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第三章・傾国の王女
268.俺は初恋と出会った。
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生まれてこの方、理想だけが高くなり恋なんて遠い世界の話だと思っていた。
自他共に認める夢見がち。奥手と言えば聞こえはいいが、要は自分がなく卑屈で陰気……いわゆる部屋の片隅にいる系の人間だった。
人前に出る事なんて勿論苦手だし、人前で喋る事なんてもっと嫌いだ。
叶うならずっと部屋に籠ってローズと二人で本を読んでいたい。そんな事ばかり考えていた子供の頃。
人よりも自我の芽生えが早く、精神的成長も段違いに早かった俺は……いわゆる早熟した存在だったらしい。
その代わりと言ってはなんだが、俺は体が貧弱だった。ディジェル領の民としては明らかに異質な存在。簡単に言えば出来損ないで、これがあったから城から出る事は無く、暫くは狭い世界の中で生きていた。
可愛い妹がいたから全然寂しくはなかった。でも、人並みには妬み嫉みを抱いていた。
周りの人全てが羨ましかった。俺は生まれながらに出来損ないの烙印を押され、世間から存在を秘匿されていた。例えそれが俺を守る為の事だとしても、当たり前のように強い肉体を持つ人達に守るよう世話をされ、同情される度に俺は惨めな気持ちになっていた。
そんな幼少期を過ごしていたから、俺はこんなにもひねくれた性格になってしまったのだろう。
ずっと存在が秘匿されていた俺だが、それでもやはり人の口に戸は立てられないので、どこからともなく『領民の落ちこぼれのテンディジェルが生まれたらしい』という不名誉な噂が領地に広まっていた。
その話を聞いた時、はっきり言って絶望した。ただでさえ肩身の狭い思いをしているのに……何でそんな事になるのぉ? と幼いながらに世界に辟易したぐらいだ。
それでも出来損ないで落ちこぼれの俺がこの地にテンディジェルの人間として存在してしまった以上、テンディジェルらしく領地に貢献しようと思った。
だってそれしか俺にはなかったから。人よりちょっとだけ記憶力がいい俺は、これまでの政策や様々な事件事故災害等を全て頭に入れて、そこから新しく草案を練って父さんや伯父様に渡して来た。
少しでも出来損ないの俺がこの領地の役に立てるなら。
こうする事で俺が領民に認められる必要はない。俺が真の意味で認められる日なんて永遠に来ないのだから。
それでも俺は構わなかった。領民から愛される必要なんてない。受け入れられる必要もない。ただ俺が領地と領民を愛してたら……それが、俺が領地の為に動く理由になるから。
そもそも、領民達は自分と違うものを受け入れられない。それも妖精の祝福の影響なんだけど、それによって祝福を授かっていない俺の事を知った領民達は、『何それ?』『そんなのありえる?』『えー、信じられないー』『うわぁ、何で皆と違うの? おかしくない?』と口々に零す程、俺という存在を受け入れられないらしいのだ。
ならもう、仕方無いよね。あちらが俺に最初から期待していないように、俺だって領民に何も期待していない。
君達はただディジェル領の民らしく生きればいい。俺の事なんて受け入れなくとも愛さなくてもいい。
俺は、俺自身の行動の理由の為、事務的に君達を愛するから。俺に興味が無い君達ならば、きっと俺がどれだけ君達を愛そうとも気にしないでくれるよね?
俺は愛する領民と領地の為にと、とにかく世界をより良くする方法を考えては父さんや伯父様にそれを託した。
空いた時間は全てそれに宛てて、とにかく薄暗い部屋に引きこもっては頭を動かしていた。
そんな俺が表に出るようになったのは、ローズが四歳になった頃。
ローズが俺以外の人の前で歌った事が原因だった。それは父さんや伯父様の前でだったんだけど……あんなにもしくじったと思った事は人生でも数える程しかない。
俺は、初めてローズの歌を聞いた時からその特異性を理解していた。だからローズには二人の時に歌うよう伝えていたのだが、俺以外の人の前で歌うなとは言っていなかったのだ。
それが過ちだったのだと、ローズが父さん達の前で歌った時に痛感した。
父さんはローズの歌の力をすぐさま理解し、ローズを利用する事に決めたらしい。ローズの歌の力を知ったら父さんは確実にそうすると分かっていた。だから、ローズを守ろうとそれまで必死に隠していたのに。
俺が、ローズにちゃんと言いつけておかなかったから……っ!
