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第三章・傾国の王女
261.鈍色の歌姫2
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「……──私達テンディジェルの人間は、代々音の魔力を持って生まれる。私はその魔力が家族と比べて強くて、私自身が昔から歌う事が好きでよく歌ってたの」
長い沈黙を終わらせて、ローズはぽつりぽつりと語り始めた。
「私が歌ったらね、お兄様もお母様もお父様も伯父様も皆が喜んでくれた。私の歌は聞いた人に強く作用するらしくて、明るい歌を歌えば皆が明るくなるし、暗い歌を歌えば皆が暗くなっちゃうの」
私は少し驚いたが、黙って頷く事で相槌を打った。
音の魔力そのものが珍しいし、私は当然それに明るくないのだが……音の魔力とはそんな事も出来るのかと感心する。
「私が元気になる歌を歌えば、皆が元気になった。歌えば歌う程皆に受け入れてもらえるから、私はたくさん歌った。私が歌って、ただ元気になるだけなら良かったけど……その歌がね、ある程度の怪我や病気を治してしまったの」
「歌が怪我や病気を治す?」
思わず聞き返してしまった。音の魔力の予想外な力に驚愕を隠せない。
私の言葉に首肯して、ローズは続ける。
「その時私はまだ七歳とかで、何にも知らなかったの。でもそれはきっといい事なんだって思って、たくさんたくさん歌った。喉が枯れるまで、皆に元気になって欲しくてたくさん歌った」
そう語る彼女の顔には、街で見たぎこちない笑みがあった。
「最初はね、歌う事が楽しくて大好きだったんだ。でも今は、もう…………私が始めた事なのに、歌う事が辛いの。皆は私が歌えば治るからって、多少の怪我は気にしないようになっちゃった。それが当たり前になっちゃった。最近はね、多少どころじゃない重症状態で私の所に来る人までいるの」
「…………まさか」
嫌な予感に限って、決まって的中してしまうらしい。
「私の歌にはあくまでも少しの怪我を治す力しかないのに、皆は『ローズニカ様なら治せますよね?』って純粋な期待を向けてくるの。当然のように向けられる期待や重圧が本当につらくて…………頑張って歌っても治せなかった時、『何で治せないんですか?』って言われてから……もう、歌う事が怖くなったの。歌いたくても歌えなくなった。それで、街の人達に迷惑かけちゃってるんだぁ」
街の人達から言われてたのはこの事だよ、とローズは困り顔で不器用に笑う。
……歌う事が好きだったのに、領民からの期待がどんどん激化し、ついにはプレッシャーから歌えなくなった。という事なのだろう。
何と腹立たしい話なのか。堪忍袋の緒が切れるとはこの事を言うのかと思うような、突然燃え盛る怒り。ローズの厚意を当然のものと決めつけて、ローズを傷つけるなんて最低じゃないか。
内乱を起こす程、伝統と格式を重んじる大公領の領民達。その尊厳を踏みにじりたくないと思っていたが…………ローズからの厚意を履き違え彼女をこんなにも追い詰めた奴等に、そんな温情を与えてやる必要があるのか?
私は友達と仲間は大事にする主義だ。始まりは彼女自身の行動だったとしても、幼く純粋な彼女を利用し追い詰めた人達にはそれ相応の制裁を与えねば気が済まない。
「……最近は歌ってないんだよね。どうやって歌う事を回避してるの?」
「お兄様が、『ローズは最近喉を痛めたから暫く歌えない』って言ってくれたから、暫くは大丈夫なの。でもこの言い訳もいつまで続けられるか分からなくて」
「公子は貴女の味方なのね。良かったわ、安心した」
妹大好きなレオナードのファインプレーで、ローズはひとまず事無きを得ているようだ。
彼女は歌えないと言っているのに、領民は自分勝手にローズに歌えと迫った。それがどれだけローズを追い詰めていると知らないで。
もしかしたらゲーム本編前にローズが死んでしまった理由に、この領民との軋轢も関わっているのやもしれない。内乱が起きて、ただそれに巻き込まれただけでなく、彼女は戦いの最中で歌う事を強要されて。とかだったらどうしよう。
……本格的に、カイルの考えた作戦で行く必要がありそうね。ローズもレオナードも救う為にはやっぱりあの作戦で行くしかないわ。
出会って数日の相手に肩入れし過ぎだとか言われるかもしれない。でも、過ごした時間とか関係無いのよ。
彼女は間違いなく私の友達だし、私は友達が大好きだ。友達という存在は絶対に守ると決めてるから。
だから、こんなにも彼女の笑顔を曇らせた奴等を許せない。勝手に首突っ込んででも一矢報いてやらないと気が済まない。
「ねぇ、ローズ。私と一緒に帝都に行かない?」
「……え?」
突然の提案に、彼女は目を丸くした。
「ここにいたら歌う事を強要されて、貴女が歌いたい歌を好きなように歌えないのでしょう? それなら帝都に来たらいいよ」
「でも、私達は、ディジェル人だから。外の人達から倦厭されてるって、お兄様も言ってたよ。外にも私達の居場所は無いって……」
どこの誰が、帝国を守る大公領の人達にそんな事を言ったの? 恥知らずな奴等が。
悲しげに俯くローズに、そんな言葉も思いも吹き飛ばさんと、はっきりとした強い語気で語りかける。
「居場所が無いのなら、私が外での貴女達の居場所になる。他の誰にも絶対に文句は言わせないし、貴女達の事を守り抜いてみせる。だから、私の所においで。アミレス・ヘル・フォーロイトの名にかけて……私の傍を、貴女が一番貴女らしくいられる場所にしてみせるわ」
真っ直ぐと彼女の瞳を見つめて宣言したその瞬間。ローズの瞳に流れ星が落ちたような光がキラリと瞬いた。
次第にその菫色の瞳を潤ませて、ローズはポロポロと泣き出してしまった。
ドレスのポケットから慌ててハンカチーフを取りだし、ローズに「これ使って」と手渡すと、
「あり、がと……っ! まもる、とか……いば、しょになるなんて、はじめて……いわれた……っ!!」
嗚咽混じりに彼女は涙を拭いた。
彼女が落ち着くまでの間、私はわざわざ彼女の隣に椅子を持って行って、その背中を優しくさすってあげていた。そしたらいつの間にか、落ち着きを取り戻したローズが私の腕に手を絡ませていて。
何だか離れる事が出来なくなってしまった、と思いつつ私は世間話を始めた。
「ローズって歌が上手いんだよね。帝都に来てくれたらちょっと教えて貰えないかしら?」
「歌を? アミレスちゃんも歌が好きなの!」
赤バラの話をしていた時のように、途端にローズの顔が明るくなる。先程までとても泣いていたのが嘘のよう。よかった、この話をして……彼女の気晴らしになるみたいでよかった。
この子は本当に物語や歌が好きなんだなぁと微笑ましくなるが、同時に私は申し訳無い思いとなる。恥ずかしいしあまり言いたくない事なんだけど、腹を括って、実は……と無駄に重々しく切り出した。
「私、音痴……なんだよね。歌う事が苦手っていうか…………音楽は好きなんだけど、音痴みたいで。それで、かれこれもう数年歌ってないんだ」
実は私、微妙な音痴らしいのだ。幼少期にハイラから、『姫様、これからは私以外の前で歌ってはなりませんよ?』とやんわりと指摘されて以降、別に歌えなくても死なないしぃ! と不貞腐れて全くやって来なかった。
なので、恥ずかしながら未だに全然歌えないのである。
「王女が音痴とか、地味な醜聞だから今まで誰にも言えなかったんだけど……何かコツとかあればご伝授下さい……っ!」
多分、前世含め歌なんて全く歌わない人生を送って来たから、何をどうしたら歌が上手くなるのかも歌い方のコツとかも全く分からないのだ。
なんというか、和歌とか短歌は多分いけるんだけど歌は無理。民謡も童謡もポップスも分からない。その辺はかなり疎いのだ。
何かを詠み上げる事に関しては、魔法の事もあるから得意なのだけど……とかく歌はからっきしだ。音に合わせて歌うとか無理。音程って何?
