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第二章・監国の王女
170.十三歳になりました。番外編
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二月十六日。この日が彼女の誕生日であり、同時に彼女の母親の命日である事を知るのは容易い事だった。
確かにジスガランドは大陸の東にあり、フォーロイト帝国は西にある為その距離は凄まじい。それ故互いの情報など全く伝わらないのだ。だがしかし、僕は彼女の情報を手に入れた。
それはとある魔法を使っての事。彼女がオリジナルで結界魔法を編み出していたのを思い出し、少し真似をして作った僕のオリジナルの魔法。
名前をつけるなら……そうだね、影法師とでも呼ぼうか。ふふ、光の魔力しか持たない僕が影なんて名前の魔法を使う日が来るなんて思いもしなかったよ。
これは目当ての何かの影を光で以て生み出し、それに魔力と多少の自我を与える事で使い魔のように使役する事の出来る魔法。
僕はこれで鳥を創り出し、空の目としてフォーロイト帝国に向けて飛ばしていたのだ。それで簡単に彼女の誕生日の情報を手に入れた。
人の口に戸は立てられないからね。国がどれだけそれを隠蔽しようとしていても、人々は不幸や事件程忘れないものだ。王女殿下の誕生日と皇后陛下の命日なんて、そう簡単には忘れられないだろう。
だからあっさりと。想定よりも早く情報を得る事に成功した。おかげさまで彼女と出会ってから初めての誕生日に、プレゼントを贈り損ねるなんて事にならずに済んだよ。
「うーん。果たして何を贈る事が最適だろうか……どうせあの聖人も何か贈るだろうしなぁ、あの男にだけは負けたくない。何か彼女に喜んで貰えそうな物を…」
腕と足を組み、ちょっとした山の上に腰を据えて僕は頭を悩ませる。
彼女は確か次で十三歳だったかな。十三とはとても意味のある数字。
我らが主がまだ人の身であった時、この世の浄化にあたり用いた十三章の聖魔教典。それはジスガランドの十二箇所の聖堂にて一章ごとに厳重に保管されており、その第十三章が教座大聖堂に保管されている。
リンデア教の信徒は十年に一度、その十二の聖堂と教座大聖堂を保管されている教典の順番に巡る、聖地巡礼を行う。そして、各聖堂にて主への感謝と祈りを捧げるのだ。
そんな風習から我々にとって十三という数字は特別な意味を持つのである。
………とは言えども、彼女は別にリンデア教の信徒では無い。かと言って天空教の信徒という訳でもなさそうだった。
どうやら彼女はどちらかというと無神論者のようだ。それは、こんな立場の僕からすればよく分からない事だけれど。
そんな彼女に十三がどうのと言うつもりはない。
これはあくまでも僕のちょっとしたこだわりだ。僕がただ個人的に、十三歳を迎える彼女に一等特別なプレゼントを贈りたいというだけなのである。
「あのー、ロアクリード様ー? 誰に何を贈るのかは知りませんが、とりあえずそこから降りてくれませんかね。それ以上そこに座られると後の洗濯が大変になるんですよー!」
下の方から声が聞こえて来る。彼は僕の世話係のようなもの。昔から僕の傍にいる護衛兼側近だ。
…これでも一応、教皇の息子だからね。昔からそういう存在がいたんだ。
まぁ、旅の間は定期的に手紙を出す事を条件に、彼に僕の代理を任せて一人で旅をしていたのだ。
ジスガランドに帰って来てからは僕の身の回りの世話をも彼が行っている為、このままここに座り続ける事で服が汚れる事を気にしているようだ。
「ああごめんね、マアラ。つい考え事に耽ってしまったよ。確かにこのまま魔物の死骸の山に座ってたら臭いもついてしまいそうだ」
「分かってるなら早くその趣味悪い椅子から降りてくださいー!」
「はいはい、分かってるよ」
軽い足取りで魔物の死骸の山から飛び降りる。これは、先程大群で押し寄せて来た魔物達を倒して出来上がった山である。
