62 / 79
三章
意図的な調和、人為的な処理
しおりを挟む驚きの一週間!
……と、ついキャッチコピー風に言いたくなるくらいの出来事が立て続いている。
まず最初はレイフと別れ別れになってしまったこと。
残された俺はクトリアの遺跡で、闇の森でクリスティナと共に行方不明になっていた疾風戦団の魔導技師タルボットと再会し、けれどもそのタルボットは何故かイベンダーと名乗ってたこと。
それからイベンダーと共にクトリア市街地へと来て、今イベンダーが行動を共にしている“邪術士シャーイダールの探索者”のアジトへと来たら、マヌサアルバ会という美食倶楽部みたいなところに呼び出されて、何故か料理を作ることになり、翌日には王の守護者というクトリア自警団のボスである“キング”という人と会うことになり───その“キング”を含め、JBもイベンダーも、アルバという女の人に、よく知らないけど三悪とかいう魔人の人達も、そろいもそろって別世界からこの世界に転生してきて前世の記憶があったらしい、ということが判明した───ということ。
どないやねん!?
いやそりゃインチキな関西弁で突っ込みも入れたくなるよ!?
レイフにユリウスさんまで含めれば、総勢10人!? 俺が知ってるだけでも10人だよ!?
別世界転生のバーゲンセールかよ!? ドキッ!? 転生者だらけの水泳大会かよ!? ポロリもあるでよ!?
しかも“キング”という人の話だと、彼らの場合転生するときに例のイベント、「これから皆さんには転生してもらいます」説明会があったらしい。50人だか100人だかの航空機墜落事故死亡者を集めてさ!
おかしーだろ! ホワイ!? この世界の神様!? 何故にこんなにポンポコポンポコこの世界に転生させてるわけ!? 何かのキャンペーン!?
バランス感覚ゼロか!? バランス感覚ゼロから始まる異世界生活か!? 責任者出てこい!
───と。
とにもかくにも突っ込みするしかないよーな事がわらわらありつつ、しかし突っ込み以外に出来ることはほとんどないのでどーしょもないのですよ、ええ、ええ。
一応。一応ね。JBやイベンダー達から聞いた話含めて、レイフとも話していた法則みたいなのは再確認出来た。
まず死因そのものは問われてない。多分。
生前の善行とか、神様の手違いとかもおそらく関係ない。まあそもそも手違いで死ぬ、て、どういうことなのかちょっとよく意味分かんないしね。
時代も地域もけっこうバラついてる感じはある。
そしてやはり、「前世の記憶を思い出す」のには「一度死ぬ、死にかける」というきっかけが必要みたいだ。
イベンダーは例の怪物に一度殺されかけて。JBは子供の頃に。“キング”という人もやっぱ若い頃死にかけたことで前世の記憶を思い出したらしい。
思い出し方やその度合いなんかは人それぞれで、JBはまだ幼い頃に前世の記憶を思い出したこともあり、人格形成上は前世の意識、人格が主になってると言う。
けど、思い出してから何年も犬獣人の奴隷生活してたとか、ちょっと凄い過酷な環境だよね。ユリウスさんの「ゴブリンの群れの下っ端」ってのも凄かったけどさ。でもあの人けっこうすぐにチートな能力目覚めて群れのボスになってたし、よく考えるとそんなに過酷ではなかったのか?
