9 / 22
公爵令嬢は諦めない!私欲のために!
しおりを挟む「じゃじゃ馬ですって?!」
思わず声を上げたわたくしを、ヴィヴィが見て、そしてゆっくりとその視線がアルに向く。ドキドキした。このままキスでもしないかしら、というトキメキだ。ヴィヴィは思案するような声で言った。
「………ですが、いいのですか?さっきはフランを見せたくないからああまでしようと………」
「構わない。そもそもこの女には何を言っても無理だ。昔から突拍子もない上に猪のように猪突猛進で短絡思考の単細胞の野生児だ。言って分からないなら………分からせる」
「それだけ聞くとわたくし、とんでもない人間みたいだわ……」
「みたい、じゃない。そのままだ」
思わず呟いた声に、冷たい目でアルが言う。そして、わたくしを上ら下まで見て、深く、ふかくため息をついた。
「………た方が負け、か……。くそ、お前、どうしてそんな見た目なんだ」
「ぼさっとした見た目と言いたいの?」
「見た目だけなら妖精姫だともてはやされていただろうが」
「そうよ。わたくしは可憐なの。でもあなたに言われると嫌味に聞こえるわ」
「お前は可愛いよ。可愛くて、可憐で……そうだな。見ていて無性に腹が立つ。可愛さ余って憎さ百倍、という言葉があるな?あれの通りだ」
「嫌味にしか聞こえない………」
自分より遥かに美しく整った顔立ちをしている男に褒められたところで、煽られてるとしか思えないのよね………。思わず眉を寄せたところで、がっと体に衝撃が走った。
「きゃあ?!」
「よし、ヴィアレト。お前、そのまま抑えとけ。フラン。もう容赦しない。お前の言う通り、性交をしてやる。ただし、お前と俺で、だ」
「なっ…………はぁあああ!?」
見れば、ヴィヴィがわたくしの肩を抑えている!なぜ!どうして!あなたが触れるのはわたくしではないでしょう!!と、慌てる間も無く。
唇を奪われた。そう。この美少女顔の男に。
「んっーーーー!!!」
「うるさい。お前口付けぐらい静かにできないのか?」
合わさった唇をすぐさま振り払うと、アルが困ったものを見るような目をした。なんでだ。どうしてわたくしが悪いみたいな感じになってるの。
「なっなっな、なに、なにな」
「ベビーシッター?」
「何してくれてるのよ!!あっ、あな、あなた、あっ」
「へぇ、いやらしい本ばっか読んでる割には初心だな?ファーストキスは何の味がした?レモン味か?」
45
お気に入りに追加
450
あなたにおすすめの小説
完結*三年も付き合った恋人に、家柄を理由に騙されて捨てられたのに、名家の婚約者のいる御曹司から溺愛されました。
恩田璃星
恋愛
清永凛(きよなが りん)は平日はごく普通のOL、土日のいずれかは交通整理の副業に励む働き者。
副業先の上司である夏目仁希(なつめ にき)から、会う度に嫌味を言われたって気にしたことなどなかった。
なぜなら、凛には付き合って三年になる恋人がいるからだ。
しかし、そろそろプロポーズされるかも?と期待していたある日、彼から一方的に別れを告げられてしまいー!?
それを機に、凛の運命は思いも寄らない方向に引っ張られていく。
果たして凛は、両親のように、愛の溢れる家庭を築けるのか!?
*この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
*不定期更新になることがあります。
獣人の里の仕置き小屋
真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。
獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。
今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。
仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。
王女、騎士と結婚させられイかされまくる
ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。
性描写激しめですが、甘々の溺愛です。
※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。
図書館の秘密事〜公爵様が好きになったのは、国王陛下の側妃候補の令嬢〜
狭山雪菜
恋愛
ディーナ・グリゼルダ・アチェールは、ヴィラン公国の宰相として働くアチェール公爵の次女として生まれた。
姉は王子の婚約者候補となっていたが生まれつき身体が弱く、姉が王族へ嫁ぐのに不安となっていた公爵家は、次女であるディーナが姉の代わりが務まるように、王子の第二婚約者候補として成人を迎えた。
いつからか新たな婚約者が出ないディーナに、もしかしたら王子の側妃になるんじゃないかと噂が立った。
王妃教育の他にも家庭教師をつけられ、勉強が好きになったディーナは、毎日のように図書館へと運んでいた。その時に出会ったトロッツィ公爵当主のルキアーノと出会って、いつからか彼の事を好きとなっていた…
こちらの作品は「小説家になろう」にも、掲載されています。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる