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【幕間】果物はお好き? ③*

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「もしかして殿下は童………経験があまりないのではなくて?」

「だとしたら?きみはとても慣れてるように見えるね。デスフォワード王国では閨の授業が組み込まれているのかな」

とんだ発言である。彼はすまし顔をしているが、その男根はそそり立っている。私はにきにきと彼のそれを握った。話している間に萎えられたらいちからやり直しだ。

「うっ………」

「ひどい言いがかりですわ。私の手淫があまりにもよいからといって、言いがかりも甚だしいですわ」

「きみ、のっ……手淫は下手くそだって言っただろう!点数をつけるなら20点だ。そんな単調的な動き方でその気になるとでも、っ」

「気持ちよくのないのかしら……?ぬるぬるしているけれど」

この王太子は何を言っているのか割と分からない。下手くそだと言いながらしっかり感じてるじゃないの。ダメだわ。気を抜くと直ぐに「気持ちいいんだろ?お高く止まりやがって」という山賊が顔を出す。そしてその想像内ではフェアリル殿下は穢れを知らない処女姫である。
その想像を首を振ってかき消した。
フェアリル殿下は苦薬でも噛み砕いたような顔でこちらを見た。

「僕は、許せないだけだ」

「どうして?私の手に欲を吐き出すことを言っているのなら、これはギリギリセーフよ。閨ごとの授業だも思ってくださればいいの。王族ならあるでしょう?」

あら?でも、フェアリル殿下はその閨ごとの授業を受けたはずなのに、どうしてこうも経験不足のような顔をしてらっしゃるのかしら。だいたいド下手くそド下手くそ言うくせに、しっかり感じてらっしゃるじゃない。
私はフェアリル殿下のしっかりと屹立した肉棒の下に指先をはわせる。思ったよりも柔らかい。膨らんだ双玉をつつくと、殿下がうめいた。

「隣国の王女の手を使って精を吐き出すことが?これを閨の授業だと受け入れるばかがいるのか」

「つべこべ言わずにさっさと出してくださらない?私、いつまでこれを扱いていればいいのかしら。もう、さっき出そうだったのにあなたが止めるからよ」

もしかして殿下は寸止めされるのが好きなのだろうか。知っているわ。そういう嗜好を持つ殿方がいるということを………!!
フェアリル殿下をちらりと見ると、彼は目元を赤く染めたまま、はぁ、と熱い息を吐いた。女性よりも色気のある表情である。火照った頬はその肌の白さを際立たせる。彼が小さく身動ぎする度に白金の髪が首元あたりに触れる。
彼の蒼の瞳は、白金のまつ毛が扇のように隠していた。まるでどこかの画家が描いた絵画のようである。
そうね………。タイトルは、光たる青年、とか。
そんな、どこかにありそうな絵画を思い出していると、フェアリル殿下が言った。

「屈辱だ」

「私の命がかかっているの。私のためと思って耐えてくださらないかしら」

「なんで僕がきみのために」

「紳士は淑女を見捨てたりはしないでしょう?私を救えるのはあなただけなのよ。というわけで、早く出してちょうだい」

「うっ、ぁ………く、」

フェアリル殿下は少し息を詰めたが、やがて私の髪に触れた。もしや引っ張られるのではと危惧したが、彼の手は私の髪を一瞬、さらりと撫でるだけだった。手くしのような真似をしたフェアリル殿下は、やがて私の肩を軽く押した。まさかまた休憩とでも言うんじゃないでしょうね。今にも弾けそうなほどの欲を内包した欲望は、ちょんちょんと触れただけで爆発しそうである。

「殿下は、焦らされるのがお好きなの?」

ちゅ、ちゅ、と柔らかな先に口付けをしながら問いかける。フェアリル殿下が呼吸を少し荒くした。

「そん……なっ、わけないだろう!いいから一度離れてくれ、デスフォワードの王女」

今度はデスフォワードの王女と呼んできた。
名前で呼べとは言わないが、あえて国名を告げてきたことに訝しく思いながら彼を見上げた。フェアリル殿下は耳を赤く染めながら、私を睨んでいる。しかし、その白金のまつ毛には涙が滲んでおり、全く迫力はなかった。

「きみのくそ下手くそな口淫で出すのは業腹だ。僕が自分でやる」

「え………」

私が戸惑うまもなく、フェアリル殿下はご自分でそれに触れた。まぁ、自分のものだから触れるわよね……。そう納得したが、しかし、納得したからと言っておちついて見れる光景ではなかった。
フェアリル殿下が自慰している………。それは私に衝撃にも似た驚きを与えた。性欲なんてありませんみたいな顔をしているのに………!そんな彼が今、自ら、自分の欲望に触れて、しごいている………!!

「くっ………見るな」

「えっ、えっ、……えぇと」

悔しそうに言うフェアリル殿下ではあるが、自分でそれを扱いておきながら見るなとはなかなか難しい注文なのではないだろうか。もはやそういう遊びのようにすら思える。
そもそもなぜ、フェアリル殿下は急に自慰のような真似を………。そこで私は思い出す。

ーーきみのくそ下手くそな口淫で出すのは業腹だ。僕が自分でやる

私の手淫が下手だと宣う彼は、自分の手でさっさと絞り出すことにしたようだ。それはつまり、私の手淫が彼のそれより劣ることを示している。あとから考えれば、一国の王女がーーしかも未婚であるーー手淫の技術を磨く必要は無いのだが、この時の私は自分のそれが拙い、その上自分でやった方がいいと言われたことに腹の虫の居所が悪くなった。端的に言うと、私より上手いとか、何それ、じゃあ見せていただこうじゃない!という具合である。
フェアリル殿下の手は、もはや痛いのではないかと言うほど強く自分のものをしごいている。

「うっ………く、もう出る」

「えっ!?あっ、ちょ、待っ」

出ると言われても、殿下のそれは私の口より少し離れている。慌てて口を寄せようとすると、殿下の手が私の頭に触れた。さらりと軽く髪を撫でられて、引き寄せられる。

「きゃっ!?」

そして、殿下のそれは元気に上を向き、私の口元に生ぬるいものが放出される。結構な量だったのか、口に入り切らず、首元や髪にまでついている。私は目をぱちくりさせたが、やがてはっと気がついた。

「ちょっと!零してしまったではないの」

「思ったより出たね」

「話を聞いてほしいのだけど」

フェアリル殿下の指先が私の口元に触れる。そして口元に撒き散らかされた白濁を、彼の指先が拭うようにとる。

「舐めて?」

「……………」

私は驚いていた。いや、出したものをなめとれといわれたことではない。そうではなくてーー。フェアリル殿下が輝かしいほどの麗しい笑みを浮かべていたことにだ。彼はまるで天使の擬人化のように美しい笑みを湛えながら言ったのだ。
舐めて、と。今しがた自分が吐き出した欲望を。
私は瞬時に理解した。フェアリル殿下は思った以上に腹を立てていることを。どのタイミングでキレたのかは分からないが、彼の笑みがそれを物語っている。どうしたものかと思っていると、彼の指先が私の唇にぐいぐいと白濁を纏ったそれを押し付けてくる。
私にとって、彼の欲は生きるための必需品だ。仕方なく口を開け、彼の指を舐める。

「んっ………」

彼の瞳が僅かに細められる。
いくらなんでも感じ過ぎではないか。大丈夫なの……?この王太子。そのうち自分の騎士にでも掘られるのではないかしら。私は少し王太子の身を案じた。

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