レイフは「死にかけた肉体に別の魂が降りてきて融合するのでは?」という推論を立てていたけど、イベンダーは少し違ってて、「前世の魂が転生して生まれ変わるけれども、死にかけるほどの危機に陥るまで前世の記憶は眠ってる状態でいるのではないか?」と考えている。
俺にはどっちが正しいか分からないし───まあ正直どっちでも良いかな? とも思う。
今の俺は、前世を思い出す前の俺も、思い出した後の俺も、特に変わりなく“俺”という感覚で居る。
勿論、前世で得ていた知識や記憶、経験、ものの考え方なんかは、今の俺の様々なことに凄く影響している。
ただそれは……んー。何というか別に「前世の記憶により人格が一変した」という感じでは無いんだよね。
「忘れてたことを思い出した」のに近いかもしれない。
前世の記憶を思い出す前のことを思い出して……ややこしいな、この言い方……まあ思い返してみても、そこでの生き方選択肢がまるっきり違っていたとも思えない。
レイフが言うように、「本質的なところが似ている」んだと思う。
それが、他の人達にも言えるのかどうかってのは分からない。
イベンダーは昔の方が今より研究者的な面が強く、今ほど社交的でも遊び好きでも無かった気がする。
それには本人曰くの「前世は科学者で、商人で、探鉱者で、運び人で、ベガスの救世主」という記憶が影響してるんだろうな、とは思う。
……てか、ベガスの救世主って何? 凄く詐欺師臭するんだけど!? インチキハイテク商品とかでボロ儲け……とかしてたのかな?
ま、何にせよユリウスさんの群れに居た賢者が言うところの「二重の魂を持つ者」は、どうやらけっこうこの世界を闊歩しているか、叉は「一度死にかけること」で覚醒したりするようだ。
そう考えると、前世の記憶を思い出さないまま生涯を終えるってパターンってのもありそうだなあ。
うーん。今まで知り合った人にも実は居たのかもしれないなあ。
◆ ◆ ◆
と、そんなことをうすらぼんやり考えていつつ、俺は例の“シャーイダールの地下アジト”の入り口前に作られた見習い用の部屋の所で、居眠りしているタカギさんを背もたれ代わりにして手紙を書いている。
ダフネという全体的にちんまりした薄い印象のある女の子に画板と紙、ペンをもらってるんだけど、この紙すげー繊維が粗くて書きにくい。
ペンはドワーフ合金の古代の付けペン。滑らかで硬めの書き味だというが、やたら引っかかるしよく滲む。
何枚かもらっては来たけど、書き損じを既に数回。
うーん。また貰えるかなあ?
地下なので基本的には暗いんだけど、何ヶ所か地上から明かりを採れるようにしてある場所もあり、アジト周辺には魔導具やろうそくで灯りもつけられてる。
そしてオークという種族は人間よりも暗闇に強く目が良いので、少ない灯りでもさほど困らない。
とは言え全体としてこの地下街がどんより暗いのに変わりは無いので、どうせならもっと地表部分の廃屋を増改築してちょっとした吹き抜けみたいにして採光すれば良いのになー、なんてこともぼんやり考えている。
うん、こういうの、レイフと“生ける石イアン”なら、簡単にやってのけれそう。パパパのちゃっちゃ、で。
手紙は二通書く予定で、一通は疾風戦団宛で、もう一通は闇の森のナナイさん宛て。
とりあえずの近況とあらましを報告しておこうと思っている。
どうやって送るのか、というと、イベンダーと色々話し合ってみたんだけども、王国駐屯軍のニコラウス・コンティーニ隊長経由がよかろう、とのこと。
イベンダー曰く、
「まずコンティーニ家は疾風戦団とはそこそこ関係が深い」
と。
「え? そうなの?」
「多分……たしかな」
ふへー。うろ覚えー?
