だいたい死ぬ悲運の王女は絶対に幸せになりたい!〜努力とチートでどんな運命だって変えてみせます〜

十和とわ

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第二章・監国の王女

147.帝都に混乱を3

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「分かったか人間? アイツを泣かせたらヤバいって事、分かったな?」

 悪魔が悪辣な笑みを纏う。これ以上言わなくても分かるよな、なんて副音声が聞こえそうな威圧感たっぷりの笑顔を向けられて、フリードルはたじろいだ。

(あいつは悪魔を使役している………このような事、父上が知ったら──)
「ま、目の上のタンコブになったアイツはまず殺されるだろうなァ。でもそれ、この世界の終わりを意味する事なんだぜ?」
(──心を読まれた?! 悪魔だからか…! 世界の終わりなんて、一体どういう……)

 とても親切な悪魔は困惑するフリードルに丁寧に説明してあげる事にした。その手にどこからとも無く取り出したトランプ──…一枚のキングを持って口を切る。

「アイツの望みを叶えてやりたい、アイツを死なせたくない、アイツの未来を守りたい。って思ってる奴がアイツの周りには大勢いる。オレサマ達は本来この世界とか他の種族とか心底どうでもいいんだが、今は手を取り合い仲良くしてる。それは他ならぬアイツがいるからだ。もし、万が一………アイツがいなくなったならば」

 悪魔の手にあるキングが黒い炎に巻かれて灰となる。その直後、悪魔は何枚ものトランプを空中に撒き散らし、

「オレサマ達にとっちゃあ……この世界はどうでもいいモンなんだよ。だから壊す。見るも無惨な地獄にして復元不可能なぐらい破壊し尽くす。オレサマ達からたった一人のお気に入りを奪ったこの世界を、人間共を、オレサマ達は許さねェ」

 それをも黒い炎で焼き尽くした。これは明確な脅し。フリードルへと送られた最低最悪の忠告だった。
 フリードルは、アミレスが悪魔をも従えていると言う事を………近い未来で己の邪魔となりかねない事をエリドルに報告しなければと思った。もしそれをしたならば、アミレスは確実にエリドルによって殺されるだろう。フリードルとしてはそれ自体は別に構わない事であった。
 しかしここでその悪魔の存在が厄介になる。何せこの悪魔はアミレスが死んだならばこの世界を滅ぼすと言っているのだから。
 フリードルは酷い二択を迫られた。己の覇道の障害物でしかないアミレスを殺せば世界が滅び、見逃せばあの障害物の所為で己は苦労するが世界は存続する。
 こんな二択を迫られる人間、そういないだろう。

「お前の存在を黙認すれば、世界を滅ぼしたりはしないんだな」

 フリードルは苦渋の決断を下した。だが悪魔はそれだけでは満足しない。

「金輪際アイツと関わるな。絶対にアイツを殺すな。二度とアイツを泣かせるな。オレサマ達はいつでもこの世界の敵になれるって事、努努ゆめゆめ忘れるなよ」
「……分かった。あの女は殺さない」
「じゃあとっとと帰れ。ここはお前が来ていい場所じゃねェんだよ」

 言いたい事を言いたいだけ言って、悪魔はシッシッ、と手でフリードルを追い払う。フリードルは悔しげに下唇を噛みながらも黙って東宮を後にした。
 相手が中位以上の悪魔である事を考えると、楯突いたとしていい事など何一つ無いからである。

(アミレス・ヘル・フォーロイト……っ、何処までも忌まわしい…!!)

 氷結の貴公子と呼ばれる男は、とても珍しく怒りを露わにして王城へと戻っていった。東宮の管理者に聞こうと思っていた事は何も聞けず、何の成果も無いまま………ただアミレスへの嫌悪だけを募らせて。
 そして、アミレスにとって毒にしかならない男を退散出来た悪魔はその場で眠たげに首をポキポキと鳴らし、

「さて。この後オレサマはどうしたものか……幸か不幸か精霊共は昨夜から精霊界。ナトラも今頃アミレスの事でオレサマの魔力や気配にまで気が回らんだろうしなァ。ふむ──……戻るか、人間シュヴァルツに」

 あの男以外には見られてないし、それでいいか。と悪魔は今一度擬人化を始めた。本来の姿に戻った時のように、彼の体を黒い影が包み込む。それはまさに完璧なる擬態。
 彼程の偉大なる悪魔ともなると、精霊さえも欺ける完璧な擬人化が可能なのだ。
 間もなくして、悪魔の体を包み込んでいた黒い影は弾けて霧散する。そこには真っ白でふわふわな頭に所々黒いメッシュの入った、金色の瞳の可愛らしい美少年が侍女服を着て立っていた。

