王妃の鑑

ごろごろみかん。

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茶会(2)

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ーーー誰も私のことなんて気にしていないに

馬鹿みたいだ。
そう思うと、知らずうちにネイルを剥いでいた。痛みが爪に走るが、なんとも思わなかった。何もかもがどうでもいい。この苦しみから抜け出したかった。逃げたかった。死んでしまいたかった。

『わたくし、もしネアモネ様の立場だったらとてもじゃないけれど生きていけないわ』

ーーーそれは、どうしてわたくしが生きてるのかと問いかける言葉。

『よく普通に顔を出せるものよね。お顔に似合わず強かでらっしゃるわ。羨ましい、わたくしもその心があればもう少し楽に生きれますのに』

ーーーそれは、どうしてわたくしが未だにこの地位にいるかを問いかける言葉。

わたくしに聞こえていないと思っているのか、それとも聞こえるように言ってるのか。令嬢たちの、夫人がたの声が脳裏を巡る。冷たい廊下、夜の廊下で窓に映った亡霊を目にする。今にも死にそうな青白い顔をして、そして虚ろな表情をしている。
月の光に照らされた栗色の髪だけが色が鮮やかで、それが異様だった。

ある日、アデライード様にとっては茶会の誘いを受けた。行きたくなかった。けれど、誘いを受けた以上断ることは出来ない。わたくしは気が乗らないまま、庭園へと向かう。
アデライード様は相変わらず豊満な体に似合う美しい濃紺色のドレスを着ていた。日差しに揺れた薄紅色の髪が揺れる。

「お待ちしておりました、ネアモネ殿下」

「………ご機嫌麗しゅう、アデライード様」

「やだ、アデライードと呼んでください。私は元はただの踊り子ですの。王妃殿下に言葉をかけることすらおこがましがった女なのですよ」

ニコニコとアデライード様は笑う。彼女は知ってるのだろうか。陛下直々に彼女を敬うようにと私が言われていることに。
私は何も言わずに席に座った。アデライード様とまともに言葉を交わすのはこれが初めてだ。

「ねえ、ネアモネ様。わたくし第三妃を陛下にお勧めしようと思ってるのですが、どう思いますか?」

突然の言葉に思わず目を瞠った。言葉を失う私にアデライード様はそのままコロコロ笑う。私と同い年とは思えないほどに艶やかで、だけどどこか幼い笑い方だった。

「毎晩毎晩………わたくしの体が持ちませんの」

唐突にアデライード様が言葉を続けた。
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