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第五章・帝国の王女
582.Main Story:Ameless
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魔法少女のように変身した師匠の、鏖殺宣言の直後。四体の精霊が姿を消し、
「ぐぁあああああああああああッ!」
「あッ~~~~~~!?」
「ぎぃいッッッ?!」
「ピャァ、ッ──────」
妖精の群の各所から、血飛沫と断末魔が上がるようになった。それだけではない。業火や、雷撃や、氷河や、深淵といった、人の手には負えない超上的な自然現象が、次々と巻き起こる。
その光景、まさに地獄のよう。
「くっ……精霊が……!」
「今すぐ女王陛下をお守りしろ!! 星騎士が暴れ出しては我々も分が悪い!!」
「饗宴を荒らす邪魔者共め──!」
師匠達のあまりの猛攻に、妖精は統制を乱して逃げ惑う。中にはなんとか抵抗している妖精もいるのだが、師匠とフリザセアさんの連携には歯が立たず、あっという間に命を散らしていた。
だが、依然として妖精の数は多い。そして妖精の中には、
「女王陛下はあの人間の眼球をご所望だ」
「献上しよう。献上しなければ」
「精霊なんてどうでもいい。大事なのは女王様の望みを叶える事だけだ!」
妖精女王がそう望んだから、私の目を採取しようとする者達もいて。精霊さん達だけに戦闘を任せ、ハイ終了とはいかなさそうだ。
「……戦わないと」
白夜を佩いてからアマテラスを喚び、構える。この剣の能力がどれ程、妖精の奇跡を上回れるか定かではないが……やるしかない。
守られてばかりでは駄目だ。自分の身くらい、自分で守る!
「──おいおい親友。一人で戦おうとするなよ。寂しいじゃねぇか」
「そうだぞアミレス。なんの為にオレ達が共にいると思っているんだ」
「カイル? マクベスタも……」
アンヘルを抱えているカイルと、堕天族らしく翼と光輪を携えるマクベスタが、一歩前に踏み出して横に並ぶ。
すると、
「退け、カイル・ディ・ハミル。邪魔だ」
「姫君からの心象回復の為、ここは一つ頑張りましょうか」
「妖精かぁ……私に倒せるかなぁ」
自称天使その二とその三、フリードルとミカリアに続き、リードさんも前に出た。
「もう疲れたんだけど……」
「嘘をつくな。オマエがこんなにも早く疲れる訳がない」
「バレたか」
「息一つ切らさずに、よく言うな」
ユーキとセインカラッドが小突き合う傍らで、
「頑張ろうね、兄ちゃん」
「うん。俺達も、俺達に出来る限りのことをしよう」
打って変わって、サラとアルベルトが拳をこつんと合わせていた。
「イリオーデ。俺に、何か出来ることはあるだろうか」
「……空気中に毒を蔓延させる、とか」
「それは普通に俺達も危険だと思うぞ」
「言葉が足りなかったな。妖精にとって毒であるものを撒き散らせばいいのでは、と私は言いたかったのだ」
「なるほど。それはいい作戦だ」
シャルとイリオーデが、何やらバイオテロに手を染めようとしている。が、人間に害が出ないのなら……まあ、いいか。非常時だし。と極悪非道な考えのもと、スルーする。
「あのっ! 治癒とか、それぐらいしか出来ないけど……あたしも、一緒に戦う……ます!!」
「……ミシェルがこう言ってるから。おれも、ミシェルを守るために、戦う」
「ミシェルちゃん、ロイ……っ、ありがとう。一緒に頑張ろうね」
「はっ、はい!」
「フン」
彼女自身もかなり疲労の色が見えているというのに。それでもミシェルちゃんは立ち上がってくれた。
……『彼女』は、私が愛した本物のミシェルちゃんではないけれど。元々、ミシェルちゃんになっても問題ないぐらい、優しくて責任感のある女の子だったようだ。
「──もしもの時はオレサマだって介入してやる。だから好きなだけ暴れて来い、アミレス」
「わっ!」
ニヤリと笑うシュヴァルツの大きな手が、頭の上に置かれる。ごつごつとした指が引っ付くように頭部を這い、ヘアセットなどお構い無しでぐしゃぐしゃと頭を撫で回された。
髪を結っていたので、頭のぐしゃぐしゃっぷりは想像に難くない。
でも、不思議と嫌な気分ではない。──これが彼なりの激励であると、その手から伝わってきたから。
「任せて。思いっきりぶちかましてくるわ!」
親指を立て、王女らしさなど欠片もない、無骨な笑顔と仕草で宣言する。
するとシュヴァルツは目を丸くして、
「……本当に、お前さんはどこまでも…………」
僅かに唇を動かしたかと思えば、
「──このオレサマが、お前達の戦いを見届けてやる。どうか楽しませてくれよ?」
パッと不敵な笑みを浮かべ、そう言い残しては姿を消した。きっと、戦闘中邪魔にならないようにと気を配ってくれたのだろう。
未だ意識不明の約一名を除いた攻略対象全員と、ヒロイン、悪役王女、特定ルートのラスボス、攻略対象のモブ同然な身内勢。
この場には、リアルイベントや特典ドラマCDでも中々見ない顔ぶれが揃い踏みだ。
ならばきっと、強大な敵にだって勝てるだろう。
「……──よくも、皆を巻き込んでくれたわね」
諸悪の根源──妖精女王を睨み、大きく息を吸って、押し殺して来た感情を全て込めて叫ぶ。
「『私』のものに手を出したこと、絶対に後悔させてやる!!!!」
こうして、戦いの火蓋は切って落とされた。
「ぐぁあああああああああああッ!」
「あッ~~~~~~!?」
「ぎぃいッッッ?!」
「ピャァ、ッ──────」
妖精の群の各所から、血飛沫と断末魔が上がるようになった。それだけではない。業火や、雷撃や、氷河や、深淵といった、人の手には負えない超上的な自然現象が、次々と巻き起こる。
その光景、まさに地獄のよう。
「くっ……精霊が……!」
「今すぐ女王陛下をお守りしろ!! 星騎士が暴れ出しては我々も分が悪い!!」
「饗宴を荒らす邪魔者共め──!」
師匠達のあまりの猛攻に、妖精は統制を乱して逃げ惑う。中にはなんとか抵抗している妖精もいるのだが、師匠とフリザセアさんの連携には歯が立たず、あっという間に命を散らしていた。
だが、依然として妖精の数は多い。そして妖精の中には、
「女王陛下はあの人間の眼球をご所望だ」
「献上しよう。献上しなければ」
「精霊なんてどうでもいい。大事なのは女王様の望みを叶える事だけだ!」
妖精女王がそう望んだから、私の目を採取しようとする者達もいて。精霊さん達だけに戦闘を任せ、ハイ終了とはいかなさそうだ。
「……戦わないと」
白夜を佩いてからアマテラスを喚び、構える。この剣の能力がどれ程、妖精の奇跡を上回れるか定かではないが……やるしかない。
守られてばかりでは駄目だ。自分の身くらい、自分で守る!
「──おいおい親友。一人で戦おうとするなよ。寂しいじゃねぇか」
「そうだぞアミレス。なんの為にオレ達が共にいると思っているんだ」
「カイル? マクベスタも……」
アンヘルを抱えているカイルと、堕天族らしく翼と光輪を携えるマクベスタが、一歩前に踏み出して横に並ぶ。
すると、
「退け、カイル・ディ・ハミル。邪魔だ」
「姫君からの心象回復の為、ここは一つ頑張りましょうか」
「妖精かぁ……私に倒せるかなぁ」
自称天使その二とその三、フリードルとミカリアに続き、リードさんも前に出た。
「もう疲れたんだけど……」
「嘘をつくな。オマエがこんなにも早く疲れる訳がない」
「バレたか」
「息一つ切らさずに、よく言うな」
ユーキとセインカラッドが小突き合う傍らで、
「頑張ろうね、兄ちゃん」
「うん。俺達も、俺達に出来る限りのことをしよう」
打って変わって、サラとアルベルトが拳をこつんと合わせていた。
「イリオーデ。俺に、何か出来ることはあるだろうか」
「……空気中に毒を蔓延させる、とか」
「それは普通に俺達も危険だと思うぞ」
「言葉が足りなかったな。妖精にとって毒であるものを撒き散らせばいいのでは、と私は言いたかったのだ」
「なるほど。それはいい作戦だ」
シャルとイリオーデが、何やらバイオテロに手を染めようとしている。が、人間に害が出ないのなら……まあ、いいか。非常時だし。と極悪非道な考えのもと、スルーする。
「あのっ! 治癒とか、それぐらいしか出来ないけど……あたしも、一緒に戦う……ます!!」
「……ミシェルがこう言ってるから。おれも、ミシェルを守るために、戦う」
「ミシェルちゃん、ロイ……っ、ありがとう。一緒に頑張ろうね」
「はっ、はい!」
「フン」
彼女自身もかなり疲労の色が見えているというのに。それでもミシェルちゃんは立ち上がってくれた。
……『彼女』は、私が愛した本物のミシェルちゃんではないけれど。元々、ミシェルちゃんになっても問題ないぐらい、優しくて責任感のある女の子だったようだ。
「──もしもの時はオレサマだって介入してやる。だから好きなだけ暴れて来い、アミレス」
「わっ!」
ニヤリと笑うシュヴァルツの大きな手が、頭の上に置かれる。ごつごつとした指が引っ付くように頭部を這い、ヘアセットなどお構い無しでぐしゃぐしゃと頭を撫で回された。
髪を結っていたので、頭のぐしゃぐしゃっぷりは想像に難くない。
でも、不思議と嫌な気分ではない。──これが彼なりの激励であると、その手から伝わってきたから。
「任せて。思いっきりぶちかましてくるわ!」
親指を立て、王女らしさなど欠片もない、無骨な笑顔と仕草で宣言する。
するとシュヴァルツは目を丸くして、
「……本当に、お前さんはどこまでも…………」
僅かに唇を動かしたかと思えば、
「──このオレサマが、お前達の戦いを見届けてやる。どうか楽しませてくれよ?」
パッと不敵な笑みを浮かべ、そう言い残しては姿を消した。きっと、戦闘中邪魔にならないようにと気を配ってくれたのだろう。
未だ意識不明の約一名を除いた攻略対象全員と、ヒロイン、悪役王女、特定ルートのラスボス、攻略対象のモブ同然な身内勢。
この場には、リアルイベントや特典ドラマCDでも中々見ない顔ぶれが揃い踏みだ。
ならばきっと、強大な敵にだって勝てるだろう。
「……──よくも、皆を巻き込んでくれたわね」
諸悪の根源──妖精女王を睨み、大きく息を吸って、押し殺して来た感情を全て込めて叫ぶ。
「『私』のものに手を出したこと、絶対に後悔させてやる!!!!」
こうして、戦いの火蓋は切って落とされた。
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