New Life

basi

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第三十九話

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 八時までまだ時間があったので公式ホームページで変更点を確認してみた。
 まず馬の販売所ができ、そこで馬具と馬車の購入も可能。馬と馬車の普及にともない、街などの交流も活性化した、という設定になり、道の整備がされ、すべての街や村が道でつながった。交流が増えたので行商人達の行動範囲も広がり商業が発展、そのため護衛などの仕事が発生し、その依頼などを取り纏める冒険者ギルドが発足。各街にギルドがあり、ギルド間で情報のやりとりが可能となる。マップ情報の提供などが可能で、様々な情報の買取も行うとのこと。人の行き来が増えたことでモンスターの分布が変わり、エンカウントが増えた。盗賊なども出没するようになり、奴隷も発生するそうだ。ダンジョンの周辺には魔獣も出るようになり、ダンジョンに近い街は襲われやすくなった。
 驚いたのはNPCの死亡だ。例えが載っていたが、商人の護衛以来を受けるとして、護衛に失敗すると二度とその商人には会えないと。小さな村や町の商人の護衛を受けて失敗すると、新しく商人が来ない限りそこで買い物ができなくなるのだ。とことんリアルを追求する運営だ。
 最後まで読んでいくとちょっと変わったことが書いてあった。
「ん? 開発者の会見? 本当のNewLifeを体験したい方は必見?」
 なんじゃこれ? よくわからんけどどうやら動画サイトへのリンクがあってサイトオープンの時間直前に生放送するそうだ。なんの会見だろうか。