「まあ、あの頃の俺は正直そういう外向きの事には無頓着だったからなあ。
たしか数年前にあのー……あいつだ。ラシードだったか誰か若手と……リタとカイーラ達が、あそこの娘さんのちょっとした呪いを解呪したか何かでな。
ま、詳細は知らんが、そーゆー話だ」
リタとカイーラはご存知の2人。ラシードは若手のイケメンの重装剣士で、けっこう入団してすぐに実力を発揮し、この間の闇の主討伐戦でも班長になったくらい。今回も本当は転送門からの探索に参加するはずだった。
あんまり付き合い無かったからよく知らないんだよね。けっこうチャラい感じのキャラだったてのは覚えてる。
「それに今回の魔人討伐で俺達はかなりニコラウスには恩を売った。手紙の一つや二つ、問題無く引き受けてくれるだろううよ」
そこには俺は関係ないけどね。うん。
ただ必ずしもきちんと届く保証はないので、基本的に同じ文面のものを何通か用意して、他のルートでも出来ないかは探っておく方が良いだろう、とも言っていた。
難しいのは……ナナイさんへのレイフの状況の伝え方だなあ。
レイフ自身、「ちゃんと届くかは分からないけれども」との注釈つきながら、魔導具の手紙を使って報告はしていたらしいし、多分今でもしているのだと思う。
で、その中ではきっと、いらぬ心配を掛けないような説明の仕方をしてると思うんだよね。
何せナナイさんは、家族への愛情という点では異常な行動力見せるから、暴走しないよう気をつける必要がある。
ナナイさん、俺らが闇の森から転送門くぐった時点でも、両腕添え木で固定してなきゃなんないくらいの重傷だったしね。
すっぱり両脚が切断されてしまったレイフの方が、脚を諦めるという選択肢を選んだ分魔法を含めた治療での回復は早かった。
ナナイさんの方は両腕の内部を複雑に傷つけられたもんだから、多分まだ完治はしてないんじゃなかろーか。
そんなわけで、戦団宛ての手紙はそれなりに文章はまとまってるけど、ナナイさん宛がまだ難しい。ちょっと悩んでいる。
悩んでむーむー唸っていると、ブギーブミーと腹の虫の音。いや、俺じゃないよ? タカギさんです、タカギさん。
いや、まあ俺もけっこう腹は減っている。シャーイダールさんはアジト周辺の貧民達に寝床の提供と朝晩スープの提供をしてて、まあその代わりに周囲の監視やちょっとした下働きなんかをさせてるらしい。
そんで俺も一応お椀を貰っててスープを朝晩飲んでるんだけど、これがまあ正直全然足りない。あとあんまり美味しくない。
なので貰ったり持参したりした食材を少しずつ消費しているんだけど、それもかなり減ってきてる。
そんで、こちらに来てからというもの、例の魔獣用のエサである歩く丸鶏がないことでタカギさんの食事量が俺以上にけっこうな問題となってる。
シャーイダールの探索者の皆さんから残飯を貰ったり、先日もマヌサアルバ会で野菜クズや何かを貰ったりしてきたけど、聖獣化して巨大になったタカギさんは、仔地豚だった頃とは比べ物にならないくらい食うのだ。
多分俺より食う。間違いなく食う。おおよそ、1日に樽一杯分くらいはペロリと食う。
そしてここのところ確実に、その食事は足りてない。俺以上に。
ううーむ……問題だ! 大問題だ!
ぐむむむむ、と、この大問題について考えていると、雑に開けっ放しの戸口からちらちらと覗き込む姿が見える。
犬……? いや、犬の帽子か何かを被った子供と他数人。うん、多分全員子供だ。
ごにょごにょと何かを囁き合いつつ本人たちは隠れているつもりな様子だが、正直そんなに隠れられては居ない。
うーむ。やはり皆のアイドルたるタカギさん、ゆるキャラ風味で子供たちに人気ということか。さすがです。さすタカです。
そこでふと思いついたのだが、やはり子供的には「動物に餌をやる」というのはなかなかにレジャーなイベントである。
この子供ら相手にタカギさんのラブリーな様を見せつければ、いくらかは足しになるくらいは食い物を貰えるのではなかろーか?
タカギさん、というか地豚は元々草食寄りの雑食なので、人間が食べられるものならだいたい食べられる。いや、どちらかというと「オークが食べられるものなら」という感じかな?
てなことで、俺はゆっくりと画板を畳んでインクとペンを片付ける。それから自然な様子でタカギさんを促しゆっくりと立ち上がって……子供らの……方へ……と───?
「逃げろっ! 食われるぞ!」
……って、えーーー!?
男の子らしき声でそう叫ばれると、わーーーっと一目散に逃げていく子供たち。
いやいやいや、食べませんよ!? ていうか誰が!? 俺? orタカギさん!? いやどっちも食べませんから!?
