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一章
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「冗談だよ。でも、どっちのニルシェも好きだよ。今日もぐずぐずにするから。泣きながら感じるニルシェはすごくかわいい」
「っ………」
ニルシェはあまりの羞恥にくらくらした。恥ずかしさのあまりヴィルヘルムの肩に顔を埋める。
ヴィルヘルムは太陽の光の元で笑っているのが似合う、絵に書いたような貴公子だ。彼は昔からとても女性にとても好かれた。
優しい人柄と穏やかな性格、さらさらの金髪に蒼い瞳。柔和な雰囲気があり、儚げで、男性にしては華奢で、中性的な雰囲気がある。しかも王太子で王族という肩書きもある。
女性に一目惚れされたり好意を持たれることは日常茶飯事だ。
だけど、ニルシェはただヴィルヘルムが優しいだけではないことを知っている。
彼は優しげな雰囲気があるが、その実冷たいところがある。一度敵と認めた人間には容赦がない。見切りをつけた人間にはとことん冷たいのだ。
ニルシェがそんなことを考えていると、おもむろにヴィルヘルムの指先がつぷりとそこに侵入した。
「ひゃぁっ………んっ……」
あえぐニルシェの背をヴィルヘルムは撫でて優しく抱き寄せた。
その安心感と、彼の香りに、またニルシェの体内に熱が灯る。
「ふふ、もうぐちゃぐちゃだ。いつからこんなになってたの」
「あっ、あっ、やだっ、そ………ぁっ、………~~~~~っ…………!」
「やだじゃないでしょ。ニルシェはここを擦られるとすごく可愛くなる。きっと今も。しがみついて、可愛いね? ニルシェ」
「や、やっ、ぁっ………だめ、び、ぁっ………びりぃっ…………ッ~~~~~~」
何度か体を重ねて、彼に知らされたニルシェの気持ちのいいところ。
最初、彼と体を繋げた時はすごく痛くて、でも嬉しかったのをニルシェは覚えている。
だけどその時、ヴィルヘルムがとても辛そうな顔をしていたのが気になって、ニルシェはそのわけを尋ねた。答えはこうだ。
『痛みしか与えられない行為をする必要があることが嫌だ』
後からわかったことだが、彼は王族で、王太子なのに閨教育の実技は受けていない。
ひとえにそれはニルシェ以外の女性に触れたくないという少年期特有の潔癖からくるものだが、経験がないゆえに上手くいかなかったのかもしれない、と彼は自分の希望で実技の授業をはねのけたことをわずかに反省しているようだった。
だけど、ニルシェはすごく嬉しかった。破瓜の痛みは想像以上に痛くてしばらくトラウマだったが、だからと言ってもうしたくないという気持ちはなかった。
またも思考が飛んでいたニルシェを引き戻したのは明瞭な悦楽だった。
「やぁっ………!? あっ、」
「何考えてたの。気がそぞろだね」
「ん、ぅ、ヴィルヘルムの、ヴィルヘルムの、こと、ぁっ………やっ、………んっ………! は、はじめての、よる、の、ッ」
あえぎながらもニルシェは懸命に話す。ヴィルヘルムは少し考えた顔をしたがすぐにふ、と気を抜いたように笑む。
「ああ………初めての。僕にとってもきみにとっても最悪だったね。でも、最悪で最高の日だった。何より、きみの初めてを貰えた。僕はきみを知れたし、きみも僕を知った。想い合うってこういうことじゃない?」
「あっ、あっ、やぁ………ン……っ、ぁ、………ッ………! ヴィ、あっ………ぁあああ!!」
彼の指の腹がにちゃにちゃと卑猥な音を立て彼女のいまだ狭い中を責めたてる。
ついに限界が訪れたニルシェは嬌声を上げて達した。
ヴィルヘルムは彼女が極めたのを知りながらそのまま何度か中を確かめるように指を動かしていたが、やがて引き抜いた。
そして、ニルシェは思わず瞠目した。
ヴィルヘルムは今先ほどまで彼女の胎内にあった指先を口に運んでいたからだ。
「なっ、なにして…………!!」
「なにって、したいことをしてるんだよ」
「へ、へんたい………」
羞恥のあまり涙がにじむニルシェが責めるように言った。対してヴィルヘルムは涼しげだ。
「男なんてみんな変態だよ。特に、好きな娘の前ではね」
「それっぽく言ってもだめよ! も、もう……もう…………!」
「ごめんごめん。でも、知っておきたいんだよ。きみの味を。全部。………夜くらい、いいでしょう」
「………………」
ニルシェはその蒼い瞳に見られると、何も言えなくなってしまう。
彼の瞳はあまりにも真摯で、真っ直ぐだ。ニルシェは苦しくなる。
「………めんなさい」
その言声はあまりにも小さく、夜の静寂に溶けた。
「ん?」
「ううん。なんでもない。それより、もう、しないの………?」
ニルシェは心細い気持ちで彼のそれに触れた。ヴィルヘルムが一瞬息を詰める。
そして、息を吐きながら笑って、言った。
「困ったな。そんなに煽られたら、我慢が効かない」
「ヴィルヘルムはいつも我慢してないと思うの……」
「言ったね? いつもはしてるよ。だいぶね」
そう言って、彼はちゅ、と口付けを落とした。服をくつろげると、ぴたりと濡れたそこに彼のものをあてられる。熱い感覚に、ニルシェの頬が熱を持った。
こればかりは何度やってもなれなかった。
「いれるね」
「ん、ぁっ……。ぁあああっ………!」
入ってくる、生々しい感覚。彼のものがいままさに彼女の中に入ろうとしているのを如実に感じて、彼女の腰が反射的にはねる。
「あっ、ァ………ぁ、っ………~~ッ、っ!」
「苦しく、ない? は、息、とめたらだめだよ。ゆっくり吐いて。そう」
「苦しく、なっ…………ぁ、あ、も、だめ、や、イっ………」
彼のものが、動く度に彼に教えられたいいところをたくさん擽って、擦って、ニルシェを快楽へと押し上げる。柔らかな優しい悦楽にじわじわと気持ちよさの水位があがってくる。ニルシェは息が乱れて、助けを求めるように青年の首の後ろに手を回した。
そのまま、ふたりは自然な流れで引き寄せあって、抱きしめた。
「あっ、ぁ、や、ぅっ………く、ぅんっ……」
「あは、かわい。なにいまの、子犬みたいだね」
「ちが、ぁっ……や、だぁっ、そこ、そ、っ………~~~~!」
ヴィルヘルムは彼女の感じるところを知り尽くしている。
彼によって拓かれた体は、彼が一番熟知しているのだろう。
どこを押しあげれば気持ちがいいのか。どこが、彼女が快く思うのか。閨経験がなかった彼は、だけどニルシェ限定でその行為に励み、彼女の体を手探りでしっていった。
初夜の日、あまりの激痛に息も絶え絶えな彼女を見たせいか、彼はやけに丁寧にニルシェに触れる。
「いっちゃいそう? いいよ、何度でも」
「ヴィっ……ぁ、だっ……や、ぁあっ、ぁ、………ッぁ、あっ………────!」
達する時、ヴィルヘルムが言葉を封じるように唇を奪ったので、彼女の嬌声は声にならなかった。ニルシェの身体が何度もびくりとはねて力が入り、ヴィルヘルムを縋るように抱き締める。
ふわり、と香る彼の香水の香りにニルシェは目を細めた。
ラベンダーの香りだ。情事の気配と混じったその香りはなんだかとてもいやらしくて、いつも彼がつけているからこそ、余計いけないことをしてしいるみたいに感じた。
「っ………」
ニルシェはあまりの羞恥にくらくらした。恥ずかしさのあまりヴィルヘルムの肩に顔を埋める。
ヴィルヘルムは太陽の光の元で笑っているのが似合う、絵に書いたような貴公子だ。彼は昔からとても女性にとても好かれた。
優しい人柄と穏やかな性格、さらさらの金髪に蒼い瞳。柔和な雰囲気があり、儚げで、男性にしては華奢で、中性的な雰囲気がある。しかも王太子で王族という肩書きもある。
女性に一目惚れされたり好意を持たれることは日常茶飯事だ。
だけど、ニルシェはただヴィルヘルムが優しいだけではないことを知っている。
彼は優しげな雰囲気があるが、その実冷たいところがある。一度敵と認めた人間には容赦がない。見切りをつけた人間にはとことん冷たいのだ。
ニルシェがそんなことを考えていると、おもむろにヴィルヘルムの指先がつぷりとそこに侵入した。
「ひゃぁっ………んっ……」
あえぐニルシェの背をヴィルヘルムは撫でて優しく抱き寄せた。
その安心感と、彼の香りに、またニルシェの体内に熱が灯る。
「ふふ、もうぐちゃぐちゃだ。いつからこんなになってたの」
「あっ、あっ、やだっ、そ………ぁっ、………~~~~~っ…………!」
「やだじゃないでしょ。ニルシェはここを擦られるとすごく可愛くなる。きっと今も。しがみついて、可愛いね? ニルシェ」
「や、やっ、ぁっ………だめ、び、ぁっ………びりぃっ…………ッ~~~~~~」
何度か体を重ねて、彼に知らされたニルシェの気持ちのいいところ。
最初、彼と体を繋げた時はすごく痛くて、でも嬉しかったのをニルシェは覚えている。
だけどその時、ヴィルヘルムがとても辛そうな顔をしていたのが気になって、ニルシェはそのわけを尋ねた。答えはこうだ。
『痛みしか与えられない行為をする必要があることが嫌だ』
後からわかったことだが、彼は王族で、王太子なのに閨教育の実技は受けていない。
ひとえにそれはニルシェ以外の女性に触れたくないという少年期特有の潔癖からくるものだが、経験がないゆえに上手くいかなかったのかもしれない、と彼は自分の希望で実技の授業をはねのけたことをわずかに反省しているようだった。