あの日は、自分の詰めの甘さに酷く後悔した。
俺達の父さんは外の世界で骨抜きになった母さんを守る為に必死だった。
反対する領民を説得させたり、とにかく領地に貢献して認めて貰おうとしたり。子供の世話がまともに出来ないぐらい、うちの両親はとにかく忙しかったのだ。
そのくせ、俺が渡した草案は頑なに使おうとしない。あれを使えば大なり小なり領地に貢献して領民に認めて貰えるよって話しても、父さんは気まずそうに眉を顰めるだけ。
正直、子供ながらにうちの父親は馬鹿なんじゃないかと思っていた。何でそんな回りくどい手段を取るのか、最短距離を進もうとしないのか。
貴方のその変なこだわりで母さんはいつまでも肩身の狭い思いをして、半端者の俺は領民に認められず、俺の妹と言うだけでローズまでこの地での居場所を掴めずにいた。
どんな事情があるにせよ、親は子供を守るものだろ? それなのに父さんはいつもいつも母さんばっかり優先して。あまつさえ俺達の居場所は俺達自身で用意しろだと?
ふざけるな。落ちこぼれの俺はともかく、何でローズまでそんな目に遭わないといけないんだ。
その日以来、俺の中にあった父親への尊敬というものは消え去った。まぁ、元々大してなかったんだけどね。
そもそも両親には、ローズを産んでくれてありがとう。以外の感情が無かった。とにかく俺にとってはローズが全てで、可愛い妹の為なら何だって出来ると昔からずっと思っていた。
だから、俺は決心した。
ローズが歌姫となったあの日……俺はローズを守る為に頑張ると誓ったのだ。
それからは水を得た魚のように、俺は活き活きとしていた。明確な人生の指標が出来たからだろうか……人前に出る事も喋る事も回を重ねるごとに慣れたのか、いつのまにか大丈夫になったのだ。
ローズを守る為にとにかく領民と領地に貢献した。伯父様の仕事の手伝いを沢山して、俺の地位を確立していった。
幸いにも俺の容姿は肉体と違って人並みには良かったので、どれだけぎこちなくても適当に笑って領民と交流していれば、それなりには受け入れて貰えるようになった。
どうせ領民はハナから俺を信用してなければ、期待もしていない。だから寧ろ気負いせずに済んで良かった。
同情も憐憫も軽蔑も疑心も慣れた。
生来のひねくれた陰気な性格故か、他者から向けられる感情の全てが『クソどうでもいい』で片付けられるようになったんだよね。
本当にこれって凄い成長だと思う。
そうやって、俺が出来損ないながらに領地を思い貢献して来た事は案外認められた。どいつもこいつも単純だなぁ、俺が役に立つと分かった途端すぐ手のひら返してさ。
俺だけならまだしもローズにも同じ事をしてるから本当にむかついた。滅びの歌でも歌ってやろうかって多分五十回は思った。
そんな狭くてくだらない世界から初めて外に出て、ディジェル人を馬鹿にする人達の巣窟だという帝都に行き、俺は早速その洗礼を受けた。
帝都怖い。本当に怖い。
買い物以外は特に帝都にいい思い出が無かったのだが、そんな俺を哀れに思ったのか……神様が鮮烈で淡く美しい思い出をくれた。
──それが、王女殿下との出会いなのだ。
理由は数あれど、領地と領民を愛していた俺は王女殿下の言葉に非常に喜んでいた。
理想そのものと言っても過言ではない容姿に一目惚れしたのは当然の事、その後彼女が見せた一挙手一投足や言葉の全てが俺をあっという間にその病に罹らせた。
……初恋、なんだよなぁ。親愛や敬愛とは違う、紛うことなき恋。
ひねくれた性格と非常識な理想を持つこの俺が、まさかこんなあっさりと恋に落ちるなんて。
いやでもあれは仕方無くない? あんな人と出会って恋に落ちるなって方が無理あるよ。俺みたいな夢見がち野郎は尚更!