不本意です! 果てしなく不本意ですよ!?
半ば呆然としつつ逃げる子供たちを視線で追うが、実際そんなに全力では逃げてはいないようだ。
子供たち以外にも人は居るし、何やらこの地下街の修繕をしてる人達や、シャーイダールのアジトの門近くで見張りをしてる人とかも居る。
なので子供たちもそんなに本気で食われることを警戒しているわけでもなさそうだ。
むーん、と頭を捻り、思いついて俺は奥の荷物入れの箱から栓をしてある壷を取り出す。
それを持ってまたゆっくりと彼らの方へと近づき、栓を開けて中を見せ、
「食べる?」
と聞く。
甘ったるい匂いは蜂蜜のもの。壷の中にはまだ例の盆地で手に入れた蜂蜜が残っているのだ。
その黄金に輝くとろりとした甘味に、子供たちは目を輝かせ、また恐る恐る近づいてくる。
よーし、だめ押しだな。俺は木製のさじを取り出して中からひとすくい。それを見せつけるようにしてからぺろり。
甘ンま~い!
思わず叫びたくなるくらいに甘い。
甘い、甘すぎる。ドリュアス印の蜂蜜。いやドリュアスさん関係ないけど。
それを見た子供たちは、じりじりと近づくか近づかないかの距離にいたのが、1人、また1人と一歩を踏み出して……わっと走り寄ってきた。
まて、順番! 順番で!
そんなわけで順番に並ばせつつ、スプーンですくった蜂蜜を一口ずつ舐めさせていく。
蜂蜜を舐めた子供はそれぞれに驚いたような満面の笑みで飛んだり跳ねたりだ。
うーん、何をやっとるのだ。というかおかしいぞ。子供等にタカギさんの食べ物をたかるつもりだったのが……逆だな、これは。
しかしまあ、こう、改めて見るとこの子供等は……まず汚い! しかもとてつもなく!
年齢的には上は中高生くらい、下はそれこそ乳呑み児くらいの子まで居る。平均的には小学生くらいに見えるような子が多いかもしれない。
棄てられてたり親や家族、共に暮らせる身内を亡くしたり追い出されたりして行き場のない子を見つけては連れてきて面倒を見てるらしい。
そしてほぼその全員がまあ、汚れもひどいし、服も服だかぼろ布だか分からない垢まみれ塵まみれの泥まみれ。小さい子供の中には服を着てない子もいる。
この地下街は半分以上廃虚のままのクトリア市街地の中でも最も貧しく行き場のない人達が集まるガチの貧民窟で、しかも彼らは孤児の集まりなのだ。
ただ汚いだけでなく、それ以外にもかなり色々問題だらけだ。
例えば彼らの中では年長らしい例の犬の……剥製? 毛皮? の帽子と服を着てる女の子は、顔の半分はひどい火傷の跡に被われてる。
他にも腕や足が無かったり指が少なかったり片目だったりと体の一部が欠損している子や、大きな傷跡の残る子も多いし、そうでなくともあばた顔や乱杭歯と明らかに不健康不摂生で見た目も良くない。
ぶちまけて言えば、所謂「かわいい子供」ってのが全く居ない。
けど、だ。
ぱっと見はかなり悲惨な状態の子供達だが、ある種の悲壮感や暗さがあまり無い。
感情豊かだし、よく動いてよく話すし、じゃれあいふざけ合いしつつも、年長者は下の子をよく見ているし、まとまりがあってしっかりもしてる。
なんかこう……こう言っちゃあなんだがちょっと違和感がある。
「あーあ、ジャンヌも居ればなー。蜂蜜なんてすげーもん舐められたのになー」
「すげー!」
「あまーい!」
「はちみ、つ、おいしい。ジャンヌ、にも、あげたい、ね」
彼らがちょくちょく口にするジャンヌという名前。んー? 何か耳に残ってるのというか聞き覚えがあるな。
「ジャンヌ?」
そう聞くと比較的年長らしき少年が、
「おまえもシャーイダール様の見習いなんだろ? ジャンヌもそうさ!」
「俺たちのリーダーなんだぜ!」
「今はどっか遠くにある遺跡の探索に行ってんだよ」
「すっげーよな! あのジャンヌが、探索者になったんだぜ!」
わいわいきゃいきゃいと、本当に嬉しそうに口々に言う。
なるほどなー。言わばこの孤児たちのヒーローであり出世頭、ってなところか……。
この子達のこの明るさも、もしかしたらそのジャンヌというリーダーの存在に支えられている面もあるのかもしれない。
とかぼんやり考えてたところに……あれ、ちょっと待てよ、その名前ってまさか……?
