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性交を成功させないと! 2

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「真剣に混乱してるのよ」

「ならもっとまともな混乱の仕方をしろよ!」

「ヴィヴィ、あなたはどうなの?アルが王子で仕える主人だからってこの際構うことはないわ。この空間を生み出してしまったのはわたくしの責任よ。本当に申し訳ないと思ってる。でも、嘆いても始まらないもの。どうしようもないのなら、解決策に踏み出さなければならない。隠さなくていいの」

「はあ………」

ヴィヴィは気のない返答をした。そして、そのまま壁まで下がってしまう。わたくしたちのやり取りを一歩離れた位置で見守る、つまりこれは亭主の位置…………!!
わたくしの理性と本能はぐらぐら揺れていた。アルは悔しいことに異性愛者ノンケだ。同性愛者ゲイじゃない。両刀バイでもない。
わたくしは恐る恐る言った。

「ここから出るには、確実に性交を成功させるしかないの。洒落で言ってるんじゃないわよ……」

「お前余裕だな。なんで?」

「そりゃあ推しカ……………ップルを生で見れるチャンスだからよ」

いけない。推しカプといいそうになってしまったわ。
アルが「はあ?」と心の底から響くような声を出した。わたくしを睨みつける顔は、しかし元が美少女顔なだけあって、綺麗という感想しかわかない。淑女として悔しくなってくる。まつ毛は無駄に長いし、熱を当てて持ち上げなくても自然とくるんと上を向いている。くっきりとした二重まぶたに、切れ長の緑の瞳。緑と中央に浮かぶ黄色の円環の交際に、雪のように白い肌。薄い桃色の唇。どこもかしこも色素が薄い。キスマークが映えそうな肌である。

「誰と、誰がカップルだって?」

「失言だったわ。でも、アル。よく考えて。あなた、わたくしに抱かれるのとヴィヴィに抱かれるの、どちらがいいの」

「なんでお前に抱かれるんだよ!お前は男か?女だろ!フランベル!」

「そう!わたくしには抱かれたくないでしょう?!つまり、ヴィヴィがいいのよ!」

「そうじゃない。お前、致命的なことに気がついていない」

「致命的なこと………?」

「俺は、男には、欲情しない。はい、復唱」

「相変わらず綺麗な肌ね………」

「話聞けお前の頭ん中はどうなってんだ?お前こそ見た目詐欺だろ!そんなほわんとした見た目して、中身は劇物じゃねえか!」

「ほわんとした見た目なんてしてないわ。それより、アル。覚悟を決めて。大丈夫。初めては痛いらしいけどすぐ慣れるわ。幸い、この部屋では浄化魔法を使える……使えるはずよ。だってわたくしがそう設定したのだし」  

「へえ?ああ、そう」

アルはほかにもなにか言いたげな顔をしていたがーーやがて、薄く笑みを浮かべた。それは幼い頃から一緒にいる、慣れたわたくしですらぞくりとするほど妖艶な笑みだった。これは誘い受けだわ………。

「おい、ヴィアレト。この思い込みが激しい勘違いじゃじゃ馬娘、抑えとけ」


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