十六歳になって初めて誰かに恋をした。しかし俺の初恋は呆気なく閉幕し、終わり告げたかのように思えた。
しかぁーーーーしっ! 天は俺に味方した!
王女殿下がうちの領地に来てくれるとかいうまさかの展開に、俺はとても興奮していた。
彼女に、初恋の人にもう一度会う事が出来るのだと。
きっと彼女に会えたならローズも元気になってくれるだろう。俺と好みがそっくりなローズも一目惚れする気がするし、もしそうなったら王女殿下の魅力について語り合いたいな。
この時にはローズが散々利用された挙句歌えなくなってしまっていたので、本当に、王女殿下にもう一度会える事が嬉しかったのだ。
だって王女殿下に会ったらローズもきっと元気になってくれるから。俺の初恋だからという理由もあるのだが……王女殿下に会う事がとても楽しみな理由は、ローズの件が大部分を占めている。
俺自身、荒んだ心やひねくれた心が、王女殿下に出会った事で一気に浄化されたんだから。
王女殿下の存在がローズにとっていい影響になると確信していた。王女殿下と出会ったら、きっとローズも元気になってくれると確信していた。
その確信は現実となった。
ローズは案の定、王女殿下に一目惚れしたらしい。俺とほぼ同じ好みだからそうなるだろうね。興奮気味に王女殿下の事を語る姿に、俺は内心とてもホッとしていた。
あんなにも元気なローズは久々に見た。本当に、ローズを王女殿下に会わせる事が出来てよかった……。
と、思っていたのだが。
…………なんか、目を離した隙にローズと王女殿下がすごーく仲良くなってる気がするんだけど。
ローズが王女殿下の事を『アミレスちゃん』と呼び、王女殿下がローズの事を『ローズ』と呼んでいる。何より二人共、数年来の親友かのように親しげに話しているではないか。
えっとぉ……何があったの? というか距離近くない? ローズ、お兄ちゃん何も聞いてないんだけど??
予想外の事態に狼狽し、眠れなかった俺は、ローズの部屋を訪ねてローズから話を聞く事にした。
自他共に認める夢見がち。奥手と言えば聞こえはいいが、要は自分がなく卑屈で陰気……いわゆる部屋の片隅にいる系の人間だった。
人前に出る事なんて勿論苦手だし、人前で喋る事なんてもっと嫌いだ。
叶うならずっと部屋に籠ってローズと二人で本を読んでいたい。そんな事ばかり考えていた子供の頃。
人よりも自我の芽生えが早く、精神的成長も段違いに早かった俺は……いわゆる早熟した存在だったらしい。
その代わりと言ってはなんだが、俺は体が貧弱だった。ディジェル領の民としては明らかに異質な存在。簡単に言えば出来損ないで、これがあったから城から出る事は無く、暫くは狭い世界の中で生きていた。
可愛い妹がいたから全然寂しくはなかった。でも、人並みには妬み嫉みを抱いていた。
周りの人全てが羨ましかった。俺は生まれながらに出来損ないの烙印を押され、世間から存在を秘匿されていた。例えそれが俺を守る為の事だとしても、当たり前のように強い肉体を持つ人達に守るよう世話をされ、同情される度に俺は惨めな気持ちになっていた。
そんな幼少期を過ごしていたから、俺はこんなにもひねくれた性格になってしまったのだろう。
ずっと存在が秘匿されていた俺だが、それでもやはり人の口に戸は立てられないので、どこからともなく『領民の落ちこぼれのテンディジェルが生まれたらしい』という不名誉な噂が領地に広まっていた。
その話を聞いた時、はっきり言って絶望した。ただでさえ肩身の狭い思いをしているのに……何でそんな事になるのぉ? と幼いながらに世界に辟易したぐらいだ。
