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城下(2)
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何も無かったのは結果論だ。だけどネアモネは自分が行動してよかったと思えた。そして、それによって自分も救われていた。何も出来ない、何も変えることのできないと思っていた自分。だけどそんな自分でも人の役にたつことが出来る………そう思うだけで、ネアモネは自分の存在が許されたような気がした。
「リリアベル、せっかくだし向こうの方もいってみましょう」
もしかしたらこれが最初で最後の外出になるかもしれない。今まで両親はまさかネアモネが屋敷を抜け出すとは思わなかっただう。だからこそ何も言われてこなかった。だけど抜け出したのが気づかれたら、きっと規制されるはずだ。
考えもしない行動にネアモネが出るとは思わなかっただろう。ネアモネも、以前の記憶がなければこのようなことはしなかったに違いない。そもそもその選択肢自体が思い浮かばなかったのだから。
リリアベルと共に奥の出店に向かう。そうすると、ネアルの実………粘着質な触感で、かじると甘みがとろける果実だ。色はクリーム色にも見えるし黄色にも見える。
ネアルの実を堅焼きにしたそれを売っている店で、ネアモネはそれをふたつ購入した。堅焼きになったネアルの実はうっかりハマってしまいそうなほど美味しい。
「はい、50ロブ」
「え?100ロブではないの?」
ひとつ50ロブのネアルの堅焼きをふたつ購入したので本来であれば100ロブだ。だけど店主は50ロブでいいと言う。
目を白黒させるネアモネに、店主は人が良さそうな笑みを浮かべた。ニカッと笑うとネアモネに言う。
「お嬢さん、さっきのは勇敢だったな。普通あんなことできない」
「あ………」
いまさっきのやり取りを言われてるのだと気づき、ネアモネは顔を赤くした。とてもではないが貴族令嬢のすることではない。顔を染めたネアモネに、店主がまたもハハハと気のいい笑い声を上げた。
「誰でも出来ることじゃあない。お嬢さんは勇敢なんだな。お嬢さんの勇気に少しまけただけだ。でもお嬢ちゃん、世の中危ない人も沢山いるんだよ。そこはちゃんと気をつけなさい」
「………はい」
「うん、いい返事。じゃあ、楽しむんだよ。ネアルの堅焼きこれからもご贔屓にね」
最後にちゃっかり宣伝をしながら、ネアモネにネアルの堅焼きを袋に詰めて渡してくれる。紙袋の中には香ばしい匂いがして、いやでも食欲を刺激させられた。結構食べたつもりだったけれど、やはり甘いものは別腹らしい。
そんなことがどの屋台でも続き、気づけばネアモネは両手にたくさんの食べ物を持っていた。どの屋台でも安く売ってくれたりおまけを付けてくれるのだ。ネアモネは人の優しさにじんわり心があたたまった。
「あたしらじゃ同じ町会の人間だからね。人間関係悪くするわけにはいかないんだよ」
これはもちもちのチーズとオコメを合わせて作ったモチーズという食品を売っていた店主が言っていたことだ。だからこそ、あの間に割ってはいることはできなかったと彼女は言った。
「だから、お嬢ちゃんには助かったのさ。情けない話だけどね。ありがとうね、可愛いお嬢ちゃん」
「リリアベル、せっかくだし向こうの方もいってみましょう」
もしかしたらこれが最初で最後の外出になるかもしれない。今まで両親はまさかネアモネが屋敷を抜け出すとは思わなかっただう。だからこそ何も言われてこなかった。だけど抜け出したのが気づかれたら、きっと規制されるはずだ。
考えもしない行動にネアモネが出るとは思わなかっただろう。ネアモネも、以前の記憶がなければこのようなことはしなかったに違いない。そもそもその選択肢自体が思い浮かばなかったのだから。
リリアベルと共に奥の出店に向かう。そうすると、ネアルの実………粘着質な触感で、かじると甘みがとろける果実だ。色はクリーム色にも見えるし黄色にも見える。
ネアルの実を堅焼きにしたそれを売っている店で、ネアモネはそれをふたつ購入した。堅焼きになったネアルの実はうっかりハマってしまいそうなほど美味しい。
「はい、50ロブ」
「え?100ロブではないの?」
ひとつ50ロブのネアルの堅焼きをふたつ購入したので本来であれば100ロブだ。だけど店主は50ロブでいいと言う。
目を白黒させるネアモネに、店主は人が良さそうな笑みを浮かべた。ニカッと笑うとネアモネに言う。
「お嬢さん、さっきのは勇敢だったな。普通あんなことできない」
「あ………」
いまさっきのやり取りを言われてるのだと気づき、ネアモネは顔を赤くした。とてもではないが貴族令嬢のすることではない。顔を染めたネアモネに、店主がまたもハハハと気のいい笑い声を上げた。
「誰でも出来ることじゃあない。お嬢さんは勇敢なんだな。お嬢さんの勇気に少しまけただけだ。でもお嬢ちゃん、世の中危ない人も沢山いるんだよ。そこはちゃんと気をつけなさい」
「………はい」
「うん、いい返事。じゃあ、楽しむんだよ。ネアルの堅焼きこれからもご贔屓にね」
最後にちゃっかり宣伝をしながら、ネアモネにネアルの堅焼きを袋に詰めて渡してくれる。紙袋の中には香ばしい匂いがして、いやでも食欲を刺激させられた。結構食べたつもりだったけれど、やはり甘いものは別腹らしい。
そんなことがどの屋台でも続き、気づけばネアモネは両手にたくさんの食べ物を持っていた。どの屋台でも安く売ってくれたりおまけを付けてくれるのだ。ネアモネは人の優しさにじんわり心があたたまった。
「あたしらじゃ同じ町会の人間だからね。人間関係悪くするわけにはいかないんだよ」
これはもちもちのチーズとオコメを合わせて作ったモチーズという食品を売っていた店主が言っていたことだ。だからこそ、あの間に割ってはいることはできなかったと彼女は言った。
「だから、お嬢ちゃんには助かったのさ。情けない話だけどね。ありがとうね、可愛いお嬢ちゃん」
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