───レイフと一緒に転送門抜けて行方不明になった二人のうちの一人じゃん!?
今の話しぶりからするとこの子たちはその事実は知らない。今もあのセンティドゥ廃城塞かどこかで探索を続けてると思ってる。
いやまあ「探索を続けてる」という意味では正しいのかもしれんけど、状況としては全く違う。
ヤバい。これは今知らせない方が良いタイプの話だ。けど俺ドジこいてポロリしちゃいかねない。黙ってても何か態度に出しちゃうかも。子供たちの前でポロリ出しちゃうかも。ガチでマジでそれはヤバい!
そんな緊張感でムググと奥歯を噛み締めて、うかつなことをポロリしちゃわないようしていると、後ろの方からまさかの救世主が現れる。
「おーい、そこのガキンチョども! ここがアレかー? シャーイダール様のアジトで良いのかー?」
やった! これで注目が俺から逸れる!
そう考え喜びつつそちらを見やると、何やら薄暗い通路の向こうから数人……いや十数人くらいの人の気配。
「何だよオッサン」
「おーう、オッサンじゃねえぞー。優しいお兄さんと言いなさーい」
「てめえなんかスケコマシ詐欺野郎で十分だ」
「おお、おー? 言うね? 言うねェ? けどなー、マルメルちゃーん。
おまえの入れあげてたオルネラちゃんが、おまえからもらってたプレゼントを俺に貢いでたのは、詐欺でも何でもねーんだよなー?」
「てめ、100回殺すっ……!!」
やだ、何か危ない会話してる!? 止めてよブラッド沙汰は!?
「うひぇー、暴力反対でーす! グイドの旦那、助けて~!」
おどけた調子のその男は、誰か別の人の影に隠れたようで、周りからも少なからぬ笑いが起きている。
「おおーい、待て待てお前ら。そっちは新しい見習い用の区画だ。アジトの本当の入り口はその右側の奥を少し行ったとこだ」
さらにその向こうから聞こえてくるのは、多分この地下街の改築を指揮してるガエルという痩せのっぽな人。例のモロシタテムという街の町長さんだとかいう人の親族らしい。
「んー? あっちかー? 分っかり難ぃなー。ここ、もうちっと明るくなんねーのかね?」
「じゃあ出てけよおめーはよ」
「おおぅ? 俺無しで交渉出来ると思ってんの? 女にモテねえマルちゃんよ?」
「関係ねえだろ!」
何かは分からないけど、この人たちはシャーイダールさんと何かの取り引きをしに来た人たちらしい。
俺の部屋の前を通り抜けて進む彼等を見ると、孤児の子供たちや地下街の貧民たちをも超える程に汚くぼろぼろの格好。
前のほうの数人はボロ着の他に少しばかり武装もしてるけど、多くはそこら辺の棒っきれや、それに何かの角か骨をくくりつけたような粗悪な手作り。その後ろにはさらにみすぼらしい男女に子供まで含めた数人が続き……そして最後に“そいつ”が居た。
で……でかいっ……!?
頭一つどころではなく、三つ四つ分は抜けている。
筋骨隆々で頭の毛はない。その盛り上がった肩に背筋、上腕二頭筋に大胸筋は、ボロ着の上からも威圧感がハンパ無い。
そしてその容貌もまた……明らかに人ならぬその特徴を備えていた。
食人鬼じゃん……どー見ても。
263
お気に入りに追加
1,874
あなたにおすすめの小説
婚約破棄をされた悪役令嬢は、すべてを見捨てることにした
アルト
ファンタジー
今から七年前。
婚約者である王太子の都合により、ありもしない罪を着せられ、国外追放に処された一人の令嬢がいた。偽りの悪業の経歴を押し付けられ、人里に彼女の居場所はどこにもなかった。
そして彼女は、『魔の森』と呼ばれる魔窟へと足を踏み入れる。
そして現在。
『魔の森』に住まうとある女性を訪ねてとある集団が彼女の勧誘にと向かっていた。
彼らの正体は女神からの神託を受け、結成された魔王討伐パーティー。神託により指名された最後の一人の勧誘にと足を運んでいたのだが——。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
乙女ゲームの世界だと、いつから思い込んでいた?
シナココ
ファンタジー
母親違いの妹をいじめたというふわふわした冤罪で婚約破棄された上に、最北の辺境地に流された公爵令嬢ハイデマリー。勝ち誇る妹・ゲルダは転生者。この世界のヒロインだと豪語し、王太子妃に成り上がる。乙女ゲームのハッピーエンドの確定だ。
……乙女ゲームが終わったら、戦争ストラテジーゲームが始まるのだ。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
【完結】虐げられて自己肯定感を失った令嬢は、周囲からの愛を受け取れない
春風由実
恋愛
事情があって伯爵家で長く虐げられてきたオリヴィアは、公爵家に嫁ぐも、同じく虐げられる日々が続くものだと信じていた。
願わくば、公爵家では邪魔にならず、ひっそりと生かして貰えたら。
そんなオリヴィアの小さな願いを、夫となった公爵レオンは容赦なく打ち砕く。
※完結まで毎日1話更新します。最終話は2/15の投稿です。
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています。
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。アメリアは真実を確かめるため、3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
転生悪役令嬢に仕立て上げられた幸運の女神様は家門から勘当されたので、自由に生きるため、もう、ほっといてください。今更戻ってこいは遅いです
青の雀
ファンタジー
公爵令嬢ステファニー・エストロゲンは、学園の卒業パーティで第2王子のマリオットから突然、婚約破棄を告げられる
それも事実ではない男爵令嬢のリリアーヌ嬢を苛めたという冤罪を掛けられ、問答無用でマリオットから殴り飛ばされ意識を失ってしまう
そのショックで、ステファニーは前世社畜OL だった記憶を思い出し、日本料理を提供するファミリーレストランを開業することを思いつく
公爵令嬢として、持ち出せる宝石をなぜか物心ついたときには、すでに貯めていて、それを原資として開業するつもりでいる
この国では婚約破棄された令嬢は、キズモノとして扱われることから、なんとか自立しようと修道院回避のために幼いときから貯金していたみたいだった
足取り重く公爵邸に帰ったステファニーに待ち構えていたのが、父からの勘当宣告で……
エストロゲン家では、昔から異能をもって生まれてくるということを当然としている家柄で、異能を持たないステファニーは、前から肩身の狭い思いをしていた
修道院へ行くか、勘当を甘んじて受け入れるか、二者択一を迫られたステファニーは翌早朝にこっそり、家を出た
ステファニー自身は忘れているが、実は女神の化身で何代前の過去に人間との恋でいさかいがあり、無念が残っていたので、神界に帰らず、人間界の中で転生を繰り返すうちに、自分自身が女神であるということを忘れている
エストロゲン家の人々は、ステファニーの恩恵を受け異能を覚醒したということを知らない
ステファニーを追い出したことにより、次々に異能が消えていく……
4/20ようやく誤字チェックが完了しました
もしまだ、何かお気づきの点がありましたら、ご報告お待ち申し上げておりますm(_)m
いったん終了します
思いがけずに長くなってしまいましたので、各単元ごとはショートショートなのですが(笑)
平民女性に転生して、下剋上をするという話も面白いかなぁと
気が向いたら書きますね
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる