上 下
218 / 765
第三章・傾国の王女

197,5.ある諜報員の奮闘

しおりを挟む
「ルティは本当に飲み込みが早いなァ、成長速度だけで見ればウチ最強だぜ?」
「あ……ありがとう、ございます」

 諜報部の先輩、偽名コードネームランスが俺の背中を叩きながら「ガハハ!」と豪快な笑い声を上げる。
 経験や知識の浅い俺は、少しでも早く強く立派な諜報員になるべく手の空いている先輩方に様々な稽古をつけてもらう日々を送っていた。
 今日もその一環で、長い得物を使った戦闘行為に一家言あるランス先輩に何本か付き合ってもらっていた。幸か不幸か……俺は地方の砦にいた頃に色んな武器の扱い方を教えてもらっていたので、一通りの武器は扱える。その個性を活かして万能型戦闘員オールラウンダーになれとヌルさんから言われたので、とりあえず俺は全ての武器で戦えるようになる必要があった。
 流石は諜報部と言うべきか、本当に個性溢れる人ばかりでその分戦闘方法も多彩。俺が師事すべき人が多くいて、充実した半年を送れていた事だろう。

「しっかし、俺には分かんねぇな。何でお前はそこまでして早く強くなろうとするんだ? 俺達に顔が割れなかったぐらい、お前ってそもそも強いだろ」

 ランス先輩が、蛇腹剣を鞘に収めながら問うてくる。
 これは訓練の時に良く聞かれる事だった。何がそこまでお前を突き動かすのか──…そう、何度も聞かれた。
 その度に俺の中には一つの答えだけが思い浮かんで。

「……どうしても役に立ちたい人がいるんです。この命に代えてでも、俺はあの御方の恩に報いたいんです」

 脳裏に浮かぶ、ある一人の貴き御方の笑顔。俺の眼には何色も映らないが……世の人々曰く、月の女神の化身のような美しさの少女。
 『またどこかで会いましょう、アルベルト』
 そう最後に別れを告げられてからは、声を聞く事すらも叶っていない。その姿は暇さえあれば遠くからこっそりと見ていたが、声は………。
 あの鈴の鳴るような声をまた聞きたい。また、彼女に名前を呼んで欲しい。そんな分不相応な望みが俺の心に居座る。
 ただ一人、俺の事を理解してくれた御方。初めて、無条件に俺の事を信じてくれた御方。平然と、人の望みを叶えては素知らぬ振りをする正義の味方のような御方。
 俺には彼女の色は何も見えないけど……それでも、あの御方がまさに女神のような美しさと可憐さを誇り、大海のように広く深き慈悲の心を持っている事は分かる。何せ俺はあの御方の慈悲の心を身をもって体感したからね。いいでしょう!

「ほーぅ、まあいいと思うぜ? 諜報員なんて仕事、それぐらい強い意思がねぇとやってられねぇからな。その御方ってのが誰かは詮索しないでおいてやるが、頑張れよな。新人」

 気前のいい快活な笑顔で、ランス先輩が何度か肩を叩く。
 ありがとうございます。と返事をして、俺達は訓練場を出て諜報部に戻った。そして汗を拭き着替えを済ませた時。部屋の扉が開かれて、『窓』担当のうちの一人が「仕事ですよ~」と言いながらやって来た。
 『窓』というのは諜報部が唯一外部との接触を図る為に設置している窓口の事で、外部からの極秘任務などを受け付ける場所の事でもある。
 そこの担当が来たという事は、『窓』の存在を知る誰かが依頼をしたと言う事。はっきり言って珍しい事だ。

「ルティ、お前も珈琲飲むか?」
「いただきます」

 ランス先輩から珈琲をいただき、熱々のそれに唇をつけながら窓の話を聞く。

「えーっと、今回の依頼は『白紙の辞書』。初めて『窓』を利用した一見さんですね。その割に手馴れてましたが」
「ほーん、一見も気軽に利用出来るようになったのか。『窓』は」
「そうですねぇ。嬉しいような、諜報部としてはいかがなものか、とも考えてみたり………ってそれどころじゃないんですよ。その依頼者が凄い人なんです!」
「どうしたついに侯爵家でも依頼して来たか?」

 ランス先輩がどこかワクワクしながら尋ねるも、『窓』は顔を横に振った。どうやら依頼者は侯爵家ではないようだ。
 まぁ、依頼者が誰であろうと俺はまだ依頼を受けられる程の実力は無いし、この件は多分ランス先輩が引き受けるだろ──、

