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第一章・救国の王女
74.束の間の休息
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帝都を出た後、私達は一旦近くの街に寄り、数日分の日持ちする食料と夜に羽織れる布等を購入した。
お金は私が出すと言ったのだが、全員から『(子供に金を出させるとか)それだけは駄目だ』と言われてしまい結局私が奢られる事に。
その夜はもう遅くこの先には手頃な街が無いからと、この街の宿に泊まる事になった。あまり呑気にしている暇は無いのだが、これはディオ達曰く仕方の無い事らしい。
何とか自分を納得させ、宿屋探しをする。
ようやく見つけた宿屋でディオとシャルとイリオーデ、マクベスタとシュヴァルツとリードさんの振り分けで三人部屋を二つと、私一人だけの一人部屋の計三部屋をとった。
色々あって疲れていたので意外とぐっすり出来たのだが…いつもの癖で朝早くに起きて支度をし、日課の素振りをしようと部屋を出ると、部屋の前にディオとイリオーデが立っていた。
声にならない驚きで固まっていた私に向け、二人は「よっ」「おはようございます」とそれぞれ挨拶をして来た。
これは後で知った事なのだが…何とイリオーデは一晩中この部屋の前に立ち、不寝番をしていたらしい。ディオは先程起きたのでイリオーデの様子を見に来たのだとか。
私だけ若干離れた所にある部屋だったのが気がかりだったそうで……なんて事をさせてしまったんだと私は自責の念に駆られていた。
しかし当のイリオーデは何故かとても元気が良く、目にも活気が宿っているような気がしないでもない。本当に何故?
そんなこんなで宿を出て軽く朝食を食べた後、私達はようやく出発した。
シュヴァルツの言う通り雷虎はたいそう足の速い生き物らしく……幌の幕が風に靡きかなりの音を奏でている。
虎車が風を切る音も常に聞こえ、車輪が異常なスピードで回る音とて耳に届く。
そして何より。雷虎が速すぎる事による被害といえば…。
「っうわぁ!」
「大丈夫かい王女殿下!?」
「ねぇマクベスタもうちょっと安全運転してよぉーっ!」
「王女殿下、良ければお掴まり下さい」
「馬車とはこのような激しい乗り物なのか…!」
激しく、それはもう激しく暴れる荷台は阿鼻叫喚だった。
普通の馬車でもガタガタとした地面を通るとそれなりの振動が伝わるのに、この速度で進む虎車に乗る私達が無事な訳がなかった。
毎秒ジェットコースター。常にアスレチックであり、体が一瞬浮く事などザラにある。体中を打ち付けるし、何よりお尻が本当に痛い。未だかつて無いぐらいお尻が痛い。
途中でイリオーデが手を差し伸べてくれて、それに掴まる事で私はようやく安定した支柱を手に入れた。しかしそれでも体のあちこちが痛む。
しかしリードさんが定期的に治癒魔法でなんとかしてくれるので、どうにか事なきを得ていた。
確かに激しく大変なドライブではあるものの、一分一秒を急ぐ必要のある私達はこの速度で進まなければならない。やはり何事にも犠牲は付き物なのだ。
暫くして、雷虎の休憩がてら私達は昼食をとることにした。場所は広大な草原…風がとても気持ちよく、春と言う事もあって気温もとてもいい。
まさに絶好のピクニック日和! ……と言いたい所なのだが。私達はそれどころではなかった。
「……本当にすまない。オレがもう少し手綱を握れていられればお前達はきっと…」
「俺も馬車から振り落とされねぇようにするのに精一杯だった…すまん…」
御者席組が幌の幕を掻き分け、申し訳無さげな面持ちを作り謝罪を入れてきた。
しかし、壁も掴まる場所も無い御者席に座っていた二人の方がきっと大変な思いをした事だろう。
そう考える私は、二人に謝らないでと言った。
「整備されてない普通の道なんだから仕方ないよ。二人は何も悪くないって! ね、そうでしょリードさん!」
くるりとリードさんの方を振り返りそう話を振ると、リードさんは人のいい笑みで同意した。
「そうだね。あぁそうだ、二人共どこか痛めてないか? 必要があれば治すよ」
「いいのか? じゃあこいつの手を……爆走する虎の手綱を握ってたからかすげぇ赤くなってんだ」
「いやオレは大丈夫だ、それよりも、オレの事まで支えていてくれたディオの方を…」
「オーケイ、二人共だねー」
