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婚約の真相
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(私を助けに……?)
何度も瞬いていると、フェアリル殿下はため息をついてから私を見た。そして、なんだか物言いたそうな顔で続ける。
「きみのその……呪いは、他の人間を庇ってのものなんだってね?」
「え?ああ………。ミレイアから聞いたのね?」
あまり話したことはないけど、最後に彼女と会った時彼女は泣いていた。後悔していたのだ。
それが突然姿を消したので、どうしたのかと思っていたけれど。
(私を助けたかった、って……)
でも呪いの詳細も彼女は知っているはずだ。
【対象者と体を交わさないと死に至る】
端的に言えば性行為しなければいけないということだ。
(対象者はランダムで選ばれる。対象者の幅は明確に決められていないから、もう既に亡き人の名が記されていた可能性もある。そうなれば、まず間違いなく正攻法での解呪は不可となる。呪いの中でも厳重に情報管理される類のものだわ)
身をもって知った。
私の場合は、相手がフェアリル殿下という──話せばまあ、少しくらいは聞いてくれる人だったからまだしも。これが頭の狂った人間だったり、そもそも女性に興味のない異性だったりしたら詰んでいた。
本当に危険な呪いなのだ。
(私を助けるにしても、解呪法はひとつ。フェアリル殿下と性行為をしなければならないわけで──)
そう思った時、連動して昨夜の記憶も思い出してしまった。あの濡れたような、重たく甘ったるい空気感。一度思い出してしまうと妙に隣に座るフェアリル殿下を意識してしまって、変に体が強ばった。
(ちょちょちょ………!何緊張してるのよ!今はそんな場合じゃないでしょ!)
なんとか体を縛り付けるような緊張を押し殺して、レベッカに向き直った。
そして、彼女が妙にニマニマしていることに気がつく。
「……?ど、どうしたの……?」
その視線にたじろいで、声が上ずってしまった。
「いや、王女殿下も悩める乙女なのだなと思って。………ほんっとーに可愛い!見た目も好みだけど、この芯の強さ!見た目に反してきみ、結構気が強いよね?肝座ってるでしょ?僕、そう言う娘大好きなんだよね!まあ1番はファンティーヌだけど……ね、仲良くしてよ?王女様!」
そう言って、レベッカがおもむろに抱きついてきた。ふんわりとした女性特有の柔らかさに、なんだか柑橘系のいい香りがしてびっくりする。
「えっ……!?え!?」
「……きみの恋人とやらに言いつけるよ?」
静かに隣に座るフェアリル殿下が言うと、渋々レベッカは私から手を離した。
私はと言うと未だに驚きのさなかである。
「ケチ臭いな、きみは。少しくらいいいだろ?こんな可愛い娘、よくきみ我慢できてるね?手出したいとか思わないの?……ああ、もう出したんだっけ?」
「レ、レベッカ?」
「白い肌!赤いくちびる!零れそうなまあるい瞳!本当に可憐だね、きみは!…………ねぇ、男が嫌になったら僕のところにおいで?きっとすごく可愛がってあげるよ。大丈夫、みんなで幸せになろう?毎日大事に大事にしてあげるから」
囁きにも似たレベッカの声は甘ったるく、耳がゾワゾワした。
「ちょっ………!?」
レベッカの手が私のくちびるに触れる。
今にも口付けしてしまいそうな距離だ。
私は腰が引けながらもようやく状況を呑み込んだ。
(つまり……これってあれよね!?レベッカって……女性が好き……なのかしら!?)
完全に腰が引けている私から、レベッカが笑って手を離すのと、隣から腰を引かれたのはほぼ同時だった。
「きゃあ!?」
「レベッカ・バーチェリー。悪ふざけはそのくらいにしろ」
フェアリル殿下だ。
しっかり腰を抱えられて、距離が近くて忘れかけていた緊張が戻ってくる。じわりと頬が熱くなって、石像のように固まった。
レベッカはくるりと身を翻してもう何もしない、というアピールか手を上げながら言った。
「ま、とにかく……話が前後しちゃったけど。僕の性愛対象は女性。女性全般、と言うより僕好みの可愛い娘が好きなんだけど──その話はいいか。僕とフェアリル殿下は婚約者の関係でも、正しくその関係性ではなかった、ってこと。理解してくれたかな?王女殿下」
「あ……。そういえばあなた、偽装婚……って言っていたわね。それはレベッカに恋人……がいるからなの?」
さっき、フェアリル殿下は『恋人に言い付ける』と言っていた。レベッカには恋人がいるのだろう。そう思って尋ねると、彼はちらりと私を見て答えた。
「そう。僕との婚姻はレベッカ・バーチェリーにとっても都合が良かった。隠れ蓑という意味合いでね」
フェアリル殿下の婚約者がレベッカだったことには驚いたけど、ようやく納得がいった。頷いていると、レベッカが私を見た。
「それで、どこまで話したっけ?……ああ、そうそう。きみのとこの公爵令嬢がやってきてね、きみの力になりたいから国境を超えてきた、と話していたよ。今は王城のどっかで休んでるよ。貴族の娘らしく体力がないみたいなんだよねぇ」
レベッカはそう言いながら「ちなみにあの手のタイプは僕の好みじゃないかな。歩くトラブルメーカーはちょっとなぁ」とミレイアを評した。
「僕には最初から父親の監視がついていたみたいなんだよね。いつから怪しまれていたのは知らないけど──僕が辺境の森に向かってると知った父は、万一を考えてフェアリル殿下に救助兵を要請。そのおかげで僕達は全滅せずに済んだわけだけど、その後。僕は、父親に家を抜け出したことがバレて、ついでに今までの病弱も仮病だと芋づる式に知られてしまって、それに動揺した恋人がうっかり僕たちの関係を口にしてしまって──それを知った父親はもうカンカン。僕は監禁されたってわけ。最悪の連鎖反応だよね?こんなトントン拍子なのも珍しいって言うかさあ」
なんてことないようにレベッカは話すが、それはとても大変な事だったのではないだろうか。王太子の婚約者が実は同性愛者で、恋人がいて、それを知った上で──互いの利害が一致したからこそ、婚約を結んでいた。白い結婚という前提で。それを知った公爵の心労を思うとほんの僅かに気の毒ではある。
「このままだと薬でも盛られて無理やり子作りを強制されかねない。それくらいなら死んでやると思っていたところで、フェアリル殿下が手を回して上手く家から出れた。……ここまでが今朝の話だよ」
「大変だったのね……」
しみじみ言うと、レベッカは軽く笑った。
「これくらいの苦労、ファンと恋人になった時から予想はしていたよ。でも──これからの幸福はそこのきみの恋人が約束してくれるんだろ?」
「えっ」
(約束!?…………恋人?!)
動揺してフェアリル殿下を見ると、彼は涼しげにレベッカを見て言った。
「以前、レベッカ・バーチェリーには連絡を出していたんだけど。同性愛間での婚姻を可能にする──これは恐らく上手くいくと思う」
「へえ。頑固な貴族院はもちろん、国王陛下も頷かないと思うけど?」
挑戦的にレベッカが言う。
フェアリル殿下はレベッカを真っ直ぐ見た。
「父にはもう王の座を退いてもらう。それを提言できるほどの材料が僕の手にはある」
「………信じていいんだな?」
レベッカが強い眼差しで言った。
レベッカは目力が強い。鮮やかな翡翠の瞳に睨むように射られたフェアリルは短く答えた。
「ああ」
「……それじゃ、後はきみに任せるとして。万が一。もしも僕が男なんかと婚姻を結ぶようなことになれば──フェアリル殿下。僕は一生きみを恨むよ」
