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2章

じゅーろく

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厨房に向かう途中、金髪の少年に捕まった。
少年は私を見ると警戒するような目付きになった。

「こんなとこで何してんの?」

お腹が減ってそれどころじゃないけど、相手をしないと離してくれなそう。
ブラコン少年と話すのは少し疲れるが仕方ない。

「ご飯を食べに行くところです」

答えると少年は驚いた顔をした。
疑問点も解けただろうしどいてくれないかな。
少年との会話を早く終わらせたい私は少年が納得してくれるのを待っていたが、少年はどこか驚いたような顔をしながら「なんで?」と聞いてきた。

ご飯を食べちゃいけないのか。
陛下は少年の言うことは本意ではないと言っていた。
でもこの言葉はきっと本心だろう。

私はご飯も食べちゃいけないのか。
むっとした私は少年に「ダメですか」と聞いた。
ダメと言われてもこっそり食べに行くつもりだ。お腹減ってるし。
だけど少年は

「え?なんでご飯……そもそもどこ行くの?」

と聞いてきた。
少年は厨房の場所を知らないのだろうか。

いつもどうやってご飯を食べているか知らないが知っておいて損は無いだろう。厨房の場所を教えると少年は愕然としたように黙ってしまった。

「何でそんなことになってるの」

そんなこととはなんの事だ。
少年は言葉足らずで上手く話が繋がらない。もっと言葉を勉強した方がいいと思う。

お腹が減ったしもういいかなと思っていると、「兄上は?」と少年に聞かれた。

「ご飯食べに行くくらいは大丈夫なんじゃないでしょうか」

素直に言ったらやっぱり少年は黙ってから「何が大丈夫なの」と聞いてくる。やけに食いついてくるな。
そんなに陛下関連の話をするのが好きか。

やっぱりブラコンはめんどくさいと思ったが、答えないと納得してくれなそうな雰囲気だったので答える。

「怪しい行動をしたら首をはねられるので」

でも殺し方が斬首刑なのって優しさだよね。打ち殺しとか拷問の類じゃなくて良かった。
血なまぐさいのってやだよね。血の匂いってなかなか落ちないし。

答えると少年は黙ってしまった。
赤い瞳がこれ以上なく開かれている。何に驚いているのだろう。
あ、もしかしてこれも怪しい行動にカウントされちゃうのかな。
それは困るな。
私は誤魔化すように「これは生命維持に必要な行動です」と言っておいた。
少年は何も言わなかった。
黙ってる少年を見てもう行っていいかなと思う。このまま何食わぬ顔で横通っても何も言われないかな。
お腹空いた。

「兄上は一体何を……」

今陛下が何してるかなんて知らない。多分少年の方が詳しいと思う。

「分かりません」

答えるとますます少年は黙ってしまった。
思春期の男の子って難しい。
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