仕方ないなーと言わんばかりの表情を作るリードさんは、一旦荷台から降りて御者席に座る二人の方へと向かった。
それに続くように私達も次々に荷台から降りる。
そしてシュヴァルツがどこからとも無く大きな布を出し、それを草原の上に敷いた。その上に皆で座り、昼食用に買っておいた物を袋から取り出して用意する。
これぞまさにピクニック。なんて事を考えながら、街で見かけた時代の先をゆく新感覚パン! と言う触れ込みだったパンを手に取り、それを頬張る。
何やらその際にリードさん達が私の方を見て、更に手を伸ばして固まっていたのだが、もしかしてこのパン狙ってたのかしら。
取っちゃって申し訳無いなぁと思いつついざ実食。
むむっ、なんだこれは……っ、中にジャムらしき物が入っている…!! この世界にはまだジャムと言う文化は無いみたいなので、これは恐らく『果実を煮込んだもの』であり、それをパンの中に入れてみたって事なんだろうけど…。
なんだろう、前世では普通だったもののこの世界では新しいこの食べ物に、私は感動していた。
新感覚とか関係なくジャムらしき物が美味しいからでもある。多分旬なんだろうね、これも多分ジョーヌベリーだわ。
私、本当にジョーヌベリー好きなのかもしれない。無意識でジョーヌベリーを求めているから、手に取るものが大体ジョーヌベリーなのかも。
このジャム入りパンを味わい頬を緩めていると、シュヴァルツがくいっとドレスの袖を引っ張ってこちらを見上げてきた。
「…おねぇちゃん。そのパン」
「これ? すっごく美味しいわよ。シュヴァルツも食べる?」
「そうじゃなくて、なんで…」
「んん…? あ! 皆に食べたいかどうか聞く前に勝手に食べちゃったから怒ってる…? うぅ、ごめん…美味しそうだったからつい……」
「…………だからぁ」
そりゃそうよね、唐揚げの檸檬がいらないどうか聞かずにかける人って非常識な人だもの。私ってば、やっぱり今とても非常識になってしまったわ。
非常識なだけでなく自己中心的と……。うっわ救いようがねぇ。
食べかけのジャム入りパンを手に、私はシュヴァルツに向けて謝った。しかしシュヴァルツは呆れたように眉根を寄せていて。
そして何より、皆も似たような顔をしているのだ。この状況に、頭の上でいくつもの疑問符を暴れさせていると。
「なんで誰にも毒味させなかったの?」
シュヴァルツが私の手元を一瞥して、そう問うてきた。
…毒味? だってこれただのパンだよ……? と思う私は、流石にそれは大袈裟じゃあ…と皆の方にもう一度視線を送ったのだが、私の目の前にいる美形達は全員頷くように首を縦に振った。
しかし私に毒味は不要。何故なら──。
「だって私、毒効かないみたいだから」
サラリと、そう言えば今までマクベスタにも言ってこなかった事を私はこの場で話した。
それには全員唖然としていた。シュヴァルツまでもが鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていて、とても珍しく感じた。
なんだか皆さん信じられないと言いたげな顔なので、私は過去にあった自分の武勇伝(笑)を話す事にした。
お金は私が出すと言ったのだが、全員から『(子供に金を出させるとか)それだけは駄目だ』と言われてしまい結局私が奢られる事に。
その夜はもう遅くこの先には手頃な街が無いからと、この街の宿に泊まる事になった。あまり呑気にしている暇は無いのだが、これはディオ達曰く仕方の無い事らしい。
何とか自分を納得させ、宿屋探しをする。
ようやく見つけた宿屋でディオとシャルとイリオーデ、マクベスタとシュヴァルツとリードさんの振り分けで三人部屋を二つと、私一人だけの一人部屋の計三部屋をとった。
色々あって疲れていたので意外とぐっすり出来たのだが…いつもの癖で朝早くに起きて支度をし、日課の素振りをしようと部屋を出ると、部屋の前にディオとイリオーデが立っていた。
声にならない驚きで固まっていた私に向け、二人は「よっ」「おはようございます」とそれぞれ挨拶をして来た。
これは後で知った事なのだが…何とイリオーデは一晩中この部屋の前に立ち、不寝番をしていたらしい。ディオは先程起きたのでイリオーデの様子を見に来たのだとか。
私だけ若干離れた所にある部屋だったのが気がかりだったそうで……なんて事をさせてしまったんだと私は自責の念に駆られていた。
しかし当のイリオーデは何故かとても元気が良く、目にも活気が宿っているような気がしないでもない。本当に何故?