「それがですね、なんと依頼者は王女殿下なんですよ!」

 何ぃっ!? と衝撃のあまり飲んでた珈琲を吹き出して噎せた。あまりにも突然の事にランス先輩も『窓』もこちらを心配してくる。
 しかしその声もほとんど届かない程に、俺の心臓はバクバクとうるさく鼓動して、心や頭はぐるぐると様々な感情が入り乱れる。
 何で、どうして王女殿下が諜報部に依頼を? そもそも『窓』の存在をどうして知って──…あぁ、そうか。これは俺へのメッセージなんだ。
 早く直接命令出来るぐらい強くなれという、王女殿下なりの激励の言葉。俺に少しでも強くなる機会を与えようと、王女殿下が気を配ってくださったんだ。
 ああ、やっぱりあの御方はどこまでも慈悲深く気高き人だ。
 お任せください、王女殿下。俺は必ずや貴女の意図を汲み取り、貴女の望むままに動いてみせます。貴女の駒の一つとして完璧に働いてご覧に入れましょう!

「──その依頼、俺に受けさせてください」
「「え?」」

 ランス先輩と『窓』の声が重なる。そんな二人に向けて、俺はもう一度力強く告げた。

「その依頼、俺に受けさせてください」

 原則、見習いには依頼を受ける資格は無いのだが…俺は事情が事情なので、本来はある筈だった一年の見習い期間がぐっと減って四ヶ月に。実はもう既に正規の諜報員だったりする。
 しかしまだまだ技術的に拙い所や、自信の無い所が多かったのでこうして訓練に明け暮れる日々を自発的に送っていた。なので、一応依頼を受ける事は可能なのだ。
 俺が自発的に依頼を受けると言い出した事が心配なのか、ランス先輩が不安げな顔を作り、

「確かに『白紙の辞書』なら闇の魔力のが圧倒的に楽だろうが………お前大丈夫か? ちゃんとやれるのか?」

 ポンっと優しく肩に手を置いて来た。まだ諜報員として未熟なんだから依頼は早いと。無茶はよせ、と暗に忠告してくれる。
 しかし。俺は絶対にこの依頼を受けねばならない。この王女殿下のお役に立てる絶好の機会、逃す訳にはいかないのだ。

「はい。いつかは俺も依頼を受ける必要があるのです、それが今だったというだけ。という訳で、俺がその依頼を受けます」
「お前………こんな頑固だったか…??」

 そりゃあ頑固にもなる。だって他ならぬあの御方からの依頼なんだから。

「ま、まぁ……それじゃあルティが依頼を受ける方向で処理しますね。はい、これが依頼書です」
「ありがとうございます」

 ぺこりとお辞儀しながら手渡された依頼書に視線を落とす。そこには確かに以前一度だけ見た王女殿下の筆跡で『アミレス・ヘル・フォーロイト』『白紙の辞書探し』と書かれており…本当に王女殿下が依頼者なのだと、密かに舞い上がってしまった。
 ああ、あぁ! 遂に王女殿下のお役に立てる時が来たんだ! これまで割と辛い訓練に耐えてこられたのもエル──サラと王女殿下の存在あってこそ。
 俺の命の恩人で、唯一の理解者で、尊敬する御方。そんな彼女の為に働けるなんて嬉しいな。ようやく、あの御方のご恩に報いれるんだ。

「…ルティ、お前めちゃくちゃ嬉しそうだが……そんな顔出来たんだな。そんなに初依頼を受けれたのが嬉しいのか?」

 ランス先輩の冷静な指摘に、俺はここで初めて自分の表情が弛みに弛んでいた事に気づく。
 諜報員は己の表情さえも武器とせよ。その教えを完璧に忘れてしまっていた。まさか表情を把握し損ねたなんて。
 気合いを入れてキリリとした表情を作り、

「すっごく嬉しいです。この依頼」
「ハハ、そりゃ良かったな」

 自分の心に正直に嬉しいと口にしたら、ランス先輩は子供にするように、俺の頭に手を置いてわしゃわしゃと掻き乱していった。
 その後、今日中に片しておきたい仕事を片付けてから、俺は身嗜みを整えて王女殿下の元に向かった。依頼を受けたら、その日のうちに依頼者に最終確認に行く決まりがあるのである。
 ただの依頼者ならば普通に家を訪ねる所なのだが、今回の依頼者は王女殿下だ。どうしても秘密裏に接触する必要がある。
 いくら仕事と言えど、突然王女殿下の私室に侵入するなど言語道断。王女殿下が気づいてくれますようにと願いながら、花を一輪、王女殿下の私室の窓際に置いた。
 そして暫く近くの木の上で待っていたら、ようやく王女殿下が気づいてくれたようで、窓を開けて花を眺めていた。
 花、気に入ってくれたのかな? 色は分からないけれど、形が綺麗な花を選んだから気に入ってくれたのなら嬉しいな。
 こんなにも近くで王女殿下を見る事が出来るなんて、俺は本当に幸運だ。……そんな浮き足立つ気持ちのまま俺は王女殿下の前に姿を表した。

「っ?!?!」

 すると、王女殿下は警戒した表情で後ろに飛び退き、白い長剣ロングソードを構えた。
 ……これは、もしかして怖がらせてしまった?
 ハッとなり俺は自分の格好を見直してみる。諜報部支給の闇夜に紛れる真っ黒の制服。顔もフードと覆面とで半分隠れている為に、夜も相まって姿が全く見えない事だろう。
 どう考えても不審者だ。街で百人に聞けば百人が黒と答えるレベルの不審者だ。
 例え、どれだけ王女殿下が勇敢な人と言えども彼女はまだ十三歳の少女。こんな明らか完璧に不審者な男がこんな時間に突然目の前に現れたら……普通の人なら怯えて当然だ。
 不審者だけど不審者ではないんです! と両手を胸の前で何度も左右に振る。ついでに顔も左右に振っていたのだが、王女殿下は更に警戒を強めるだけで。
 こうなったらもう仕方無い、と俺は覆面を取った。諜報員は原則素顔を見せてはいけないのだが……、

「王女殿下、俺です」

 彼女相手ならば問題無いだろう。今はとにかく、依頼者であり恩人である王女殿下に怯えられている状況の打破が最優先事項だった。

「え、あ………アルベルト…??」

 王女殿下はぽかんとした顔で剣を持つ手を体側に落とした。
 ……名前、また呼んでもらえた。諜報員になった以上もう呼ばれる事なんてないと思っていた俺の名前…王女殿下に呼ばれただけで、こんなにも心が温かくなるなんて不思議だな。
 こうやってまたお会い出来て本当に嬉しい。たったこれだけの事でとても幸福になれるなんて。俺は本当に単純な人間だ。

「本当は顔とか見せたらいけないんですが、王女殿下相手ならば今更な節もありますし……どうやら、怖がらせてしまったようなので」

 こんな事なら覆面だけでも外しておけばよかった。そう思いながら、申し訳ございません。と謝る。
 すると王女殿下が「勘違いして警戒したのは私だから」とまるで俺に非がないように言ってくれて…なんて心が広い人なんだと、その高潔な御心に感服した。

「もしかして、依頼を受けてくれたのって……」

 突然、何かに気づいたように王女殿下がこちらに視線を送って来る。ようやく気づいてくださった、と喜びながら俺はこくりと頷いた。

「はい、俺です。王女殿下の役に立ちたくて」

 その為にこの依頼に立候補しました。全力で。

「依頼を受けた諜報員がその日のうちに、依頼者の元に依頼内容の最終確認と大まかな日数を聞きに行く事になってて……こんな時間にこんな格好だったから怖がらせてしまったようで、すみません」
「いやそれは………そんな仕組みだって事を知らなかった私に非があるので…」

 王女殿下は本当になんと慈悲深い御方なのか。俺が責任を感じないで済むように、こんなにも非が自分にあると言うなんて…。
 じーんと感動する心を落ち着かせる為にわざとらしく咳払いをして、

「改めまして──…此度の辞書探しの方を務めさせていただきます、偽名コードネームルティと申します」

 俺は渾身の一礼をして諜報員らしく名乗った。
 決まった……いつか来るかもしれない日の為に、サラと一緒に練習した甲斐があった。こうしてちゃんとお披露目の機会があって良かった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました

市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。 私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?! しかも婚約者達との関係も最悪で…… まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!

【R18】騎士たちの監視対象になりました

ぴぃ
恋愛
異世界トリップしたヒロインが騎士や執事や貴族に愛されるお話。 *R18は告知無しです。 *複数プレイ有り。 *逆ハー *倫理感緩めです。 *作者の都合の良いように作っています。