だけど、ニルシェはすごく嬉しかった。破瓜の痛みは想像以上に痛くてしばらくトラウマだったが、だからと言ってもうしたくないという気持ちはなかった。
またも思考が飛んでいたニルシェを引き戻したのは明瞭な悦楽だった。
「やぁっ………!? あっ、」
「何考えてたの。気がそぞろだね」
「ん、ぅ、ヴィルヘルムの、ヴィルヘルムの、こと、ぁっ………やっ、………んっ………! は、はじめての、よる、の、ッ」
あえぎながらもニルシェは懸命に話す。ヴィルヘルムは少し考えた顔をしたがすぐにふ、と気を抜いたように笑む。
「ああ………初めての。僕にとってもきみにとっても最悪だったね。でも、最悪で最高の日だった。何より、きみの初めてを貰えた。僕はきみを知れたし、きみも僕を知った。想い合うってこういうことじゃない?」
「あっ、あっ、やぁ………ン……っ、ぁ、………ッ………! ヴィ、あっ………ぁあああ!!」
彼の指の腹がにちゃにちゃと卑猥な音を立て彼女のいまだ狭い中を責めたてる。
ついに限界が訪れたニルシェは嬌声を上げて達した。
ヴィルヘルムは彼女が極めたのを知りながらそのまま何度か中を確かめるように指を動かしていたが、やがて引き抜いた。
そして、ニルシェは思わず瞠目した。
ヴィルヘルムは今先ほどまで彼女の胎内にあった指先を口に運んでいたからだ。
「なっ、なにして…………!!」
「なにって、したいことをしてるんだよ」
「へ、へんたい………」
羞恥のあまり涙がにじむニルシェが責めるように言った。対してヴィルヘルムは涼しげだ。
「男なんてみんな変態だよ。特に、好きな娘の前ではね」
「それっぽく言ってもだめよ! も、もう……もう…………!」
「ごめんごめん。でも、知っておきたいんだよ。きみの味を。全部。………夜くらい、いいでしょう」
「………………」
ニルシェはその蒼い瞳に見られると、何も言えなくなってしまう。
彼の瞳はあまりにも真摯で、真っ直ぐだ。ニルシェは苦しくなる。
「………めんなさい」
その言声はあまりにも小さく、夜の静寂に溶けた。
「ん?」
「ううん。なんでもない。それより、もう、しないの………?」
ニルシェは心細い気持ちで彼のそれに触れた。ヴィルヘルムが一瞬息を詰める。
そして、息を吐きながら笑って、言った。
「困ったな。そんなに煽られたら、我慢が効かない」
「ヴィルヘルムはいつも我慢してないと思うの……」
「言ったね? いつもはしてるよ。だいぶね」
そう言って、彼はちゅ、と口付けを落とした。服をくつろげると、ぴたりと濡れたそこに彼のものをあてられる。熱い感覚に、ニルシェの頬が熱を持った。
こればかりは何度やってもなれなかった。
「いれるね」
「ん、ぁっ……。ぁあああっ………!」
入ってくる、生々しい感覚。彼のものがいままさに彼女の中に入ろうとしているのを如実に感じて、彼女の腰が反射的にはねる。
「あっ、ァ………ぁ、っ………~~ッ、っ!」
「苦しく、ない? は、息、とめたらだめだよ。ゆっくり吐いて。そう」
「苦しく、なっ…………ぁ、あ、も、だめ、や、イっ………」
彼のものが、動く度に彼に教えられたいいところをたくさん擽って、擦って、ニルシェを快楽へと押し上げる。柔らかな優しい悦楽にじわじわと気持ちよさの水位があがってくる。ニルシェは息が乱れて、助けを求めるように青年の首の後ろに手を回した。
そのまま、ふたりは自然な流れで引き寄せあって、抱きしめた。
「あっ、ぁ、や、ぅっ………く、ぅんっ……」
「あは、かわい。なにいまの、子犬みたいだね」
「ちが、ぁっ……や、だぁっ、そこ、そ、っ………~~~~!」
ヴィルヘルムは彼女の感じるところを知り尽くしている。
彼によって拓かれた体は、彼が一番熟知しているのだろう。
どこを押しあげれば気持ちがいいのか。どこが、彼女が快く思うのか。閨経験がなかった彼は、だけどニルシェ限定でその行為に励み、彼女の体を手探りでしっていった。
初夜の日、あまりの激痛に息も絶え絶えな彼女を見たせいか、彼はやけに丁寧にニルシェに触れる。
「いっちゃいそう? いいよ、何度でも」
「ヴィっ……ぁ、だっ……や、ぁあっ、ぁ、………ッぁ、あっ………────!」
達する時、ヴィルヘルムが言葉を封じるように唇を奪ったので、彼女の嬌声は声にならなかった。ニルシェの身体が何度もびくりとはねて力が入り、ヴィルヘルムを縋るように抱き締める。
ふわり、と香る彼の香水の香りにニルシェは目を細めた。
ラベンダーの香りだ。情事の気配と混じったその香りはなんだかとてもいやらしくて、いつも彼がつけているからこそ、余計いけないことをしてしいるみたいに感じた。
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