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第二十三話
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取りあえず効率よくエーテルを魔銀に与えることが出来た。
【魔銀:エーテル付与Cランク】
「ふ、Cランクか。このランクは質だ。ABCの三つでもちろんCは最下級だ。伝説級と言うSがあるとも聞くが見たものはいないな。もちろん俺もない。まあいい、次だ。これからが本番だからな。最初に効率は魔素がいいと言ったが、魔素は付与がすこぶる簡単だからということと、精霊たちの好きな属性の魔素を付与できる。そうなると多少細工が歪でも問題ないからだ。エーテルだと付与も難しいがさらに各精霊の好みの細工を施さないとだめだ。その代り精霊が気に入る細工なら複数属性も可能だ。魔素は複数属性の魔素付与は難しいが細工自体も気に入られれば効果は上がる。エーテルは細工の腕次第で複数属性の付与もできるが、効果の上昇率は上がりにくい、というか狙うのは難しい。精霊次第だからな」
なるほど。一長一短がありますな。製造職を目指すならエーテルと魔素の両方を鍛えた方がいいのかも。ま、俺は製造職じゃないんでこのまま行くけど。
「効果を簡単に言うと火なら火属性・筋力上昇、水なら水属性・知力上昇、地なら地属性・体力上昇、風なら風属性・敏捷上昇だ。属性が付くかステータス上昇が付くか、あるいは両方付くかは運と腕だ。腕がよくなると両方付く可能性が増える。複数属性の精霊に気に入られた場合、付く属性も効果も不明だ。細工によって変わるから職人はこれを独自の技術として持ち、他人にはまず教えない。同じ細工にはだいたい同じ効果が付くからな。特に腕やデザイン次第のエーテル付与の場合は一子相伝の物が多い。と言うのも大体の細工は見ればわかるが、真似をした所で全く同じものが出来る訳ではない。技量の違いもあるが付与したエーテルにはそれぞれ特徴があるからな。親子でもない限りエーテルはかなり違う」
なるほどね。となると狙った効果を付けるのはなかなか難しそうだ。
「なら基本はどんな細工でどの属性が付くんですか?」
「馬鹿め。そんなことを教えるわけないだろうが。……と言いたいところだが、一応弟子でもあるわけだからな。基本だけ教えてやる。火属性は火を感じる様な細工。水は水を感じる細工。地は大地などを感じる細工。風は風を感じる細工だ」
「……は?」
意味わかんねーですけど。
「狙った効果を目指すならその効果を感じる細工をすることだ。ただし、エーテルの質によって細工から受ける印象が変わることを覚えておけ。とは言え基本はさっき言った通りだ。以上がコツだが質問はないな?」
いや、質問しかないというか謎だらけだ。
「よし、さっさとこれにやれ」
こっちが何か言う前に俺の腰から焔を抜いて差し出してきた。素早い。ってそれよりも喉元に切っ先を当てるのはやめて! やりますんで!
せっかく自分で造った刀を強化できる、のだけども失敗したら強度と質などが落ちるそうで。最悪武器破損で消滅らしくかなり緊張する。取りあえず武器自体が『焔』と言う名で、その由来が炎の様な刃の紋様にある。ならばアルトさんが言ったのもこういう事に近いと思う、と予想して刃の紋様に沿って火をイメージして彫刻刀を入れる。『焔』って名で水属性とかだと詐欺っぽいし。
「彫刻刀の刃の種類や刃を入れる角度、深さによっても効果が変る。深く彫ればその分溝に入れる魔銀の量も増え、効果も上がりやすい。ただし装備を削りすぎると脆くなったり、彫刻中に壊れることもある。職人ならその感覚も覚えろ」
そういう情報は作業前に欲しかった。一瞬手が止まりかけたが、集中しなおして刃を入れる。ちなみにリアルでの俺の美術評価はいい方だと思う。ただ高校時代に美術の先生に言われたのが
『デザインや発想はいいけど、色付けが雑ね。見ていて思ったのだけどラフ画や下書き段階で満足して、その後に集中力が続いてないわね』
とのことだった。実際、授業で造ったニードルポイントでの版画は全国で最優秀賞を取った。その後に美術の先生に勧められて描いた作品は県で何とか入賞、佳作よりまし程度だった。評価は塗が雑で甘いといただいた。その後には合作で俺がデザインを担当で塗を他で担当してもらった作品も全国で優秀賞だった。
なのでたぶんこの彫刻する作業だけならいいものが出来ると思っている。問題は魔銀を彫った溝に入れる作業だろうと思う。
