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ロウディオ
エピローグのその前に 3
しおりを挟むふと、奥の方にも細工がされており、そこからまた数冊の日記を見つけた。どれも似たような無地のノートだった。表紙になんの記載も無い。だけどページをめくれば日記のような記載が見えたから、どれもそうなのだろう。
僕は日付を確かめて、いちばん古いもの──古いものは、十八歳のものから始まっていた。ほかのノートはどこかにしまっているんだろう。多方、机にまだ細工がされていてこの中にしまいこまれている可能性が高い。僕は十八歳以前のノートを探すことより、ひとまずその古いノートを読んでいくことから始めた。
僕が手に取った日記は、11月から始まっていた。
─────────────
11月3日
今日は大聖堂での歌唱会に参席した。眠りそうなくらいくだらない会であったことは言うでもない。だけどソフィアは熱心に聞いてるようだった。くだらない歌詞だと馬鹿にしていたが、彼女には響くものがあったのかもしれない。
今回の歌唱曲はオペラで話題になった"エルラルゼの婚姻"だ。エルラルゼの婚姻は悲恋で、ありきたりな終わり方をする。ソフィアはそれが好きなのかもしれない。
オペラを誘ってもいいけれど、きっと彼女はまた何か言いたげな顔で頷くだけなんだろう。
言えばいいのに。
一言、言ってくれれば僕も応えるのに。
いつになったらきみは応えてくれるんだろう?
11月10日
陛下から夫婦関係について尋ねられた。
とは言っても、夜の生活はしてるし、公的な関係も悪くない。陛下は「ひとつの綻びが大きな瓦解に繋がる」と仰ったが、ソフィアの手によって終わりを迎えるのであればこれ以上ない幸福だ。
─────────────
僕は自分に幻滅した。
変わらずこじらせているし、変わらずソフィアとの関係は変化がないようだ。セックスという単語に頬が熱を持ったが、あまり平穏とも言える文章でないことに眉をしかめた。
日記は続いている。
ぱらぱらと日記を手繰っていく。
そうすれば、ふたりの関係が自ずと見えてくるようだった。毎日の記載はどれも短くて、ほぼソフィアに関連することばかり。二、三行で終わる日もある。
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