覚えないの次元ではないだろう。何らかの病なのではなかろうか)
「──おい、そこの愚犬。馬鹿の一つ覚えに突っ走るな」
「何その言い方。騎士君にいびられたって主君に言いつけるよ」
「どこにその証拠が?」
「……君、本っ当に腹黒いよね」
(──それを主君には隠してるあたり、性質が悪い!)
やいのやいのと噛みつき合いつつ、執事と騎士は共に城を出て、街に下っていく。
周囲からの視線を集めながらも手紙に書かれた品物を着々と購入し、時に若い娘に時にご婦人方に声をかけられつつ、彼等は目的の品を買い揃えた。
しかし、まだ帰宅はしない。彼等にはまだ買わなければならないものがあるのである。
「食材は買えたから、あとはこの──『俺達が欲しいもの』を買わないといけないのか」
「そうだな。しかし……これはあくまでも王女殿下の財産。我々が使い込む訳にもいかないだろう」
「じゃあどこかで適当に安物でも買っていく?」
「それが最善だな」
今一度アミレスからの手紙を二人で覗き込みつつ、彼等は軽く話し合った。
燕尾服を着た美男子と、騎士服を着た美丈夫。彼等が並んで歩くと、そこはもはや花道と化す。
周囲ではもれなく黄色い声援が上がるのだが、彼等はこれを無視。眼中にも無いのか周囲をキョロキョロと見渡しては、何か良さげな店はないかと目を凝らした、その時。
「きゃああああああああっ! 泥棒ーーっ!!」
通りの先から女性の悲鳴が聞こえて来た。
「! ──騎士君!」
「行くぞ、ルティ」
二人は同時に駆け出した。もしもここにアミレスが居たのなら、迷わずこう動くだろう。──そんな確信を以て、彼等は王女の従僕として恥じぬ行動に出たのである。
「へへっ、建国祭間近ってこともあって、どこの露店も金を多めに置いてやがる。いいカモだぜ、こりゃあ!」
次々と露店を襲撃して金品を強奪していく男は、覆面の下で下卑た笑みを浮かべた。多くの人が行き交う通りを前傾姿勢で駆け抜ける男の前に、燕尾服を靡かせる男が立ち塞がる。
(手荒過ぎると、主君の評価に響くかもしれない)
「──執事らしくスマートにいこうか」
荷物片手にアルベルトはトンットンッ、と軽く跳ぶ。そこに、
(あの身なりの良さ……貴族の従者ってところか。もののついでだ、アイツから金目のモンをスってやれ!)
まんまと泥棒が突っ込んできた。悪質なタックルを繰り出す中肉中背の男の頭目掛け、アルベルトはラリアットの如く鮮やかな回し蹴りをお見舞いする。
「ぐぶぅッッッ!?」
長くしなやかな脚とスワローテイルが美しい円を描く。バランスを崩すことなく華麗に着地して、さらりと落ちてきた髪を耳にかけ直し、アルベルトは回し蹴りで吹っ飛んだ男へと視線を移した。
露店の前ではこうなる事を予測したイリオーデが先回りし、吹っ飛ばされた男の襟首を掴んで確保しているではないか。
「まったく……蹴り飛ばすならばせめて露店が無い方向にしろ。あのままでは市民に被害が出ていたやもしれないだろう」
「騎士君がいるから大丈夫だと思って。それより犯人はどう? 死んではいない筈だけど」
「見ての通り息はある。だが顔面が古びた雑巾のようだ」
「そう。生きてるならよかった。それじゃあさっさと警備隊に引き渡そう」
あまりの衝撃から意識を失っている男を抱え、彼等は巡回中の警備隊の元に向かった。警備隊の詰所は現在地から少し離れた場所にあるので、手っ取り早く付近の警備隊員へと泥棒を引き渡したのだ。
「──ただいま戻りました、主君。こちら、例の品になります」
「時間がかかってしまい申し訳ございません、王女殿下」
用事を済ませた彼等は真っ直ぐ帰路につき、東宮に戻ってきた。そしてアミレスの部屋を訪ね、戦果を報告する。「おかえり二人共」と笑顔で出迎えたのち、荷物の中身を確認して彼女は満足気に笑う。
「うん、バッチリ! ありがとう。ルティ、イリオーデ」
その無邪気な笑顔に彼等の心は満たされる。この笑顔の為ならば、気に食わない男との外出とて我慢出来るだろう──。そう、思えてしまう程に。
「主君。次からは俺一人に頼んでくださいね。おつかいぐらいならば俺一人でも出来ますので」
「それはこちらの台詞だ。王女殿下、この男よりも私の方がより優れた買い物をしてみせます」
「ま、まあまあ……落ち着いて二人共……」
(──こうやって喧嘩してばかりだから、二人で行ってきて! って頼んだんだけどなぁ)
我慢は出来るが……やはり、やらなくてもいいのならば、断然やらない方が望ましいようだ。
寧ろもう二度と、二人きりで外出などしたくなさそうなイリオーデとアルベルトを見て、アミレスは頭を悩ませるのであった……。
20
お気に入りに追加
622
あなたにおすすめの小説
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
【R18】騎士たちの監視対象になりました
ぴぃ
恋愛
異世界トリップしたヒロインが騎士や執事や貴族に愛されるお話。
*R18は告知無しです。
*複数プレイ有り。
*逆ハー
*倫理感緩めです。
*作者の都合の良いように作っています。
最愛の番~300年後の未来は一妻多夫の逆ハーレム!!? イケメン旦那様たちに溺愛されまくる~
ちえり
恋愛
幼い頃から可愛い幼馴染と比較されてきて、自分に自信がない高坂 栞(コウサカシオリ)17歳。
ある日、学校帰りに事故に巻き込まれ目が覚めると300年後の時が経ち、女性だけ死に至る病の流行や、年々女子の出生率の低下で女は2割ほどしか存在しない世界になっていた。
一妻多夫が認められ、女性はフェロモンだして男性を虜にするのだが、栞のフェロモンは世の男性を虜にできるほどの力を持つ『α+』(アルファプラス)に認定されてイケメン達が栞に番を結んでもらおうと近寄ってくる。
目が覚めたばかりなのに、旦那候補が5人もいて初めて会うのに溺愛されまくる。さらに、自分と番になりたい男性がまだまだいっぱいいるの!!?