だからどうか、大公領の歌姫らしい彼女からの助言を賜りたいと思ったのだ。そしてあわよくばローズがもう一度歌えるようになる切っ掛けになればと。そんな思惑もある。
「……──任せて! 私が必ず、アミレスちゃんも歌えるようにするから!」
ローズの瞳に炎が燃え盛る。どうやらやる気になってくれたらしい。
そこからは日が暮れるまでローズによる歌レッスンが行われた。私の思惑通り、歌えないと言っていたローズもほんの少し、一瞬だけなら軽く歌えていたりして……レッスンを初めて良かったと思った。
ローズ先生曰く。肺活量自体は十分にあるから、問題は音の取り方だーとか、音を聞きながら歌いましょう! とか。
伴奏としてローズがピアノを弾いてくれたので、それに合わせてたくさん練習をした。音が部屋から漏れ出て通りすがりの人に聞かれたら恥ずかしいので、こっそり結界を張って数時間みっちりレッスンに励んだ。
ローズの教え方が凄く上手いのか……なんと私は、音がまだ少し不安定なものの、歌を覚え始めた子供レベルには歌えるようになった。
流石は努力家な私だ、凄まじい成長である。
一曲、有名な童謡を歌い切れた時にはローズと抱擁を交わし喜びあった。
今日は実に、ローズと急激に接近出来た一日だった。ちなみに、ローズの強い希望で明日もレッスンする事になった。
観光しようにも、明日も天気が荒れそうだからどうしようかとイリオーデ達とも話していた。なので明日一日は二人も自由日という事にして、私は一日ローズと過ごす約束をしたのだ。
一日暇を出したところ、イリオーデとアルベルトが私の傍にいると言い出したのだが……レッスンに相席されたら困るので、二人には二人で親交を深めるよう言いつけておいた。
二人共何故とても不服そうだったので、私でも出来る筋トレメニューとかトレーニングメニューを考えて欲しいと適当な事を頼んだら、二人共一応やる気になってくれたので大丈夫だろう。
そうやって少し頭を悩ませつつも、対等な女友達が出来た喜びからその日は気分良く眠りにつけた。
……あ、そうだ。ローズがもし帝都に来たら、メイシアの事を紹介してみよう。二人共似てるところがあるからきっと仲良くなれるだろうし!
長い沈黙を終わらせて、ローズはぽつりぽつりと語り始めた。
「私が歌ったらね、お兄様もお母様もお父様も伯父様も皆が喜んでくれた。私の歌は聞いた人に強く作用するらしくて、明るい歌を歌えば皆が明るくなるし、暗い歌を歌えば皆が暗くなっちゃうの」
私は少し驚いたが、黙って頷く事で相槌を打った。
音の魔力そのものが珍しいし、私は当然それに明るくないのだが……音の魔力とはそんな事も出来るのかと感心する。
「私が元気になる歌を歌えば、皆が元気になった。歌えば歌う程皆に受け入れてもらえるから、私はたくさん歌った。私が歌って、ただ元気になるだけなら良かったけど……その歌がね、ある程度の怪我や病気を治してしまったの」
「歌が怪我や病気を治す?」
思わず聞き返してしまった。音の魔力の予想外な力に驚愕を隠せない。
私の言葉に首肯して、ローズは続ける。
「その時私はまだ七歳とかで、何にも知らなかったの。でもそれはきっといい事なんだって思って、たくさんたくさん歌った。喉が枯れるまで、皆に元気になって欲しくてたくさん歌った」
そう語る彼女の顔には、街で見たぎこちない笑みがあった。
「最初はね、歌う事が楽しくて大好きだったんだ。でも今は、もう…………私が始めた事なのに、歌う事が辛いの。皆は私が歌えば治るからって、多少の怪我は気にしないようになっちゃった。それが当たり前になっちゃった。最近はね、多少どころじゃない重症状態で私の所に来る人までいるの」
「…………まさか」
嫌な予感に限って、決まって的中してしまうらしい。
「私の歌にはあくまでも少しの怪我を治す力しかないのに、皆は『ローズニカ様なら治せますよね?』って純粋な期待を向けてくるの。当然のように向けられる期待や重圧が本当につらくて…………頑張って歌っても治せなかった時、『何で治せないんですか?』って言われてから……もう、歌う事が怖くなったの。歌いたくても歌えなくなった。それで、街の人達に迷惑かけちゃってるんだぁ」
街の人達から言われてたのはこの事だよ、とローズは困り顔で不器用に笑う。
……歌う事が好きだったのに、領民からの期待がどんどん激化し、ついにはプレッシャーから歌えなくなった。という事なのだろう。
何と腹立たしい話なのか。堪忍袋の緒が切れるとはこの事を言うのかと思うような、突然燃え盛る怒り。ローズの厚意を当然のものと決めつけて、ローズを傷つけるなんて最低じゃないか。
内乱を起こす程、伝統と格式を重んじる大公領の領民達。その尊厳を踏みにじりたくないと思っていたが…………ローズからの厚意を履き違え彼女をこんなにも追い詰めた奴等に、そんな温情を与えてやる必要があるのか?
私は友達と仲間は大事にする主義だ。始まりは彼女自身の行動だったとしても、幼く純粋な彼女を利用し追い詰めた人達にはそれ相応の制裁を与えねば気が済まない。
「……最近は歌ってないんだよね。どうやって歌う事を回避してるの?」
「お兄様が、『ローズは最近喉を痛めたから暫く歌えない』って言ってくれたから、暫くは大丈夫なの。でもこの言い訳もいつまで続けられるか分からなくて」
「公子は貴女の味方なのね。良かったわ、安心した」
妹大好きなレオナードのファインプレーで、ローズはひとまず事無きを得ているようだ。
彼女は歌えないと言っているのに、領民は自分勝手にローズに歌えと迫った。それがどれだけローズを追い詰めていると知らないで。
もしかしたらゲーム本編前にローズが死んでしまった理由に、この領民との軋轢も関わっているのやもしれない。内乱が起きて、ただそれに巻き込まれただけでなく、彼女は戦いの最中で歌う事を強要されて。とかだったらどうしよう。
……本格的に、カイルの考えた作戦で行く必要がありそうね。ローズもレオナードも救う為にはやっぱりあの作戦で行くしかないわ。
出会って数日の相手に肩入れし過ぎだとか言われるかもしれない。でも、過ごした時間とか関係無いのよ。
彼女は間違いなく私の友達だし、私は友達が大好きだ。友達という存在は絶対に守ると決めてるから。
だから、こんなにも彼女の笑顔を曇らせた奴等を許せない。勝手に首突っ込んででも一矢報いてやらないと気が済まない。
「ねぇ、ローズ。私と一緒に帝都に行かない?」
「……え?」
突然の提案に、彼女は目を丸くした。
「ここにいたら歌う事を強要されて、貴女が歌いたい歌を好きなように歌えないのでしょう? それなら帝都に来たらいいよ」
「でも、私達は、ディジェル人だから。外の人達から倦厭されてるって、お兄様も言ってたよ。外にも私達の居場所は無いって……」
どこの誰が、帝国を守る大公領の人達にそんな事を言ったの? 恥知らずな奴等が。
悲しげに俯くローズに、そんな言葉も思いも吹き飛ばさんと、はっきりとした強い語気で語りかける。
「居場所が無いのなら、私が外での貴女達の居場所になる。他の誰にも絶対に文句は言わせないし、貴女達の事を守り抜いてみせる。だから、私の所においで。アミレス・ヘル・フォーロイトの名にかけて……私の傍を、貴女が一番貴女らしくいられる場所にしてみせるわ」
真っ直ぐと彼女の瞳を見つめて宣言したその瞬間。ローズの瞳に流れ星が落ちたような光がキラリと瞬いた。
次第にその菫色の瞳を潤ませて、ローズはポロポロと泣き出してしまった。
ドレスのポケットから慌ててハンカチーフを取りだし、ローズに「これ使って」と手渡すと、
「あり、がと……っ! まもる、とか……いば、しょになるなんて、はじめて……いわれた……っ!!」
嗚咽混じりに彼女は涙を拭いた。
彼女が落ち着くまでの間、私はわざわざ彼女の隣に椅子を持って行って、その背中を優しくさすってあげていた。そしたらいつの間にか、落ち着きを取り戻したローズが私の腕に手を絡ませていて。
何だか離れる事が出来なくなってしまった、と思いつつ私は世間話を始めた。
「ローズって歌が上手いんだよね。帝都に来てくれたらちょっと教えて貰えないかしら?」
「歌を? アミレスちゃんも歌が好きなの!」
赤バラの話をしていた時のように、途端にローズの顔が明るくなる。先程までとても泣いていたのが嘘のよう。よかった、この話をして……彼女の気晴らしになるみたいでよかった。
この子は本当に物語や歌が好きなんだなぁと微笑ましくなるが、同時に私は申し訳無い思いとなる。恥ずかしいしあまり言いたくない事なんだけど、腹を括って、実は……と無駄に重々しく切り出した。
「私、音痴……なんだよね。歌う事が苦手っていうか…………音楽は好きなんだけど、音痴みたいで。それで、かれこれもう数年歌ってないんだ」
実は私、微妙な音痴らしいのだ。幼少期にハイラから、『姫様、これからは私以外の前で歌ってはなりませんよ?』とやんわりと指摘されて以降、別に歌えなくても死なないしぃ! と不貞腐れて全くやって来なかった。
なので、恥ずかしながら未だに全然歌えないのである。
「王女が音痴とか、地味な醜聞だから今まで誰にも言えなかったんだけど……何かコツとかあればご伝授下さい……っ!」
多分、前世含め歌なんて全く歌わない人生を送って来たから、何をどうしたら歌が上手くなるのかも歌い方のコツとかも全く分からないのだ。
なんというか、和歌とか短歌は多分いけるんだけど歌は無理。民謡も童謡もポップスも分からない。その辺はかなり疎いのだ。
何かを詠み上げる事に関しては、魔法の事もあるから得意なのだけど……とかく歌はからっきしだ。音に合わせて歌うとか無理。音程って何?
だからどうか、大公領の歌姫らしい彼女からの助言を賜りたいと思ったのだ。そしてあわよくばローズがもう一度歌えるようになる切っ掛けになればと。そんな思惑もある。
「……──任せて! 私が必ず、アミレスちゃんも歌えるようにするから!」
ローズの瞳に炎が燃え盛る。どうやらやる気になってくれたらしい。
そこからは日が暮れるまでローズによる歌レッスンが行われた。私の思惑通り、歌えないと言っていたローズもほんの少し、一瞬だけなら軽く歌えていたりして……レッスンを初めて良かったと思った。
ローズ先生曰く。肺活量自体は十分にあるから、問題は音の取り方だーとか、音を聞きながら歌いましょう! とか。
伴奏としてローズがピアノを弾いてくれたので、それに合わせてたくさん練習をした。音が部屋から漏れ出て通りすがりの人に聞かれたら恥ずかしいので、こっそり結界を張って数時間みっちりレッスンに励んだ。
ローズの教え方が凄く上手いのか……なんと私は、音がまだ少し不安定なものの、歌を覚え始めた子供レベルには歌えるようになった。
流石は努力家な私だ、凄まじい成長である。
一曲、有名な童謡を歌い切れた時にはローズと抱擁を交わし喜びあった。
今日は実に、ローズと急激に接近出来た一日だった。ちなみに、ローズの強い希望で明日もレッスンする事になった。
観光しようにも、明日も天気が荒れそうだからどうしようかとイリオーデ達とも話していた。なので明日一日は二人も自由日という事にして、私は一日ローズと過ごす約束をしたのだ。
一日暇を出したところ、イリオーデとアルベルトが私の傍にいると言い出したのだが……レッスンに相席されたら困るので、二人には二人で親交を深めるよう言いつけておいた。
二人共何故とても不服そうだったので、私でも出来る筋トレメニューとかトレーニングメニューを考えて欲しいと適当な事を頼んだら、二人共一応やる気になってくれたので大丈夫だろう。
そうやって少し頭を悩ませつつも、対等な女友達が出来た喜びからその日は気分良く眠りにつけた。
……あ、そうだ。ローズがもし帝都に来たら、メイシアの事を紹介してみよう。二人共似てるところがあるからきっと仲良くなれるだろうし!
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