「分かってる。……僕は、きみに多少なりとも情があるんだ。身動きの取れない息苦しい社交界で、唯一取り繕わずに済んだ。そうだな……僕にとってきみは、友人──知人──いや。共犯者。それがいちばん正しい。僕だけ泥沼の世界から這い上がって、きみだけ汚泥を啜らせる、なんて卑怯な真似はしないさ」
フェアリル殿下が少し笑って答えると、レベッカは僅かにきょとんとした後、不敵に笑った。
「じゃあね、リリアンナ王女。そこの王子様に嫌気がさしたら僕のところにおいで」
「行かない」
私が答えるより先に食い気味にフェアリル殿下が返答した。
「フェアリル殿下には言ってない」
眉を寄せたレベッカは、手にしていた帽子を再度被ると優雅に礼を取った。
そして、恭しく頭を下げた彼女は、そのまま部屋を出ていったのだった。
何度も瞬いていると、フェアリル殿下はため息をついてから私を見た。そして、なんだか物言いたそうな顔で続ける。
「きみのその……呪いは、他の人間を庇ってのものなんだってね?」
「え?ああ………。ミレイアから聞いたのね?」
あまり話したことはないけど、最後に彼女と会った時彼女は泣いていた。後悔していたのだ。
それが突然姿を消したので、どうしたのかと思っていたけれど。
(私を助けたかった、って……)
でも呪いの詳細も彼女は知っているはずだ。
【対象者と体を交わさないと死に至る】
端的に言えば性行為しなければいけないということだ。
(対象者はランダムで選ばれる。対象者の幅は明確に決められていないから、もう既に亡き人の名が記されていた可能性もある。そうなれば、まず間違いなく正攻法での解呪は不可となる。呪いの中でも厳重に情報管理される類のものだわ)
身をもって知った。
私の場合は、相手がフェアリル殿下という──話せばまあ、少しくらいは聞いてくれる人だったからまだしも。これが頭の狂った人間だったり、そもそも女性に興味のない異性だったりしたら詰んでいた。
本当に危険な呪いなのだ。
(私を助けるにしても、解呪法はひとつ。フェアリル殿下と性行為をしなければならないわけで──)
そう思った時、連動して昨夜の記憶も思い出してしまった。あの濡れたような、重たく甘ったるい空気感。一度思い出してしまうと妙に隣に座るフェアリル殿下を意識してしまって、変に体が強ばった。
(ちょちょちょ………!何緊張してるのよ!今はそんな場合じゃないでしょ!)
なんとか体を縛り付けるような緊張を押し殺して、レベッカに向き直った。
そして、彼女が妙にニマニマしていることに気がつく。
「……?ど、どうしたの……?」
その視線にたじろいで、声が上ずってしまった。
「いや、王女殿下も悩める乙女なのだなと思って。………ほんっとーに可愛い!見た目も好みだけど、この芯の強さ!見た目に反してきみ、結構気が強いよね?肝座ってるでしょ?僕、そう言う娘大好きなんだよね!まあ1番はファンティーヌだけど……ね、仲良くしてよ?王女様!」
そう言って、レベッカがおもむろに抱きついてきた。ふんわりとした女性特有の柔らかさに、なんだか柑橘系のいい香りがしてびっくりする。
「えっ……!?え!?」
「……きみの恋人とやらに言いつけるよ?」
静かに隣に座るフェアリル殿下が言うと、渋々レベッカは私から手を離した。
私はと言うと未だに驚きのさなかである。
「ケチ臭いな、きみは。少しくらいいいだろ?こんな可愛い娘、よくきみ我慢できてるね?手出したいとか思わないの?……ああ、もう出したんだっけ?」
「レ、レベッカ?」
「白い肌!赤いくちびる!零れそうなまあるい瞳!本当に可憐だね、きみは!…………ねぇ、男が嫌になったら僕のところにおいで?きっとすごく可愛がってあげるよ。大丈夫、みんなで幸せになろう?毎日大事に大事にしてあげるから」
囁きにも似たレベッカの声は甘ったるく、耳がゾワゾワした。
「ちょっ………!?」
レベッカの手が私のくちびるに触れる。
今にも口付けしてしまいそうな距離だ。
私は腰が引けながらもようやく状況を呑み込んだ。
(つまり……これってあれよね!?レベッカって……女性が好き……なのかしら!?)
完全に腰が引けている私から、レベッカが笑って手を離すのと、隣から腰を引かれたのはほぼ同時だった。
「きゃあ!?」
「レベッカ・バーチェリー。悪ふざけはそのくらいにしろ」
フェアリル殿下だ。
しっかり腰を抱えられて、距離が近くて忘れかけていた緊張が戻ってくる。じわりと頬が熱くなって、石像のように固まった。
レベッカはくるりと身を翻してもう何もしない、というアピールか手を上げながら言った。
「ま、とにかく……話が前後しちゃったけど。僕の性愛対象は女性。女性全般、と言うより僕好みの可愛い娘が好きなんだけど──その話はいいか。僕とフェアリル殿下は婚約者の関係でも、正しくその関係性ではなかった、ってこと。理解してくれたかな?王女殿下」
「あ……。そういえばあなた、偽装婚……って言っていたわね。それはレベッカに恋人……がいるからなの?」
さっき、フェアリル殿下は『恋人に言い付ける』と言っていた。レベッカには恋人がいるのだろう。そう思って尋ねると、彼はちらりと私を見て答えた。
「そう。僕との婚姻はレベッカ・バーチェリーにとっても都合が良かった。隠れ蓑という意味合いでね」
フェアリル殿下の婚約者がレベッカだったことには驚いたけど、ようやく納得がいった。頷いていると、レベッカが私を見た。
「それで、どこまで話したっけ?……ああ、そうそう。きみのとこの公爵令嬢がやってきてね、きみの力になりたいから国境を超えてきた、と話していたよ。今は王城のどっかで休んでるよ。貴族の娘らしく体力がないみたいなんだよねぇ」
レベッカはそう言いながら「ちなみにあの手のタイプは僕の好みじゃないかな。歩くトラブルメーカーはちょっとなぁ」とミレイアを評した。
「僕には最初から父親の監視がついていたみたいなんだよね。いつから怪しまれていたのは知らないけど──僕が辺境の森に向かってると知った父は、万一を考えてフェアリル殿下に救助兵を要請。そのおかげで僕達は全滅せずに済んだわけだけど、その後。僕は、父親に家を抜け出したことがバレて、ついでに今までの病弱も仮病だと芋づる式に知られてしまって、それに動揺した恋人がうっかり僕たちの関係を口にしてしまって──それを知った父親はもうカンカン。僕は監禁されたってわけ。最悪の連鎖反応だよね?こんなトントン拍子なのも珍しいって言うかさあ」
なんてことないようにレベッカは話すが、それはとても大変な事だったのではないだろうか。王太子の婚約者が実は同性愛者で、恋人がいて、それを知った上で──互いの利害が一致したからこそ、婚約を結んでいた。白い結婚という前提で。それを知った公爵の心労を思うとほんの僅かに気の毒ではある。
「このままだと薬でも盛られて無理やり子作りを強制されかねない。それくらいなら死んでやると思っていたところで、フェアリル殿下が手を回して上手く家から出れた。……ここまでが今朝の話だよ」
「大変だったのね……」
しみじみ言うと、レベッカは軽く笑った。
「これくらいの苦労、ファンと恋人になった時から予想はしていたよ。でも──これからの幸福はそこのきみの恋人が約束してくれるんだろ?」
「えっ」
(約束!?…………恋人?!)
動揺してフェアリル殿下を見ると、彼は涼しげにレベッカを見て言った。
「以前、レベッカ・バーチェリーには連絡を出していたんだけど。同性愛間での婚姻を可能にする──これは恐らく上手くいくと思う」
「へえ。頑固な貴族院はもちろん、国王陛下も頷かないと思うけど?」
挑戦的にレベッカが言う。
フェアリル殿下はレベッカを真っ直ぐ見た。
「父にはもう王の座を退いてもらう。それを提言できるほどの材料が僕の手にはある」
「………信じていいんだな?」
レベッカが強い眼差しで言った。
レベッカは目力が強い。鮮やかな翡翠の瞳に睨むように射られたフェアリルは短く答えた。
「ああ」
「……それじゃ、後はきみに任せるとして。万が一。もしも僕が男なんかと婚姻を結ぶようなことになれば──フェアリル殿下。僕は一生きみを恨むよ」
「分かってる。……僕は、きみに多少なりとも情があるんだ。身動きの取れない息苦しい社交界で、唯一取り繕わずに済んだ。そうだな……僕にとってきみは、友人──知人──いや。共犯者。それがいちばん正しい。僕だけ泥沼の世界から這い上がって、きみだけ汚泥を啜らせる、なんて卑怯な真似はしないさ」
フェアリル殿下が少し笑って答えると、レベッカは僅かにきょとんとした後、不敵に笑った。
「じゃあね、リリアンナ王女。そこの王子様に嫌気がさしたら僕のところにおいで」
「行かない」
私が答えるより先に食い気味にフェアリル殿下が返答した。
「フェアリル殿下には言ってない」
眉を寄せたレベッカは、手にしていた帽子を再度被ると優雅に礼を取った。
そして、恭しく頭を下げた彼女は、そのまま部屋を出ていったのだった。
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