そんなこんなで宿を出て軽く朝食を食べた後、私達はようやく出発した。
シュヴァルツの言う通り雷虎はたいそう足の速い生き物らしく……幌の幕が風に靡きかなりの音を奏でている。
虎車が風を切る音も常に聞こえ、車輪が異常なスピードで回る音とて耳に届く。
そして何より。雷虎が速すぎる事による被害といえば…。
「っうわぁ!」
「大丈夫かい王女殿下!?」
「ねぇマクベスタもうちょっと安全運転してよぉーっ!」
「王女殿下、良ければお掴まり下さい」
「馬車とはこのような激しい乗り物なのか…!」
激しく、それはもう激しく暴れる荷台は阿鼻叫喚だった。
普通の馬車でもガタガタとした地面を通るとそれなりの振動が伝わるのに、この速度で進む虎車に乗る私達が無事な訳がなかった。
毎秒ジェットコースター。常にアスレチックであり、体が一瞬浮く事などザラにある。体中を打ち付けるし、何よりお尻が本当に痛い。未だかつて無いぐらいお尻が痛い。
途中でイリオーデが手を差し伸べてくれて、それに掴まる事で私はようやく安定した支柱を手に入れた。しかしそれでも体のあちこちが痛む。
しかしリードさんが定期的に治癒魔法でなんとかしてくれるので、どうにか事なきを得ていた。
確かに激しく大変なドライブではあるものの、一分一秒を急ぐ必要のある私達はこの速度で進まなければならない。やはり何事にも犠牲は付き物なのだ。
暫くして、雷虎の休憩がてら私達は昼食をとることにした。場所は広大な草原…風がとても気持ちよく、春と言う事もあって気温もとてもいい。
まさに絶好のピクニック日和! ……と言いたい所なのだが。私達はそれどころではなかった。
「……本当にすまない。オレがもう少し手綱を握れていられればお前達はきっと…」
「俺も馬車から振り落とされねぇようにするのに精一杯だった…すまん…」
御者席組が幌の幕を掻き分け、申し訳無さげな面持ちを作り謝罪を入れてきた。
しかし、壁も掴まる場所も無い御者席に座っていた二人の方がきっと大変な思いをした事だろう。
そう考える私は、二人に謝らないでと言った。
「整備されてない普通の道なんだから仕方ないよ。二人は何も悪くないって! ね、そうでしょリードさん!」
くるりとリードさんの方を振り返りそう話を振ると、リードさんは人のいい笑みで同意した。
「そうだね。あぁそうだ、二人共どこか痛めてないか? 必要があれば治すよ」
「いいのか? じゃあこいつの手を……爆走する虎の手綱を握ってたからかすげぇ赤くなってんだ」
「いやオレは大丈夫だ、それよりも、オレの事まで支えていてくれたディオの方を…」
「オーケイ、二人共だねー」
仕方ないなーと言わんばかりの表情を作るリードさんは、一旦荷台から降りて御者席に座る二人の方へと向かった。
それに続くように私達も次々に荷台から降りる。
そしてシュヴァルツがどこからとも無く大きな布を出し、それを草原の上に敷いた。その上に皆で座り、昼食用に買っておいた物を袋から取り出して用意する。
これぞまさにピクニック。なんて事を考えながら、街で見かけた時代の先をゆく新感覚パン! と言う触れ込みだったパンを手に取り、それを頬張る。
何やらその際にリードさん達が私の方を見て、更に手を伸ばして固まっていたのだが、もしかしてこのパン狙ってたのかしら。
取っちゃって申し訳無いなぁと思いつついざ実食。
むむっ、なんだこれは……っ、中にジャムらしき物が入っている…!! この世界にはまだジャムと言う文化は無いみたいなので、これは恐らく『果実を煮込んだもの』であり、それをパンの中に入れてみたって事なんだろうけど…。
なんだろう、前世では普通だったもののこの世界では新しいこの食べ物に、私は感動していた。
新感覚とか関係なくジャムらしき物が美味しいからでもある。多分旬なんだろうね、これも多分ジョーヌベリーだわ。
私、本当にジョーヌベリー好きなのかもしれない。無意識でジョーヌベリーを求めているから、手に取るものが大体ジョーヌベリーなのかも。
このジャム入りパンを味わい頬を緩めていると、シュヴァルツがくいっとドレスの袖を引っ張ってこちらを見上げてきた。
「…おねぇちゃん。そのパン」
「これ? すっごく美味しいわよ。シュヴァルツも食べる?」
「そうじゃなくて、なんで…」
「んん…? あ! 皆に食べたいかどうか聞く前に勝手に食べちゃったから怒ってる…? うぅ、ごめん…美味しそうだったからつい……」
「…………だからぁ」
そりゃそうよね、唐揚げの檸檬がいらないどうか聞かずにかける人って非常識な人だもの。私ってば、やっぱり今とても非常識になってしまったわ。
非常識なだけでなく自己中心的と……。うっわ救いようがねぇ。
食べかけのジャム入りパンを手に、私はシュヴァルツに向けて謝った。しかしシュヴァルツは呆れたように眉根を寄せていて。
そして何より、皆も似たような顔をしているのだ。この状況に、頭の上でいくつもの疑問符を暴れさせていると。
「なんで誰にも毒味させなかったの?」
シュヴァルツが私の手元を一瞥して、そう問うてきた。
…毒味? だってこれただのパンだよ……? と思う私は、流石にそれは大袈裟じゃあ…と皆の方にもう一度視線を送ったのだが、私の目の前にいる美形達は全員頷くように首を縦に振った。
しかし私に毒味は不要。何故なら──。
「だって私、毒効かないみたいだから」
サラリと、そう言えば今までマクベスタにも言ってこなかった事を私はこの場で話した。
それには全員唖然としていた。シュヴァルツまでもが鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていて、とても珍しく感じた。
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