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「それにお前には先程知らないと言ったが不貞の疑いがー……………なに!?」
カインハルトのいきりたった声が聞こえる。
私はもう演技はこの辺でいいかと思いながら、扇を投げ捨てた。足元に。
令嬢同士であるなら相手にそれを拾わせようとするーーーつまり侮辱の仕草となる。
私はただ邪魔だったから捨てたに過ぎないのだけど。
「ねぇ、カインハルト殿下」
「な、なんだ………!?」
扇を投げ捨てられたことで狼狽えたのか、カインハルトの声は少し上ずっていた。
薄水色の髪に黄色の瞳。一度はこんな人の愛を乞おうとした自分が馬鹿らしくなってくる。土に穴掘って埋まりたいくらい恥ずかしい過去だ。
「王家が公爵家に立て替えてもらっている金額がおいくらか、ご存知ですか?」
「は………?」
「まさかそんなことすら知らないとか………仰りませんわよね?王太子殿下」
「そ、それは……………」
カインハルトが黙ってしまう。それを見かねてか、アメリアが悲鳴のような声を出した。
「突然なんですか!そんなの今何が関係あるって…………」
「2800'ミリン」
私の声はそこまで大きくなかったはずだが、会場にざわめきが広がっていく。
それも当然だろう。2800'ミリンとなれば莫大な金額だ。それを全て公爵家に用立ててもらっているのだから、この事実が晒されてしまえば王家の面目は丸潰れだ。
私はにこりと微笑んでから腰をかがめた。すっと扇をてにとり、ぱしりと自分の掌に打ち付ける。
「では、質問です。それを用立てていたのは?」
「は!それが今何に関係ある!お前はそうやって話の方向を」
どいつもこいつも同じことしか言わないのね。
やっぱりカインハルトとアメリア、お似合いだわ。
「わたくしです」
「…………は!?」
「わたくしが、その金を用立てていました」
「お前が?はっ、どうやって」
鼻で笑うカインハルト。
話の行方がようやく掴めたアメリアがはっとしたように慌ててカインハルトの服の裾を引っ張る。だけどアホなカインハルトはアメリアが怖がったと勘違いしたのか「大丈夫だ」とキメ顔で言っていた。気持ち悪くて吐きそうになったしその頭のお天気具合に目眩すらした。
カインハルトのいきりたった声が聞こえる。
私はもう演技はこの辺でいいかと思いながら、扇を投げ捨てた。足元に。
令嬢同士であるなら相手にそれを拾わせようとするーーーつまり侮辱の仕草となる。
私はただ邪魔だったから捨てたに過ぎないのだけど。
「ねぇ、カインハルト殿下」
「な、なんだ………!?」
扇を投げ捨てられたことで狼狽えたのか、カインハルトの声は少し上ずっていた。
薄水色の髪に黄色の瞳。一度はこんな人の愛を乞おうとした自分が馬鹿らしくなってくる。土に穴掘って埋まりたいくらい恥ずかしい過去だ。
「王家が公爵家に立て替えてもらっている金額がおいくらか、ご存知ですか?」
「は………?」
「まさかそんなことすら知らないとか………仰りませんわよね?王太子殿下」
「そ、それは……………」
カインハルトが黙ってしまう。それを見かねてか、アメリアが悲鳴のような声を出した。
「突然なんですか!そんなの今何が関係あるって…………」
「2800'ミリン」
私の声はそこまで大きくなかったはずだが、会場にざわめきが広がっていく。
それも当然だろう。2800'ミリンとなれば莫大な金額だ。それを全て公爵家に用立ててもらっているのだから、この事実が晒されてしまえば王家の面目は丸潰れだ。
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「では、質問です。それを用立てていたのは?」
「は!それが今何に関係ある!お前はそうやって話の方向を」
どいつもこいつも同じことしか言わないのね。
やっぱりカインハルトとアメリア、お似合いだわ。
「わたくしです」
「…………は!?」
「わたくしが、その金を用立てていました」
「お前が?はっ、どうやって」
鼻で笑うカインハルト。
話の行方がようやく掴めたアメリアがはっとしたように慌ててカインハルトの服の裾を引っ張る。だけどアホなカインハルトはアメリアが怖がったと勘違いしたのか「大丈夫だ」とキメ顔で言っていた。気持ち悪くて吐きそうになったしその頭のお天気具合に目眩すらした。
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