ここはジスガランドの北部にある洞窟、通称魔窟。僕が昔から修行だなんだと父に放り込まれてきた忌まわしき洞窟であり、白の山脈と同等の魔物の出現率を誇る場所。
皮肉にもこれ以上ない程に修行に最適な場所なので、ジスガランドに帰って来てからと言うもの、よくこうして潜っているのである。
「まったく………深層の魔物を椅子にするのは貴方ぐらいですよ、ロアクリード様。何かまーた強くなってるし…」
「え、本当? 僕強くなってる?」
服に着いた土や汚れを手で払っていると、マアラから嬉しい言葉が聞こえて来た。強くなったという事は、僕の目標である聖人に並ぶ事……それに近づいたようなものだからだ。
「何でちょっと嬉しそうなんですかねぇ……それと、一人称戻ってますよ」
「あっ。気を抜いたらつい、僕に戻ってしまうんだよね。でも良くない? ここには僕達しかいないのだから」
「そりゃあ、魔窟の深層まで五体満足で降りてこられる人間なんてそうそういませんからね。もしいたとしても、人の話に聞き耳立てる余裕なんてありませんよ」
「ならいいじゃないか」
「ロアクリード様って妙に適当なところありますよね」
マアラの呆れた目が僕に向けられる。彼は几帳面すぎるんだよ。誰にも聞かれていないならいいじゃないか、別に。
「でも確か国教会の聖人も一人称は僕って聞いたような」
「よーし先に進むぞぅ、私は忙しいからね!」
「……本当に聖人の事嫌いですよね、ロアクリード様」
マアラの呆れたような視線がこちらに向けられる。
あぁ、大っ嫌いだとも。彼の存在の所為で僕はこれまで苦労して来たのだから、好きな訳無いだろう。
更に奥へ深く潜ろうと思ったのだが、僕はここで立ち止まる。くるりと振り返って、マアラの顔を見つめた。
じぃーっ……と暫く見つめていると、マアラが酸っぱいものを食べたような顔をしながら「なんですか…?」と呟く。言葉の端々から溢れ出る、嫌気がさしていそうな声音。
「少女への誕生日プレゼントって、一般的には何が主流なのかな」
「え、少女?」
「丁度、十三歳になる女の子の誕生日プレゼント。何だったら喜んで貰えるのかなって」
なんのかんのでかれこれ三日ぐらいは悩んでいる気がする。こういった場合、一人で悩んでいてもいい案は思い浮かばない。
なので第三者の意見を参考にしようと思ったのだが。
「あの、人の性癖を否定するつもりは全然無いんですよ? 例えロアクリード様が小児性愛者で幼い少女に性的興奮を覚える変態だったのだとしても、愛の形は人それぞれですし別に個人の自由だと思います。ただ、流石に手を出すのはちょっと………プレゼントで釣ろうとか屑の考えですよ…」
「ちょっと黙ってくれないかな? 最初から全部勘違いなんだよ、それ」
マアラが心の底から引いたように言う。彼の表情は汚物を見るかのような、酷く侮蔑的なものに染まっていた。
勝手に人の事を変態呼ばわりして屑と罵るなんて。部下としてどうなんだ、この男。失礼極まりないな。
「そもそも彼女はそういう存在じゃない。彼女は私の人生の指標……道しるべのような存在だ。愛だの恋だのなんて考える相手じゃないんだよ」
何か酷い勘違いをしているマアラに彼女について説明するも、彼の表情は一向に変わらない。
「例え恋愛感情じゃなかったとしても、何歳も歳上のれっきとした成人男性からそんな感情向けられてたら、普通の女の子はドン引きですよ」
「…………嘘でしょ?」
「何でここで自分が嘘をつく必要があるんですか」
僕は狐につままれたかのように呆然としていた。こんな生い立ちの僕に一般的な常識が備わっているなんて思った事は無いけれど、まさかこんな所でそれを痛感するなんて。
そうか、普通の女の子は大人の男からこんな風に『道しるべ』だ『使命』だと想われていたらドン引きするのか。知らなかった………。
いやでも、あの王女殿下だよ? あんなにもイリオーデ君やシュヴァルツ君やシャンパージュ嬢から重い感情を向けられている彼女が、僕のたったこれしきの感情に引くのかな?
