王妃の鑑

ごろごろみかん。

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毒(2)

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一回目はあらぬ容疑をかけられ、殺された。二回目は、私を蹴落としたいがための女に殺される?そんなの、ごめんだわ!私は私のために生きるの。誰のためでもない。私の人生を、こんなところで終わらせる気は無いのよ………!

「っ……この………!令嬢なら令嬢らしくしてなさいよ!」

ついにフィフの敬語が取れた。髪が長いせいで掴みやすい。髪は、掴まれるといちばん痛い。そしてそれは長ければ長いほど、痛いものだ。わかるわ、だって私。経験者だもの。とにかく、殺されてはたまらない。私はフィフの赤毛を引っ張り、顔を押しのけ、何とかして逃げる隙を狙っていた。揉み合いになって地面の上を転げ回っているから、お互い泥まみれだ。

「離せ!離しなさいよ!この暴力女!」

それをあなたが言うのか、とは思ったけれど、言葉にはしない。引っかかれ、殴られ、叩かれ、お互い酷い有様だ。

「私は!もう!誰にも搾取される人生なんて歩みたくないのよ………っ!」

声を荒らげながらフィフの剣の柄を掴み、湖に投げ飛ばす。後ろの方でものすごい水しぶきがあがった。フィフが私を睨んできた。ものすごい形相だ。

「っの……!殺してやる!」

「できるものならやってみなさい!どうせ私は一度死んでるのよ!」

「はあ!?何言ってんの、意味わかんない!頭沸いた!?」

「湧いてるのはあなたでしょう!こんなことして何になるの!?ホラ吹きのアホ毛女!」

「あっ………アホ毛!?」

フィフと揉み合いになっていたが、やがて彼女は胸元のポケットに手を入れた。まずい、何を出す気なのだと咄嗟に手元を押えたが遅かった。胸元のポケットには小瓶が入っていたらしい。彼女は私に向かってその中身をかけようとしたらしいが、しかし私が手元を押えたことによって手元が狂った。蓋が全て空いてしまったのだ。
これはさすがにフィフも誤算だったらしい。

「うわあ!」

「きゃっ………!」

お互いに悲鳴をあげる。液体が私たち両方にらかかった。
つんとした匂いが鼻をつく、頭がガンガンと鳴り響いた。フィフを見れば、彼女もまた、顔から液体を浴びたらしい。彼女の顔色は蒼白だった。

「あ、あ、………あああ!」

「ちょっ、きゃあ!?」

彼女は恐慌しながら起き上がった。さすがの腹筋だ。私は彼女の上から転がり落ちたが、フィフはそれどころではないらしい。
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