26 / 61
リリアンナはやり返されてしまったが? *
しおりを挟む彼に痴女と言われても否定できないじゃない……!!
その時、彼の腰がぐっと押し付けられた。瞬間、彼の熱いそれが快楽の神経に触れて身体が跳ねる。びくりと体がはねると、それに気がついたのか殿下がはあ、と熱い息を吐いてその角度で腰を動かし始めた。
「んぅっ!」
「うっ……ぁ、……っ、どう?きみはしてばっかりだったから、つまらなかっただろう?っ……すまなかったね、俺の快楽ばかり優先させてしまったようで?」
(喘ぐか話すかどっちかにしなさいよ!)
相変わらず快楽には弱いらしい。もしかしたら自慰以外の性体験がないのかしら?もちろん私はないけれど。でも王族の男子なら、しかも王太子ならしかるべき機会に|性行為(セックス)の練習があっても……そこまで考えたが、しかし次の瞬間に考えは霧散した。くちゅくちゅと短い水音を立てて互いのその部分を擦られて。声を押されられない。布があってよかった。でなかったらきっと妙な声が出たに違いなーー
「んぅっ……!?」
私の口から布が奪われた!
「は、もう流石に喚く元気は残ってない、よね?それにきみも分かってるはずだ、デスフォワードの、っ王女?ここで騒げば、衛兵が……っぁ、」
「ぁっ、やぁ、んっ……は、あ、えぐか話すか、どっちかにしなさいよっ……!」
しかし私の声も思った以上に甘いそれになってしまった。こんなのもう、いれてないだけで行為そのものだ。やめなければいけないのに、体に力が入らない。へろへろだ。私は声が出ないようにシーツに口元を押し付けた。ムッとした様子の彼がぐりぐりと腰を押し付けながら言う。
「それをきみがっ、言う?っ……は、ぁ、きみだってそんなに喘いで、気持ちいいんだろ?」
「なによそれ!気持ちいいのはあなた、やっ!?……ぁっ………!?……ッ……ーー!」
その時、ぐりぐりと柔らかくてかたいそれが秘芽に押し当てられて、体が抑えようのない快楽に翻弄された。ぴんと手足が伸びて、何も考えられなくなる。痺れるような快楽が広がって、息を詰めた。
それに気がついたのだろう?彼がふ、と小さく笑った。
「イっちゃったんだ?リリアンナ、俺にこれで突かれて?」
「~~~~っ………!」
イってしまった。その言葉が分からないほど純情でも初心でもない。私はその言葉を理解して、自身に起きた状況を理解した。
(私が達してしまった?今ので……!?)
ぼ、と顔をが熱を持つ。恥ずかしくてたまらない。こんな僅かな接触で。黙りこくってしまった私を訝しく思ったのか、ぐっと若干無理のある角度で振り向かされる。首が痛いのよ!
「っ………」
「なに?……へえ?」
へえ、って何。へえって!!
きっと私の顔はトマトに負けず劣らず赤いのだろう。自分のことだもの。なんとなくわかるわ。私は羞恥のあまり涙目のままキッと睨んだ。
「な……っ何をするのよ!」
「うわ、声大きいな。抑えて」
ごもっともだ。ここに今第三者が踏み込まれてはまずい。私は不承不承控えめに反論した。
「何を考えてらっしゃるの……意味がわからないわ」
「ふうん、きみにもそんなしおらしい顔ができるんだ?」
「今のあなた、まるでいじめっ子みたいよ」
「きみが大人しくいじめられるとは思えないけどね」
「そうね。いつもだったら盛大に反撃するところだわ」
「今は?」
「もちろん、今も」
「そうだよね。なんとなく、俺もわかってきたんだ。きみの性格が」
うつ伏せで寝かされながら、手首を抑えられる。あら?あら……あらあらあら?するりと手首になにか紐が巻きついた。驚いて手首を動かそうとすれば、縛られているのか動かせない。まさか!
「あなたっ……」
「まだ、反撃される訳にはいかないんだよね。きみも欲しいんでしょう?俺の子種が」
「なにか語弊があるわ!私は確かにあなたの白い命の源が欲しいけれども!」
「言い方だよ、ほんと」
「あなた自身には微塵も興味が無いのよ!」
「きみさあ、失礼ってよく言われない?」
「なあに?興味あった方が困るんじゃなくて?なにせあなたには婚約者がいらっしゃるのでしょ!婚約者がいるのにこんな不誠実な真似をするなんて、そのお相手が可哀想でならないわ!私なら馬鹿にされたと思ってすぐさま婚約破棄待ったナシよ!王家を蔑ろにした償いはしてもらうわね!」
「どうどうどう」
「馬じゃないわよ!」
(というか、このひとなんでこんなに話してるのに一向に萎えないのよ……っ!!)
「こんな無理やりどうにかしようとするなんて……あなた最低よ!」
「きみが言うの?」
僅かに驚きを込めたような、苦笑するような、 馬鹿にするようなそんな声だった。確かにそれを言われたらぐうの音も出ない。だけどこのままではまずいのは間違いない。
私の股に挟まれたそれは萎むところか未だ硬度を保ったままだ。彼はそのまま私の太ももにはさんでそれをねちゃねちゃと卑猥に動かすと、つぶやくように言った。
「きみが、何を言おうが構わないけど……っ、気が散るから声は押えて」
「気が散るですって!?盛大に散ればいいのよそんなもの!」
「出さないときみも困るんだろ?死にたくないんじゃない?」
「卑怯ですわ!」
「どっちが」
鼻で笑うような馬鹿にした嘲笑を耳元に吹き込まれ、またも背筋がぞくりと震える。これはいけない感覚だ。覚えてはいけない。それなのに、彼の熱が触れる感覚はあまりにも生々しくて、みだらだった。やがて水音が激しくなり、彼がぐっと腰を押し付けてきた。
「ぁ、」
「きゃっ!?」
小さな噴水のように生ぬるい液体が太ももやシーツに飛び散るのがわかる。私は呆然としながらようやくこの行為が終わったことを知る。破瓜されなかったことは良かったけれど、はたしてこれはいいことと言えるのだろうか。処女を散らされなかったのは不幸中の幸いだ。
殿下はそのまま小さく息を吐いて呼吸を整えた後、ぐるりと私の肩をおしてひっくり返した。
26
お気に入りに追加
250
あなたにおすすめの小説
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる
マチバリ
恋愛
貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。
数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。
書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
若奥様は緑の手 ~ お世話した花壇が聖域化してました。嫁入り先でめいっぱい役立てます!
古森真朝
恋愛
意地悪な遠縁のおばの邸で暮らすユーフェミアは、ある日いきなり『明後日に輿入れが決まったから荷物をまとめろ』と言い渡される。いろいろ思うところはありつつ、これは邸から出て自立するチャンス!と大急ぎで支度して出立することに。嫁入り道具兼手土産として、唯一の財産でもある裏庭の花壇(四畳サイズ)を『持参』したのだが――実はこのプチ庭園、長年手塩にかけた彼女の魔力によって、神域霊域レベルのレア植物生息地となっていた。
そうとは知らないまま、輿入れ初日にボロボロになって帰ってきた結婚相手・クライヴを救ったのを皮切りに、彼の実家エヴァンス邸、勤め先である王城、さらにお世話になっている賢者様が司る大神殿と、次々に起こる事件を『あ、それならありますよ!』とプチ庭園でしれっと解決していくユーフェミア。果たして嫁ぎ先で平穏を手に入れられるのか。そして根っから世話好きで、何くれとなく構ってくれるクライヴVS自立したい甘えベタの若奥様の勝負の行方は?
*カクヨム様で先行掲載しております
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】男装令嬢、深い事情により夜だけ王弟殿下の恋人を演じさせられる
千堂みくま
恋愛
ある事情のため男として生きる伯爵令嬢ルルシェ。彼女の望みはただ一つ、父親の跡を継いで領主となること――だが何故か王弟であるイグニス王子に気に入られ、彼の側近として長いあいだ仕えてきた。
女嫌いの王子はなかなか結婚してくれず、彼の結婚を機に領地へ帰りたいルルシェはやきもきしている。しかし、ある日とうとう些細なことが切っ掛けとなり、イグニスに女だとバレてしまった。
王子は性別の秘密を守る代わりに「俺の女嫌いが治るように協力しろ」と持ちかけてきて、夜だけ彼の恋人を演じる事になったのだが……。
○ニブい男装令嬢と不器用な王子が恋をする物語。○Rシーンには※印あり。
[男装令嬢は伯爵家を継ぎたい!]の改稿版です。
ムーンライトでも公開中。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる