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公爵令嬢はわからされて *
しおりを挟む「っ…………く、うう」
「いい加減観念しろ。フラン。俺の婚約者はお前で、ヴィアレトは………くそ、お前なんでいるんだ?リワープしろ。主人の命だ。聞けるな?」
「ちょっ……なんてこと言うのよ!リワープって、つまり半殺し以上ってことじゃない。あの、あなた、どうしたのよ。そんな簡単に暴力とかする人じゃなかったじゃない」
ヴィヴィは何も言わない。言う前にわたくしが割り込んだ。もうここまでくれば、諦めるしかないのだろう……ヴィヴィとアルには友人以上の感情はない………と。悲しいけれど、これが現実だ。聖女も言っていた。ナマモノーー存在する人間のCPに触れたのなら、マナーは守らなければならない、と。そうしないと害虫として人間以下の存在となってしまうらしい。わたくしはまさにそれに成り下がりかけていた。
「そんな簡単に………ね」
ふと、アルが言葉を繰り返す。
そして、わたくしを見る。その真っ直ぐな目が、何か言いたげで、戸惑う。
「な……なに?」
「フラン。俺さ」
「……………」
「…………お前のこと、嫌いじゃない」
「え?ああ、ああ、そう、ね?わたくしも嫌いじゃ………いや、好きよ?」
「それは性愛?」
「せっ………!?」
「こういうことをする、愛であってる?」
する、と舐めていない方の指先が、わたくしの指に絡む。思わず腰を引きそうになるが、後ろにはヴィヴィがいる。ヴィヴィは石像にでもなったのように何も言わない。しかし確かに存在感はあって、ヴィヴィはわたくしの動きを阻んでいる。
「………俺はさ。フラン。お前のこと、さっきも言った通り可愛さ余って憎さ百倍、って感じなんだよな。今」
「ええ?え………っと?」
そう言えばさっきなんか言ってた。
「初めては初夜に………流れとか、今までかなり考えた」
「…………」
「それを当の本人であるお前が、見事にぶっ壊してくれたんだもんな」
「ご、ごめんなさい………」
よく分からないが、アルはめちゃくちゃキレているようだ。静かな怒りだ。口調は穏やかで、笑みを浮かべているが、しかし目は笑っていない。美人ほど、怒ると怖い。アルはふ、と春溶けのような、それはそれは、あまりにも美しい笑みを浮かべた。顔だけ見れば傾国の美女だ。顔小さいし、肌は白いし、切れ長の瞳は色っぽいし、まつ毛は長い。鼻筋はすうと通っていて、顎のラインも綺麗だ。薄いくちびるが微かに開いて、
「許すわけ、ないよね?」
空気が固まった。
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