それでも出来損ないで落ちこぼれの俺がこの地にテンディジェルの人間として存在してしまった以上、テンディジェルらしく領地に貢献しようと思った。
だってそれしか俺にはなかったから。人よりちょっとだけ記憶力がいい俺は、これまでの政策や様々な事件事故災害等を全て頭に入れて、そこから新しく草案を練って父さんや伯父様に渡して来た。
少しでも出来損ないの俺がこの領地の役に立てるなら。
こうする事で俺が領民に認められる必要はない。俺が真の意味で認められる日なんて永遠に来ないのだから。
それでも俺は構わなかった。領民から愛される必要なんてない。受け入れられる必要もない。ただ俺が領地と領民を愛してたら……それが、俺が領地の為に動く理由になるから。
そもそも、領民達は自分と違うものを受け入れられない。それも妖精の祝福の影響なんだけど、それによって祝福を授かっていない俺の事を知った領民達は、『何それ?』『そんなのありえる?』『えー、信じられないー』『うわぁ、何で皆と違うの? おかしくない?』と口々に零す程、俺という存在を受け入れられないらしいのだ。
ならもう、仕方無いよね。あちらが俺に最初から期待していないように、俺だって領民に何も期待していない。
君達はただディジェル領の民らしく生きればいい。俺の事なんて受け入れなくとも愛さなくてもいい。
俺は、俺自身の行動の理由の為、事務的に君達を愛するから。俺に興味が無い君達ならば、きっと俺がどれだけ君達を愛そうとも気にしないでくれるよね?
俺は愛する領民と領地の為にと、とにかく世界をより良くする方法を考えては父さんや伯父様にそれを託した。
空いた時間は全てそれに宛てて、とにかく薄暗い部屋に引きこもっては頭を動かしていた。
そんな俺が表に出るようになったのは、ローズが四歳になった頃。
ローズが俺以外の人の前で歌った事が原因だった。それは父さんや伯父様の前でだったんだけど……あんなにもしくじったと思った事は人生でも数える程しかない。
俺は、初めてローズの歌を聞いた時からその特異性を理解していた。だからローズには二人の時に歌うよう伝えていたのだが、俺以外の人の前で歌うなとは言っていなかったのだ。
それが過ちだったのだと、ローズが父さん達の前で歌った時に痛感した。
父さんはローズの歌の力をすぐさま理解し、ローズを利用する事に決めたらしい。ローズの歌の力を知ったら父さんは確実にそうすると分かっていた。だから、ローズを守ろうとそれまで必死に隠していたのに。
俺が、ローズにちゃんと言いつけておかなかったから……っ!
あの日は、自分の詰めの甘さに酷く後悔した。
俺達の父さんは外の世界で骨抜きになった母さんを守る為に必死だった。
反対する領民を説得させたり、とにかく領地に貢献して認めて貰おうとしたり。子供の世話がまともに出来ないぐらい、うちの両親はとにかく忙しかったのだ。
そのくせ、俺が渡した草案は頑なに使おうとしない。あれを使えば大なり小なり領地に貢献して領民に認めて貰えるよって話しても、父さんは気まずそうに眉を顰めるだけ。
正直、子供ながらにうちの父親は馬鹿なんじゃないかと思っていた。何でそんな回りくどい手段を取るのか、最短距離を進もうとしないのか。
貴方のその変なこだわりで母さんはいつまでも肩身の狭い思いをして、半端者の俺は領民に認められず、俺の妹と言うだけでローズまでこの地での居場所を掴めずにいた。
どんな事情があるにせよ、親は子供を守るものだろ? それなのに父さんはいつもいつも母さんばっかり優先して。あまつさえ俺達の居場所は俺達自身で用意しろだと?