なんて考えながら作業を進め、何とか完成した。波紋の揺らめきに合わせて線を入れ、時には広く彫り抜いたりして、何とか炎に見えなくもない紋様が刀身に刻まれた。刀身の片側だけだとなんだか変なので左右対称になるように少し浅めに彫った。
「ふむ、まあまあか。これなら失敗はしないだろう。ではこれを流し入れて仕上げだ」
アルトさんは熱で赤くどろどろに溶けた魔銀の入った器を渡してきた。かなり熱い。防熱か何かの器だろうけど熱い。
「流し入れたら冷めるまでエーテルを流し続けながら余分な魔銀をこのヘラで取れ」
どうやって流し込もうかと思ってたら、余分をそぎ落とすヘラを渡されたので、そのヘラですくって塗りこむことにした。これなら多すぎたらすぐ削ぎ取れるので失敗しにくいだろう。ただしかなり熱い。
エーテルを流しつつ片面に塗って削いで塗って削いでを繰り返して冷めるまで待って、もう片面も同じように終わらせた。疲れたーと休んでいたらすかさずもう一振りの焔を引き抜き、また突きつけてきた。もう一本もやれとおっしゃるのですか。
俺は嫌そうな顔をしていたみたいでアルトさんが切先で突っついてきたので慌てて止めて作業を始めた。
作業が終わったのがゲーム時間で朝の十時半過ぎ。あの後、コートも刺繍で細工をさせられ、装備品に一通り付与させられた。とんでもない量だった。仮眠と軽食を取ってログアウト予定時刻になったのでまた今度にしようと思ったら帰らせてもらえなかった。ただ、布や革には装飾用のミシンがあり、一気に仕上げられた。これがなかったらと思うとぞっとするな。
お陰で強化は進んだけど、とりあえず今日はもう寝たいかも。効果の確認とかは明日にしてリアルでもうご飯して寝たい。
ご飯食べて一息ついたらもう少しインしてもいいかな、なんて思えてきた。でも時計を見たらもうすぐ日付替りそうだ。てことでやっぱり寝よう。
【魔銀:エーテル付与Cランク】
「ふ、Cランクか。このランクは質だ。ABCの三つでもちろんCは最下級だ。伝説級と言うSがあるとも聞くが見たものはいないな。もちろん俺もない。まあいい、次だ。これからが本番だからな。最初に効率は魔素がいいと言ったが、魔素は付与がすこぶる簡単だからということと、精霊たちの好きな属性の魔素を付与できる。そうなると多少細工が歪でも問題ないからだ。エーテルだと付与も難しいがさらに各精霊の好みの細工を施さないとだめだ。その代り精霊が気に入る細工なら複数属性も可能だ。魔素は複数属性の魔素付与は難しいが細工自体も気に入られれば効果は上がる。エーテルは細工の腕次第で複数属性の付与もできるが、効果の上昇率は上がりにくい、というか狙うのは難しい。精霊次第だからな」
なるほど。一長一短がありますな。製造職を目指すならエーテルと魔素の両方を鍛えた方がいいのかも。ま、俺は製造職じゃないんでこのまま行くけど。
「効果を簡単に言うと火なら火属性・筋力上昇、水なら水属性・知力上昇、地なら地属性・体力上昇、風なら風属性・敏捷上昇だ。属性が付くかステータス上昇が付くか、あるいは両方付くかは運と腕だ。腕がよくなると両方付く可能性が増える。複数属性の精霊に気に入られた場合、付く属性も効果も不明だ。細工によって変わるから職人はこれを独自の技術として持ち、他人にはまず教えない。同じ細工にはだいたい同じ効果が付くからな。特に腕やデザイン次第のエーテル付与の場合は一子相伝の物が多い。と言うのも大体の細工は見ればわかるが、真似をした所で全く同じものが出来る訳ではない。技量の違いもあるが付与したエーテルにはそれぞれ特徴があるからな。親子でもない限りエーテルはかなり違う」
なるほどね。となると狙った効果を付けるのはなかなか難しそうだ。
「なら基本はどんな細工でどの属性が付くんですか?」
「馬鹿め。そんなことを教えるわけないだろうが。……と言いたいところだが、一応弟子でもあるわけだからな。基本だけ教えてやる。火属性は火を感じる様な細工。水は水を感じる細工。地は大地などを感じる細工。風は風を感じる細工だ」
「……は?」
意味わかんねーですけど。
「狙った効果を目指すならその効果を感じる細工をすることだ。ただし、エーテルの質によって細工から受ける印象が変わることを覚えておけ。とは言え基本はさっき言った通りだ。以上がコツだが質問はないな?」
いや、質問しかないというか謎だらけだ。
「よし、さっさとこれにやれ」
こっちが何か言う前に俺の腰から焔を抜いて差し出してきた。素早い。ってそれよりも喉元に切っ先を当てるのはやめて! やりますんで!