「あ、あー、あー………いよーぅし、今日も張り切って人間演じていこー! おー!」

 声をしっかりとシュヴァルツ時のものに合わせて、その少年はわざとらしい演技と共に緩く拳を天に突き上げた。そしてくるりと踵を返し、シュヴァルツは東宮へと戻ってゆく。
 一方その頃、倒れたアミレスを抱えて東宮に駆け込んだナトラは偶然にもイリオーデとクラリスとカイルのいる部屋に飛び込んだ。
 アミレスを抱え、血相を変えて飛び込んで来たナトラにイリオーデ達は困惑する。
 しかしナトラが「アミレスの体温が下がっておる! 体を温める方法はあるか!?」「我はハイラを探して来る故、アミレスの看病を頼んだ!!」とアミレスを長椅子ソファに寝かせてから捲し立てて部屋を飛び出したものだから、イリオーデ達は訳を聞く間も無く慌てて看病に取り掛かった。
 まずカイルが風の魔力と火の魔力を絶妙なさじ加減で使い、擬似的なドライヤーの役目を担った。クラリスが自分の荷物の中から使っていないタオルを取り出し、濡れたアミレスの顔を慎重に拭いつつ、カイルがドライヤー役として、体を温めがてら濡れた顔や髪を乾かす。
 その間にイリオーデは部屋の温度を上げるべく暖炉に薪をくべていた。

「王女殿下のご容態は……!」
「落ち着けって、とりあえず今は眠ってるだけ…っぽいけど、正直意味わかんねぇよ……何をどうしたら見送りから戻るだけでこんな事になるんだ? もうすぐ十二月だぞ、真冬だぞ?」
「顔と頭だけ濡れてた、ってどういう事なの?」

 三人はこの不可解な状況に疑問符を浮かべていた。アミレスを迎えに行ったシュヴァルツとナトラならまだしも、ずっとこの場にて待機していた三人がこの事情を理解出来る筈もなかった。

(ああクソっ、何で俺は光の魔力を持ってねぇんだ…! こんだけ大量に魔力持ってても使い所が無いのばっかで……必要な状況が多い魔力に限って持ってないよなぁ俺! 光とか病とかがあれば、アミレスの事だって何とかしてやれたかもしれねぇのに!!)

 カイル・ディ・ハミルのチートオブチートたる所以。それはいくつもある魔力属性の八割近くを扱えるその規格外さだ。
 本来人間に与えられる魔力属性は一つ、稀に二つや三つの魔力属性を持つ人間がいるのだが……そう言う人間は本当に稀で、それだけで数百年に一人の逸材だとか言われて持て囃される事となる。
 そもそも、魔力属性というものはその人間の魔力炉と結びついており、その魔力炉で生産出来る魔力属性だけがその人間の扱える魔力…といった仕組みなのだ。稀にいる複数の属性を持つ者は、その複数の属性の魔力を生産出来る特殊な魔力炉を有しているという事。
 魔力炉で正常に魔力が生産されなくなると、それに合わせて生命力等も生産されなくなり、やがて人間は死に至る。だからこそ、他者に魔力属性を移植したりその人から魔力属性を奪ったりしては、人間は簡単に死んでしまうのだ。
 話は戻るが──…カイルはいくつもある魔力属性のうち八割近い魔力を扱える、人の領域を超えた超人なのだ。扱えないものは希少属性と一部の亜種属性(人間界より絶滅した属性や、氷の魔力等の特定の人間にのみ与えられた属性)を除いたほぼ全属性。
 それに加えて魔導具の大国に生まれ、剣の腕も身体能力にも強靭なメンタルにも恵まれたまさに生きるチート。歩く公害。神々の愛し子ミシェル・ローゼラより遥かに神々に愛されているような気もする男、それがカイル・ディ・ハミルなのだ。
 しかしカイルは光の魔力を持たない。光の魔力が希少属性に類するものだからだろう。というか、そこまで散々色んな魔力と才能を持っておいて光や病の魔力まで扱えたら、戦場であまりにも無敵過ぎる。
 この世界の均衡ゲームバランスが完璧に崩壊する事だろう。なのでこれは、クリエイターによる一応の配慮なのである。まぁ、それによって現在カイルは苦い思いをしているのだが。