ふざけるな。落ちこぼれの俺はともかく、何でローズまでそんな目に遭わないといけないんだ。
その日以来、俺の中にあった父親への尊敬というものは消え去った。まぁ、元々大してなかったんだけどね。
そもそも両親には、ローズを産んでくれてありがとう。以外の感情が無かった。とにかく俺にとってはローズが全てで、可愛い妹の為なら何だって出来ると昔からずっと思っていた。
だから、俺は決心した。
ローズが歌姫となったあの日……俺はローズを守る為に頑張ると誓ったのだ。
それからは水を得た魚のように、俺は活き活きとしていた。明確な人生の指標が出来たからだろうか……人前に出る事も喋る事も回を重ねるごとに慣れたのか、いつのまにか大丈夫になったのだ。
ローズを守る為にとにかく領民と領地に貢献した。伯父様の仕事の手伝いを沢山して、俺の地位を確立していった。
幸いにも俺の容姿は肉体と違って人並みには良かったので、どれだけぎこちなくても適当に笑って領民と交流していれば、それなりには受け入れて貰えるようになった。
どうせ領民はハナから俺を信用してなければ、期待もしていない。だから寧ろ気負いせずに済んで良かった。
同情も憐憫も軽蔑も疑心も慣れた。
生来のひねくれた陰気な性格故か、他者から向けられる感情の全てが『クソどうでもいい』で片付けられるようになったんだよね。
本当にこれって凄い成長だと思う。
そうやって、俺が出来損ないながらに領地を思い貢献して来た事は案外認められた。どいつもこいつも単純だなぁ、俺が役に立つと分かった途端すぐ手のひら返してさ。
俺だけならまだしもローズにも同じ事をしてるから本当にむかついた。滅びの歌でも歌ってやろうかって多分五十回は思った。
そんな狭くてくだらない世界から初めて外に出て、ディジェル人を馬鹿にする人達の巣窟だという帝都に行き、俺は早速その洗礼を受けた。
帝都怖い。本当に怖い。
買い物以外は特に帝都にいい思い出が無かったのだが、そんな俺を哀れに思ったのか……神様が鮮烈で淡く美しい思い出をくれた。
──それが、王女殿下との出会いなのだ。
理由は数あれど、領地と領民を愛していた俺は王女殿下の言葉に非常に喜んでいた。
理想そのものと言っても過言ではない容姿に一目惚れしたのは当然の事、その後彼女が見せた一挙手一投足や言葉の全てが俺をあっという間にその病に罹らせた。
……初恋、なんだよなぁ。親愛や敬愛とは違う、紛うことなき恋。
ひねくれた性格と非常識な理想を持つこの俺が、まさかこんなあっさりと恋に落ちるなんて。
いやでもあれは仕方無くない? あんな人と出会って恋に落ちるなって方が無理あるよ。俺みたいな夢見がち野郎は尚更!
十六歳になって初めて誰かに恋をした。しかし俺の初恋は呆気なく閉幕し、終わり告げたかのように思えた。
しかぁーーーーしっ! 天は俺に味方した!
王女殿下がうちの領地に来てくれるとかいうまさかの展開に、俺はとても興奮していた。
彼女に、初恋の人にもう一度会う事が出来るのだと。
きっと彼女に会えたならローズも元気になってくれるだろう。俺と好みがそっくりなローズも一目惚れする気がするし、もしそうなったら王女殿下の魅力について語り合いたいな。
この時にはローズが散々利用された挙句歌えなくなってしまっていたので、本当に、王女殿下にもう一度会える事が嬉しかったのだ。
だって王女殿下に会ったらローズもきっと元気になってくれるから。俺の初恋だからという理由もあるのだが……王女殿下に会う事がとても楽しみな理由は、ローズの件が大部分を占めている。
俺自身、荒んだ心やひねくれた心が、王女殿下に出会った事で一気に浄化されたんだから。
王女殿下の存在がローズにとっていい影響になると確信していた。王女殿下と出会ったら、きっとローズも元気になってくれると確信していた。
その確信は現実となった。
ローズは案の定、王女殿下に一目惚れしたらしい。俺とほぼ同じ好みだからそうなるだろうね。興奮気味に王女殿下の事を語る姿に、俺は内心とてもホッとしていた。
あんなにも元気なローズは久々に見た。本当に、ローズを王女殿下に会わせる事が出来てよかった……。
と、思っていたのだが。
…………なんか、目を離した隙にローズと王女殿下がすごーく仲良くなってる気がするんだけど。
ローズが王女殿下の事を『アミレスちゃん』と呼び、王女殿下がローズの事を『ローズ』と呼んでいる。何より二人共、数年来の親友かのように親しげに話しているではないか。
えっとぉ……何があったの? というか距離近くない? ローズ、お兄ちゃん何も聞いてないんだけど??
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