「恋愛経験0の私にはイケメンに愛されるなんてハードすぎるよ~」
【※R-18】私のイケメン夫たちが、毎晩寝かせてくれません。
aika
恋愛
人類のほとんどが死滅し、女が数人しか生き残っていない世界。
生き残った繭(まゆ)は政府が運営する特別施設に迎えられ、たくさんの男性たちとひとつ屋根の下で暮らすことになる。
優秀な男性たちを集めて集団生活をさせているその施設では、一妻多夫制が取られ子孫を残すための営みが日々繰り広げられていた。
男性と比較して女性の数が圧倒的に少ないこの世界では、男性が妊娠できるように特殊な研究がなされ、彼らとの交わりで繭は多くの子を成すことになるらしい。
自分が担当する屋敷に案内された繭は、遺伝子的に優秀だと選ばれたイケメンたち数十人と共同生活を送ることになる。
【閲覧注意】※男性妊娠、悪阻などによる体調不良、治療シーン、出産シーン、複数プレイ、などマニアックな(あまりグロくはないと思いますが)描写が出てくる可能性があります。
たくさんのイケメン夫に囲まれて、逆ハーレムな生活を送りたいという女性の願望を描いています。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
6年間姿を消していたら、ヤンデレ幼馴染達からの愛情が限界突破していたようです~聖女は監禁・心中ルートを回避したい~
皇 翼
恋愛
グレシュタット王国の第一王女にして、この世界の聖女に選定されたロザリア=テンペラスト。昔から魔法とも魔術とも異なる不思議な力を持っていた彼女は初潮を迎えた12歳のある日、とある未来を視る。
それは、彼女の18歳の誕生日を祝う夜会にて。襲撃を受け、そのまま死亡する。そしてその『死』が原因でグレシュタットとガリレアン、コルレア3国間で争いの火種が生まれ、戦争に発展する――という恐ろしいものだった。
それらを視たロザリアは幼い身で決意することになる。自分の未来の死を回避するため、そしてついでに3国で勃発する戦争を阻止するため、行動することを。
「お父様、私は明日死にます!」
「ロザリア!!?」
しかしその選択は別の意味で地獄を産み出していた。ヤンデレ地獄を作り出していたのだ。後々後悔するとも知らず、彼女は自分の道を歩み続ける。
マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました
東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。
攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる!
そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。
気づいたら異世界で、第二の人生始まりそうです
おいも
恋愛
私、橋本凛花は、昼は大学生。夜はキャバ嬢をし、母親の借金の返済をすべく、仕事一筋、恋愛もしないで、一生懸命働いていた。
帰り道、事故に遭い、目を覚ますと、まるで中世の屋敷のような場所にいて、漫画で見たような異世界へと飛ばされてしまったようだ。
加えて、突然現れた見知らぬイケメンは私の父親だという。
父親はある有名な公爵貴族であり、私はずっと前にいなくなった娘に瓜二つのようで、人違いだと言っても全く信じてもらえない、、、!
そこからは、なんだかんだ丸め込まれ公爵令嬢リリーとして過ごすこととなった。
不思議なことに、私は10歳の時に一度行方不明になったことがあり、加えて、公爵令嬢であったリリーも10歳の誕生日を迎えた朝、屋敷から忽然といなくなったという。
しかも異世界に来てから、度々何かの記憶が頭の中に流れる。それは、まるでリリーの記憶のようで、私とリリーにはどのようなの関係があるのか。
そして、信じられないことに父によると私には婚約者がいるそうで、大混乱。仕事として男性と喋ることはあっても、恋愛をしたことのない私に突然婚約者だなんて絶対無理!
でも、父は婚約者に合わせる気がなく、理由も、「あいつはリリーに会ったら絶対に暴走する。危険だから絶対に会わせない。」と言っていて、意味はわからないが、会わないならそれはそれでラッキー!
しかも、この世界は一妻多夫制であり、リリーはその容貌から多くの人に求婚されていたそう!というか、一妻多夫なんて、前の世界でも聞いたことないですが?!
そこから多くのハプニングに巻き込まれ、その都度魅力的なイケメン達に出会い、この世界で第二の人生を送ることとなる。
私の第二の人生、どうなるの????
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる