最後に報われるのは誰でしょう?

ごろごろみかん。

文字の大きさ
14 / 22
第二章

"聖女様に気をつけて"

しおりを挟む


「ホシュアは行ったな………。リリア、きみに話しておきたいことがある。ああいや、レストでも構わなかったんだけれど、あまり派手に動くと、目をつけられるから」

「目をつけられるとは………?ディーンハルト殿下、いったい……」

「聖女様のことについてだ」

「聖女様………」

ディーンハルト殿下の言葉に思わず目を丸くする。
聖女様といえば、これからその身をお守りするために、辺境、フィンハロンへと行く予定だ。その聖女様について、ということで、私は虚をつかれた。まさか、ディーンハルト殿下から聖女様の話を持ち出してくるとは思わなかったわ。

「………あまり、きみに無闇矢鱈と先入観を与えるのはよろしくない、というのが兄上の見解だ。そして、僕もそうすべきだと思っている。だけど、後から後悔するのでは遅い」

「………あの?ディーンハルト殿下……」

その時、遠くで「殿下!」と呼ぶ男性の声が聞こえてきた。恐らく、ディーンハルト殿下の従僕か、騎士だろう。彼はちらりとそちらを見たが、やがて私を見た。そして、短く言いきった。

「聖女様に、気をつけて」

「え…………」

「ディーンハルト殿下、ようやくおみつけ致しましたよ!もう、すぐフラーっとどこかに行くんですから……って失礼。取り込み中でしたか」

庭園の中、ガサガサと忙しない足音をさせてやってきたのは、緑髪の、まだあどけない顔をした少年だった。年の頃は十三、四、だろうか。こんな幼い少年が王宮務めしていることに驚く。
少年の言葉に、ディーンハルト殿下は首を振って答えた。彼が首を振る度に、そのサラサラな亜麻色の髪が揺れて、太陽の光に照らされ、透き通った色になる。もしかしたら、私よりその髪はサラサラかもしれない。

(わ、私だって年頃の令嬢なのだけれど………)

おそらく、あまり手入れに時間をかけていないだろうと見受けられるディーンハルト殿下の髪がサラサラなのは、髪質か。生まれつきのものであれば、太刀打ちするのは難しい。

(………と、そうじゃなかった)

"聖女様に気をつけて"

………これって、どういう意味………?
ディーンハルト殿下を見れば、彼は少年に声をかけているところだった。

「いや、そろそろ戻るつもりだった。それじゃあね、リリア。健闘を祈る」

「え?ええ………。はい。ありがとうございます、ディーンハルト殿下。お元気で」

「うん」

しばらく、私は王城を離れる。
ディーンハルト殿下と次お会いするのは、聖女様をこの王都に、そして王城に。お連れした時になることだろう。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→

AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」 ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。 お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。 しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。 そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。 お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。

私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜

AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。 そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。 さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。 しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。 それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。 だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。 そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。 ※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。

お嬢様はお亡くなりになりました。

豆狸
恋愛
「お嬢様は……十日前にお亡くなりになりました」 「な……なにを言っている?」

愛想を尽かした女と尽かされた男

火野村志紀
恋愛
※全16話となります。 「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」

【完結】わたしの欲しい言葉

彩華(あやはな)
恋愛
わたしはいらない子。 双子の妹は聖女。生まれた時から、両親は妹を可愛がった。 はじめての旅行でわたしは置いて行かれた。 わたしは・・・。 数年後、王太子と結婚した聖女たちの前に現れた帝国の使者。彼女は一足の靴を彼らの前にさしだしたー。 *ドロッとしています。 念のためティッシュをご用意ください。

陛下を捨てた理由

甘糖むい
恋愛
美しく才能あふれる侯爵令嬢ジェニエルは、幼い頃から王子セオドールの婚約者として約束され、完璧な王妃教育を受けてきた。20歳で結婚した二人だったが、3年経っても子供に恵まれず、彼女には「問題がある」という噂が広がりはじめる始末。 そんな中、セオドールが「オリヴィア」という女性を王宮に連れてきたことで、夫婦の関係は一変し始める。 ※改定、追加や修正を予告なくする場合がございます。ご了承ください。

結婚するので姉様は出ていってもらえますか?

基本二度寝
恋愛
聖女の誕生に国全体が沸き立った。 気を良くした国王は貴族に前祝いと様々な物を与えた。 そして底辺貴族の我が男爵家にも贈り物を下さった。 家族で仲良く住むようにと賜ったのは古い神殿を改装した石造りの屋敷は小さな城のようでもあった。 そして妹の婚約まで決まった。 特別仲が悪いと思っていなかった妹から向けられた言葉は。 ※番外編追加するかもしれません。しないかもしれません。 ※えろが追加される場合はr−18に変更します。

はっきり言ってカケラも興味はございません

みおな
恋愛
 私の婚約者様は、王女殿下の騎士をしている。  病弱でお美しい王女殿下に常に付き従い、婚約者としての交流も、マトモにしたことがない。  まぁ、好きになさればよろしいわ。 私には関係ないことですから。

処理中です...