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第三十一話
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傷の少ない羽を毟りに毟って、大量の羽をゲット。アイテム名が『?の羽』とある。このゲームって情報も何もない敵の名前が謎なのは困る。情報はパーティで共有なので雑魚はエルファ達の御陰でわかるけど。
残った肉と嘴や爪なども回収し終わり、漸く休憩をすることに。さっきお昼休みを取ったばかりなのにね。
「ユル君凄いね」
ティアが褒めてくれるけど微妙な気もする。
「ティアに褒められてもね。よくあんなナイフで翼をあそこまで切り裂けたもんだ」
多分同じ武器だと俺には無理かな。筋力も足りないし。
「ああ、あれは称号のおかげだよ」
「称号? 確かレクレスハンター、だっけ」
「ティアのあの称号は結構すごいわよ。レクレスって無謀って意味らしくてね。自分より総合ステータスの高い相手だと攻撃力があがるのよ」
「そそ。最低でも二倍、最高でなんと五倍まで上がるよ。その代わりにステータスの差も多くないと発動しないけどね。今の相手だと多分三倍位かな?」
なるほど。攻撃力が三倍と言うとエリザよりずいぶん上になるはずだ。あんなナイフでザックリ行ける訳だ。
「でも、称号を手に入れるまではかなりキツイですよ? 最低でも十体は自分より格上を倒さないと得れないですから。後は自分とのステータス差で討伐数が変わりますけど」
マジか……そいつはキツイ。ってかよく倒したなティアは。
「いやぁ、何度か死んでるけどね。トラップが無かったら多分無理」
ほほう。トラップを仕掛けると格上でも倒せるのか。
「そんなことより、私はユルの魔法について聞きたい。あれは何?」
ティアとの会話に割り込んでエルファが聞いてくる。何と言われても困るが……
「あれは魔法じゃなくて気功だ」
「気功?」
「そそ。気功で使っていくとそのうち外気功と内気功って覚えるから。その外気功ってのは自分のエーテルを体外に放出するんだよ。ゲームとか漫画の気功波ってやつ」
「ユル君それマジ? 超かっけぇじゃん!」
「結構な威力でしたよ? 私にも使えますか?」
「習得にも威力をあげるにもかなり時間かかるけど使えるよ」
成長ブーストも付いてないから結構な時間が掛かるはずだ。
「ただエーテルを教えるときも言ったけど、魔法をメインで考えるなら使わない方がいい」
主にエルファを見ながら言うと、拗ねた様な顔をしている。
「……わかってるわよ」
とりあえず休息を終え、再び進み出した俺たちは特に戦闘らしきものもなく順調に進むことができた。
「今日はそろそろ休まない?」
エルファがそう言った時には周りに浮いている魔素の輝きも薄くなり、月の蒼白い光りの方が強くなり始めた頃だった。
「そうだね。戦闘自体は少なかったけど色々あったし。ご飯準備してここで野営しよう」
俺より経験豊富な二人の意見に反対することもない。賛成してテントの準備をする。いや、しようとしたところで声をかけられた。
「ユル、あんた《調理》は?」
「ん、あるよ。まだレベルは低いけど」
リアルの方でも自炊してたからレベル低くても味はちゃんとしている。味覚のアビリティ、正確には《料理人の舌》も修得している。
「じゃあユルとティアが料理担当で。私とエリザで野営の準備するわ」
「二人は料理しないの?」
「……私の料理を食べたいの?」
エルファの手料理を何度か食べたことがある。中学の時の家庭科の授業で同じ班になった時だ。その時、同じ班のメンバーで共通の認識を得た。
エルファに料理をさせてはいけない。
「こっちなら大丈夫と思ったんだけど」
そう言ったエルファをティアは残念そうに見つめ、エリザは仲間意識をもって見つめている。
つまり二人は同類ということだ。
「……遠慮させていただきます。こっちは任せてくれ」
「よろしく。……何でこっちでもみんな不評なのよ」
エルファはブツブツ言いながらエリザと準備に向かう。
エルファの料理、それを一言で言うと宝くじだ。当たりもあればハズレもある。厄介なのが見た目は同じ、という点だ。同じ料理を作っても当たりとハズレが存在する。何故か。それはエルファの味覚にあった。
エルファは味覚音痴と言うほどでもないが、『美味い』の振れ幅が大きいのだ。他の人が『あまり美味しくない』と感じてもエルファには『美味い』、逆にエルファが『まぁまぁの味』と感じれば常人には『不味い』と感じ、エルファが『不味い』と言うものは食べ物として成り立たない気がする。
他人の屋台料理を初めて食べて分かったのだが、このゲームの料理は調理レベルが上がっても味が良くなるのではなく、料理に付属する効果や鮮度持続時間が上昇するらしい。味はアビリティの味覚がモノをいうらしく、現実で味音痴だと《料理人の舌》が発生しないらしい。あと、このアビリティはプロの味覚とかでは無い。あくまで「料理が出来る人の舌」というものだ。プロレベルの味覚を持つとアビリティが派生ではなく昇華するらしい。
ちなみにこれと同じもので《絶対音感》なども在るらしいので、現実の能力とリンクする物が他にもありそうだ。
料理は今日の昼に襲ってきた鳥肉を使ったスープと簡易焼き鳥もどきだ。肉としてのランクが高いのか耐久値が結構あったが折角だったので調理してみた。もちろんまだ大量に残っているからカヴァーロで残りを売るつもりだ。
「焼き鳥ウマー。塩であっさりヘルシー、振った香草もバッチリだね」
「意外と柔らかいです。中々のものですね」
料理というには簡単なものだったけど概ね好評だ。
「パンもちょっと硬いけど、スープに浸して食べると柔らかくなるし、味が染み込んで美味しいわ」
エルファの美味しいは少し怪しいけど、皆も同じことを言っているので本当だろう。
残った肉と嘴や爪なども回収し終わり、漸く休憩をすることに。さっきお昼休みを取ったばかりなのにね。
「ユル君凄いね」
ティアが褒めてくれるけど微妙な気もする。
「ティアに褒められてもね。よくあんなナイフで翼をあそこまで切り裂けたもんだ」
多分同じ武器だと俺には無理かな。筋力も足りないし。
「ああ、あれは称号のおかげだよ」
「称号? 確かレクレスハンター、だっけ」
「ティアのあの称号は結構すごいわよ。レクレスって無謀って意味らしくてね。自分より総合ステータスの高い相手だと攻撃力があがるのよ」
「そそ。最低でも二倍、最高でなんと五倍まで上がるよ。その代わりにステータスの差も多くないと発動しないけどね。今の相手だと多分三倍位かな?」
なるほど。攻撃力が三倍と言うとエリザよりずいぶん上になるはずだ。あんなナイフでザックリ行ける訳だ。
「でも、称号を手に入れるまではかなりキツイですよ? 最低でも十体は自分より格上を倒さないと得れないですから。後は自分とのステータス差で討伐数が変わりますけど」
マジか……そいつはキツイ。ってかよく倒したなティアは。
「いやぁ、何度か死んでるけどね。トラップが無かったら多分無理」
ほほう。トラップを仕掛けると格上でも倒せるのか。
「そんなことより、私はユルの魔法について聞きたい。あれは何?」
ティアとの会話に割り込んでエルファが聞いてくる。何と言われても困るが……
「あれは魔法じゃなくて気功だ」
「気功?」
「そそ。気功で使っていくとそのうち外気功と内気功って覚えるから。その外気功ってのは自分のエーテルを体外に放出するんだよ。ゲームとか漫画の気功波ってやつ」
「ユル君それマジ? 超かっけぇじゃん!」
「結構な威力でしたよ? 私にも使えますか?」
「習得にも威力をあげるにもかなり時間かかるけど使えるよ」
成長ブーストも付いてないから結構な時間が掛かるはずだ。
「ただエーテルを教えるときも言ったけど、魔法をメインで考えるなら使わない方がいい」
主にエルファを見ながら言うと、拗ねた様な顔をしている。
「……わかってるわよ」
とりあえず休息を終え、再び進み出した俺たちは特に戦闘らしきものもなく順調に進むことができた。
「今日はそろそろ休まない?」
エルファがそう言った時には周りに浮いている魔素の輝きも薄くなり、月の蒼白い光りの方が強くなり始めた頃だった。
「そうだね。戦闘自体は少なかったけど色々あったし。ご飯準備してここで野営しよう」
俺より経験豊富な二人の意見に反対することもない。賛成してテントの準備をする。いや、しようとしたところで声をかけられた。
「ユル、あんた《調理》は?」
「ん、あるよ。まだレベルは低いけど」
リアルの方でも自炊してたからレベル低くても味はちゃんとしている。味覚のアビリティ、正確には《料理人の舌》も修得している。
「じゃあユルとティアが料理担当で。私とエリザで野営の準備するわ」
「二人は料理しないの?」
「……私の料理を食べたいの?」
エルファの手料理を何度か食べたことがある。中学の時の家庭科の授業で同じ班になった時だ。その時、同じ班のメンバーで共通の認識を得た。
エルファに料理をさせてはいけない。
「こっちなら大丈夫と思ったんだけど」
そう言ったエルファをティアは残念そうに見つめ、エリザは仲間意識をもって見つめている。
つまり二人は同類ということだ。
「……遠慮させていただきます。こっちは任せてくれ」
「よろしく。……何でこっちでもみんな不評なのよ」
エルファはブツブツ言いながらエリザと準備に向かう。
エルファの料理、それを一言で言うと宝くじだ。当たりもあればハズレもある。厄介なのが見た目は同じ、という点だ。同じ料理を作っても当たりとハズレが存在する。何故か。それはエルファの味覚にあった。
エルファは味覚音痴と言うほどでもないが、『美味い』の振れ幅が大きいのだ。他の人が『あまり美味しくない』と感じてもエルファには『美味い』、逆にエルファが『まぁまぁの味』と感じれば常人には『不味い』と感じ、エルファが『不味い』と言うものは食べ物として成り立たない気がする。
他人の屋台料理を初めて食べて分かったのだが、このゲームの料理は調理レベルが上がっても味が良くなるのではなく、料理に付属する効果や鮮度持続時間が上昇するらしい。味はアビリティの味覚がモノをいうらしく、現実で味音痴だと《料理人の舌》が発生しないらしい。あと、このアビリティはプロの味覚とかでは無い。あくまで「料理が出来る人の舌」というものだ。プロレベルの味覚を持つとアビリティが派生ではなく昇華するらしい。
ちなみにこれと同じもので《絶対音感》なども在るらしいので、現実の能力とリンクする物が他にもありそうだ。
料理は今日の昼に襲ってきた鳥肉を使ったスープと簡易焼き鳥もどきだ。肉としてのランクが高いのか耐久値が結構あったが折角だったので調理してみた。もちろんまだ大量に残っているからカヴァーロで残りを売るつもりだ。
「焼き鳥ウマー。塩であっさりヘルシー、振った香草もバッチリだね」
「意外と柔らかいです。中々のものですね」
料理というには簡単なものだったけど概ね好評だ。
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