「ハイラを連れて来たのじゃっ!!」
「姫様は無事ですか!?」

 バタバタバタ、と足音が聞こえたかと思えば、思い切り扉が開け放たれる。ナトラからアミレスが倒れたと聞き、ハイラも全速力で駆けつけたのである。
 その顔に焦りと心配を浮かべ、ハイラは長椅子ソファで横たわるアミレスに駆け寄る。「今から簡単に触診しますので、席を外して貰えますか」とカイルとイリオーデを部屋から追い出して診察を始めた。
 アミレスの立場上、病に伏せた場合司祭や薬師を呼べない可能性の方が高かった。その為ハイラは独学で薬や病について学び、アミレスが病に伏せても問題ないように備えていたのだ。
 故にハイラは迷わず触診する。己の持つ知識を総動員し、アミレスの容態を確認する。

「……鼓動は普段と変わりない。呼吸も正常…目立った外傷も無し…」

 アミレスの服を少しはだけさせて、その体に触れてハイラは一つ一つ確かめてゆく。カイルとイリオーデに席を外させたのはこの為であった。アミレスは今、触診の為に下着だけの状態となっている。
 何が原因でアミレスが意識を失ったのかを知らないハイラは、ひとまず楽な格好にしなければ…とクラリスにアミレスの寝巻きが収納された場所を教え、それを一つ持ってくるよう頼んだ。
 こくりと頷いて、クラリスは部屋を出る。出た際に、

「王女殿下はどうなった!?」
「そこのカイル王子が言ってたように、多分今は眠ってるだけ……なんだろうけど、とりあえず私は着替え持ってくるよう頼まれたから、行ってくる」
「あ、ああ。そうか…」

 アミレスが心配で心配で仕方ないイリオーデに両肩を捕まれ、安否を問われるが……結果はカイルの見立てと変わらず。とにかく眠ってるだけと聞いて、イリオーデは安堵した。

(……私も女であれば。さすればこういった王女殿下の危機の際にも何か出来たのやもしれない…今の私は、こうしてただ待つ事しか出来ないなんて)

 アミレスの衣装室に向かって走り出したクラリスの背中と、アミレスが眠るこの部屋の扉とを交互に見て、イリオーデは己の無力さを嘆いていた。
 クラリスがアミレスの衣装室に着き、ハイラから聞いた通りの場所より寝巻きを一着取り出して、走ってアミレスの眠る部屋に戻っている間。
 ハイラはナトラより事情を聞く事とした。ハイラに何があったのかと問い詰められたナトラは、僅かに己が知る事情を話した。

「我とシュヴァルツで玄関の掃除をしておったのじゃが、やけにアミレスの戻りが遅かったから二人で迎えに行ったのじゃ。そしたらアミレスがよく似た男と共におって、アミレスがとても辛そうに泣いていたのだ」
(──姫様とよく似た男と言うと、まさか皇太子殿下が姫様を…!!)

 腹の底から沸き上がる怒りを必死に堪えるハイラの横で、翡翠のツインテールをぎゅっと握り、ナトラは悔しそうに俯いた。

「アミレスを泣かせたのはその男じゃと思い、我、その男を殺そうと思ったのじゃが………アミレスが『兄様を殺しちゃだめ』と叫んだのじゃ。何やら急にアミレスの呼吸も荒くなって……その後アミレス自ら顔の周りに水を出して、溺れて倒れたのじゃ」

 何をどう思ってアミレスがあのような行動に出たか、我には全く分からなかったのじゃ。とナトラはこぼす。
 ハイラもこれには困惑していた。顔や髪が濡れた事も倒れた事も全てアミレス自身の仕業だったのだから。
 ここで浮かび上がるホワイダニット……犯行などではないものの、何故アミレスがそのような一歩間違えたら死ぬような行動に至ったか。
 それをハイラは考え始めた。

(あの姫様がこのような自殺行為を安易に行う訳が無い。死なないと言う確証があったからこれを実行した筈。その理由は一体………)

 顎に手を当てて、彼女は更に深く思考する。

(皇太子殿下を殺すと言うナトラの発言で取り乱した事は、御家族からの愛を諦め切れていない姫様ならば、まだ分からなくもないですが………そもそも何故姫様は泣いていたのですか? 何故、自身を溺れさせてまで意識を手放す必要があったのですか?)

 先日アミレスが実は心の奥底では家族の事を諦め切れていないのだと把握したハイラは、フリードルが死ぬという事にアミレスが強く反応した事には納得出来た。
 しかし、そもナトラがそのような発言をした理由………滅多に泣かないアミレスが涙した原因と、わざわざ意識を手放す必要のあった何かが…ハイラは分からない。
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