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虎の尾を踏んでしまったようで
しおりを挟む「アル。あなた、ヴィヴィを見て思うことは無いの?ほら、かっこいい、とか男らしい、とか」
「俺が男らしくないと?」
「確かに腹が立つくらい綺麗な顔をしているけれど、アルは男性よ。じゃないと萌えないわ」
「なるほどな。お前のくそど~~~~~でもいい談義はよく分かった。ヴィアレト。やれ」
「ヤれ?!」
思わずわたくしが叫んだのと、ヴィヴィにベッドに投げ出されたのは、ほぼ同時。
***
「ヴィアレト。離すなよ」
「分かりました」
ここだけ聞けば、愛の言葉に思えなくもない。
なのに実際の状況は、わたくしを後ろから拘束するヴィヴィ。わたくしの前に座り、わたくしの顎を持ち上げて勝者の笑みを浮かべるアル。ベッドの上に座ったわたくしたちはそれぞれ異なる雰囲気を醸し出していた。わたくしは魔王が降臨するのを見た町娘のような顔をしていたであろうし、ヴィヴィは昨日の夜何か食べたっけ、みたいな顔をしている。アルに至ってはここで会ったが100年目!みたいな力強い目をしていた。
「ーーフラン。よく聞け」
「なに……」
「俺は、…………俺は」
「なによ………何よ!このままわたくしにそのぶっといのをお見舞いするのでしょう!?哀れな#修道女__シスター_#のように!敵の手に落ちた女騎士のようにわたくしを陵辱するのでしょう!ええ、いいわ!ここまできたならわたくしだって覚悟を決めるわよ!!もともとはわたくしが招いた種ですもの!!最後は快楽堕ちで洗脳されきってみせますわ!!」
「お前は何の話をしてるんだ!!」
アルに言われて、わたくしはまた目を伏せる。そしてちらりとヴィヴィを見た。
「ヴィヴィ………」
「ごめんね。フラン。殿下の言うことを聞いて?」
味方はいない……。
そうよ。そうよね。元はと言えばわたくしが悪いんだわ……その責任を負うのは当然。いやでもほんの少し、これがきっかけになってふたりの想いが成就して、2~3年後に『あれがあったから俺たちは想いが通じたんだ』とはにかみながら言うのではないかと予想していたのに………。
わたくしの沈痛な顔に、アルがため息を着く。
「お前さ、俺のこと、ちゃんと男だってわかってる?」
「分かってるわよ……じゃなきゃときめかないわ」
「は?」
「何よ」
「俺にときめ………?」
「当たり前でしょ。もしあなたが女性なら、ただの見目麗しい異性カップルだわ。そんなの、探せば結構いるものよ。それにね、わたくしは男同士だからいいのよ。ダメだとわかっていてもひかれてしまう、特にあなたは王族で」
「わかった。聞いた俺が馬鹿だった」
前髪をかきあげ額を抑えたアルは、そのままため息を着く。白い肌がチラチラ露になって、息を飲んだ。すごい。とっても色っぽい。思わずじっと見ていると、突然、アルの目が鋭くこちらを見てーー
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