【※R-18】私のイケメン夫たちが、毎晩寝かせてくれません。

aika
恋愛
人類のほとんどが死滅し、女が数人しか生き残っていない世界。 生き残った繭(まゆ)は政府が運営する特別施設に迎えられ、たくさんの男性たちとひとつ屋根の下で暮らすことになる。 優秀な男性たちを集めて集団生活をさせているその施設では、一妻多夫制が取られ子孫を残すための営みが日々繰り広げられていた。 男性と比較して女性の数が圧倒的に少ないこの世界では、男性が妊娠できるように特殊な研究がなされ、彼らとの交わりで繭は多くの子を成すことになるらしい。 自分が担当する屋敷に案内された繭は、遺伝子的に優秀だと選ばれたイケメンたち数十人と共同生活を送ることになる。 【閲覧注意】※男性妊娠、悪阻などによる体調不良、治療シーン、出産シーン、複数プレイ、などマニアックな(あまりグロくはないと思いますが)描写が出てくる可能性があります。 たくさんのイケメン夫に囲まれて、逆ハーレムな生活を送りたいという女性の願望を描いています。

最愛の番~300年後の未来は一妻多夫の逆ハーレム!!? イケメン旦那様たちに溺愛されまくる~

ちえり
恋愛
幼い頃から可愛い幼馴染と比較されてきて、自分に自信がない高坂 栞(コウサカシオリ)17歳。 ある日、学校帰りに事故に巻き込まれ目が覚めると300年後の時が経ち、女性だけ死に至る病の流行や、年々女子の出生率の低下で女は2割ほどしか存在しない世界になっていた。 一妻多夫が認められ、女性はフェロモンだして男性を虜にするのだが、栞のフェロモンは世の男性を虜にできるほどの力を持つ『α+』(アルファプラス)に認定されてイケメン達が栞に番を結んでもらおうと近寄ってくる。 目が覚めたばかりなのに、旦那候補が5人もいて初めて会うのに溺愛されまくる。さらに、自分と番になりたい男性がまだまだいっぱいいるの!!? 「恋愛経験0の私にはイケメンに愛されるなんてハードすぎるよ~」

6年間姿を消していたら、ヤンデレ幼馴染達からの愛情が限界突破していたようです~聖女は監禁・心中ルートを回避したい~

皇 翼
恋愛
グレシュタット王国の第一王女にして、この世界の聖女に選定されたロザリア=テンペラスト。昔から魔法とも魔術とも異なる不思議な力を持っていた彼女は初潮を迎えた12歳のある日、とある未来を視る。 それは、彼女の18歳の誕生日を祝う夜会にて。襲撃を受け、そのまま死亡する。そしてその『死』が原因でグレシュタットとガリレアン、コルレア3国間で争いの火種が生まれ、戦争に発展する――という恐ろしいものだった。 それらを視たロザリアは幼い身で決意することになる。自分の未来の死を回避するため、そしてついでに3国で勃発する戦争を阻止するため、行動することを。 「お父様、私は明日死にます!」 「ロザリア!!?」 しかしその選択は別の意味で地獄を産み出していた。ヤンデレ地獄を作り出していたのだ。後々後悔するとも知らず、彼女は自分の道を歩み続ける。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

気づいたら異世界で、第二の人生始まりそうです

おいも
恋愛
私、橋本凛花は、昼は大学生。夜はキャバ嬢をし、母親の借金の返済をすべく、仕事一筋、恋愛もしないで、一生懸命働いていた。 帰り道、事故に遭い、目を覚ますと、まるで中世の屋敷のような場所にいて、漫画で見たような異世界へと飛ばされてしまったようだ。 加えて、突然現れた見知らぬイケメンは私の父親だという。 父親はある有名な公爵貴族であり、私はずっと前にいなくなった娘に瓜二つのようで、人違いだと言っても全く信じてもらえない、、、! そこからは、なんだかんだ丸め込まれ公爵令嬢リリーとして過ごすこととなった。 不思議なことに、私は10歳の時に一度行方不明になったことがあり、加えて、公爵令嬢であったリリーも10歳の誕生日を迎えた朝、屋敷から忽然といなくなったという。 しかも異世界に来てから、度々何かの記憶が頭の中に流れる。それは、まるでリリーの記憶のようで、私とリリーにはどのようなの関係があるのか。 そして、信じられないことに父によると私には婚約者がいるそうで、大混乱。仕事として男性と喋ることはあっても、恋愛をしたことのない私に突然婚約者だなんて絶対無理! でも、父は婚約者に合わせる気がなく、理由も、「あいつはリリーに会ったら絶対に暴走する。危険だから絶対に会わせない。」と言っていて、意味はわからないが、会わないならそれはそれでラッキー! しかも、この世界は一妻多夫制であり、リリーはその容貌から多くの人に求婚されていたそう!というか、一妻多夫なんて、前の世界でも聞いたことないですが?! そこから多くのハプニングに巻き込まれ、その都度魅力的なイケメン達に出会い、この世界で第二の人生を送ることとなる。 私の第二の人生、どうなるの????

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

処理中です...