せっかく自分で造った刀を強化できる、のだけども失敗したら強度と質などが落ちるそうで。最悪武器破損で消滅らしくかなり緊張する。取りあえず武器自体が『焔』と言う名で、その由来が炎の様な刃の紋様にある。ならばアルトさんが言ったのもこういう事に近いと思う、と予想して刃の紋様に沿って火をイメージして彫刻刀を入れる。『焔』って名で水属性とかだと詐欺っぽいし。
「彫刻刀の刃の種類や刃を入れる角度、深さによっても効果が変る。深く彫ればその分溝に入れる魔銀の量も増え、効果も上がりやすい。ただし装備を削りすぎると脆くなったり、彫刻中に壊れることもある。職人ならその感覚も覚えろ」
そういう情報は作業前に欲しかった。一瞬手が止まりかけたが、集中しなおして刃を入れる。ちなみにリアルでの俺の美術評価はいい方だと思う。ただ高校時代に美術の先生に言われたのが
『デザインや発想はいいけど、色付けが雑ね。見ていて思ったのだけどラフ画や下書き段階で満足して、その後に集中力が続いてないわね』
とのことだった。実際、授業で造ったニードルポイントでの版画は全国で最優秀賞を取った。その後に美術の先生に勧められて描いた作品は県で何とか入賞、佳作よりまし程度だった。評価は塗が雑で甘いといただいた。その後には合作で俺がデザインを担当で塗を他で担当してもらった作品も全国で優秀賞だった。
なのでたぶんこの彫刻する作業だけならいいものが出来ると思っている。問題は魔銀を彫った溝に入れる作業だろうと思う。
なんて考えながら作業を進め、何とか完成した。波紋の揺らめきに合わせて線を入れ、時には広く彫り抜いたりして、何とか炎に見えなくもない紋様が刀身に刻まれた。刀身の片側だけだとなんだか変なので左右対称になるように少し浅めに彫った。
「ふむ、まあまあか。これなら失敗はしないだろう。ではこれを流し入れて仕上げだ」
アルトさんは熱で赤くどろどろに溶けた魔銀の入った器を渡してきた。かなり熱い。防熱か何かの器だろうけど熱い。
「流し入れたら冷めるまでエーテルを流し続けながら余分な魔銀をこのヘラで取れ」
どうやって流し込もうかと思ってたら、余分をそぎ落とすヘラを渡されたので、そのヘラですくって塗りこむことにした。これなら多すぎたらすぐ削ぎ取れるので失敗しにくいだろう。ただしかなり熱い。
エーテルを流しつつ片面に塗って削いで塗って削いでを繰り返して冷めるまで待って、もう片面も同じように終わらせた。疲れたーと休んでいたらすかさずもう一振りの焔を引き抜き、また突きつけてきた。もう一本もやれとおっしゃるのですか。
俺は嫌そうな顔をしていたみたいでアルトさんが切先で突っついてきたので慌てて止めて作業を始めた。
作業が終わったのがゲーム時間で朝の十時半過ぎ。あの後、コートも刺繍で細工をさせられ、装備品に一通り付与させられた。とんでもない量だった。仮眠と軽食を取ってログアウト予定時刻になったのでまた今度にしようと思ったら帰らせてもらえなかった。ただ、布や革には装飾用のミシンがあり、一気に仕上げられた。これがなかったらと思うとぞっとするな。
お陰で強化は進んだけど、とりあえず今日はもう寝たいかも。効果の確認とかは明日にしてリアルでもうご飯して寝たい。
ご飯食べて一息ついたらもう少しインしてもいいかな、なんて思えてきた。でも時計を見たらもうすぐ日付替りそうだ。てことでやっぱり寝よう。
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