 会見の時間が来て、特にすることもないので見ることにした。ただ、この会見はログインした状態でしか見れない特別な会見だった。
『まず、いろいろ言わなけりゃいけないことがありはするが、一番に言いたいことは、遅い!、だ』
 会見というからお堅いものかと思えばモニターに映った四十代くらいのおっさんがくたびれたジャケット姿で文句から始まった。
『リリースからどんだけ時間がたったと思ってる。おかげでだいぶ予定がずれた。あ? わかってるよ、うるさいなぁ……。えー、俺がこの【New Life】を制作指揮を執った神代だ。まったく、最近のVRゲームときたらSPFだなんだと海外の軍隊教育の一環のようなゲームばかり増えやがって。そんなに戦争したいのかよ、くだらねぇ。あぁもう、うるせぇなぁ。はいはい、わぁったよ。あー……今言ったように、VRが飛躍的に発展してゲーム業界も変わってきた。日本では気軽に撃てないから人気が出るのはわかるが、海外の軍隊教育の一環で作られた資金回収用のゲームだぞ。銃の取り扱いから分解組み立てまでの軍事教育の一環でしかない。ただの殺人マシーン製造機みたいなゲームが増えすぎだ。しかもかつてのサブカルチャー大国たる日本での開発されたゲームは数少なく、非常に嘆かわしい。』
 やたらと文句というか愚痴の多いおっさんだが、なんとなく言いたいことは分かった。でも、今ここで枠をとってまでいうことじゃないかと思うんだが。
『あ、いや……じゃなくてだ。今回作ったこの【New Leif】は今までのシステマチックに進むMMORPGじゃなく新しい自由なゲームを作った。それだけならただのオンラインゲームで終わるんだが、俺はここに人生をかけようと思った。さっきも言ったが、ゲームという枠組みで軍事教育をしたり、医療技術をVRで磨いたり様々なことに使われているわけだが、それを他にも利用できるんじゃないかと俺は考えた。そして、ゲームで技術を身に着けることができるのであれば、きちんと形態づければ魔法を使うこともできるのではないかと考えた』
 は? 何を言ってるんだ?
『これを見ている人は何を言っているのかと思っているだろう。実際にそういった声があった。だが、発動条件などが複雑になってプログラマーが地獄を見るだけでプレイするのに深みが出るというかアレンジが利くというか……、一応簡易に使えるスキルとしても準備をしてはいるが、そうではなく、知識を学び、意識操作をきちんとすることで発動する【技】としても組んである。個人のスキルで差別化ができるんだ、これは画期的なゲームシステムだった。魔法を使う云々はさておいてもこの企画は通った。なら後はこっちのもんだ』
 そういっておっさんはドサッといくつかの本を置いた。
『魔法を使う。これは昔から様々な話に出てくる。人間に想像できることは実現できる。ということは過去にはできた可能性が高い。様々なオカルト本、魔導書といわれる物、気功とか謎の霊感療法染みた指南書やら宗教書物を読み、行きついたのが今回のゲームのプログラムだ』
 画面が変わり、いくつかの資料が出てきた。
『そもそも、昔話や伝承・伝説には人外の力が出てくる。ということは昔はそれに近いことが可能だったと仮説を立てた。そして色んな書物を読んで様々な現象を引き起こす力は時代や宗派などで名前に違いがあるもの概ね同じものじゃないかと気づいた。それならこちらでそれを仮に決めて存在を定義してやれば今まで意識できなかったものを意識できるのでは? そしてそれを使うことができるのではないかと思い至った。その結果がこれだ』
 そういっておっさんは人差し指を立てた。そして瞬きして錯覚したかと思ったほどあっけなく、指先に小さな火が灯った。
『合成だとかインチキだとか思うやつもいるだろうがそう思いたければ思えばいい。別に証明するだとかそんな下らん事を目的にしているわけじゃない。信じる奴だけ使えるようになればいいだけだ。ただ、一般人が力をつけると当然いろいろな問題も発生するだろう。そのため、このゲームは犯罪行動をとることは可能だがその結果、警察機関に情報が流れる。ゲームなら犯罪を犯しても問題ないと考えるようなら現実でもある程度監視する必要があると俺は考えている。能力が得られるならなおさらだ』
 確かに、ほかのゲームより厳しいなとは思った。禁止するわけでもないし、そのくせ現実に反映しすぎてる。
『そして、クローズテストというか一般公開の前に政府とも連携して、警察、消防、自衛隊の各位に体験してもらっていて、職務の関係上時間が取れない中、今現在で各組織に約60人くらいの隊員は能力を得ている。まあ、政府は誰も信じないし鼻で笑って、ゲームをするのは隊員の自由ってことで、勝手にやれば? って反応だったが、認められたらこっちのもんさ。それぞれ専用のサーバを立ち上げているのでさらに順次増えていく予定だ』
 マジかよ! 能力ありきの世界になるってのか!?
『もちろん、突然のことで混乱もあるだろうし、反発もあるだろう。実際に使える隊員が出てきたことで慌てて国もちゃんと話を聞く気になったからな。しかし進んでしまったものはもう止められない。ちゃんと話を聞かなかった奴が悪い。とは言え、国も何も見返りがないのに動くことはないからな。だからまず、魔法が使えるようになると回復魔法を使える者が出てくる。これを真っ先にアピールした。今現在で十人の使い手がいるんだが、このうち三人は重症を治すことができる。具体的には切れた腕などをつけることができるくらいだが、これからさらにできることが増えると思っている。切り傷くらいを治せる程度の実力の者はさらに多い。簡単な病気ならなんとか治せるし、まだまだ可能性は大きい。これだけでもかなりの恩恵だと俺は思っているが、もう一つは錬金術だ』
 そういって一つの試験官を取り出した。
『これはゲームでおなじみのポーションだが、HPのない現代での効果は傷を治すわけだが、切断されてすぐの物ならくっつく位の効果がある。とはいえ、まだ確立されたものじゃなく偶然の産物なので試験官四本しかできず、さらに今はこれ一本しかないが……研究機関と病院での試験の結果、麻酔をかけた状態のモルモットの皮膚を切断してそれをくっつけることができた。回復魔法の使い手がいなくても手術等での縫合もこれがあれば一瞬だ。今まで以上に助かる人が増えるだろうし、様々な効果があるはずだ』
 マジか、もうそこまでやってんの? てかよくバレずにここまで進んだな。
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