いやしかし。先述通り僕には常識というものがそこそこ欠如している。僕が問題ないと思い込んでいるだけであって、実際には彼女も迷惑しているのかもしれない。
そう考えると…うむ、心苦しいなぁ。
かと言ってやめられる訳でもないけれど。多分もう、指標を失う事なんて僕には出来ないから。
「……まぁ、大丈夫だろう。彼女はとっても魅力的だからね、こういう感情を向けられる事にも慣れているだろう」
「どんな生き方してたら、普通の女の子がそんな事に慣れるんですかね」
「それは僕も聞きたいよ。彼女は…本当に、色んな事に慣れすぎているんだ」
その幼さからは考えつかない程。これまでの人生の殆どを閉塞的な世界で生きていたとは思えない程。
彼女は色んな事に慣れていた。まるで既に何十年も生きているかのような、そんな落ち着きすらあった。
その癖、たまに箱入り娘っぽい様子も見せる。
彼女の育った環境が原因なのか、はたまた彼女自身に何か理由があるのか……。
そう考えなかった訳ではないが、どうしても結論を出す事が出来なかった。
「はぁ…本当に、彼女の事はよく分からないな。何を贈れば喜んでくれるのか見当もつかないよ」
「まだ十三歳なら、まぁ、順当に行けばドレスとか装飾品なんじゃないですか? 自分は十三歳の少女にプレゼントを贈った事が無いので分かりませんが」
「一言余計だな君は。でも確かに、装飾品とかはいいかもしれない」
そして僕はまた考え込む。さてどうしたものか……一括りに装飾品と言っても色々ある。何であれば彼女が喜んでくれるか、それが最も重要だ。
やっぱり、聖人よりもいいプレゼントを贈りたい。聖人に負ける事だけが癪だからね。
ならば何が良いだろうか………希少価値が高い方がいいか? それならフォーロイト帝国の方では見ない東特有の物がいいか。
ジスガランドの特産かつ彼女に似合う物……うーん、何がいいだろう。装飾品にするのなら宝石類の方が──。
そこでハッと思いつく。東特有の物かつ装飾品に出来る希少価値の高い物の存在に気づいたのだ。
「そうだ、ブルーナイトパールにしよう! あれならばきっと彼女とて喜んでくれる筈だ、多分!!」
握り拳を胸の横で作り、意気揚々と僕は魔窟を出る準備を始めた。ブルーナイトパールはちゃんと希少な物なので、思い立ったならばすぐ確保すべし。
いざとなれば権力を盾に確保してみせようとも。
「ぶっ………ブルーナイトパールを十三歳の少女への誕生日プレゼントにするんですか!? 馬鹿なんですか貴方、あれは後々教皇聖下に献上される品でして──」
泡を食った様子のマアラがコツコツコツ、と詰め寄って来ては釣り上げた眉で僕を見上げる。
「一つぐらい私が貰っても問題無いよ。あの御方は、宝石に興味無いし」
「そもそもブルーナイトパール程の宝石をプレゼントにする事が前代未聞なんですって………!」
「じゃあ私が初めてなんだね、ブルーナイトパールをプレゼントにするのは」
ふふ、となんだか嬉しい気分になる。浮かれた様子で魔窟を出る為に歩き出す僕の後ろを、マアラが「ちょっと待ってくださいよ!!」と必死に追いかけてくる。
いつだって、何かしらは前代未聞なものだ。いいじゃないか、ブルーナイトパールをプレゼントにしたって。
どうせあの価値が分かるのはジスガランドの人間だけ。向こう側の人間はブルーナイトパールの存在すら知らないかもしれない。もし知っていたとしても、逆に知っている事の影響で本物とは思わないだろう。
ならばブルーナイトパールを贈っても向こうで問題に発展する事は無い。全然問題ないだろう?
「問題大アリですよ! どんな大きさであろうとも、ブルーナイトパール一つに一体どれだけの価値があるのか分かってるんですか?!」
「国家予算相当の価値がある事だけは知っているよ。それに何の問題があるんだ」
「そーですよ国家予算相当の価値があるんですよあの宝石には!! そんなもの、たかだか子供へのプレゼントに出来る訳が無いでしょう!!」
マアラが顔を真っ赤にして捲し立てる。彼は、僕の部下として真面目に意見を述べているだけなのだろう。
何も知らない彼にこんな怒りを覚えるなんて見当違いである事は分かっている。だがそれでも、気に食わないな。
「…──たかだか子供? マアラ、君は私がわざわざプレゼントを贈るような相手がただの子供だと、本当にそう思うのか?」
「っ!? いや、それは……その…」
低い声で冷たく一瞥すると、マアラはビクッと肩を跳ねさせて視線を泳がせた。
「彼女は一国の王女だ。私が敬服し、希少な宝石を贈りたいとさえ思う程の貴き存在。国家予算相当の価値がある宝石を贈るには、これ以上無い相手だと思うんだけど」
流石に、フォーロイト帝国のとまで言うとマアラも不審に思うだろう。だからそれは伏せて彼女の立場だけ伝えた。
するとマアラは目を白黒させてから、居心地の悪そうな顔で「……後で怒られても知りませんからね」と言った。どうやら、ブルーナイトパールをプレゼントにする事を見逃す気になったらしい。
まあ僕がここまで言う相手はそうそういないからな。マアラとてそれを知っているから渋々黙認したのだろう。
そして僕は数時間かけて魔窟を抜け出し、外に出て真っ先にブルーナイトパールを扱う職人の元に足を運んだ。
突然の僕の登場に冷や汗を流して戸惑う職人に「一番大きいブルーナイトパールを見せてくれ」と申し出て、更には「それじゃあ……そうだな。これをネックレスにしてくれ。大きさは勿論このままで」と依頼した。
当然、その場にいた者達全員が顎が外れんばかりに口を開き、困惑する。
ギョッとした顔のまま魂が抜けたような、そんな放心状態のマアラは放っておいて……どよめきだす職人達に向け、僕は更に言い放つ。
「これはとても大事な御方に贈る物だから慎重に頼む。代金は──…君達の望むものでどうだ」
含みのある言い回しをした所、職人達は何かに気づいたように覚悟を帯びた表情で頷いた。
こうして、前代未聞の取引は成立。僕は無事に大きなブルーナイトパールのネックレスを手に入れる事が出来た。
ふふっ。やっぱり権力はこういう時こそ便利だよね。こんなの、僕が教皇代理でなければ叶わなかっただろうから。
あの時職人達に告げた『君達の望むもの』というのは、教皇にのみ赦された文言。今では、教皇とその代理である僕に赦された言葉。
それはその言葉のまま、何でも一つ望みを叶えてやる。というもの。
職人達は、リンデア教の信徒ならば誰もが一度は参拝したいと夢見る、教座大聖堂にある選ばれた者しか入れぬ神殿の間……そこへの参拝許可を望んだ。
そんな事でいいのならと、僕の権限で彼等に参拝許可を与えてこの取引は終わった。
ブルーナイトパールのネックレスをきちんと包装し、ちゃんと手紙も書いてプレゼントを用意する。最後にそれを影法師で創り出した鳥に持たせて、
「良し、いいな? 人ではない魔に近い少年の元に向かうんだ。彼ならきっとすぐに事情を把握してくれるだろうからね」
その鳥にシュヴァルツ君の元に向かうよう言い聞かせる。
シュヴァルツ君だけが僕の事情を把握しているようだからね。これを利用しない手は無い。
ちゃんと届くといいな。ちゃんと喜んで貰えるといいな。
そんな、幼い子供のような気持ちに僕は暫くソワソワとしていた。
「──兄上、祈祷のお時間ですよ」
「ああ。今行くよ」
弟に呼び出されるその時まで、僕はフォーロイト帝国がある方向の空をじっと見つめて黄昏ていた。
確かにジスガランドは大陸の東にあり、フォーロイト帝国は西にある為その距離は凄まじい。それ故互いの情報など全く伝わらないのだ。だがしかし、僕は彼女の情報を手に入れた。
それはとある魔法を使っての事。彼女がオリジナルで結界魔法を編み出していたのを思い出し、少し真似をして作った僕のオリジナルの魔法。
名前をつけるなら……そうだね、影法師とでも呼ぼうか。ふふ、光の魔力しか持たない僕が影なんて名前の魔法を使う日が来るなんて思いもしなかったよ。
これは目当ての何かの影を光で以て生み出し、それに魔力と多少の自我を与える事で使い魔のように使役する事の出来る魔法。
僕はこれで鳥を創り出し、空の目としてフォーロイト帝国に向けて飛ばしていたのだ。それで簡単に彼女の誕生日の情報を手に入れた。
人の口に戸は立てられないからね。国がどれだけそれを隠蔽しようとしていても、人々は不幸や事件程忘れないものだ。王女殿下の誕生日と皇后陛下の命日なんて、そう簡単には忘れられないだろう。
だからあっさりと。想定よりも早く情報を得る事に成功した。おかげさまで彼女と出会ってから初めての誕生日に、プレゼントを贈り損ねるなんて事にならずに済んだよ。
「うーん。果たして何を贈る事が最適だろうか……どうせあの聖人も何か贈るだろうしなぁ、あの男にだけは負けたくない。何か彼女に喜んで貰えそうな物を…」
腕と足を組み、ちょっとした山の上に腰を据えて僕は頭を悩ませる。
彼女は確か次で十三歳だったかな。十三とはとても意味のある数字。
我らが主がまだ人の身であった時、この世の浄化にあたり用いた十三章の聖魔教典。それはジスガランドの十二箇所の聖堂にて一章ごとに厳重に保管されており、その第十三章が教座大聖堂に保管されている。
リンデア教の信徒は十年に一度、その十二の聖堂と教座大聖堂を保管されている教典の順番に巡る、聖地巡礼を行う。そして、各聖堂にて主への感謝と祈りを捧げるのだ。
そんな風習から我々にとって十三という数字は特別な意味を持つのである。
………とは言えども、彼女は別にリンデア教の信徒では無い。かと言って天空教の信徒という訳でもなさそうだった。
どうやら彼女はどちらかというと無神論者のようだ。それは、こんな立場の僕からすればよく分からない事だけれど。
そんな彼女に十三がどうのと言うつもりはない。
これはあくまでも僕のちょっとしたこだわりだ。僕がただ個人的に、十三歳を迎える彼女に一等特別なプレゼントを贈りたいというだけなのである。
「あのー、ロアクリード様ー? 誰に何を贈るのかは知りませんが、とりあえずそこから降りてくれませんかね。それ以上そこに座られると後の洗濯が大変になるんですよー!」
下の方から声が聞こえて来る。彼は僕の世話係のようなもの。昔から僕の傍にいる護衛兼側近だ。
…これでも一応、教皇の息子だからね。昔からそういう存在がいたんだ。
まぁ、旅の間は定期的に手紙を出す事を条件に、彼に僕の代理を任せて一人で旅をしていたのだ。
ジスガランドに帰って来てからは僕の身の回りの世話をも彼が行っている為、このままここに座り続ける事で服が汚れる事を気にしているようだ。
「ああごめんね、マアラ。つい考え事に耽ってしまったよ。確かにこのまま魔物の死骸の山に座ってたら臭いもついてしまいそうだ」
「分かってるなら早くその趣味悪い椅子から降りてくださいー!」
「はいはい、分かってるよ」
軽い足取りで魔物の死骸の山から飛び降りる。これは、先程大群で押し寄せて来た魔物達を倒して出来上がった山である。
ここはジスガランドの北部にある洞窟、通称魔窟。僕が昔から修行だなんだと父に放り込まれてきた忌まわしき洞窟であり、白の山脈と同等の魔物の出現率を誇る場所。
皮肉にもこれ以上ない程に修行に最適な場所なので、ジスガランドに帰って来てからと言うもの、よくこうして潜っているのである。
「まったく………深層の魔物を椅子にするのは貴方ぐらいですよ、ロアクリード様。何かまーた強くなってるし…」
「え、本当? 僕強くなってる?」
服に着いた土や汚れを手で払っていると、マアラから嬉しい言葉が聞こえて来た。強くなったという事は、僕の目標である聖人に並ぶ事……それに近づいたようなものだからだ。
「何でちょっと嬉しそうなんですかねぇ……それと、一人称戻ってますよ」
「あっ。気を抜いたらつい、僕に戻ってしまうんだよね。でも良くない? ここには僕達しかいないのだから」
「そりゃあ、魔窟の深層まで五体満足で降りてこられる人間なんてそうそういませんからね。もしいたとしても、人の話に聞き耳立てる余裕なんてありませんよ」
「ならいいじゃないか」
「ロアクリード様って妙に適当なところありますよね」
マアラの呆れた目が僕に向けられる。彼は几帳面すぎるんだよ。誰にも聞かれていないならいいじゃないか、別に。
「でも確か国教会の聖人も一人称は僕って聞いたような」
「よーし先に進むぞぅ、私は忙しいからね!」
「……本当に聖人の事嫌いですよね、ロアクリード様」
マアラの呆れたような視線がこちらに向けられる。
あぁ、大っ嫌いだとも。彼の存在の所為で僕はこれまで苦労して来たのだから、好きな訳無いだろう。
更に奥へ深く潜ろうと思ったのだが、僕はここで立ち止まる。くるりと振り返って、マアラの顔を見つめた。
じぃーっ……と暫く見つめていると、マアラが酸っぱいものを食べたような顔をしながら「なんですか…?」と呟く。言葉の端々から溢れ出る、嫌気がさしていそうな声音。
「少女への誕生日プレゼントって、一般的には何が主流なのかな」
「え、少女?」
「丁度、十三歳になる女の子の誕生日プレゼント。何だったら喜んで貰えるのかなって」
なんのかんのでかれこれ三日ぐらいは悩んでいる気がする。こういった場合、一人で悩んでいてもいい案は思い浮かばない。
なので第三者の意見を参考にしようと思ったのだが。
「あの、人の性癖を否定するつもりは全然無いんですよ? 例えロアクリード様が小児性愛者で幼い少女に性的興奮を覚える変態だったのだとしても、愛の形は人それぞれですし別に個人の自由だと思います。ただ、流石に手を出すのはちょっと………プレゼントで釣ろうとか屑の考えですよ…」
「ちょっと黙ってくれないかな? 最初から全部勘違いなんだよ、それ」
マアラが心の底から引いたように言う。彼の表情は汚物を見るかのような、酷く侮蔑的なものに染まっていた。
勝手に人の事を変態呼ばわりして屑と罵るなんて。部下としてどうなんだ、この男。失礼極まりないな。
「そもそも彼女はそういう存在じゃない。彼女は私の人生の指標……道しるべのような存在だ。愛だの恋だのなんて考える相手じゃないんだよ」
何か酷い勘違いをしているマアラに彼女について説明するも、彼の表情は一向に変わらない。
「例え恋愛感情じゃなかったとしても、何歳も歳上のれっきとした成人男性からそんな感情向けられてたら、普通の女の子はドン引きですよ」
「…………嘘でしょ?」
「何でここで自分が嘘をつく必要があるんですか」
僕は狐につままれたかのように呆然としていた。こんな生い立ちの僕に一般的な常識が備わっているなんて思った事は無いけれど、まさかこんな所でそれを痛感するなんて。
そうか、普通の女の子は大人の男からこんな風に『道しるべ』だ『使命』だと想われていたらドン引きするのか。知らなかった………。
いやでも、あの王女殿下だよ? あんなにもイリオーデ君やシュヴァルツ君やシャンパージュ嬢から重い感情を向けられている彼女が、僕のたったこれしきの感情に引くのかな?
いやしかし。先述通り僕には常識というものがそこそこ欠如している。僕が問題ないと思い込んでいるだけであって、実際には彼女も迷惑しているのかもしれない。
そう考えると…うむ、心苦しいなぁ。
かと言ってやめられる訳でもないけれど。多分もう、指標を失う事なんて僕には出来ないから。
「……まぁ、大丈夫だろう。彼女はとっても魅力的だからね、こういう感情を向けられる事にも慣れているだろう」
「どんな生き方してたら、普通の女の子がそんな事に慣れるんですかね」
「それは僕も聞きたいよ。彼女は…本当に、色んな事に慣れすぎているんだ」
その幼さからは考えつかない程。これまでの人生の殆どを閉塞的な世界で生きていたとは思えない程。
彼女は色んな事に慣れていた。まるで既に何十年も生きているかのような、そんな落ち着きすらあった。
その癖、たまに箱入り娘っぽい様子も見せる。
彼女の育った環境が原因なのか、はたまた彼女自身に何か理由があるのか……。
そう考えなかった訳ではないが、どうしても結論を出す事が出来なかった。
「はぁ…本当に、彼女の事はよく分からないな。何を贈れば喜んでくれるのか見当もつかないよ」
「まだ十三歳なら、まぁ、順当に行けばドレスとか装飾品なんじゃないですか? 自分は十三歳の少女にプレゼントを贈った事が無いので分かりませんが」
「一言余計だな君は。でも確かに、装飾品とかはいいかもしれない」
そして僕はまた考え込む。さてどうしたものか……一括りに装飾品と言っても色々ある。何であれば彼女が喜んでくれるか、それが最も重要だ。
やっぱり、聖人よりもいいプレゼントを贈りたい。聖人に負ける事だけが癪だからね。
ならば何が良いだろうか………希少価値が高い方がいいか? それならフォーロイト帝国の方では見ない東特有の物がいいか。
ジスガランドの特産かつ彼女に似合う物……うーん、何がいいだろう。装飾品にするのなら宝石類の方が──。
そこでハッと思いつく。東特有の物かつ装飾品に出来る希少価値の高い物の存在に気づいたのだ。
「そうだ、ブルーナイトパールにしよう! あれならばきっと彼女とて喜んでくれる筈だ、多分!!」
握り拳を胸の横で作り、意気揚々と僕は魔窟を出る準備を始めた。ブルーナイトパールはちゃんと希少な物なので、思い立ったならばすぐ確保すべし。
いざとなれば権力を盾に確保してみせようとも。
「ぶっ………ブルーナイトパールを十三歳の少女への誕生日プレゼントにするんですか!? 馬鹿なんですか貴方、あれは後々教皇聖下に献上される品でして──」
泡を食った様子のマアラがコツコツコツ、と詰め寄って来ては釣り上げた眉で僕を見上げる。
「一つぐらい私が貰っても問題無いよ。あの御方は、宝石に興味無いし」
「そもそもブルーナイトパール程の宝石をプレゼントにする事が前代未聞なんですって………!」
「じゃあ私が初めてなんだね、ブルーナイトパールをプレゼントにするのは」
ふふ、となんだか嬉しい気分になる。浮かれた様子で魔窟を出る為に歩き出す僕の後ろを、マアラが「ちょっと待ってくださいよ!!」と必死に追いかけてくる。
いつだって、何かしらは前代未聞なものだ。いいじゃないか、ブルーナイトパールをプレゼントにしたって。
どうせあの価値が分かるのはジスガランドの人間だけ。向こう側の人間はブルーナイトパールの存在すら知らないかもしれない。もし知っていたとしても、逆に知っている事の影響で本物とは思わないだろう。
ならばブルーナイトパールを贈っても向こうで問題に発展する事は無い。全然問題ないだろう?
「問題大アリですよ! どんな大きさであろうとも、ブルーナイトパール一つに一体どれだけの価値があるのか分かってるんですか?!」
「国家予算相当の価値がある事だけは知っているよ。それに何の問題があるんだ」
「そーですよ国家予算相当の価値があるんですよあの宝石には!! そんなもの、たかだか子供へのプレゼントに出来る訳が無いでしょう!!」
マアラが顔を真っ赤にして捲し立てる。彼は、僕の部下として真面目に意見を述べているだけなのだろう。
何も知らない彼にこんな怒りを覚えるなんて見当違いである事は分かっている。だがそれでも、気に食わないな。
「…──たかだか子供? マアラ、君は私がわざわざプレゼントを贈るような相手がただの子供だと、本当にそう思うのか?」
「っ!? いや、それは……その…」
低い声で冷たく一瞥すると、マアラはビクッと肩を跳ねさせて視線を泳がせた。
「彼女は一国の王女だ。私が敬服し、希少な宝石を贈りたいとさえ思う程の貴き存在。国家予算相当の価値がある宝石を贈るには、これ以上無い相手だと思うんだけど」
流石に、フォーロイト帝国のとまで言うとマアラも不審に思うだろう。だからそれは伏せて彼女の立場だけ伝えた。
するとマアラは目を白黒させてから、居心地の悪そうな顔で「……後で怒られても知りませんからね」と言った。どうやら、ブルーナイトパールをプレゼントにする事を見逃す気になったらしい。
まあ僕がここまで言う相手はそうそういないからな。マアラとてそれを知っているから渋々黙認したのだろう。
そして僕は数時間かけて魔窟を抜け出し、外に出て真っ先にブルーナイトパールを扱う職人の元に足を運んだ。
突然の僕の登場に冷や汗を流して戸惑う職人に「一番大きいブルーナイトパールを見せてくれ」と申し出て、更には「それじゃあ……そうだな。これをネックレスにしてくれ。大きさは勿論このままで」と依頼した。
当然、その場にいた者達全員が顎が外れんばかりに口を開き、困惑する。
ギョッとした顔のまま魂が抜けたような、そんな放心状態のマアラは放っておいて……どよめきだす職人達に向け、僕は更に言い放つ。
「これはとても大事な御方に贈る物だから慎重に頼む。代金は──…君達の望むものでどうだ」
含みのある言い回しをした所、職人達は何かに気づいたように覚悟を帯びた表情で頷いた。
こうして、前代未聞の取引は成立。僕は無事に大きなブルーナイトパールのネックレスを手に入れる事が出来た。
ふふっ。やっぱり権力はこういう時こそ便利だよね。こんなの、僕が教皇代理でなければ叶わなかっただろうから。
あの時職人達に告げた『君達の望むもの』というのは、教皇にのみ赦された文言。今では、教皇とその代理である僕に赦された言葉。
それはその言葉のまま、何でも一つ望みを叶えてやる。というもの。
職人達は、リンデア教の信徒ならば誰もが一度は参拝したいと夢見る、教座大聖堂にある選ばれた者しか入れぬ神殿の間……そこへの参拝許可を望んだ。
そんな事でいいのならと、僕の権限で彼等に参拝許可を与えてこの取引は終わった。
ブルーナイトパールのネックレスをきちんと包装し、ちゃんと手紙も書いてプレゼントを用意する。最後にそれを影法師で創り出した鳥に持たせて、
「良し、いいな? 人ではない魔に近い少年の元に向かうんだ。彼ならきっとすぐに事情を把握してくれるだろうからね」
その鳥にシュヴァルツ君の元に向かうよう言い聞かせる。
シュヴァルツ君だけが僕の事情を把握しているようだからね。これを利用しない手は無い。
ちゃんと届くといいな。ちゃんと喜んで貰えるといいな。
そんな、幼い子供のような気持ちに僕は暫くソワソワとしていた。
「──兄上、祈祷のお時間ですよ」
「ああ。今行くよ」
弟に呼び出されるその時まで、僕はフォーロイト帝国がある方向の空をじっと見つめて黄昏ていた。
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