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相反する気持ち * 3
しおりを挟む「………」
はぁ、と彼は本日何度目か分からないため息を零した。
やはり、彼には彼女に無理をさせることはできなかった。
彼は彼女を泣かせたいと思うが、それは快楽によってとろけた顔が見たいのであって、怯えに震える姿が見たいのではない。
そのため、彼はその衝動を飲み下し、身を起こした。
「ロベート……?」
「早く、結婚したいな。きみと」
それで──それで。
はやく、彼女を孕ませたい。
この雌は自分のものだと、周りに知らしめたい。
この薄い腹が、子を孕んだら、膨らみを帯び、母になる。
(俺と、ティナの子……)
女の子だろうか。
男の子だろうか。
運命の番とかいうくだらない本能に翻弄されては可哀想だ。第二性別はβだといい。
そう思うが、ティナは第二性別のせいでとても苦労したのだ。その上、第二王子の子がβなど、より周りが面白おかしく囃し立てることだろう。
ここはやはり、αであった方がいいのか。
そんなことをぼんやり考えながら、彼は当たり前のようにティナとの子を夢想していた。
「いれるね」
かすれた声を零し、彼女の中に自身を沈めていく。彼女の中に入り込むこの時は、いつも出さないよう必死だ。
彼女の中は恐ろしく気持ちが良く、そしてまったく容赦がない。
彼が眉を寄せて彼女の腰を抱き上げる。
短い喘ぎ声が上がり、彼女の手が背に回る。
「ひぁっ……」
「は、」
熱い息を吐いて、彼は腰を動かした。
彼女の腰をしっかりと掴み、突き上げる。
そうすると彼女は甘い声で鳴いた。
彼の目の前には、美味しそうな白い首筋があり、彼はその肌を甘く噛んだ。
「きゃっ……!?ぁ、あぁ、──っ……」
びくびく、と彼女の体が派手に跳ねた。
ぎゅう、と彼女の柔らかな壁が彼自身を扱くように動き、突然の不意打ちに彼もまた追い詰められる。
「っ………ティナ?」
「あ………」
ぼんやりとした彼女と目が合う。
彼女は頬を赤く染めて、とろんとした顔をしていた。
「……初めて中でいけたね」
「わたし……」
彼が笑いかけると、ようやく彼女はそこでハッとしたようだ。そして、とても恥ずかしそうに彼の肩にすがりつく。
二人とも、中途半端に服を脱いだままで、互いに余裕がなかったのがみてとれる。
「でも……ごめん。もう少しだけ、付き合って欲しい」
「え?……ぁ、あっ!」
彼女は極めたけれど、ロベートはまだ達していない。今もなお、彼自身をきつく締め付け、吸い付くようなみだらな壁に苛まれている途中だ。
彼は眉を寄せて息を吐くと、彼女の腰を掴んで彼女の奥を狙って、突き上げた。
悲鳴のような喘ぎ声がひっきりなしにあがる。
耳元で聞こえる彼女の甘い声に、いやおうなく腰は刺激されて、間もなく彼もまた、彼女の中に熱を放った。
はぁ、とどちらともなく息を吐く。
欲を放ってなお、ふたりは離れることなく互いに見つめ合い、口付けを交わした。
しつこくくちびるを合わせ、舌を交えて、擬似的な性交を行った。
そして、彼女は違和感に気がついた。
さっきまで力を失っていた、彼女の中に収まったものが、また硬さを取り戻し始めたのだ。
それに気がついた彼女がまなじりを赤くして、彼を見る。言いにくそうな彼女を見て、彼もまた、彼女が気がついたことを知ったらしい。
「ロベート……?」
「……うん。ごめん……ティナ、もう一回させて?」
諦めたような、吹っ切れたような。
そんな顔で笑うロベートに、ティナはどきりとした。彼を強く締め付けてしまったのか、ロベートは軽く呻く。
「次はもう少しゆっくりするから……」
彼はゆっくりとティナの体をソファに倒した。
角度が変わって、彼女が甘い声を漏らした。
「うん……次は、もっとゆっくりしたい」
彼とひとつになる行為は、体よりも、心が満たされる。だから、彼女はゆっくりと、この行為の快楽を求めたかった。
彼女の言葉に、また彼が目元を赤らめた。
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