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一章
意に沿わない行為、陵辱 【ミュチュスカ】※R18
しおりを挟む「なっ……!そんなわけないでしょう!?私はあなたを愛してるのよ。例えミュチュスカでも、私の心を疑うような真似は──」
案の定、激昂した彼女を見て内心薄く笑みを浮かべた。
安堵のような感情を僅かとはいえ見つけてしまい、苦笑する。
知らなかった。自分にこんな、暗い感情があることを。
「じゃあ、ここに俺がいても構わないわけだ」
「──」
意外にも扱いやすい彼女にミュチュスカはほくそ笑んだ。目を見開き、言葉を無くす彼女。
いつもはキンキンと何かと騒ぎ立てる彼女が何も言えずに押し黙る様は、うすら暗い悦びを彼に運んだ。
「それとも、メリューエル。きみはひとりで疼きをどうにかするつもり?」
真面目が服を着て歩いているような、清廉潔白な貴公子として有名なミュチュスカからそんな言葉が出たのがあまりにも意外だったのか、メリューエルは弾かれたように目を見開いた。まるで信じられないものを見るかのような目だ。そんな彼女を皮肉げな笑みを浮かべて見ると、ミュチュスカはメリューエルに覆いかぶさった。
「喜んだら?メリューエル。俺がきみの熱を発散してあげる」
ベッドに押し倒されたメリューエルはこぼれ落ちそうなほど目を見開いていた。大きな梅重色の瞳は、目を見開くと橙が混ざり合い、鮮やかな色彩をしている。
なるほど、これだけ見たら妖精のように美しい少女だ。雪のように真っ白な髪がシーツに広がっている。くるくるとカールを描く銀髪を指にまきつけて、彼女を見下ろした。
メリューエルは目を見開いていた。
しばらく呆然としていた彼女は──しかし、抵抗した。ミュチュスカの胸を押して、悲鳴のような声を出す。
「いや!やめて!同情のつもり……!?」
「さあ、どうだろうね」
やすやすとメリューエルの抵抗を無力化させると、彼は彼女の首筋に舌を這わせた。途端、甲高い鳴き声が聞こえた。涙をポロポロ流しながら快楽に耐える彼女はさながら心の伴わない陵辱に耐えている様子であり、そんな彼女を見てまたゾクゾクとする。
可哀想に、と思う気持ちはほんのわずか──もしかしたら、よく探せばあったのかもしれなかった。
だけどそれ以上にもっとこの女を鳴かせて、赦しを乞わせたらどうなるだろうという、重たく暗い欲望に囚われた。
「きみは勝手だね。俺のことをなんだと思ってるの?」
尋ねるも、メリューエルは泣きじゃくりばかりで答えない。だから、ドレスを押し上げる健気な胸の突起をぎゅ、と摘んだ。少し、強めに。とたん、悲鳴混じりの嬌声が上がる。
「メリューエル?」
「いや、いや、いやぁ……!」
「俺に抱かれるのが、そんなに嫌?」
「ちがう、ちがうの、ひっ……う、うー……」
もう、メリューエルは恥も外聞もなく泣きじゃくっていた。何も知らない人が見たらギョッと三度見はするほど酷い泣き方だ。まるで子供のようだった。ぐずぐずと鼻をすすり、洟も垂れている。淑女とはかけ離れた醜態なのに、ミュチュスカはそれを見て興奮していた。
あのメリューエルが。
いつもヒステリックにミュチュスカを責め立てるか、媚びを売るかの二択のメリューエルが泣いている。恥も外聞もなく、淑女としての仮面も外し、無防備に。
は、と熱い息を吐いた。
彼女の薄桃の唇に口付けたのは、半ば無意識だった。
「んん、んんん……!!」
何かメリューエルが言ったが、それを無視して舌を潜り込ませた。びくびくと大袈裟なほど揺れる体を無理に押さえつけ、口内を探った。
ほんのりと鉄の味がする。唇を噛んだのだろう。強情なところは彼女らしい。
それがまた、腹が立つほど──なんだろう。
とにかく今は、彼女を鳴かせてみたくてたまらない。潤んだ瞳で、赦しを乞わせたい。
ドレスをまくり上げて肌を伝う。びくびくと彼女が体を揺らす度に、真っ白な項に噛み付いた。羞恥のためか、快楽のためか、項はほんのりと赤く染っていて、まるで噛んでくれと言わんばかりだ。いやいやと首を振るメリューエルはポーズにしか見えない。こんなにも、体は喜んでいるというのに。
まるで熱に浮かされているかのような気分だった。決してミュチュスカはメリューエルのように薬や強い酒を口にした訳では無いのに。完全に当てられている。
は、と息を吐く。
メリューエルの秘部は既に濡れそぼっていた。ぴちゃり、と音がする。その反応が憎らしくすらあり、ぐっとショーツ越しに布を押し込んだ。
甲高い悲鳴が上がる。
「やぁ……!」
「アーベルトにどこまで許した?アーベルトも顔のいい男だ。きみのお眼鏡にかなったのかな」
「ちが、ちが、ぁうっ」
ぐりぐりと人差し指で突き刺して、親指で膨らみきった尖りを押し潰した。
メリューエルはミュチュスカの腕に顔を押し付けて達した。
「ぁあああああっ………!」
品のない善がり声だった。
熱に浮かされた、快楽のことしか考えていない声だ。ゾクゾクとした。
ミュチュスカは閨教育を受けていない。貴族の子息ならある程度の年齢になれば必ず受けるものだが、その時にはすっかりメリューエルのせいで女という性を嫌い、忌避するようになっていた彼は閨教育を拒んだのだ。
そのため、彼は初めて女の嬌声を耳にした。
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