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第四章・興国の王女
319.薔薇の君へ、花車を6
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「急にお呼び出しってまた何かあったんすか──って、マジで何があったの姫さん!? 全身ずぶ濡れじゃないッスか!」
重い隈を引っ提げてエンヴィーは現れた。
頭の上でバケツをひっくり返したかのように全身ずぶ濡れのアミレスを見て、エンヴィーはギョッとした顔になり、
「ええと……とりあえず、風邪引いたらマズイんで、俺の服着ておいてください」
慌てて服を脱いで、膝を折りアミレスにそれを掛けた。エンヴィーとアミレスの体格差もあって、その服は余裕をもってアミレスを包み込む。
その優しさに触れて、彼女は感極まった。
「うぅ……ししょお~~っ!」
「ど、どーしたんすか? 俺を呼び出す程の事だから、やっぱり何かあったんすね?」
勢いよくエンヴィーの逞しい胸元に飛び込み、アミレスは彼に縋りついた。
アミレスがこんな風に振る舞う事はかなり珍しい。だから彼は、非常に困惑しながらもアミレスの話を聞く姿勢に入る。
(姫さんがこれだけ取り乱す、って一体何があったんだ?)
少し不安な気持ちを頭の片隅に残しつつ、エンヴィーはアミレスの背中を優しく摩った。その温かみに少し落ち着いたのか、彼女は雨音に負けるぐらいの小さな声で、ぽつりぽつりと話し始めた。
聞けば聞く程、エンヴィーの表情が消えていく。まさに雨で流されていく汚れのように……彼の顔から、色という色が抜け落ちてゆくのだ。
「……──姫さん。これだけは確認させてください。姫さんは、人命救助だからとシュヴァルツに無理やりキスされて…………嫌でした?」
いつもの気さくな雰囲気など、今の彼からは表情と共に失われていた。低く真剣な声。一切笑わぬ瞳を携えた真顔。
エンヴィーは感情の起伏が激しい激情型の精霊だった。そんな彼が心の底から怒る時、その先には分岐路があった。
一つは全てを燃やし尽くす業火の怒り。
もう一つは、灼熱を蓄える劫火の怒り。
今回は後者に当たるらしい。大事な大事な一番星を傷つけられて、彼は心の底から憤怒していた。
今すぐにでもシュヴァルツを始末してやる。そう、エンヴィーは考えた。しかしその前にアミレスの意思を確認しておかねばとも考えたのだ。
憎き相手と言えども、シュヴァルツをアミレスが気に入ってる事実に変わりはない。もし彼女の意思を無視して始末したなら……きっと、アミレスは悲しむだろう。
アミレスのお人好しっぷりを知っているエンヴィーは、その可能性を危惧しているのだ。
「……嫌とか、分かんないよ。だって比較対象が無いもん。何が良くて、悪いのか……全然分かんない」
エンヴィーの胸元に顔を埋めながら、アミレスは心境を吐露する。
答えになっていないその返答に、エンヴィーは怒る訳でも呆れる訳でもなく、ただ優しくアミレスの背を摩っては静かに語り掛けた。
「じゃあ、もう一度あいつとキスしたいと思いますか?」
「……どちらとも言えない。したいともしたくないとも言えないの」
アミレスの複雑な心境に、エンヴィーは小さなため息を一つ。
「そうですか。じゃあ、まぁ……あいつの事は数発殴るぐらいに留めておきますよ。後からでも、やっぱり嫌だった。って思ったらそん時は言って下さい。喜んであいつを始末しますので」
エンヴィーは怒りをぐっと堪え、アミレスに向けて笑いかけた。
(姫さんの記憶を消せたらすげー楽だったんだけどな。姫さんには精神干渉出来ねぇし、とにかく姫さんが立ち直ってくれる事を祈るしかねぇってのがもどかしいな)
ファーストキスを奪われたショックから錯乱するアミレスを優しく宥める。その温もりに癒されて、アミレスも少し、落ち着きを取り戻した。
もそもそと起き上がり、エンヴィーから離れると……アミレスはしゅんとした顔で顎を引いた。
「ごめんなさい、師匠。こんな事で呼び出して……師匠もお仕事忙しいのに……」
「別にいーんですよ、これぐらい。これからも、他の奴等には相談しにくい事とかあれば俺を喚んでくださいな。大したアドバイスとかは出来ませんが、愚痴の聞き役ぐらいにはなれるんで」
「し……ししょぉお~~!」
「はは、今日の姫さんは甘えたさんっすねぇ」
アミレスはもう一度エンヴィーに抱き着いた。今度はその胸元ではなく、彼の首元に腕を回して。エンヴィーはそれを当然のように受け入れて、彼女の気が済むまで付き合う事に決めた。
(役得、って思ってたら流石にシルフさんに刺されるかねー……よし、シルフさんにもこの事は報告しないでおこう。うん。てか下手に一連の流れを話せばこの国滅ぶかもしれねーしな)
いやはや、笑い話で済ませられたらよかったのだが……残念な事に、人命救助だとしても、彼女の自業自得だとしても。
アミレスのファーストキスを奪った男というのは、何名かの恨みを買う事になるだろう。
例えば精霊界を統治する精霊達の王だったり、帝国最大の商会の魔女だったり。他にも人類最強の聖人だったり、鈍色の天才と歌姫だったり、影に生きる執事だったり、風を操る女侯爵だったり。
もしかしたら……緑の竜や、東の大国の切り札や、神々に愛された男まで。粒ぞろいの化け物達の顰蹙を買うかもしれない。
もし本当にそんな事になれば──……世界規模の大戦が起こる事間違い無し。
というか、シルフに報告した時点でこの国から魔力原子が失われる可能性すらある。魔力を管理する精霊達の王ならば、そんな事まで可能なのだ。
それをよく分かっているエンヴィーは、シルフには絶対報告しないと決めた。それがシルフ自身と人類の為だと判断したのである。
「ああ、そうだ。師匠……この事は……」
「勿論誰にも言いませんよ。姫さんが嫌がる事はしませんから」
「よかった。ありがとう、師匠」
あからさまにホッとした顔で目元を綻ばせる。アミレスは、何とかしてこの事を忘れようとしていた。
それだけ、なんの前触れもなくファーストキスを奪われた事がショックだったのだろう。……彼女にも、普通の女の子らしい一面があったものだ。
「さて。風邪を引く前に東宮に戻りましょう、姫さん。人間ってのは簡単に倒れるものなんでしょう? なら気をつけないと」
「うん、分かった」
エンヴィーは、アミレスを抱えてゆっくりと立ち上がった。エンヴィーの頭上ではたちまち降り注ぐ雨が蒸発し、彼に届く事無く消えている。
故に、エンヴィーは一切雨に濡れずに、家々の屋根の上を疾走していた。何にも阻まれる事は無く、最短距離で風を切るように進む。
やがて城壁に辿り着き、そこからアミレスは王城の敷地内へと入って行った。
しかしエンヴィーは少し用事があると言って街に戻った。その用事というのは……。
「よし、これで目撃者は集められたか」
アミレスにとっての忘れたい出来事、ファーストキス事件の目撃者達に他言無用と釘を刺す事だった。
なんなら、殴って記憶を消してやろうか、とさえも考えている。
「姫さんから話は聞いた。お前等、今日あった事は忘れろ。もしも他言したならばそのときは命は無いと思え。俺の権能を以てして、お前等を灰すら残さず燃やし尽くしてやる」
有無を言わさぬ口調に、息が詰まりそうな威圧。今のエンヴィーには、最上位精霊の側面がかなり強く出ているようだった。
「エンヴィー様、王女殿下はご無事なのでしょうか?」
イリオーデが威圧に負けず口を開くと、
「ああ。姫さんを東宮まで送ってからお前等を回収しに来たからな」
エンヴィーはつっけんどんな態度で返事した。
「そう、ですか……良かった…………私は、当然王女殿下のご意向に従います」
「今日の事は忘れたらいいのか。王女様がそれを望んでるなら、俺も頑張って忘れよう」
「僕も……別に、姫の為とかじゃなくて、燃やされたくないからだけど」
次々に今日の事は忘れると発言する中、シュヴァルツは一人、口を閉ざしていた。その事が鼻についたようで、エンヴィーはシュヴァルツをひと睨みして、
「お前も何とか言えよ」
ドスの効いた声で凄む。しかしシュヴァルツはそれに怯んだりする事はなく、
「……後で、ちゃんと彼女には謝る。ぼくの考えが甘かった事も認める。その上で、忘れられるよう努力もするよ」
(──何でこう、アイツ相手だと何もかも上手くいかねェんだよ……クソッ)
あの時の、本気で戸惑い傷ついていた彼女の表情を思い出し……思い通りにならない事へと、苛立ちを覚えていた。
この後イリオーデとシュヴァルツはシャルルギル達と別れて東宮に戻り、そしてエンヴィー立ち会いのもと、こっそりとアミレスに謝罪した。
あのシュヴァルツが──……傲慢なりし悪魔が、大人しく頭を下げた。これはそれだけの事だったのだ。
謝罪の時、シュヴァルツの声はとても真剣だった。
アミレスは自分にだって非がある事をよく分かっている。だからこそ、この謝罪の時をもって全員がその事を忘れ、無かった事にする……としたのだ。
(忘れて、全て無かった事にする。とか本来のオレサマなら面白くねェから絶対拒否したな)
アミレスへの謝罪を済ませて、シュヴァルツは侍女服に着替える。
「はァ……マジでどうしちまったんだよ。オレサマは、こんなんじゃねェだろォが──……」
後頭部を掻き毟り、シュヴァルツは深く項垂れた。
その独白は誰にも聞かれる事無く、静かに闇に消えてゆく。それはまさに、悪魔自身のように……一寸先の闇へと落ちていったのだ。
重い隈を引っ提げてエンヴィーは現れた。
頭の上でバケツをひっくり返したかのように全身ずぶ濡れのアミレスを見て、エンヴィーはギョッとした顔になり、
「ええと……とりあえず、風邪引いたらマズイんで、俺の服着ておいてください」
慌てて服を脱いで、膝を折りアミレスにそれを掛けた。エンヴィーとアミレスの体格差もあって、その服は余裕をもってアミレスを包み込む。
その優しさに触れて、彼女は感極まった。
「うぅ……ししょお~~っ!」
「ど、どーしたんすか? 俺を呼び出す程の事だから、やっぱり何かあったんすね?」
勢いよくエンヴィーの逞しい胸元に飛び込み、アミレスは彼に縋りついた。
アミレスがこんな風に振る舞う事はかなり珍しい。だから彼は、非常に困惑しながらもアミレスの話を聞く姿勢に入る。
(姫さんがこれだけ取り乱す、って一体何があったんだ?)
少し不安な気持ちを頭の片隅に残しつつ、エンヴィーはアミレスの背中を優しく摩った。その温かみに少し落ち着いたのか、彼女は雨音に負けるぐらいの小さな声で、ぽつりぽつりと話し始めた。
聞けば聞く程、エンヴィーの表情が消えていく。まさに雨で流されていく汚れのように……彼の顔から、色という色が抜け落ちてゆくのだ。
「……──姫さん。これだけは確認させてください。姫さんは、人命救助だからとシュヴァルツに無理やりキスされて…………嫌でした?」
いつもの気さくな雰囲気など、今の彼からは表情と共に失われていた。低く真剣な声。一切笑わぬ瞳を携えた真顔。
エンヴィーは感情の起伏が激しい激情型の精霊だった。そんな彼が心の底から怒る時、その先には分岐路があった。
一つは全てを燃やし尽くす業火の怒り。
もう一つは、灼熱を蓄える劫火の怒り。
今回は後者に当たるらしい。大事な大事な一番星を傷つけられて、彼は心の底から憤怒していた。
今すぐにでもシュヴァルツを始末してやる。そう、エンヴィーは考えた。しかしその前にアミレスの意思を確認しておかねばとも考えたのだ。
憎き相手と言えども、シュヴァルツをアミレスが気に入ってる事実に変わりはない。もし彼女の意思を無視して始末したなら……きっと、アミレスは悲しむだろう。
アミレスのお人好しっぷりを知っているエンヴィーは、その可能性を危惧しているのだ。
「……嫌とか、分かんないよ。だって比較対象が無いもん。何が良くて、悪いのか……全然分かんない」
エンヴィーの胸元に顔を埋めながら、アミレスは心境を吐露する。
答えになっていないその返答に、エンヴィーは怒る訳でも呆れる訳でもなく、ただ優しくアミレスの背を摩っては静かに語り掛けた。
「じゃあ、もう一度あいつとキスしたいと思いますか?」
「……どちらとも言えない。したいともしたくないとも言えないの」
アミレスの複雑な心境に、エンヴィーは小さなため息を一つ。
「そうですか。じゃあ、まぁ……あいつの事は数発殴るぐらいに留めておきますよ。後からでも、やっぱり嫌だった。って思ったらそん時は言って下さい。喜んであいつを始末しますので」
エンヴィーは怒りをぐっと堪え、アミレスに向けて笑いかけた。
(姫さんの記憶を消せたらすげー楽だったんだけどな。姫さんには精神干渉出来ねぇし、とにかく姫さんが立ち直ってくれる事を祈るしかねぇってのがもどかしいな)
ファーストキスを奪われたショックから錯乱するアミレスを優しく宥める。その温もりに癒されて、アミレスも少し、落ち着きを取り戻した。
もそもそと起き上がり、エンヴィーから離れると……アミレスはしゅんとした顔で顎を引いた。
「ごめんなさい、師匠。こんな事で呼び出して……師匠もお仕事忙しいのに……」
「別にいーんですよ、これぐらい。これからも、他の奴等には相談しにくい事とかあれば俺を喚んでくださいな。大したアドバイスとかは出来ませんが、愚痴の聞き役ぐらいにはなれるんで」
「し……ししょぉお~~!」
「はは、今日の姫さんは甘えたさんっすねぇ」
アミレスはもう一度エンヴィーに抱き着いた。今度はその胸元ではなく、彼の首元に腕を回して。エンヴィーはそれを当然のように受け入れて、彼女の気が済むまで付き合う事に決めた。
(役得、って思ってたら流石にシルフさんに刺されるかねー……よし、シルフさんにもこの事は報告しないでおこう。うん。てか下手に一連の流れを話せばこの国滅ぶかもしれねーしな)
いやはや、笑い話で済ませられたらよかったのだが……残念な事に、人命救助だとしても、彼女の自業自得だとしても。
アミレスのファーストキスを奪った男というのは、何名かの恨みを買う事になるだろう。
例えば精霊界を統治する精霊達の王だったり、帝国最大の商会の魔女だったり。他にも人類最強の聖人だったり、鈍色の天才と歌姫だったり、影に生きる執事だったり、風を操る女侯爵だったり。
もしかしたら……緑の竜や、東の大国の切り札や、神々に愛された男まで。粒ぞろいの化け物達の顰蹙を買うかもしれない。
もし本当にそんな事になれば──……世界規模の大戦が起こる事間違い無し。
というか、シルフに報告した時点でこの国から魔力原子が失われる可能性すらある。魔力を管理する精霊達の王ならば、そんな事まで可能なのだ。
それをよく分かっているエンヴィーは、シルフには絶対報告しないと決めた。それがシルフ自身と人類の為だと判断したのである。
「ああ、そうだ。師匠……この事は……」
「勿論誰にも言いませんよ。姫さんが嫌がる事はしませんから」
「よかった。ありがとう、師匠」
あからさまにホッとした顔で目元を綻ばせる。アミレスは、何とかしてこの事を忘れようとしていた。
それだけ、なんの前触れもなくファーストキスを奪われた事がショックだったのだろう。……彼女にも、普通の女の子らしい一面があったものだ。
「さて。風邪を引く前に東宮に戻りましょう、姫さん。人間ってのは簡単に倒れるものなんでしょう? なら気をつけないと」
「うん、分かった」
エンヴィーは、アミレスを抱えてゆっくりと立ち上がった。エンヴィーの頭上ではたちまち降り注ぐ雨が蒸発し、彼に届く事無く消えている。
故に、エンヴィーは一切雨に濡れずに、家々の屋根の上を疾走していた。何にも阻まれる事は無く、最短距離で風を切るように進む。
やがて城壁に辿り着き、そこからアミレスは王城の敷地内へと入って行った。
しかしエンヴィーは少し用事があると言って街に戻った。その用事というのは……。
「よし、これで目撃者は集められたか」
アミレスにとっての忘れたい出来事、ファーストキス事件の目撃者達に他言無用と釘を刺す事だった。
なんなら、殴って記憶を消してやろうか、とさえも考えている。
「姫さんから話は聞いた。お前等、今日あった事は忘れろ。もしも他言したならばそのときは命は無いと思え。俺の権能を以てして、お前等を灰すら残さず燃やし尽くしてやる」
有無を言わさぬ口調に、息が詰まりそうな威圧。今のエンヴィーには、最上位精霊の側面がかなり強く出ているようだった。
「エンヴィー様、王女殿下はご無事なのでしょうか?」
イリオーデが威圧に負けず口を開くと、
「ああ。姫さんを東宮まで送ってからお前等を回収しに来たからな」
エンヴィーはつっけんどんな態度で返事した。
「そう、ですか……良かった…………私は、当然王女殿下のご意向に従います」
「今日の事は忘れたらいいのか。王女様がそれを望んでるなら、俺も頑張って忘れよう」
「僕も……別に、姫の為とかじゃなくて、燃やされたくないからだけど」
次々に今日の事は忘れると発言する中、シュヴァルツは一人、口を閉ざしていた。その事が鼻についたようで、エンヴィーはシュヴァルツをひと睨みして、
「お前も何とか言えよ」
ドスの効いた声で凄む。しかしシュヴァルツはそれに怯んだりする事はなく、
「……後で、ちゃんと彼女には謝る。ぼくの考えが甘かった事も認める。その上で、忘れられるよう努力もするよ」
(──何でこう、アイツ相手だと何もかも上手くいかねェんだよ……クソッ)
あの時の、本気で戸惑い傷ついていた彼女の表情を思い出し……思い通りにならない事へと、苛立ちを覚えていた。
この後イリオーデとシュヴァルツはシャルルギル達と別れて東宮に戻り、そしてエンヴィー立ち会いのもと、こっそりとアミレスに謝罪した。
あのシュヴァルツが──……傲慢なりし悪魔が、大人しく頭を下げた。これはそれだけの事だったのだ。
謝罪の時、シュヴァルツの声はとても真剣だった。
アミレスは自分にだって非がある事をよく分かっている。だからこそ、この謝罪の時をもって全員がその事を忘れ、無かった事にする……としたのだ。
(忘れて、全て無かった事にする。とか本来のオレサマなら面白くねェから絶対拒否したな)
アミレスへの謝罪を済ませて、シュヴァルツは侍女服に着替える。
「はァ……マジでどうしちまったんだよ。オレサマは、こんなんじゃねェだろォが──……」
後頭部を掻き毟り、シュヴァルツは深く項垂れた。
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